暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

正午の茶事 舞秋風 (2)

2010年11月22日 | 茶事
11月14日(日)は小春日和で暖かでした。
朝、長屋門に着くと囲炉裏には赤々と炭が熾っていました。

この火で炉の下火や火入の炭も熾します。
早速、手分けして水屋の準備をしながら、火入の灰を温めました。
長い間使われていなかったので炉へも火を入れて炉灰をあたためます。
古い大きな鉄瓶に湧水(弘法の清水)を入れ自在へ掛けました。

待合の囲炉裏ばたに11時の集合ですが、
10時半にお客さまを迎えられるよう準備を急ぎました。
火入の灰を整え、鉄瓶の湯が沸いた頃に
最初のお客さまがいらっしゃいました。
半東のHさんがにこやかにご案内している様子です。

お客さま全員がお集まりになり、
半東が鉄瓶から白湯を汲んで差し上げました。
水屋ではYさんが炉へ下火を入れ、濡れ釜の準備です。

               

                              

私はといえば初炭の用意をしてから、ご挨拶の言葉を考えていました。
この1年間に起こったこと・・・
有楽茶会、準教授を引次して頂いたこと、夏期講習会への日々など
いろいろな思いが去来して、水屋でつい涙ぐんでいました。

Iさまの打つ、板木の音が高らかに響きました
今日のために整えてくださった蹲を使って、迎え付けです。
席入の後、お客さまお一人ずつと茶縁を感謝しながら
挨拶を交わしました。

・・・ですが、先生とお客さまをお迎えする緊張感と、
皆様を無事にお迎えできた喜びが交錯して
何を申し上げたか、ほとんど覚えておりません・・・。

待合の掛物は「紅葉舞秋風」です。
矢野一甫和尚の画賛で、先生から頂戴したお軸を掛けさせて頂きました。
汲出しは江戸時代の古伊万里の染付、長屋門の常什です。
床には、前回と同じ「四国八十八ヶ所巡拝御宝印譜」のお軸を掛けました。
荒壁の床にぴたりと決まり、いつも弘法大師さまに
背中を押して頂くような気がする、力強いお軸です。

               
               

初炭点前で炭を置きました。
釜は和田美之助造の真形 霰唐松です。
炉縁は、長屋門の琉球畳の広間にぴったりと思い、黒柿です。
「さらさらと見事な湿し灰でございますね。
 ご丹精のほどがしのばれます。
 今年の夏につくられましたか?」

「今年の夏は夏期講習会のために体力温存してまして、
 10月になってから作ったものでございます(汗)」

香合は小振りの赤絵宝珠、京焼の岡本為治の作で、
先生の茶友のSさまと一緒に探し求めたものです
香は鳩居堂の黒方(くろぼう)、次客のSさまに頂戴したものでした。

初炭が終り、粗飯(懐石)を差し上げました。

                       
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