夕食の時、昨日円明寺で区切りを終えた男性が、電車でここまで来て夕食だけ摂って帰っていきました、女将に挨拶するためです、この宿には何回も来ているみたいでした。自営業の人で年に2回、大型連休とお正月の前後に四国に来る、その人は仕事人間で仕事を辞めた状態でお遍路する気にはなれないかもしれないと言います。仕事の余暇としてリフレッシュのためだから歩ける、1日に多くても4ヶ所しかお参りしない、そういう人からすればぼくのように48km歩いて7ヶ所もお参りするのは本当にバカみたいと思われるかもしれない、今日はまた9ヶ所のお参りが控えている。でも、12巡のベテランさんが言ってましたが、お遍路に対する思いや考え方歩き方は一人一人全く違う、違って当然、そしてそれぞれが尊重されるべきでもある。初めての人はそういうことすらよく分かっていない人が多いはず、だからこそ、迷っている人にはいくらかでも助けになるようなことができればというのが、何回も巡っている自分にできることだし、自分のことだけにならないような歩きを心がけることが今のぼくのお遍路なのかもしれません。
6時25分につよしを出発、46分で54番札所延命寺に到着、宿から46分、時速は6.00kmでした、食事のすぐ後なので昨日以上にゆったりの出だしです。
境内には先に出た同宿の男性、お参りが終える頃には逆打ちの女性がやってきました。
7時25分に延命寺を出発、34分で55番札所南光坊に到着、ベストより1分遅れですが、時速は6.24km、今日は札所の数も多いのでこれくらいのペースがいいでしょう、南光坊の写真は撮り忘れました、ものすごく珍しいことに、ぼくが南光坊の境内にいる間、全くお参りの人の姿はありませんでした、10分ほどの間ですが完全に貸し切り状態というのは外の札所でもあったかどうか思い出せないくらいです、しかも納経が始まって1時間以上経っている時間、
南光坊を8寺11分に出発、
29分で56番札所泰山寺に到着です、泰山寺の写真もありません、ベストより1分遅れ、時速は6.19km、今日も40km以上なのでこのくらいのペースで十分でしょう。泰山寺では歩きの男性が出ていくところ、そのあと軽装の先達さんが入ってきました、おそらく車で巡っている。
8寺54分に泰山寺を出発、29分で57番札所栄福寺に到着、ベストより2分遅れ、時速は6.00km、お参り以外は休憩撮っていなくて2時間半だからそろそろ疲れが出てきたか、栄福寺ではしっかり休憩します。栄福寺の写真もありません。
お参りを終えて休憩所に行くと、隣のベンチにザックが二つ、これは歩きの人に違いないと待ちかまえていると、夫婦連れの人が戻ってきたので話を伺います。今日は当然今治駅の近くの宿からで伊予三芳駅の近くの敷島旅館まで行く、24kmほど、でも平均では20kmくらい、一番長くて24kmだといいます。昨年は「世界ふしぎ発見」の影響で初めてなのに逆打ちをする人が多くて、と話をすると、それに食いついてきて、私たちふしぎ発見のクルーの人たちと一緒に歩いたんです、と言う。テレビでは最後の部分になった焼山寺をほとんど一緒に登ったんだそうです、テレビには敢えて映らなかったけれどほとんどいっしょに登って、楽しくて辛かった印象がほとんどないと奥さんは言います、副島淳君のブログにはその時の写真にご夫婦の姿もありました。そしてそのとき仲よくなったフランス人のご夫婦をお遍路のあと千葉県柏の自宅に招待して1日東京見物に同行したとか、ご主人は少し英語ができるそうです。思わぬ話を聞けてこちらまでうれしくなって、50分近く滞在することになってしまいました。
10時13分、栄福寺を出発、ベストより1分遅れの25分で58番札所仙遊寺に到着、時速は5.28km、山登りの区間ですから。
お参りを終えて山門に向かって下っているときにご夫婦が登ってきました、
ぼくが山門を出たのは11時03分、山門がタイムポイントなので境内に登る時間も下る時間もお参りに含まれる。
12時11分、仙遊寺から59分で59番札所国分寺に到着、ベストより3分遅れの時速は5.86km、
14時47分伊予三芳発の電車に乗るので、この時点で番外の実報寺に行くことは諦めました、もともとぎりぎりの時間設定で栄福寺で休みを取りすぎたので仕方ありません、番外に行くより楽しい話ができたので全然後悔してません。
国分寺の境内に上がっていくと女性の歩きの人が一人、お参りを終えて納経所の前のベンチで休憩、彼女が納経を終えるのを待ってまた話を聞きます。彼女も今日は敷島旅館まで、ここから10kmなのであと2時間半、16時までに楽々です。彼女は順打ちで別格も全部巡る、何か訊きたいことはありませんかというと、別格13番仙龍寺への道がどうしたものかと思っている。先輩のお遍路さんにも訊いたりしているが決めかねている。へんろ地図では標高780mの峠越えの道にしか赤線はないけれど、ぼくはその道より標高480mの堀切峠を通る自動車道を薦めます、三角寺の納経所で山越えの道を尋ねたら、自動車道を薦められたと、ぼやいていた人がいましたが、両方の道を歩いてみると、それは本当の親切の意味でそう言われたのだと思いました、距離では自動車道の方が2kmほど遠回りですが時間では自動車道の方が10分短くてすみました、山道の登りは雰囲気のいいところが多くて味わい深いのですが、下りにはいるとずっと大変で時に足場の悪い危険なところもありました、ぼくは88分かかったのですが、普通の人だと2時間から2時間半はかかるでしょう、堀切峠を行けば1時間40分から2時間の間でしょう。
彼女はその日はお遍路ハウス毛利荘に予約しています、仙龍寺から毛利荘も2時間半近くかかるから、伊予三島からだと堀切峠を行くのが時間的にも余裕を持って歩けると強く勧めました。
1日に30km行ける人であれば、伊予三島の宿から13番、14番をお参りして、民宿岡田まで行けるでしょう。その場合も時間を稼ぐのならやはり堀切峠をおすすめします。その次は箸蔵寺を打ち戻って阿波池田駅の近くの宿、その次は雲辺寺、萩原寺をお参りして大興寺の近くの宿になります。
国分寺でのアドバイスが思いがけず長引いて40分以上も滞在してしまい、電車の時間が心配なくらいになってしまいました。12時53分に出発して、95分で到着しました、時速は6.34km、時間に追われると今日一番のスピードです、電車が来るまで17分、
14時57分に伊予小松駅に到着、まず63番吉祥寺に向かいます。
15時11分、吉祥寺に到着、境内には歩きの人も何人か、
15時21分、吉祥寺を出発、13分、ベストタイで62番札所宝寿寺に到着、今年は宝寿寺の悪い噂をそこここで聞きました、誰もが納得のいく解答が見あたらないのがもどかしいところです。宝寿寺の本堂をつくづく見てあの噂は本当だったのだと確信を持ちました。
15時47分、宝寿寺を出発、13分、ベストより30秒遅れで61番札所香園寺に到着、山門の手前で外国人の夫婦とすれ違います、小松で同宿でした。
お参りを終えて宿に向かおうとしたら、ありました。困惑の代理62番、
さらに工事は続けられていて、よりお参りのしやすい施設に変貌しようとしています、ぼくは納経帳を持たずに歩いているのでどちらでもいいのですが、持ってたら正直迷うと思います、こちらにも今のところ御本尊はいませんが、62番にも御本尊はいらっしゃいませんから、なかなか勝負のつけようがないという感じです。だまされてお金を取られるよりは、こちらでは騙されてはいないからこちらの方が気持がよいとも考えられます。ぼくは納経はしないからこれからも一応62番でお参りはします。
香園寺を16時11分に出て、12分で前の小松に到着、ベストタイでした。玄関に新しい宿の地図が張り出してあります、お肉屋さんのそばです。
お肉屋さんの横に新しい看板があります。
お肉屋さんの真裏に見るからに新しい建物がありました。こんなことになっているとは夢にも思わなかった。設備はもちろん全部ぴかぴかで使い易くて言うことないのですが、一番良いと思ったのは全てがワンフロアだということです。移動が楽、洗濯、風呂、洗面、トイレ、食堂、全ての部屋、これら全てがワンフロア、よくよく考えてみたら、ぼくが四国で泊まった190軒の中で全てがワンフロアでおさまっている宿というのはここと八栗の岡田屋さんくらいしか思い出せません、部屋は11室、それでも連休中はとれなくて鈴に泊まったという人も二人居ました。玄関入ったところのロビーが広くてこれまた気持ちいい、そのテーブルにはお接待のキャンディが山盛り、ぼくは飴ちゃん大好き、テンション上がる。前と違ってお風呂は二つでフル稼働、洗濯乾燥は3組、洗濯は無料です。その分料金は6700円と少し上がりましたが、何の文句もありません。7000円でもいいくらいです。本当に120点の遍路宿に仕上がってしまいました。
夕食はいつも通り、多いように思われがちだけど、ほとんど野菜の体積なので実質さほど腹にこたえる内容ではありません、煮魚があるといつもきつくなってしまいますが、本当に気持ちよくご飯も3杯いただけます。
同宿は香園寺の近くで会ったベルギーのご夫婦、フランスのご夫婦、栄福寺で会ったY夫妻もぼくの少し後でやってきました。敷島旅館だと言っていたのにどうしたんですかと訊けば、ご主人が足を少し痛められて、何とか国分寺まではたどり着いたけれど、これは駄目だということで急遽こちらの宿に変更してタクシーと電車で飛んできた、もう一組日本人の夫婦と男性が二人女性が一人、ぼくを入れて8組12人です。ぼくの隣は2泊目ですき焼きの男性、いろいろ話を聞いていると、埼玉で靴を作っている会社の社長さんだと分かってきます、何年か前にネットで見たことがあります、社員を50万円持たせてお遍路の研修に出すことが話題になっていました、お遍路に本当に適したシューズを作り上げたことでも有名でした、ベテランお遍路の中では結構有名な方で、枯雑草さんが社長のシューズが足に合わなくてブログでけなしたら、それはしてはいかんことだろうと直接文句を言われたそうです、めぐめぐさんとも知り合い。NHKの趣味悠々のテキストにも採り上げてもらったんだというので、帰ったら確認しますと歓声を上げる、食事が一段落してY夫妻に社長を紹介、4人で歓談します、しばらくすると外国人の女性二人が3日後の宿を紹介して欲しいとYさんに言ってきます、それまでYさんとしばらく喋っていたので。それならこちらのベテランにとぼくを指名、観音寺の近くで2食付きの宿を探している、できれば日本の旅館民宿がよい、それではと迷わず藤川旅館を紹介します、観音寺の宿は藤川と一富士の二軒しか泊まっていないけれど、外の宿の芳しい評判はあまり聞かないし値段も藤川の方が断然安いしトイレ洗面はきれいだし、お風呂は新しくしたばかり、間違いなく気に入ってくれるでしょう。すぐに女将が藤川に電話を入れて予約成立、後で聞いたらその日の藤川は超満員でてんやわんやだったそうです。