暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

茶事のサウンド・スケープ (5)  懐石

2009年10月30日 | 茶事のサウンド・スケープ
懐石は茶事の楽しみの一つです。
亭主は懐石中のいろいろなサウンドに
耳を傾けています。

懐石中に茶道口の襖が三度閉められます。
その間亭主は、中の様子を音で判断して、
運び出す間合いを計ります。
「お箸お取りあげを」で襖を閉めます(一回目)。

最初の一献は、一文字と汁を食べ終わった頃に
お出しするのがベストです。
飯碗と汁碗の蓋を閉める音が聞こえたら、
すぐに持ち出すようにしています。

「水屋にてお相伴させていただきます。
 御用の時はお手をお鳴らしください」
と言って襖を閉めます(二回目)。

相伴の時間は10分から15分位でしょうか。
「和やかに歓談しながら召し上がっていらっしゃるかしら?」
席中の会話や様子を水屋で聞きながら相伴します。
手を鳴らす音がして酒の追加を頼まれることもあります。

器を茶道口へ返す音で襖を開けるタイミングを計りますが、
用事もあり、しばしばこの音を聞き逃します。
その時は時間を見て襖を開けています。

「水屋にて相伴いたしましたが、お口に合いましたか?」
「とても美味しく頂戴しました」(ニッコリです!)

湯斗と香の物が出て、懐石も終わり近くなりました。
「お湯が足りないようでしたら、お手を鳴らしてください」
と、襖を閉めます(三回目)。

そういえば、
「タクアンを音をさせずに食べるように・・」
と、ご指導を受けたことがありました。
皆で高らか?に音をたてて食べながら
「タクアンを音なしなんて無理よねぇ~」

タクアンに隠し包丁を入れて、音なしで食べれるように
工夫されていれば大丈夫です。
隠し包丁なしだったら
「どうぞ音をたててお食べください」ということかしら?

湯漬けを食べ終わった頃を計らい、
亭主は襖の前に座り、音を待ちます。
お客さまは正客に合わせて箸を落します。
箸の音で、一呼吸おいて「サッ」と襖を開けます。

このタイミングが空くと、間が抜けた感じになるので、
懐石中の音のポイントだと思っています。

「お粗末さまでございました」
「ご馳走さまでした!」

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