(後座の床と点前座)
・・・濃茶が終わりました。既に膝と腰が限界なので、後炭は半東M氏に、薄茶はAYさんにお願いしました。そして茶室を少し明るくしてから末席に入ると、お客さまが温かく迎えてくださいました。
後炭になり釣釜を上げると、細目の炭を選んだせいでしょうか、胴炭までよく火が回っています。
M氏は手早く炉中の炭を直し、灰器の焙烙から匙香が焚かれ、湿し灰がサラサラと撒かれました。初掃きで炉辺に寄り、輪胴から炭が初炭と逆回りに継がれていく様子を皆で見守ります。
残り火の風情やM氏の手前所作を味わいながら・・・このままいつまでも皆で見ていたいと思いました。
薬缶が運ばれ、釜が濡れ茶巾で浄められると、湯気がほのぼのと上がり、お客さまからため息が聞こえます。車軸釜の美しい糸目や胴に鋳込まれている文様が濡れて浮き上がり、釜が喜んでいるようで暁庵も嬉しかったです。
(後炭の稽古中です・・・半東M氏)
薄茶になり、煙草盆と干菓子が運ばれました。
干菓子はお点前のAYさんに選んでもらったもので、橘餅(きっぱん、沖縄・謝花きっぱん店)と源氏香(会津葵製)です。
橘餅は初めてで、柑橘類の砂糖漬けのようなお菓子の味が珍しく、とても美味しかったです。
源氏香(落雁)は52種類の中から季節によって変わるそうで、今回は「花宴(はなのえん)」と「若紫」でした。
薄茶はAYさんが三服までお点てし、四客さまからは水屋でお点てして運び出しました。薄茶は「舞の白」(星野園)です。
(薄茶の稽古中です・・・AYさん)
各服点なので6個のお茶碗が並びましたが、ブログに登場したものあり、お客さまを思いながら選んだものありで、茶碗の話に花が咲いて嬉しかったです。
ブログを始めた頃に入手した祥瑞の茶碗、昨年5月の「薔薇の茶会」で使った茶碗(薔薇とすみれ)、歌舞伎に縁のある茶碗(「うずまき」)、京都御所の桜の茶碗、そして「茜雲」の茶碗でした。
薄器は花兎大棗、輪島塗の村田宗覚作、茶杓は高桐院の松長剛山和尚の銘「花の宿」です。
(祥瑞と薔薇の絵の茶碗)
花兎大棗と茶杓「花の宿」
最後になりましたが、花のことを書いておきます。
先日生けた土佐ミズキの黄色い花が終わり、新芽が出始めました。黄色の花房も見事でしたが、若緑の新芽の美しさも捨てがたく、枝を少し整理しピンクと白の椿を入れて「さくらの茶事」で使うことにしました。
蕾が朝に開いてしまいましたが・・、花入は京都・嵯峨野の竹寸切です。
(さくらの花びらを散華しました)
拝見に出した棗と茶杓を水屋へ引いてから
「散華をさせていただきます」
AYさんが桜の花びらを懸け仏さまに感謝を込めて散華しました。
散華の後だったので皆さまがまだ興奮冷めやらぬ中、スタッフも全員同席して、お一人お一人とご挨拶を交わしました。
「本日は本当にありがとうございました・・・(感無量です)」
・・こうしてブログ400万頁記念「さくらの茶事」が無事に終了しました。
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