(春雨が翌日も一日中続きました 4月4日撮影)
4月ですが、大好きな糸目桐文車軸釜(釜師・長野新造)を釣釜に使い、根来塗りの炉縁にしました。
炭斗はミャンマー籠、外側は黒漆、内側が根来のような朱の漆塗りになっています。ミャンマーの仏教寺院を連想させるお気に入りです。
灰器は京都・壬生寺の大念佛と書かれた焙烙、灰匙は仙叟好み大判、羽根はフクロウです。
香合は蛤香合、蛤を黒漆で塗り、桜の一枝が金の漆絵で描かれています。
お茶を始めた頃にH先生から頂いた社中先輩の手づくりで、私にとって「緊張感を慈しみながらお茶を続けたい・・・」という原体験を思い出させる香合でもあります。
岐阜県根尾谷の「薄墨桜」をイメージして「墨染」と名づけて愛用しています。
香は松栄堂の坐忘斎家元お好みの「松濤」です。
思い出深い香合「墨染」
初炭が終え、EKさまがブログ400万頁をお祝いして謡曲「鞍馬天狗」の一節を謡ってくださるというので、スタッフの方も一緒に茶席へ入らせて頂きました。
「鞍馬天狗」は、鞍馬寺の稚児(牛若丸)に平家打倒の兵法を授ける大天狗のお話です。
「・・・花に三春の約あり 人にひと夜を馴れ初めて 後いかならんうちつけに・・・」
「さんしゅん(三春)の約」とは、春が来て、花が咲くという自然の摂理を表していて「薔薇の詩」に相通じています。
鞍馬山の花見を臨場感たっぷりに朗々と謡いあげてくださり、長年にわたり鍛えられたお謡はさすがでございました。鞍馬山だけでなく京都の桜を懐かしく思い出しながら聞き入りました。
何よりの思い出になりました・・・ありがとうございます
待合の椅子席へ動座し、昼食の松花堂弁当を召し上がって頂きました。お祝いなので赤飯付き、吸物だけでは・・・と思い、味噌汁をお出ししました。お酒は「越の寒梅」です。
給仕と接待は社中のY氏にお願いしました。
「観自在菩薩・・・」
掛け仏様が見守り、灯火が暗闇を照らす中、精神を集中して濃茶点前をしました。
帛紗を四方に捌き、茶入と共に心を清めて点前に没頭していく瞬間・・・いえ、もっと前から襖の前で茶碗を置いて席が静まるのを待っているあの時から・・・大好きな緊張感に満ちた濃茶点前が始まっていました。よろめきながらのお目だるい点前ですが、どうぞお許しください・・・。
濃茶を茶碗に掬うと、たちまち薫りが茶室に漂い、心を込めて練りました。
各服点なので三客様まで暁庵が練り、四客様から水屋にて練った濃茶をお持ち出ししました。
濃茶は「延年の昔」(星野園)です。
前席の主菓子は「さくら前線」(金団)、いつも生菓子をお願いしている石井菓子舗(旭区都岡)に特注しました。桜の満開情報は関東地方北部へさしかかっていました。
主茶碗は御本三島、銘「伊備津比売」、次客様のお茶碗は一入作、銘「不老門」です。
御本三島、銘「伊備津比売」
各服点なので一つ一つお客さまに合わせて茶碗を選び、それぞれの茶碗に因む「茶道具怖い?」のエピソードをお話しさせて頂き、楽しかったです。
茶入は唐津焼・井上東也作の朝鮮唐津の胴締め、仕覆は小真田吉野間道です。ブログでお馴染みの「迷っていたらツレが購入を勧めてくれた・・」というエピソードをご披露しました。
茶杓は、聚光院の先の住職であった隋応戒仙(雪山)和尚の銘「雲錦」です。戒仙和尚の奥様は「薔薇の詩」を書いた北原白秋の二番目の妻の江口章子(歌人)でした。そんなことにご縁を感じて選んだ茶杓です。(つづく)
「さくらの茶事」・・・(3)へつづく (4)へつづく (1)へ戻る