茶友のKさんから正午の茶事のお招きがありました。
「藤の咲く頃に我が家で初めての茶事を・・・」
と伺っていましたが、
案内の手紙を頂戴したのは大震災の直後、
茶事の中止や延期をお願いしまくっていた最中のことでした。
Kさんの並々ならぬ決意が伝わってきて、
ご亭主の気持ちに応えられるよう、準備して臨みたい・・と思いました。
先ずは衣を調えることで、お祝いの気持ちを表わそうと思いました。
迷いながら、三つ紋のある色留袖に決めました。
亡き母から譲られた、想い出多い藤色の着物です。
しばらく袖を通さないうちに、だいぶ派手になってしまいましたが、
鶴の刺繍に諸々の喜びを込めました。
当日(4月29日)、関守り石と手掛りに導かれ、待合へ入ると
青楓と「添翠色」の画賛がさわやかな季節の風を運んでいます。
火入の灰が美しく調えられています。
見慣れた部屋なのに全てが新鮮で、ご亭主のセンスが溢れていました。
藤棚の下の腰掛で迎え付けを待ちました。
藤の花は遠慮がちで、三分咲きでしょうか?
蹲をつかう水音が聞こえ、いよいよ迎え付けです。
枝折り戸前へ客三人が並び、無言の挨拶を交わしましたが、
「以心伝心」
ご亭主の緊張感や喜びが素直に伝わってきます。
私も感無量でした・・・。
蹲をつかって身心を清め、新しく扁額が掛けられた茶室へ入りました。
床には建長寺管長筆の「喫茶去」。
「どうぞお入りを・・・」
その後の挨拶はよく覚えていないのですが、
今日の日を無事迎えられたことが只々嬉しく、
どちらが正客なのか亭主なのかわからないほど、
二人の気持ちがぴったりと噛み合っていたように思います。
初炭では、躍動的な藤花文のある透木釜も素敵でしたが、
流れるような炭手前が何よりのごちそうでした。
炉縁は、小間では木地、広間は塗りが約束ですが、
中間の四畳半なので拭き漆の炉縁にしたそうです。
赤味を帯びた拭き漆がとても明るく、粋な感じでした。
香合は染付の花笠、香は松栄堂の瑞雲です。
鉾のような花笠香合の形が珍しく、もうじき始まる葵祭りを連想しました。
(正午の茶事 藤の咲く頃に(2)へつづく)
写真の「藤の花」は、季節の花300の提供です。
「藤の咲く頃に我が家で初めての茶事を・・・」
と伺っていましたが、
案内の手紙を頂戴したのは大震災の直後、
茶事の中止や延期をお願いしまくっていた最中のことでした。
Kさんの並々ならぬ決意が伝わってきて、
ご亭主の気持ちに応えられるよう、準備して臨みたい・・と思いました。
先ずは衣を調えることで、お祝いの気持ちを表わそうと思いました。
迷いながら、三つ紋のある色留袖に決めました。
亡き母から譲られた、想い出多い藤色の着物です。
しばらく袖を通さないうちに、だいぶ派手になってしまいましたが、
鶴の刺繍に諸々の喜びを込めました。
当日(4月29日)、関守り石と手掛りに導かれ、待合へ入ると
青楓と「添翠色」の画賛がさわやかな季節の風を運んでいます。
火入の灰が美しく調えられています。
見慣れた部屋なのに全てが新鮮で、ご亭主のセンスが溢れていました。
藤棚の下の腰掛で迎え付けを待ちました。
藤の花は遠慮がちで、三分咲きでしょうか?
蹲をつかう水音が聞こえ、いよいよ迎え付けです。
枝折り戸前へ客三人が並び、無言の挨拶を交わしましたが、
「以心伝心」
ご亭主の緊張感や喜びが素直に伝わってきます。
私も感無量でした・・・。
蹲をつかって身心を清め、新しく扁額が掛けられた茶室へ入りました。
床には建長寺管長筆の「喫茶去」。
「どうぞお入りを・・・」
その後の挨拶はよく覚えていないのですが、
今日の日を無事迎えられたことが只々嬉しく、
どちらが正客なのか亭主なのかわからないほど、
二人の気持ちがぴったりと噛み合っていたように思います。
初炭では、躍動的な藤花文のある透木釜も素敵でしたが、
流れるような炭手前が何よりのごちそうでした。
炉縁は、小間では木地、広間は塗りが約束ですが、
中間の四畳半なので拭き漆の炉縁にしたそうです。
赤味を帯びた拭き漆がとても明るく、粋な感じでした。
香合は染付の花笠、香は松栄堂の瑞雲です。
鉾のような花笠香合の形が珍しく、もうじき始まる葵祭りを連想しました。
(正午の茶事 藤の咲く頃に(2)へつづく)
写真の「藤の花」は、季節の花300の提供です。