暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

茶事支度  自転車に乗って

2012年07月23日 | 京暮らし 日常編
                    大蓮寺(左京区東山二条西入)の蓮華
関東から茶友ご夫妻がいらっしゃるので、茶事支度に勤しんでいます。

午前中の涼しいうちに水汲みと買い物を済ませておこうと、
自転車で颯爽と(?)出かけました。
京都は自転車があると便利な街で、台数の多さにびっくりやら、
乗るのが怖いやら・・・でした。
やっと頭の中に自転車専用地図が出来つつあり、車の少ない道や
お気に入りの路地を選んで、走り抜けています。

先ずは寺町通の和菓子店「松彌」(中京区新烏丸二条上る)へ向かいました。
前から気になっていた「松彌の金魚」をお出ししたいと予約したのです。
かわいい金魚が涼しげに水色の寒天の中を泳いでいます。
他にも「花火」「葡萄餅」など味わってみたいオリジナルな和菓子が
ウインドウに並んでいて、一瞬迷いましたが次回の楽しみと致しましょう。
「松彌」のご主人に店先でばったりお会いしたので、愛犬と一緒にパチリ。

                 

丸太町通から御池通にいたる寺町通は魅力的なお店がいっぱい。
古美術や茶道具を売るお店、紙屋さん、
一保堂、二条通をちょっと入って柳桜園、
行くと必ずパンを買う進々堂、つい寄ってしまうアンティークショップなど。

革堂(こうどう)と呼ばれている行願寺へ寄り、お参りしました。
開基の行円上人は、殺生を諫める気持ちを込めて、
鹿の革衣を身に着けていたことから革上人と呼ばれ、寺名も「革堂」となったとか。
ご本尊は千手観音で、西国三十三ヶ所観音霊場の第十九番札所になっています。
そのせいか、四国八十八ヶ所の札所の雰囲気があって、
時々寄ってみたくなるお寺です。

                 
                        下御霊神社本殿

今日の水汲みは下御霊(しもごりょう)神社です。
6月の名水点の茶事では京都三名水の一つ、梨木神社の染井の水を汲みましたが、
ここもいつも行列ができるくらい人気のお水です。
梨木神社と同じ水脈のようですが、蛇口をひねるとポンプアップされて
冷たい水が出てきます。
本殿にお参りし、御手洗場にある賽銭箱に心ばかりの御礼を入れ、
10リットル・タンクと2リットル・ペットボトル3本に水を汲み、
自転車の荷台に積み込みました。

                 
                        下御霊神社の水汲み場

さあ、あとは吸物八寸やデザートの材料です。
メモを見ながら忘れ物のないように近所のスーパーへ・・・。
さぁ~て、もうひと頑張りして
真蒸(海老と枝豆)とデザート(桃のコンポート)を作りましょうか!

                               


祇園祭  熱い!暑い!山鉾巡行

2012年07月21日 | 京暮らし 年中行事
17日の山鉾巡行の日に梅雨が明けました。

朝からギンギン照りつける太陽の下、山鉾巡行を見に御池通へ急ぐと
有料の観覧席が設けられ、すでにかなりの人が集まっていました。
まもなく第一番の長刀鉾(なぎなたほこ)がやってきました。
御池通は広いので見やすいのですが、もっと近くで迫力満点の山鉾を見たいので
新町通へ移動することにしました。

                                  
                 
                    直射日光も照り返しも熱い中で待つ人たち

新町通御池下ルの最初の角は狭い上に道がずれているので
大きな山鉾には一番の難関であり、見せ場でもあります。
その近くに陣取りました。
いい加減待ちくたびれた頃に「長刀鉾」がやってきました。
狭い箇所を通り抜けると、思わず歓声が・・・。

                 
                 
                    新町通を進む長刀鉾

                 
                 
                    優雅な綾傘鉾と巡行の棒ふり囃子

北観音山・会所へ移動して、最後に新町通へやってきた「北観音山」を迎えました。
長刀鉾に始まり、華麗な山鉾が通り過ぎてから数時間が経過していました。
それでも「北観音山」の前には辛抱強くたくさんの人が待っています。
日焼けして顔が真っ赤になっている外人さんもいました。

ふと、ブータンのツェチュ祭へ行ったときの光景を思い出していました。

ツェチュ祭の舞踊はチベット仏教の教義に基づく神聖な儀式で、
法要そのものを表しています。
炎天下で何時間も座り込んで踊りを見ているブータンの人たち、
「ツェチュ」の祭りの場に居ることが、礼拝そのものであり、
長く礼拝するほど徳を積むことになるそうです。

祇園祭もブータンのツェチュ祭も同じではないのか?
・・・そんな気がしてきたのは、炎天下で何時間も待ったせいかもしれません
「外人さんは祇園祭や沿道の見物人たちをどのように見ているのかしら?」

                 
                 
                 
                    「北観音山」の雄姿を待つこと5時間・・・

大量の汗をぬぐい、水分を補給しながらひたすら待っていると、
「放下鉾」「南観音山」に続いて「北観音山」がやってきました。
新町通は最後なので時間もかかり、正直みんな疲れ切っていました。
どの山鉾も最後の力を振り絞って曳いています・・・。

「北観音山」が会所に無事納まると、温かい拍手が沸き起こりました。
みんなで〆の手拍子を打って、山鉾巡行終了です。
山に付けられた柳の枝を手折って、みんなに分けています。
これも厄除けになるそうで、主人が一本ゲットしてくれました。

・・・こうして私たちにとって初めての祇園祭・山鉾巡行が終わりました。    
                                  

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祇園祭 宵山を楽しむ

2012年07月18日 | 京暮らし 年中行事
祇園祭の楽しみの一つ、宵山へ三日間繰り出しました。

                 

薄暮の頃に訪れると、空の色が刻々と変化して
空の色に合わせるかのように山鉾や街の表情が微妙に変わっていき、
とても好ましい時間に思われました。
7時をまわると、あたりは闇に包まれ、浮かび上がる提灯、
屋台の食べ物の入り混じった匂い、浴衣姿の人たち、下駄の音、
山鉾や街の様子が昼間とは全く違ってきます。
人の流れを追って、あてもないぶらぶら歩きが最高!

                 

新町通や綾小路通には伝来の屏風や工芸品を飾る家が多く、
屏風祭と呼ばれ、宵山の楽しみの一つにしていました。
京都に住む友人TYさんの話では
「昔はもっとたくさんあったのだけれど、屏風を見せてくれる家が
 年々少なくなって寂しい・・・」

                 
                 

今年は特別に新町通の京都生活工藝館無名舎(吉田家)で
「インド更紗交流特別展」が7月1日~17日まで行われていました。
展示されていた南観音山・旧前懸の「障屏山水文様インド更紗」(18世紀前半)は、
狩野派による山水画がインド南東部のコロマンデル海岸へ運ばれ、
そこでローケツ染技法で西欧向けの壁掛けやカーペットとして商品化されたものが
はるばる東印度会社により日本に持ち込まれ、山鉾の懸装品になったのです。

                 
                 南観音山・旧前懸の「障屏山水文様インド更紗」(18世紀前半) 

更紗交流展のためにインドから出品された大更紗は、
南観音山の「障屏山水文様インド更紗」の構成要素をそっくり取り出して
作られていて、二つの更紗が親子関係にあることを示しています。
実に300年の時を隔てて二つの更紗が再会したことを知り、
更紗好きとしてはとても嬉しい特別展でした。
同時に山鉾の懸装品の歴史の深さにびっくりしています。

                 
                                   
                 インドから出品された大更紗(18世紀前半)

宵宵山では綾傘鉾の棒振り囃子に目を見張りました。
「昔は各山鉾で囃子や踊りを披露していたそうですが、今残るのは綾傘鉾だけ・・」
KRさんからお聞きしていたので、興味深く見物しました。
棒振り囃子は疫神や災いを追い払うために始まったそうですが、
汗を飛ばしての熱演は迫力満点、相撲の弓取り式やブータンのツェチュ祭の踊りを
連想したりしました。
小太鼓、笛、鉦のお囃子も間近でゆっくり拝聴できて、佳い思い出になりました。

                 
                 

もう一つ、7月16日に訪れた太子山・宵山コンサートが心に残っています。
今年で四回目だそうですが、会所近くのデイサービスセンターで行われました。
呼び込みの人から誘われ、飛び込みです。

                 

「太子山の町内に住む音楽家の協力でコンサートをしますので是非!
 昨年は野外だったのですが、弦楽器が暑さと湿気で微妙に変化して
 好い音が出ないそうなので、今年は会場を屋内へ移しました。
 ステキな演奏でお勧めですよ」

小学四年生の「ガボット」のバイオリン演奏から始まって
モーツアルトの弦楽四重奏曲から二曲が演奏されました。
音楽はよくわからないのですが、心に素直に入ってくる、
素晴らしい演奏に聞き惚れました。

                 
                 

最前列に浴衣姿の幼児や小学生が座っていたのですが、
最後まで一心に聴き通して、その姿にも主人と感心しました。
きっと素晴らしいご家庭で、良いしつけを受けているのでしょう。
来年も太子山・宵山コンサートへいきたいなぁ~。
                                   

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祇園祭「北観音山」の曳き初め

2012年07月17日 | 京暮らし 年中行事
いよいよ「北観音山」の曳き初めです。
菊水鉾の茶席から「北観音山」へ移動すると、
山の前で待っていてくださったKRさんに再会しました。
私たちが松立てのご縁で、曳き初めを「北観音山」に定めたお話をすると、
とても喜んでくれました。
そして、曳き初めの最初の掛け声や仕舞いがそれぞれの山で違い、
見所の一つと教えてくれました。

お勧めは「放下鉾(ほうかほこ)」の掛け声を見てから
急いで「南観音山」次いで「北観音山」へ戻り、
最初の掛け声と仕舞いを集中的に鑑賞する・・・というものでした。

                    
                    
私たちはKRさんのご指導に従い、急いで「放下鉾」へ移動すると、
すぐに扇を持った二人の男衆が大きく扇をまわしながら
『よーい よ~い、え~んやらや~』というような掛け声を掛け、
それに合わせて綱が曳かれました。
新町通はとても狭いので山鉾の屋根の上に数人の男衆が乗っていて
スムーズに進むように活躍します。
あまりにもカッコ良かったので、見惚れながらもパチリ。

                    

あわてて次の「南観音山」へ走ると、こちらの掛け声は男衆が一人です。
孤高の熱演で、拍手喝采を浴びていました。
早くしないと肝心の「北観音山」へ間に合わないのでは・・・と心配していると、
今日は何度も新町通を往復するから焦らなくても大丈夫だそうです。

                    
                    

「北観音山」の曳き初めには、近くの室町小学校5年生が交代で参加していました。
それに赤ちゃんや小さい子供連れのお母さんたち、そして私たち観光客も大勢いました。
本番の巡行は男性の曳き手のみと決められているので、貴重なチャンスなのです。
掛け声に合わせて、一斉に綱を引くと重い重い「山」が様々な人の想いや祈りを
のせて、ゆっくりと動き始めました。
曳いてみるとわかるのですが、南へ下り、北へ向かう時は少し登りになっています。

                    
                    
                    

新町通を四条通から三条通の間を行ったり来たり。
けっこう頑張って曳いたので、汗が顔から噴き出してきます。
子どもたちも顔を真っ赤にして、髪の毛をぐっしょり濡らしながら頑張りました。
暑い、熱い、ゆだるような光景なのですが、「山」の連帯感を感じられる、
気持ちの良い体験でした。
なんかやみつきになりそう・・・です。

曳き初めの帰りに御利益がいくつか。
四条通のドトールでアイスコーヒーと冷房で火照った体を冷やしていると、
窓の向こうを歩いている通行人と目がばったり合い、飛び上がりました。
奈良に住む茶友のKさんでした。

その後に京都高島屋で開催中の挑交会茶道具展へ寄ると、
東京の茶友M氏に数年ぶりでお会いして、これまたびっくり!
憧れの工芸作家・岩淵祐二氏にも初めてお目にかかれました。

KRさん曰く、
「出逢いが多くなったのは、祇園さんのお陰かも知れませんね・・・」

嬉しい一日でした。
                                


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祇園祭「菊水鉾」の茶席

2012年07月16日 | 京暮らし 年中行事
13日に、松立てをお手伝いさせて頂いた「北観音山」(新町通六角下ル)の
曳き初めに出掛けました。
先ずは裏千家流の茶席が設けられている「菊水鉾」(室町通四条上ル)へ向いました。

「菊水鉾」は、町内にある「菊水の井」にちなんで名付けられ、
この井戸跡が菊水鉾町会所に保存されています。 碑文を紹介しますね。


                   
   菊水の井跡

   中世、室町時代、当地に夷を祀る社があり、
   社殿の隅に名水「菊水の井」がありました。
   茶道の始祖千利休が師事した、茶人の先覚者武野紹鴎は
   この井戸をこよなく愛し、此処に庵を結び茶亭を大黒庵と称しました。

   菊水の井と呼ばれる所以は、能楽「菊慈童」から着想
   「菊の葉より滴る露を飲み長寿を得た」
   という中国の故事に起因します。

 
   当ビル建設に当たり、跡地に旧井戸より発見された
   「菊水」の文字入りの井桁組み石等を利用して建立しました。
   菊水鉾はこの「菊水の井」に因んで名付けられました。

      平成十四年九月     菊水鉾町

                   
                     


菊水鉾の会所が茶席になっていて
菊水の井や古えの茶人とのご縁に心惹かれながら
14時から始まる茶席へ入りました。
菊慈童、菊水鉾などが飾られている場所のすぐ横に
長板総荘りの点前座が設けられていました。

お点前は裏千家流が担当、浴衣姿の男性がすらすらと流れるように
天目茶碗に薄茶を点てられ、先ずは菊慈童へお献茶をしました。
第一席目の正客と次客は祇園祭らしく女将さんと舞妓さんで、
一層祭りの茶席を華やかに盛り立てています。
                      
                   

お菓子は青磁釉の菊皿に盛られた、亀廣永の「したたり」、
薄茶は上林の「菊の露」。
黒糖味の「したたり」は冷やされていて、菊葉の甘露を連想させます。
薄茶もたっぷりと点てられていて、渇いたのどを優しく潤してくれました。

あとでお点前は鈴木宗博先生とお教えいただきました。
まさに上善如水のようなお点前に刺激を頂戴して
しばらくぶりにお点前の稽古をしたくなりました。
明日は嬉しいそのお稽古日です!

                   

粽を購入し、菊水鉾内陣を見学できて満足げな旦那さまと合流し、
15時からの「北観音山」曳き初めに向いました。

                             

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