暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

上田宗箇流(和風堂)の初釜-2

2013年01月22日 | 献茶式&茶会  京都編
「建渓」(鎖の間)へ入ると、一瞬、懐かしさを覚えました。
昨年1月の「上田宗箇 武将茶人の世界展」の会場に復元され、
興味を掻き立てられた「鎖の間」が再び目の前に現れたのです。

                                         
                     「建渓」(鎖の間)

あの時のように釣り釜が掛けられていました。
釜は四方筒形、すっきりした形が好ましく、西村九兵衛造です。
鐶、弦、鎖がいずれも繊細で美しく、
釣り釜とともに鎖の間の空間を見事に演出しています。

細鐶は上田家伝来で、桃山から江戸初期に作られたもの、
銀象嵌の弦は大西浄久造、、
象嵌石帯の鎖は江戸時代(十七世紀)のものとか・・・。
上段の間の書院棚に飾られた文具類(唐物)もステキでした。

次の間の床には双幅の鶴の絵が掛けられ、
ダイナミックに葉をくねらせた万年青(おもと)が生けられていました。
お目出度い席に万年青を生けることはよくあるそうですが、
初めて拝見しました。

              
             (万年青・・・帰りに広島駅コーナーで)

白木の袋棚(志野棚とも)に銅蟲(どうちゅう)の水指が置かれ、
同じく銅蟲の菓子器に入った干菓子を頂戴しました。

薄茶は大福茶です。
興味津々、拝見すると、
白木の台(三宝?)の上に皿と箸が置かれ、
皿には梅干(小梅)、黒豆、山椒の粉が乗っています。
薄茶を点てたのち、梅干、山椒の粉をつけた黒豆が入れられました。

梅干は「しわしわになるまで」から「長寿」
黒豆は「まめまめしく」から「勤勉」、
山椒の粉は「苦味健胃薬で身体によい」ことから「健康」、
この三つを祈念した大福茶とのことでした。
たっぷり頂戴しましたので、今年は佳いことがありそうな・・・。

             
             (目出度い! めでたい!)

大福茶の後は長い廊橋を渡って、御社としだれ桜に面した座敷で
祝膳と一献を頂戴しました。
春日大社のかわいい鹿のおみくじ、恒例の福引など、楽しい行事が満載で、
おみくじは「小吉」、福引は「はずれ」でしたが、愉しゅうございました。

Sさま、いろいろお世話になり、ありがとうございました!
大福茶は我が家・灑雪庵でも応用してみたい・・・と思っています。

    初春を寿ぐ席の大福茶
       小梅 黒豆 サンショウの粉     暁庵

                                

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