暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

仙桃庵の茶事 (2)

2010年06月25日 | 思い出の茶事
火相湯相が整えられて
松風を聞きながら濃茶点前が始まりました。

釜の蓋をずらして音を聞かせる瞬間も堪能しました。
裏千家流ではなるべく音を立てぬように・・となってますが、
とても斬新な趣向だと思いました。
きっと釜や蓋の材質や形によって音が微妙に違うのでしょうね。

音といえば、中立で後座の案内は喚鐘でした。
久し振りに聴く喚鐘の音色は澄んだ高音で、
ソプラノの独唱を連想しました。
響きがいつまでも耳に残りました。

濃茶は出し袱紗が添えられましたが、粗相があっては・・と思い、
古袱紗を出して一同裏千家流の所作で美味しく頂戴しました。

主茶碗は黒の湖東焼、かわいい耳付の茶入は高取焼、
ペルシャ更紗の仕覆がステキで、つい更紗の話が弾みました。
楽浪古材の茶杓は、小野沢寛海和尚の作で銘「知者楽水」
・・到達できない憧れの境地です。 

表千家流のお点前にも興味津々でした。
きっと御連客様も同じ思いだったことでしょう。

袱紗さばき、濃茶の練り方、釜蓋の音、そして
最初の挨拶の後、すぐに風炉と釜を清める所作にも
興味を持ちました。
「八寸をお客へお見せするのはどのような意味なのでしょうか?」
お尋ねするのをうっかり忘れました。

最後に、茶筅荘ではなかったのですが、
席入から気になっていた水指と、蓋置の拝見をお願いしました。
急な所望に少しも動ぜず、新しい白布にのせて対応してくださり、
ご亭主の修業の深さに触れた思いがしました。

五彩で描かれた色絵が素晴らしい四方水指は林探幽造です。
一閑人蓋置は初代寒雉作、ご主人お気に入りの渋い一品でした。
お道具は一からお二人で集められた由、
時には好みがぴったり一致し、時には口論ありで、
さぞや楽しまれていることでしょう。うらやましい限りです。

ご亭主の想いが届かぬ拙い正客でしたが、皆様のおかげで
良い経験をさせていただきました。
心温まる愉しい一会となり、感謝いたします。

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