Side Steps' Today

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散財日記

2020年10月24日 | CD批評
Allan Holdsworth「I.O.U」
エディ(エドワード)・ヴァン・ヘイレン(EVH)逝去の報道が世の中頻りだが、多くの記事で語られているのは①タッピング奏法の先駆者、という点。決してEVHが開発したわけではないが、売れた当時は「ライトハンド奏法」と言われており、我ら中高生のギタリストの間では速弾きかライトハンドが出来る!というのが仲間内での重要な評価ポイントだった。しかし、速弾きもライトハンドも言葉として廃れてしまい、後者はタッピングと称されることに時代の流れを強く感ずるが、確かにEVHは当時一世を風靡していた。楽器屋にあるのはワン・ハム(*1)のクレイマー社製バナナヘッドのEVHモデル(いわゆるフランケンのコピーモデル)であり、在学していた学園祭の後夜祭ステージでは同級の高校生バンドが「JUMP」を演奏していた(個人的には、その学園祭でキーボードを弾いていたのが笹路正徳の弟の笹路君であり、高校生では到底買えないシンセJUPITER-8?をワタシに見せながら、兄から借りてきた+JUMPのテーマ部分のシンセ・ブラスを作ってもらった、と打ち明けていた印象が非常に強い→が、シンセ・ブラスはモノホンのサウンドとはかなり違っていた…)。さらに語られるのは②人柄の良さ、なのだが、この手の記事は死者に鞭打つ内容は本来少ないものの、我が意を得たりなのは正にこれに触れた記事なのであった。ワタシにとってEVHといえば、アラン・ホールズワースの「I.O.U」の「U」。アラン・ホールズワース(AH)を世に出したのはEVHであり、そもそもスティーブ・ヴァイとEVHが知り合ったのもAHのライブ会場。「I.O.U」とは借用証書の意味であり、I Owe You(私は貴方に借りている)に由来する。アルバムとしての「I.O.U」は経済的に失敗した(=費用をかけて制作したが全く売れなかった)とAHは言っているが、相当に苦しい状況に落ち込んだその窮地を救ったのがEVH。「こんなギタリストが陽の目を見ないのはおオカシイ」とワーナーに売り込んで以来、AHはコンスタントにソロ作品を出せるようになった。まさに当初のUは単に金貸しだったが、リリース後のUを意味したのは恩義を受けたEVHであった(が、AH贔屓として客観的に聞いても「I.O.U」が「JUMP」のように爆発的に一般ピーポーに売れるとは到底思えない)。そんなAHも2017年に物故しているが71年しか生きなかった。その9歳年下であるEVHも65年しか生きなかった。なぜか音楽家は短命と思う今日この頃。瞑目。

(*1)ハムバッカータイプのピックアップがリアに1基だけついているもの。ギター・サウンドとしてミッドレンジが豊富なLAサウンドが当時大流行していた。ちなみにAHもワン・ハム。
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