WALKER’S 

歩く男の日日

26日目 善根宿うたんぐら(宇多津町)~ビジネス旅館三鈴(高松市)

2015-08-11 | 15年四国の旅


 朝食は5時半からお願いしました。相部屋で5時起床にしたので荷造りに時間がかかって5分ほど遅れました。すでにみなさんおそろいです。いつものように品数豊富でうれしい朝食、食後にはコーヒーも煎れてもらって、昼食のおにぎりも頂きました。昨年、根香寺でおにぎりを食べようとしたその時、支払いを忘れたのを思い出した、その大事なおにぎり、33回目のお接待です。
 出発するときイタリア人とHさんとぼくで玄関先で記念撮影、Hさんは昨日国分寺まで歩いて電車で宇多津まで来たので、歩いて駅に戻ろうとしたら、ご主人が坂出駅まで車で送ると言い、最初は遠慮していたのですがせっかくなので送ってもらうことにしました。6時39分に出発です。
 昨年は出だしだけ異常に速く歩いたので参考記録、昨年ほどではないにしても普通以上に身体は動いています。
 7時31分、79番札所天皇寺に到着、宿から51分35秒、7巡目までのベストより1分半早い記録です。境内には自転車遍路さんがいて境内をうろうろ、トイレをさがしているようだったので、あちらです。と教えます。撮影は忘れてしまいました。お参り納経を滞りなく済ませ7時45分に出発です。



 天皇寺から2900m、民家の庭先にお接待所があります。逆光で見にくいですが「歩きへんろ加茂駅」と書かれています。


 おもてなしステーションのパネルもあります。6年前にも休ませてもらって蜜柑を頂きました。今回も一つ頂いて休まないで発とうとしたら玄関からご主人が出てこられました。「一つ頂きました」とお礼を言って納札を手渡します。「姫路からですか、お城が真っ白になりましたね、今年の夏見に行きたいと思っているんですよ」ぼくが姫路だというと、みなさん白くなりすぎたお城のことをすぐに言われます。近畿以外でもよく知られていて、意外なうれしさです。
 土手の道から国道に下りて信号待ちをしていると向こう側にHさんが来ました。横断するときに「早いなあ」といつもの一言をいただきます。「横断してすぐ土手の道になります」と念のため教えます。



 8時50分、80番札所国分寺に到着、天皇寺から60分46秒、ベストより1分ほど遅れましたが、動きとしては十分な感じもあります。
 大師堂でお参りを終えると一足早く団体の納経帳がどさりと窓口に届いたところです。仕方ないので表のベンチで先ほどの蜜柑をいただきながら休むことにしました。再び納経所の前に戻るとちょうど終わりかけたところ、山門に戻ってきたのは9時24分でした。元々休む予定にしていたのでロスタイムというほどのものではありません。


 国分寺を出て40分、見晴らしのいいところに出てきたのでしばしたたずみます。ここまでの山道はまずまずの調子です。


 10時41分、81番札所白峯寺に到着、国分寺から76分35秒、ベストより3分遅れでした。国分寺からの登りは6年ぶりだったので、ちょっと落ち着きすぎたのかもしれません。特に不調という自覚はありません。
 お参り納経を終えて昼食にします。20分ほど休んで、11時20分に出発です。


 12時15分、白峯寺から4.3km、次の札所まであと500m、というところに見慣れない小屋が出現します。へんろ小屋五色台、昨日イタリア人が泊まるといっていた小屋に違いありません。去年来たときにはなかったから、話についていけなくて当然でした。普通のヘンロ小屋とは違って土足では入れなくて野宿の人のための簡易宿泊施設のようになっています。表にはお茶が入ったタンクと小袋に入ったお菓子がかごに山盛りになっていて、遠慮なくいただきます。男女のお遍路さんが休憩中で、その横には作務衣をつけたお坊さんもいて、ここから鬼無方面に下る近道を説明してくれています。


 これがその山道の入口です。舗装道に上がっていくのが当然でこんな道があるとは全く気づきませんでした。舗装道ができてからというもの誰もこの道を使わなくなってしまったのが不本意で残念だとお坊さんは言います。
 3分ほど休んで札所へ向かいます。カップルは82番のお参りはすましてきたようです。


 12時22分、82番札所根香寺に到着、白峯寺から56分40秒、ベストより2分遅れです。この区間はしんどいところ楽なところ、下りもあって登りもあって舗装道もあるというバラエティに富んだ道、全部に対応していく余裕がないとなかなかベストは出ないようです。
 山門をくぐってすぐ一旦階段を下ります。その最中、階段を下りきった平坦なところからぼくにカメラを向ける男性がいます。何回かシャッターを切ります。下りきってすれ違おうとしたら「読売新聞ですが、写真撮らせてもらったんですが使わせてもらってもよろしいですか」と確認の言葉をかけられました。快く承諾したのですが、先ず採用されることはないでしょう。第一ぼくはお遍路さんらしくない。袖無しの白衣は着けていますが菅笠も金剛杖も頭陀袋も輪袈裟も持っていません。らしくないお遍路を敢えて採用はできないでしょう。それよりこんな姿のぼくにカメラを向けたこと自体不可解です。
 山門の手前で男女のお遍路さんとすれ違い、境内でも3人の歩き遍路さんと出会います。ほとんど国分寺の近くから来たと思われます。
 お参り納経を終えて山門を出たのは12時44分でした。


 13時04分、教えてもらった近道が舗装道に合流します。ヘンロ小屋から1300m、14分ほどで上がってきます。赤線の道より250mほど近道になるようです。アップダウンもほとんどなく緩やかな下りが続きます、迷いそうなところもなく歩きやすい道でした。
 根香寺から3.6km地点、点線の道に変わって急な下り坂をしばらく行くと、ヘンロ小屋で休んでいたカップルがまた休んでいます。この坂はひざにくるから休みたくなる気持ちは分かるけど。
 急坂がやっと終わって右折するところで、根香寺で入れ違いになった男性がうろうろしています。道が判らないのかと思って声をかけたら、盆栽畑の写真を撮るためにポイントを探していたようです。盆栽の畑があることなどここを歩くまで知りませんでした。珍しい光景には違いありません。
 鬼無の踏切を渡ったのが13時40分、根香寺から55分48秒、ここで区切ったタイムは一度もとっていないので早いか遅いか全く見当もつきません。ひざの具合もよくてスピード感も十分だったようには思いますが。
 踏切から600m、岩田神社のちょっと手前にある飯田休憩所で休ませてもらいます。

 飯田休憩所で冷水器の水を何杯もお代わりしながら休んでいると、先ほど盆栽畑で追い抜いた人がやってきました。納札を交換、千葉県佐倉市の篠塚さん、「長嶋監督のふるさとですね」「彼の名前の付いたスタジアムがありますよ」とやはり郷土の英雄の話になるとうれしそうです。彼はここまで既に50日歩いている、かなりゆっくり遍路さんですが、それだけゆたかなお遍路ができていることも確実です。早ければ早いほど見過ごしているものも多いから、ぼくなどは8回9回巡っても知らないことの方が多くて、テレビのお遍路番組、四元さんや徳光さんの番組、現在再放送中の八十八歩記、などで初めて知ってそうだったのかと思うことが多々あります。
 話し込んでいたら、坂道で追い抜いたカップルもやってきました。今日の宿は6km先のきららだろうからまだ十分余裕があります。せっかく四国に来たのだからそれくらい余裕を持って時間を気にすることなく歩けたらそれにこしたことはありません。と言いつつ、ぼくは休みすぎて余裕がなくなってきたので先に出発します。30分以上くつろいでしまいました。時刻は14時19分。


 14時38分、香東川の潜水橋がなくなっていました、仕方ないので一つ南の国道の橋を渡ります。100mほど遠回りになります。
 香東川を渡って県道171号を横断、側溝ぞいの細い道で前を行く男性に追いつきます。西村ジョイの駐車場を抜けて国道32号が見えてきたところで、道ばたの縁石でかなり年配の男性が休んでいます、立ち止まって少し話を伺いました。「昨日はどこの宿だったの」と訊かれて「うたんぐらです」と言うと「うたんぐら、ぼくは一昨日泊まったよ、イタリア人がいただろう、連泊すると言ってたから」、帰ってから遍路の広場を見て判ったのですが、彼はうたんぐらにゆかりのあるお遍路さんのようです。「今日はちょっと足が痛いのでそこで野宿するよ」、前の空き地を指さします。かなりの高齢のように見えるのに普通に野宿する強かさ、
 15時20分、83番札所一宮寺に到着、根香寺から113分53秒、近道遠回りの分を考慮に入れてもベストより3分ほど早い。昨年と違って下りのスピードは全部上々です。
 時間が押してきて余裕がなくてまた撮影を忘れてしまいました。

 15時41分、一宮寺を出発、予定よりだいぶ遅れてしまいました。今日は素泊まりなので買い物もあるし、郵便局にも用があるので17時までに着けるか微妙になってしまいました。

 16時06分、デイリーヤマザキの向かいに高松田村町郵便局があったので(本当はもう少し先の郵便局に入るつもりだった)、最後の百円玉13枚下ろします。12ヶ所の郵便局で合計161枚下ろしました。最初に持参したのが26枚、買い物のおつりで調達した分が百円玉75枚と五百円玉1枚、ほぼ最初の計画通り、でもおつりで早く貯めすぎて手持ちが多くて重くなりがちでした。
 向かいのヤマザキで夕食と朝食を仕入れます、さすがヤマザキだけあってぼくの好きなカロリー高めの菓子パンがそろっています。


 17時01分、本日の宿ビジネス旅館三鈴に到着、一宮寺から61分56秒、ベストより2分ほど遅れました。
 昨年無理矢理開けてもらったお詫びを言いながら挨拶します。昨年は宿を長らく閉めていたせいか最後に会った5年前より少し老けられたかな、という印象があったのですが、今回は逆に明るく元気な表情で6年前とほとんど変わらないという感じです。やはり仕事を再開してお遍路さんのお世話をするようになって生き生きしているのがはっきり判ります。昨年無理を言ったことが結果的には良かったのだと少し安心しました。連休中の予約もいっぱいで断ることも多いそうです。親戚や知り合いからお米が送られてきて、お遍路さんにおにぎりにして持っていってもらうとちょうどいい具合になるの、とうれしそうに語ります。
 部屋が二つで断ることが多いので、広い方の部屋は相部屋にして3人に泊まってもらいたいのだけれど、と相談を受けます。その場合は、予約の時に相部屋になるかもしれませんがという断りは必要でしょう、と助言します。相部屋で値段が安くなるのであれば納得してくれる人も多いでしょう。
 26日目の歩行距離  39.6km
      歩行時間  7時間01分  
      平均時速  5.66km  良い区間と悪い区間、理由は何となく