7:31
あづまの朝食は7時から。高崎さんは徳増まで45km歩くので6時に出ていく。枯雑草さんも朝食なしで6時半に出ていく、ぼくは今日は乗り物の日なので、初めてあづまの朝食をいただく。朝食もたっぷり、昼食抜きでも大丈夫なくらいだった。おまけにゆで卵2個とペットボトルのお茶をいただいた。これでお昼はコンビニに寄らなくてもいい。
あづまの朝はまた雨、これで4回の内3回が雨だ。あづまに泊まらなかった4回の内この近くを歩いた時2回も雨だった。8回の内5回が雨だからものすごい確率。7時30分に宿を発つ、女将さんがまた丁寧に見送ってくれる。こんな送り方をされたらまた帰ってこなくてはならない。国道を離れて初めて昔の道を歩く。700mほど遠回りになるから今までは歩けなかった。いつもは高崎さんと同じで45km歩く日だから少しでも遠回りは避けたかった。
7:35
右へ折れるポイント、初めての道だから心配だったけれど、カーブミラーの下にちゃんと矢印があった。
7:42
国道にあるローソンの裏を過ぎると道は登りになる。左の方へ緩やかに曲がると大坂峠の山道の入り口があった。こちらの道を選んだからには山道を行くべきだけれど雨が降って足元が心許ないのでそのまま自動車道を行くことにした。
7:53
国道55号が見えてきた。
7:54
国道に合流する、右手を見ると八坂トンネルの出口だった。
8:24
宿から54分02秒で別格4番鯖大師に到着した。国道を行くより10分ほど多くかかった。
8:37
鯖大師から200m先に鯖瀬駅がある。今回はここから室戸岬まで電車とバスで行く。海部行きの電車は8時59分に来る。電車を待っている間にベテランのお遍路さんがやってきた。雨がひどくて海部まで電車に乗ることにしたという。ここから海部までは8km。それだけ電車で稼げば甲浦あたりまで楽々歩けるだろう。ぼくが別格の区切りをしていると言ったら、彼も108ヶ所を巡ったことがあるという。ぼくがまだ歩いていない、そしてちょっと心配な山道、13番仙龍寺、や18番海岸寺への道のことを尋ねたら丁寧に教えてくれた。
9:34
雨が降っているのでいい写真が撮れない。これは甲浦駅を下りてきたところにある観光案内所兼バス待合所の中。待合所の中にはツバメの巣があってツバメが数羽飛んでいる。案内所の人は糞に気をつけてくださいと言っている。海部駅でJRから阿佐海岸鉄道に乗り換える。乗り換え時間は2分しかなかったので少し焦る。甲浦に着いたのは9時22分、室戸岬行きのバスは9時59分に出る。
10:51
バスが甲浦駅前を出て数分で国道55号に入っていく。国道は遍路道だから歩いている人を見つけることができるだろうと車窓に注目していたら、合流してすぐ高崎さんが歩いているのが見えた。牟岐からここまで23kmだから順調に進んでいる。ぼくが3年前ここを通過したのも全く同じ時間だった。室戸岬まで逆打ちの人を含めて10人くらいのお遍路さんを見つけることができた。自分がバスで通過してしまうのが残念だとか申し訳ないとかせつないとかいう感情はなかった。ただ、土佐の道は自分にとって歩く道だということ、歩かなければお遍路ではないということは確認した。ほぼ定刻に室戸岬のバス停に到着した。バス停は中岡慎太郎の銅像のすぐ手前にあった。
11:08
室戸岬についても雨が上がることはなかった。傘をさして最御崎寺の登山道を登る。登山口はバス停から250mほど戻った所にある。登り口から山門まで700m弱だと道しるべに刻まれている。登り口からのタイムは過去2回しかとっていない。中岡慎太郎の前にある飛厳荘に泊まったときだけ。そのときと比べて1分早い13分23秒で到着した。山の上はごく薄いもやに覆われてこういう写真になってしまった。
11:30
お参りを済ませ登ってきた登山道を戻ってくる。本当なら反対側の自動車道を下るのだけれど、またバスに乗るので同じ場所に戻ってくる。バスの時間まで20分ほどあったので、バス停の前にある室戸ジオパークインフォメーションセンターで休ませてもらう。
事務員の女性がお茶を入れてくれお菓子も出してくれた。向かいの飛厳荘は廃業されたのですかと訊くと、やはりそのようだった。昨年のお遍路さんの数を訊くと、この前を通るお遍路さんはそんなに減った感じはしなかったけれど、宿の方が言うにはやはり何割かは減ったということだった。ぼくが7回巡ったと言ったらたいそう驚かれて、なぜそんなに繰り返して歩くのですか?という。最初来たときすばらしい宿の人に会って、絶対もう一度会いたいと思ったのが始まりで、そういう宿が来るたびに増えていった、と答える。
12:45
金剛頂寺の行当岬、キラメッセ、吉良川の町、羽根川橋から羽根の町、そして羽根岬と3年ぶりの懐かしい風景が次々過ぎていく。お遍路さんが歩いているのも見かけることができた。やっぱりここは歩かなきゃね。室戸岬から54分、定刻にごめん・なはり線、奈半利駅に到着した。
12:48
ごめん・なはり線(土佐くろしお鉄道阿佐線)がJRに乗り入れていることは今回初めて知った。本日の最終目的地JR須崎までの切符も自動販売機で買うことができる。でも乗り継ぎ切符の買い方が全然判らないので駅員さんに尋ねてやっと買うことができた。
12:50
ぼくが乗る13時05分発の電車は高知駅まで行く。1時間18分の旅、歩けば丸二日かかる距離だ。いつもはその横や下を歩きながら眺めていた電車に初めて乗車する。
14:22
安芸駅から3人のお遍路さんが乗り込んできた。どちらからですかと訊かれて、東京からですと答えていた。神峯寺下の宿に泊まって、山道を往復してここまで来ると大体18km。雨の中をこれだけ歩けばもう充分と思ったかどうか。雨が降っていなくても大日寺の近くまで電車に乗る人は多い。
電車が高知駅に近づいてきた。3年前撮影に失敗した四国電建の社宅を撮影、何とかリベンジを果たす。
15:45
高知駅では乗り換え時間は5分、須崎行きは反対側のホームですでに待っている。土讃線は須崎の一つ手前の大間駅までは9年前に乗ったことがある。帰りは窪川から高知まで乗るから四国の鉄道もだいぶ押さえることができる。
駅から別格5番大善寺までは初めての道を歩くことになる。スマホのマップで丹念に調べたから何の心配もいらない。
16:01
須崎駅から13分51秒で別格5番大善寺に無事到着、一度も迷うことなく須崎の町をもう一つのたたずまいを楽しみながら歩くことができた。ぼくが知っている須崎は遍路道沿いの線の部分でしかなかったから、別の景色は新鮮で味わいがある。
16:09
大善寺の本堂は山の上にある。納経所も本堂の横にあるけれど今回(この時間)は下の寺務所で行うと貼り紙が出ていた。大師堂は下にあるから、こちらとしてはその方がありがたい。大師堂でのお参りが納経の後になってしまうからだ。お大師さんの前は急な階段になっているから横顔しか撮影できない。
16:18
念珠をいただいて大師堂の目の前にある今日の宿柳屋旅館に戻ってきた。江口洋介さんと戸田菜穂さんがここに来たときと同じように灯が点っている。ここに来るのはいつも3時過ぎだった。3年ぶり7回目の投宿になる。中に入っていくと女将さんが「やっぱり原田さんやった~」と手を叩きながら出迎えてくれた。いつもは電話で予約すると名前を言うだけでぼくのことを判ってくれた。2年目の時から毎回そうだった。今回は息子さんが電話に出たので女将さんとしては半信半疑だったというわけ。3年ぶりになるのに名字だけでぼくではないかと見当をつけていてくれた。今までのべ200軒以上の宿に泊まったけれどそういう宿はこの宿だけ。
柳屋旅館の同宿はぼくを入れて3人、二人分の合羽がすでに土間に干してあった。洗濯機も稼働中。ぼくは離れの二間続きの部屋の通された。ぼくのスェット1枚では少し肌寒い感じだったので炬燵はありがたかった。お風呂は二人が入った後だったせいか少しぬるめだったけれど、やはり最高に気分のいい空間だった。一人風呂としては四国の宿の中で一番だと改めて思う。食事は、鰹の刺身はさすが地元だけあって申し分なかったし温かいエビフライも美味かった。ご飯の量もおかずの量も多すぎずちょうどいい満腹具合だった。これだけいい遍路宿に泊まるのだから、やはり本当にもっと味わうためには歩かなきゃだめだと思った。しっかり歩いてこそこれだけのことをしてもらう理由がある。