ぼちぼちいこか

私の大好きな登山や水泳、ラグビーを中心に私が感じたことを書いていきます。

奥又白池~北穂池 2/3

2019年08月11日 | 登山
8月11日(日)晴れのちガス

涸沢(5:30)~トラバースポイント(6:30)~北穂東稜稜線(7:10/7:20)~【迷走】下降点
(9:30)~北穂池(10:20/11:00)~A沢のコル(12:35/12:40)~南岳小屋(14:25)テント泊



昨夜はかつてないほどゆっくり眠ることが出来ました。夜中トイレに起きた時に
空を見上げると天の川ときれいな星空が広がっていました。明日も晴れが期待されます。

少し寝すぎてしまい4時に起床。用意を済ませて5時半に出発。
奥穂高が朝日に照らされてオレンジ色に輝いています。今日もいい天気になりそうです。



先ずは北穂高方面に登り、一般登山道が左に折れる所で右に進み、北穂東稜のコルを
目指します。昨日同様、岩屑の斜面を横断して東稜コル手前のクライミングっぽい
急斜面をこなして東稜のコルに上がります。ここまでは昨年登った北穂東稜と同じです。









今回、北穂池を目指すに当たってネットでいろいろな人のレポを読みましたが、
ここから先の様子を詳しく書いてある記録を見つけることが出来ませんでした。
なので、何となく池の方を目指して下っていけば踏み跡があるのかな、位に
「行けばわかる」と考えていました。
北穂池の位置を確認しようと思って東稜のコルを少し山頂方面に移動すると、
遥か彼方下方の雪渓横にポツンと小さな池が見えます。
(ここで山頂方面に移動したのがいけなかったようです。地形図の見方も思い込みで
眺めてしまいマズかった。後で安藤さんの記録を読み返してみると、「東稜の稜線に
達したら稜線に沿うのではなく、ほぼ直角にまっすぐ進んで下降点を捜す・・・」と
書いてありました。)


コルから100m程も稜線に沿って進んでから、池を目視できる地点からまっすぐ
池を目指してガレ場を下ってしまいました。


やがて、明らかにルートではないと思われるような急なルンゼに出てしまいました。




これは違うだろうと思う反面、池が視界に入っていることからこれを下れば池に出る
のでは、と考えて、万が一に備えてハーネスをつけロープをすぐに出せるよう準備を
してから行けるところまで行ってみることにしました。
しかし、やはりこのルンゼはわずかに下った先で断崖絶壁となってしまい、あえなく
ルンゼを登り返しました。






もう一度、稜線近くまで登り返して池までのルートを見返してみます。今いる場所から
かなり右の方からは少し斜面が緩やかになっているような感じがしますが、池の手前で
深くえぐられたガレ場のようなところを横断しなくてはなりません。
あのガレ場より左へ降りなくてはいけないと思って少し右の方へ移動して下りられそう
なところを探しますが、草付きの急斜面が藪に吸い込まれてしまい、どうやらその先は
やはり断崖となっていて下りられそうにありません。



もう一度登り返して、困ったなー。と、さらに右の方を見ると5人程の人影が見えます。
どうやら下から登ってきた人のようです。おおラッキー!と、そちらの方へ降りていき、
下降路はどのあたりかを確認します。その時に立っていた場所からさらに右の方を指
さしてして、「そのあたりを下ります。」と教えてくれました。
おおっ!ありがとうございます。
丁重にお礼を述べて、彼が指をさした草と岩の入り混じった斜面を下りますが、
わずかに下っただけでここも藪に行き詰ってしまいました。
少し藪をかき分けてみますが、どう考えてもここは違うと判断して再び上り返します。
さっきの人たちはもう東稜の方へ登ってしまい姿が見えませんでした。



う~~ん。困ったぞ。こんなところで撤退か?

もう一度登り返して、下の地形を眺めます。遥か下方に北穂池。その左手には大きな
雪渓。その手前はガレ場が広がっています。池の右手は一段下がって深くえぐれた
ルンゼのように見えます。
どう考えてもあのルンゼの左手に出て、ガレ場を雪渓方面に向かうしかなさそうです
が???


時計を見ると東稜に到着してから2時間が経過していて、少し焦ります。
事前に読んだネットの記録では、登りも下りもさして困難なところはない。という
書き方だったのでどこかにルートがあるはずだと、さらに目を凝らしていると、
深くえぐられたルンゼの右側へ降りて、どこかでルンゼを横断するのでは?と
思い始めました。



もしこれでだめなら、東稜を登って北穂経由で南岳小屋まで行こう。と決めて最後の
チャレンジのつもりで少し右へ移動してからルンゼの右方面を目指して、草付きの
ガレ場を下ってみました。




少し下ると、やはりここも藪に行きあたってしまいましたが、藪の手前に小さな
ケルンが積んであったので思い切って藪をかき分けさらに下ってみました。




するとわずかな距離の軽い藪漕ぎで左の方のガレ場に下っていくことが出来そうです。




そのガレ場は、上から見た時に私が横断できないと判断した深くえぐられた
ルンゼのようなガレ場でした。







慎重にこのガレ場に降り立つと、なんと目の前の岩には赤ペンキがつけられています。


やった!どうやらこのガレ場が正しいルートのようです。
すっかり元気を取り戻して、ガレ場を少し下ると左手にピンクのリボンが見えました。


ガレ場から左手に小さく分かれる踏み跡のようなものを見つけ、これを下れば
どうやら雪渓手前のガレ場に抜けられそうです。





この辺り足元はどこも崩れやすく安定している場所はどこにもありませんが、
どうやら北穂池まで辿り着けるめどが立ちました。
雪渓手前に大きく広がるガレ場を結構な距離、横断するように進み、最後は
雪渓を渡り草付き斜面を乗り上げたところに涸れた池がありました。近くには
白い遭難プレートが設置されていました。






池は全部で4つあるはず。受けから見た時には水をたたえた池もあったはず。
とは思いましたが、やっと池についたというその安心感から、もはや
この辺りを深く探索して4つの池を捜しまわる余裕はあまりありませんでした。
それよりもこの先、A沢のコルまで無事に辿り着けるか否かの方が心配・・・。
という訳で、涸れた池を一つしか確認できませんでしたが、とにかく北穂池
まで辿り着いたということで十分満足でした。



雪渓から水が流れ出ているところにザックを下して、昼食を摂りがてら30分程
休憩しました。
周りの景色は大迫力そのもの。北穂東稜とキレット、南岳の大岩壁に横尾尾根が
ぐるりと囲んでいます。







景色を満喫したところでA沢のコルへの登路を捜します。
ここに来ればA沢のコルが見えるかと思っていたのですがここからは見えません。


目の前の小さな尾根を半ばまで登り、途中の草地斜面をトラバース気味に進み
A沢のコルへ続く斜面に出られそうだと判断して目の前の尾根(またしても
草地+ガレ場)をゆっくり登っていきます。


ところが、目途をつけていた辺りでトラバースしようと思いますがどうやら
トラバースの先はかなりの急斜面(+藪漕ぎ)になっていそうです。
仕方なく、目の前のガレ場を根気よく登ります。あまり登り過ぎると正面の
北穂山頂へ続くと思われる岩壁に吸い寄せられてしまいそうな気がしたので
なるべく下の方でトラバース気味に進むと、目の前をハイマツ帯に遮られて
しまいました。ここまで来てもまだA沢のコルは見えません。



どこかでこのハイマツ帯を突破しなくてはならないのだろう。と考えて
少しでも薄そうなところを目指して突入。


世界有数の豪雪地帯である北アルプスの高山におけるハイマツの生命力は
半端ではありません。
真横に強靭な枝を伸ばし私の行く手を遮ります。かき分けかき分け進みますが
一向にはかどりません。
尾根を回り込むようにハイマツをかき分け進んでいくと、ハイマツが少し
薄くなったところで、遥か遠方にA沢のコルと思われる場所が見えました。
登山者の姿も見えます。
そこまではあと少しハイマツを漕いでからガレ場の急斜面を登ればたどり
着けそうです。




よしっ!あそこを目指せ。

と思いますが、今の場所からまっすぐ進むと懸垂をしなくては降りられない
様な急斜面が待ち受けています。
尾根状のハイマツ帯を相当上の方まで漕ぎ進んでいかないといけません。


もっと上部からハイマツ帯を越えないといけなかったようです。
それでもコルを視界に収めた安心感からハイマツ漕ぎを進めると
どうやら右手の少し緩い斜面からガレ場に下りられそうなところを見つけ、
ガレ場におり立ちました。
A沢のコルはいったん視界から消えましたが、もうこの先、技術的に困難な
場所があるとは思えません。





最後の力を振り絞り、ガレ場を登っていくと再びA沢のコルが視界に
入りました。
少し距離はありますが高さがほぼ同じなので、最後はトラバースをするように
ザレた斜面を進みやっとの思いでA沢のコルに到着。

やった!



あとはキレットの一般縦走路を南岳小屋まで登っていくだけです。


短い休憩の後、長谷川ピーク、最低コルと2つの長い鉄梯子を登り、
最後はバテバテの状態で南岳小屋へと着きました。




幸運だったのは、A沢のコルに着いた途端、飛騨側からガスが湧いてきて
10分もしない間に視界が無くなってしまったことです。
もし、ハイマツ帯のあたりでこのガスにまかれていたと思うとぞっとしました。


テントを設営したあと横になり、ひと眠りした後もゴロゴロと過ごしました。
雲海と夕焼けがきれいに見えましたが、その後は辺り一面をガスが覆いました。
明日は天気が悪いかもしれないなぁ。



ガスが出て、視界が悪いようなら横尾谷右俣を下るのは止めてババ平経由の
一般道で帰ろう。もう十分満足だ。そう考えながら眠りに着きました。

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