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暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

奈良西大寺の大茶盛-2

2012年10月18日 | 献茶式&茶会  京都編
大茶盛が終わると、副席の薄茶席へ回りました。
一席目が終わったところで、待たずに入ることができました。
50名近い大寄せですが、中置(小板)の点前座がよく見える処に
座れてラッキーです。

袴姿の男性がお点前を始めました。
すぐに席主が茶道口に座り、一礼をしました。すかさずお正客より
「どうぞ、お入りを」
「失礼いたします」

私は目を見張りました。
茶事では当たり前の挨拶も、大寄せの茶会では正客と席主の間で
このようにきちんとした挨拶で始まる茶会は少ないからです。
「なんてステキなのでしょう!・・・私も茶会でかくありたいもの」
と密かに思いました。

TYさんのお話では、席主は九十歳になるそうですが、
茄子紺地に鹿と紅葉の刺繍のある御召し物が凛とした気合いを感じさせ、
張りのある大きな声で、丁寧に話される姿に深く感じるものがありました。
でも、心配なのでしょうね。
お孫さんとお弟子さんが影のように寄り添っているのが、
好ましく印象に残りました。

              

席主に見とれて、お道具を見落としましたが、一部留めておきます。

待合の掛物は、円能斎筆「一本菊の画」、
本席は、後嵯峨天皇第一皇子・中務卿の秋の歌仙切
   「松かぜのふくにつけても とはぬかな・・・・」
香合は、中務卿が琵琶の名手だったこともあってか、琵琶香合でした。

主茶碗は、赤楽 銘「大茶盛」(鵬雲斎箱書) 六代吉向造
薄器は、菊桐大吹雪(一燈在判、淡々斎箱書) 三代宗哲造
茶杓は、井口海仙自作 銘「紅葉狩」です。

               

点心のおそばを頂いてから本堂を拝観しました。

本堂に入ると、そこは別世界でした。
暗闇の中に灯篭の明かりが美しく照らし出され、
祈りの場にふさわしい荘厳な空間でした。

お詣りした本尊釈迦如来(重要文化財)は京都嵯峨・清凉寺様式で、
流れる衣紋や杢目が美しく、清らかなお姿です。
獅子に乗った文殊菩薩(重要文化財)も見ごたえがありました。

最後に四王堂へ行き、護摩祈願をお願いしました。
正面に十一面観世音菩薩、右手に地蔵菩薩のような錫杖を持っています。
両横には四天王(持国天・増長天・広目天・多聞天)が祀られ、
護摩壇では護摩木が焚かれ祈祷が行われていました。

正面の二本の柱に次のように書かれています。
  向かって右  観音妙智力能救世間苦
  向かって左  慈眼視衆生福聚海無量

私も心に浮かんだ願いと茶名を護摩木へ書き、ひたすら祈りました。
今日の席主のように、くじけずお茶を全うできますように・・・

                              

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