暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

祇園祭 宵山を楽しむ

2012年07月18日 | 京暮らし 年中行事
祇園祭の楽しみの一つ、宵山へ三日間繰り出しました。

                 

薄暮の頃に訪れると、空の色が刻々と変化して
空の色に合わせるかのように山鉾や街の表情が微妙に変わっていき、
とても好ましい時間に思われました。
7時をまわると、あたりは闇に包まれ、浮かび上がる提灯、
屋台の食べ物の入り混じった匂い、浴衣姿の人たち、下駄の音、
山鉾や街の様子が昼間とは全く違ってきます。
人の流れを追って、あてもないぶらぶら歩きが最高!

                 

新町通や綾小路通には伝来の屏風や工芸品を飾る家が多く、
屏風祭と呼ばれ、宵山の楽しみの一つにしていました。
京都に住む友人TYさんの話では
「昔はもっとたくさんあったのだけれど、屏風を見せてくれる家が
 年々少なくなって寂しい・・・」

                 
                 

今年は特別に新町通の京都生活工藝館無名舎(吉田家)で
「インド更紗交流特別展」が7月1日~17日まで行われていました。
展示されていた南観音山・旧前懸の「障屏山水文様インド更紗」(18世紀前半)は、
狩野派による山水画がインド南東部のコロマンデル海岸へ運ばれ、
そこでローケツ染技法で西欧向けの壁掛けやカーペットとして商品化されたものが
はるばる東印度会社により日本に持ち込まれ、山鉾の懸装品になったのです。

                 
                 南観音山・旧前懸の「障屏山水文様インド更紗」(18世紀前半) 

更紗交流展のためにインドから出品された大更紗は、
南観音山の「障屏山水文様インド更紗」の構成要素をそっくり取り出して
作られていて、二つの更紗が親子関係にあることを示しています。
実に300年の時を隔てて二つの更紗が再会したことを知り、
更紗好きとしてはとても嬉しい特別展でした。
同時に山鉾の懸装品の歴史の深さにびっくりしています。

                 
                                   
                 インドから出品された大更紗(18世紀前半)

宵宵山では綾傘鉾の棒振り囃子に目を見張りました。
「昔は各山鉾で囃子や踊りを披露していたそうですが、今残るのは綾傘鉾だけ・・」
KRさんからお聞きしていたので、興味深く見物しました。
棒振り囃子は疫神や災いを追い払うために始まったそうですが、
汗を飛ばしての熱演は迫力満点、相撲の弓取り式やブータンのツェチュ祭の踊りを
連想したりしました。
小太鼓、笛、鉦のお囃子も間近でゆっくり拝聴できて、佳い思い出になりました。

                 
                 

もう一つ、7月16日に訪れた太子山・宵山コンサートが心に残っています。
今年で四回目だそうですが、会所近くのデイサービスセンターで行われました。
呼び込みの人から誘われ、飛び込みです。

                 

「太子山の町内に住む音楽家の協力でコンサートをしますので是非!
 昨年は野外だったのですが、弦楽器が暑さと湿気で微妙に変化して
 好い音が出ないそうなので、今年は会場を屋内へ移しました。
 ステキな演奏でお勧めですよ」

小学四年生の「ガボット」のバイオリン演奏から始まって
モーツアルトの弦楽四重奏曲から二曲が演奏されました。
音楽はよくわからないのですが、心に素直に入ってくる、
素晴らしい演奏に聞き惚れました。

                 
                 

最前列に浴衣姿の幼児や小学生が座っていたのですが、
最後まで一心に聴き通して、その姿にも主人と感心しました。
きっと素晴らしいご家庭で、良いしつけを受けているのでしょう。
来年も太子山・宵山コンサートへいきたいなぁ~。
                                   

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