暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「野月の名残りの茶事」・・(2)晩秋の野の花をいける

2023年11月15日 | 「立礼の茶事」(2023年~自会記録)

  (次客オーネルさまが烏瓜と百日草を舟(韓国の杼)に生けました)

 

つづき)

懐石が終わり初炭になりました。

炭斗は6年前の南仏プロヴァンスとスウェーデンの旅の途中、ストックホルムで購入した樺細工の籠です。オーネルさまゆかりの炭斗が久しぶりの登場です。

     (天明写し責紐釜)

釜は天明写しの責紐釜(せめひもがま)です。

戦国時代、茶の湯の場でも毒殺などの恐れがあり、釜の蓋を封印した責紐釜が使用されたとか。口の近くに鐶付がつけられているのが特徴です。責紐はこよりを使うそうですが、今回は紅と銀の水引2本を使い、釜を勝手口へ引いてから責紐を解きました。

いつ、どのように責紐を解くかはその時々の趣向で変わります。亭主はあれこれ考えるのが楽しい責紐釜ですが、お客さまはお楽しみいただけたかしら?

香合は、南仏プロヴァンスとスウェーデンの旅の途中、エクス・アン・プロヴァンスで購入した「独楽香合」です。

印度やネパールなど東洋の産物を売る店「ヒマラヤ」で見つけ、気に入って購入した旅の記念品です。ブータンへ旅行した時、このような塗りものがないかと捜しましたが、南仏でイメージ通リのものに出逢ったのも不思議です。

香は付干(つけぼし、自製)、しばらくすると柔らかく上品な薫りが茶席を満たしていきました。

初炭が終わり待合へ動座して頂き、主菓子・雪平(せっぺい)をお出しし、中立になりました。菓子銘は「龍田姫」、石井菓子舗製(横浜市旭区都岡)です。

(主菓子は銘「龍田姫」・・白い衣を纏った秋の女神のよう)

後座は花寄、前日に採取した晩秋の野の花を思い思いに生けて頂きました。

 (1時間ほど歩くと、晩秋を彩る野の花で手提げがいっぱいになりました)

正客KTさまは有馬篭に薄、力芝、シュウメイ菊、ホトトギス、

詰AYさまは古瓦(写し)に薄、アベリア、野紺菊、野葡萄、葛の花、

三客EKさまはガラス花入(スウェーデン・コスタボダ製)へ薄、背高泡立ち草、杜鵑、秋桜(コスモス)、

最後に亭主に代わり半東Y氏が掛け花入(志戸呂焼)へ力芝、エノコロ草、シュウメイ菊、野紺菊、野葡萄をいけました。

本当は秋の野へ出かけて、皆で野の花をいっぱい摘んで、もっとたくさんの花入から選んでもらって花寄を楽しんでいただけたら・・・そんなことを想像しながら、床の花たちに秋の野の風情を託しました。  

 

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