(後座の花・・・夏椿と雪柳)
湯相も火相もよろしいようで、後炭を省略し薄茶にしました。
薄茶のお点前は半東AYさんにお願いし、暁庵は半東です。
薄茶の頃には激しい雨も治まったので雨戸を開け、燭台を水屋へ引きました。すると、蝋燭の元では一眠りしていた床の花が気のせいか生気を取り戻したように思えました。
床の花は夏椿(沙羅の木)と雪柳、花入は火吹き竹です。
花はいつも直前まで迷いますし、探すのに苦労しますが、おもてなしの心意気と思って頑張っています。
夏椿を生けたかったのですが今年は咲くのが遅くハラハラしました。当日の朝になってツレが某所から数枝を採取してきてくれました(いつも助けられて・・・)。
もう1つ、コヒルガオ(雨降りアサガオ)と土佐ミズキを用意していたのですが、後座の最初が暗中なので白い夏椿にしました。
(干菓子は琥珀糖とおちょぼ)
AYさんが煙草盆と干菓子を運び出し、薄茶点前が始まりました。半東・暁庵はすぐに茶室に入らず、AYさんの薄茶点前をじっくりお客さまに拝見してもらうようにしています。
AYさんは薄茶点前はもちろんですが、美味しい薄茶を点てて飲んでいただきたいと、職場に茶道具を持ち込み、朝夕薄茶を点てて濃さや量、温度を考えながら修練してくださったようです・・・。
お客さまから「とっても美味しいです。点てるのがお上手ですね」というお声が掛かり、私まで嬉しくなりました。薄茶は「金輪」(丸久小山園)です。干菓子は琥珀糖(桔梗屋)とおちょぼ(万年堂)をお出ししました。
薄茶では西行法師の和歌を念頭に茶碗4碗で、雨のいろいろな模様や景色を表わしてみました。
よられつる 野もせの草のかげろひて
涼しくくもる 夕立の空 西行
主茶碗は義山、「白雨」と名付けました。
京焼の次茶碗は「軒の玉水」(仁清写し水玉文、桐鳳作)、三碗目は「うずまき」(神奈川焼三代井上良斎作)、四碗目は「雨過天晴」(琴浦窯、和田桐山作)です。
京都・灑雪庵以来のお付き合いなので、お話が弾み、いつまでも色々な事をお話していたい・・・そんな愉しい薄茶席でした。
「うずまき」の茶碗(神奈川焼三代 井上良斎作)
「雨過天晴」の茶碗(和田桐山作)
棗と茶杓を拝見して頂き、半東AYさんがお話しました。
近隣の公園や水場でちょうど蛍が飛び交う時期なので、早苗蛍蒔絵の大棗を使いました。
茶杓は銘「嘉祥」(紫野 藤井誠堂師作)です。茶事当日の6月16日は菓子の日で、「嘉祥の日」と名付けらえています。
(蛍が飛び交う早苗蛍蒔絵の棗と茶杓「嘉祥」です)
こうして「聴雨の茶事」が楽しい中に終了しましたが、遠来のお客さまをいつまでもお引き止めしたい気持ちでいっぱいでした・・・。
再会を心に期してお見送りしました。「また、元気でお会いしましょう!」
茶事後にAAさまから後礼のお手紙と共に素敵な和歌が届きましたので「聴雨の茶事」の記念に記します。
夏椿 細き竹筒さわやかに
晴れわたる日に 雨音を聴く