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クールシェア・ウォームシェアのこと

2019-12-21 21:10:04 | ネットワーキング


昨日ご紹介した堀内先生の記事が、東京都地球温暖化防止活動推進センターの
ホームページ・リニューアルとやらで、
あのアドレスでは読めないようです。
なので、長くなりますが、該当記事をそのまま、下記にコピペしておきます。

アップする理由は、私自身も何度も読み返したいし、人に説明するときに
とても便利だし、たくさんの方々に読んでいただきたいからです。

*****************
とうきょうエコ・コレクション H25年度インタビュー第1回

クールシェア・ウォームシェアのすすめ

●堀内 正弘(ほりうち まさひろ)さん

1954年生まれ。東京芸術大学、東京大学大学院、イエール大学大学院、
東京農業大学大学院修了。建築家、コミュニケーションプランナー、
NPO法人土とみどりを守る会代表理事。

環境負荷を低減させ、心豊かに暮らせる都市環境を実現するために、都市計画、
市民活動などの多様な経験を活かし、様々な活動に取り組む。東京都世田谷区
奥沢の自宅隣に「シェア奥沢」を設置。NPOや地域活動の拠点としている。

「いわば昭和のお家、庭があって、縁側があって、サザエさんちにみんなが集まる
感じ」という。「クールシェア事務局」を兼ねクールシェアスポットのモデルとして公開。


クールシェアという言葉をご存じでしょうか。夏の猛暑日、一人ひとりでエアコンを
使うより、涼しい場所にみんなで集まって楽しく過ごすことで、家庭でのピーク電力
消費を減らそうという活動。この活動が地域や各自治体で活発に進められ、2011年に
「eco japan cup エココミュニケーショングランプリ」、2012年に「グッドデザイン賞」、
2013年に「低炭素杯2013 最優秀ソーシャル・イノベーション賞」を受賞している。
この運動の提唱者である多摩美術大学の堀内教授にお話を伺った。

みんな集まれば「節電・省エネ」につながる
民間活動インタビュー 第1回

堀内 正弘さん

――クールシェアの活動は2011年の東日本大震災がきっかけになったとお聞きしています。
どのような発端だったのでしょうか。

堀内 あの頃は学校がすぐに始まらずに1か月ぐらい遅れて始まりました。
計画停電が行われて、夏にはもっと大変な状況になるということで、産業部門では
節電が義務付けられ、家庭部門にも節電が要請されるなど、大変重い空気がありました。
私は大学でデザインを教えていましたから、最初のゼミで、こうした状況の中で東京に
いるデザイナーや学生に何ができるだろうか、と投げかけたわけです。

夏の暑い日の電力消費がピークになる時間帯では、家庭で消費される電気の半分以上が
エアコンによるものです。エアコンの設定温度を調節して省エネしようと呼びかけられて
いますが、それではあまり効果が上がりません。もっと大胆に、エアコンのスイッチを
止めることはできないか。1軒の家でエアコンを数台つけていたら、ピーク時間帯だけ
でもそれを止めて一部屋に集まりましょう、というアイデアがでてきたわけです。
さらに、各ご家庭が一人でエアコンを使うより、みんなでどこか楽しく集まれるところが
あればもっと節電に繋がります。


一軒のカフェから、草の根運動として

――それが、「クールシェア」と名付けられ、地域や自治体に運動が展開していった
わけですね。具体的にはどのように?

堀内 大学の近くに私や学生が行きつけのカフェがあり、子供連れの家族なども来て
いました。近所には一人暮らしの若者も多い。そのカフェのオーナーにクールシェアの
趣旨を説明して、『例えばエアコン消してきたと言ってきたら割引できないですか?』と
お願いしたら『分かった、100円引きにします』と言ってくれました。
それがクールシェア参加店舗の第1号店です。

あとは近所の等々力商店街や二子玉川のショッピングセンター、それから東急電鉄さん
などに声をかけてご協力いただき、いろいろな場所にクールシェアをアピールする
ポスターを掲示していただきました。これがモデル実施ということで1年目の参加店舗は
約20店、大学の近くだけです。こうしたお店や企業と連携してクールシェアを推進する、
それが地球温暖化防止に繋がる。つまり家庭というか個人の行動とお店が結びつくという
新しいスタイルが出てきた。2011年7月のことです。


人と人が「シェア」でつながる
民間活動インタビュー 第1回

――ところで、クールシェアというネーミングはどのように? 
この活動が広がっている一つの要因と思えます。

堀内 このような活動、あるいはデザイン上でネーミングはとても大事です。
当初は「計画停電回避プロジェクト」と呼んでいました。ゼミで名前を考えようという
ことになって、5月にブレーンストーミングをしました。「涼しい」がキーワードで、
就活、婚活などの言葉がはやっているから「涼活(りょうかつ)」だとか、でも決定打が
なく夜遅くなって学生の一人が『おっ ! シェアだ』と言って、次の瞬間、僕が
『そうだ、クールシェア』と叫んで決まったのです。

じつは「シェア」という言葉はずっと僕のゼミのテーマだったんです。
人と人がシェアで繋がる、ものの貸し借りもそうだし、共有するとか一緒に遊ぶとかの
シェアです。みんな知っていてすぐ出てきそうなものですが、なかなかそういかないのが
ネーミングなんです ね。名前が出てからは、どんなふうに展開するかというので、
ロゴを作ろう、うちわを作ろうとか、具体が進みました。「計画停電回避」や
「涼活」というネーミングでは、現在みたいな広がりはなかったでしょうね。

2011年の世田谷区での活動が「eco japan cup 2011」のグランプリを受賞することが
できました。そのご縁で、クールシェアの主旨に賛同したお二人のクリエーターから
無償で協力をいただけたのです。クールシェアとウォームシェアのロゴはグラフィック
デザイナーの永井一史さん、「エアコン消して 涼しいところに集まろう」「暖房消して
暖かいところに集まろう」というキャッチコピーはコピーライターのマエキタミヤコさんの
手によるものです。


「もの」から「こと」へのグッドデザイン

――このプロジェクトは、2012年にグッドデザイン賞を受賞し、2013年に「低炭素杯」の
最優秀ソーシャル・イノベーション賞を受賞しています。「低炭素杯」は地球温暖化防止
活動に直結しますから理解しやすいのですが、グッドデザイン賞というのは?

堀内 そうですね。普通デザインと言うと、コップのように形があるものというイメージ
です。けれど、モノを作らなくても、こうした活動が結果として新しい価値を生み出すので
あれば、それがデザインなのです。審査委員長も、これからは「モノ」でなくて「コト」の
デザインと言っていましたが、「エアコン=工業製品」の使用を控えるというキャンペーンが
受賞したのはちょっと思いきった判断だったでしょうね。


銭湯で、一杯飲み屋で「ウォームシェア」
民間活動インタビュー 第1回

――ウォームシェアについてはいかがでしょう。

堀内 冬は暖房期間が長いので、家庭では夏以上にエネルギーを消費します。
ですからクールシェアと同様の趣旨で、冬期の省エネとして「ウォームシェア」を展開
するアイデアは当初からありました。夏と違う点は、冬は「ピーク時間帯」があまりない
ことと、夜間も含む長い時間が対象になります。また、猛暑日は限定されますが、寒い
地域は対象期間が長くなります。活動としては、例えば、家庭でお風呂に使われる
エネルギーの割合が高いので、ウォームシェアは温泉や銭湯の活用を推奨しています。

湯あがりに皆でゆっくりとした時間を過ごせば、一石何鳥にもなります。
ひとり暮らしの会社員はすぐに帰宅しないで、飲み屋をはしごしてゆっくりすれば、
自宅の暖房時間を短くできます。全国浴場組合にうかがってお願いしたところ、この活動に
ご賛同いただき、組合に入っている銭湯が全部登録してくれました。

ですからネットに入っているシェアマップ(クールシェア・ウォームシェアの場所が
掲載されている地図)が現在一番完璧な銭湯のデータベースになっているはずです。
近くの銭湯を探したいなら、スマホで簡単に見つけられますよ。


クールシェア・ウォームシェアのさまざまな展開
民間活動インタビュー 第1回

シェア奥沢のコワーキングの様子

――ところで、現在の活動はどうなっていますか。

堀内 2012年度に環境省で「SUPER COOLBIZ」にクールシェアを取り入れることが決まって、
全国展開のために必要なオンラインマップのプログラム開発、シェアスポット等のデータ
入力、ステッカー・ポスター制作などの作業をクールシェア事務局が担当しています。
夏のクールシェア、冬のウォームシェアという、通年での省エネへの取り組みのパターンも
出来上がりました。

クールシェア・ウォームシェアは家庭での実践、ご近所やまちでの展開、自然でのクール
シェアなど、多様なメニューを用意していますが、一番反響が大きいのがまちでの展開です。
暑い時、寒い時には出不精になりますが、あえてまちに出るという逆転の発想の意外性と、
客足が遠のく時間帯の活性化につながるという、商業施設などのメリットが合致した結果でしょう。

クールシェアは猛暑時の熱中症対策にも有効だということで、荒川区などの自治体が進める
「まちなか避暑地」などの拡大版とも言えます。図書館や美術館などの公共施設、
ショッピングセンターの休憩所といった、ほかの人に気兼ねなくゆっくりと涼めるところが
多くあるので「クールシェアスポット」として登録を進めています。それに商業施設では、
シェアスポットのさまざまな「特典」のアイデアが生まれています。
入館料の割引や粗品のプレゼント、飲食店ではドリンクのサービスなどです。

企業のショールームなど、冷暖房が効いている空間がありますが、目的がないと入りづらい
ものです。シェアスポットとして登録されたところであれば「家の冷房、暖房を止めてきました」
と声をかけると、スタッフが営業の話をしないで座れる場所に案内してくれます。
「あっ、ここシェアスポット。入ってみようか」

――今後はどのような活動を?

堀内 先ほどもお話したように、クールシェアは草の根的な運動として始まったものです。
最初から、「地球温暖化防止のために」と大上段に呼びかけてしまうと、環境問題に関心の
ある人しか振り返ってくれません。それに「省エネ」を強調し過ぎると、何でも節約しなけ
ればという誤解を生みますし、暗いイメージになってしまいます。それよりも、一般の人に
「楽しい」「うれしい」「おいしい」などのプラスの動機付けで人が集まれば、結果として
省エネになる。ご家庭ではちょっと前の暮らしぶり、ライフスタイルに戻れば、地球温暖化の
防止に役立つという、だれにでもわかりやすいことがクールシェアの特徴です。

地域のおじいさんおばあさん、主婦や子供、あるいは都会の学生さんや会社員が、
「あっ、ここシェアスポット。入ってみようか」と言う声がどんどん聞かれるようになると
いいですね。

クールシェア事務局はこちら
お問い合わせ

普及連携チーム

電話:03-5990-5064  FAX:03-6279-4697
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