暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

いちねん会  五事式の茶事 (1)

2012年02月14日 | 七事式&いちねん会
               

いちねん会の〆は五事式の茶事でした。

ご亭主Aさんからお招きの手紙が届きました。
    楽しく充実した「いちねん会」もこのたび最終回を
    迎えることになりました
    これまで沢山の学びを頂き 感謝いっぱいでございます
    つきましては拙くお見苦しいとは存じますが
    五事式にて御茶一服差し上げたく謹んでご案内申し上げます

大好きな五事式の茶事で、いちねん会を卒業できますのも
素敵な茶友とご縁があってこそ・・・と感謝し、卒業式を待ちかねていました。
思えば、2011年4月の第一回より毎回、七事式を学びあうことが愉しく、
刺激をたくさんいただき、終わると次が待ち遠しいいちねん会でした。

               

2月12日、茶席(汲古庵)へ伺うと、入口や茶庭に水が撒かれ、
関守石がいつもと違う順路で待合へ案内してくれました。
待合に色紙が掛けられています。

    鶯の 初音ききたし 空の晴     冨子

ご亭主が入門時代に手ほどきを受けられた三田冨子先生に
書いていただいた思い出の色紙でした。
その日は風が刺すように冷たい日でしたが、真っ青な快晴でした。
立春も過ぎ、鶯の初音が待ち遠しい思いが伝わる句です。

詰のSさんが板木を三つ打つと、まもなく白湯が出され、
外の腰掛待合へ・・・とご案内がありました。

腰掛のある茶庭は冬と春のせめぎ合いです。
霜柱で盛り上がった土の中から芽が顔をのぞかせていて
春が間近いことを知らせてくれています。
ご亭主の迎え付けを受け、釣瓶に用意された湯をつかい、蹲で身を清め、
正客Iさん、次客暁庵、詰Sさんの順で、八畳の広間へ席入しました。

床の軸は足立泰道老師の筆で「紅爐一點雪」。
紅爐と、降りそそぐ一點の雪が美しく、潔く、心を揺さぶります。
様々な思いを胸に挨拶が交わされ、廻り炭が始まりました。

               

1月のいちねん会で廻り炭をしたばかりなので、炭持つ手は美しく滞りなく、
炭置く形も工夫して、半東Kさんも加わり、全員で楽しみました。
一巡し、「炭にてお釜を」と正客より声が掛かり、みんな固唾を呑む思いで
埋み火を掘り出すご亭主の手元を見つめました。

割ってみると埋み火は黒く(残念!)、巴半田が持ち出され、下火を入れました。
湿し灰がサラサラと音をたてて撒かれ、炭が置かれました。
濡れ茶巾で清められた釜が掛けられました。

香合は、ほんのりとした温かさを感じる志野平丸で、早蕨が描かれていました。
お香は松栄堂の彩雲です。

香合が下げられ、懐石となりました。
懐石は京遊庵へ頼みました。
早春の香と味覚を満喫しながら みんなで舌鼓をうちました。

                         
                           (懐石の献立です)

          いちねん会 五事式の茶事 (2)へつづく