ぼちぼちいこか

私の大好きな登山や水泳、ラグビーを中心に私が感じたことを書いていきます。

戸隠山

2019年09月07日 | 登山
戸隠キャンプ場(7:10)~龍神門(7:50)~奥社(8:15)~百閒長屋(9:10)~蟻の塔渡り
(10:10)~八方睨み(10:35)~戸隠山山頂(10:45)~九頭龍山山頂(11:50)~
一不動避難小屋(12:40)~戸隠牧場(13:55)~駐車場(14:20)

かねてから登りたいと思っていた戸隠山。
そして、かねてからキャンプをしてみたいと思っていた戸隠山キャンプ場。
このセットをいよいよ実行に移す時がやってきました。


前日、仕事で会食がありお酒を飲んでしまったので早朝(というか夜中)に名古屋を
出発して戸隠山キャンプ場の駐車場に着いたのが7時。
登山者用の駐車場はほぼ満車の状態でびっくりです。
早速用意を済ませて、奥社の参道から登山をスタートします。
龍神門の先の杉並木は何度来ても霊験あらたかな身が引き締まる印象を受けます。
神様はやっぱりいるんだと思える、そんな雰囲気です。
ひと登りで奥社。今日の登山の安全を祈念します。


龍神門


何度来ても身の引き締まる思いがする杉並木


奥社



ここから先が本格的な登山道となります。
最初はひたすら急登を登っていきます。というか、そもそも戸隠山は修験道なので
のんびり歩ける道であるはずもありません。
小1時間でようやく急登が終わり正面の岸壁に突き当たります。
これを左から迂回するように巻いていくと百間長屋、西窟を過ぎる間では比較的
緩やかな道が続きます。


良い天気で青い空に緑が映える


百閒長屋


西窟




西窟で休憩しているときにちょっとしたアクシデント発生。
左前腕部を突然激しい痛みが襲いました。(多分)アシナガバチに刺されてしまった
ようです。急いで、つい先日購入したばかりのポイズンリムーバーを取り出して
刺された箇所から何度も毒を吸い出します。(この初期対応が良かったせいか
痛みが残ったのは翌日までだけで済みました。)

この先は崩れかけた斜面をトラバース気味に渡り、最後も鎖の取り付けられた
急登を登ります。このほかにも小さな鎖場がいくつかあって気が抜けません。
最後に胸突き八丁と看板のかかった岩場を鎖場に沿って上るといよいよその先が
「蟻の塔渡り」と呼ばれているナイフリッジです。


最初の鎖場


最初の鎖場上部


次の鎖場


鎖場多し


胸突き八丁



ここを馬乗りになって通過している人の写真を何枚も見てきたためどれだけ
恐ろしげなところかと思っていましたが、今日は好天のおかげか、それ程の恐怖感を
感じません。
ナイフリッジは20m程ですがここには右手から巻き道も設定されています。
立って歩くにはちょっと怖い気がしたので、かがんで手をつきながら安全を最優先に
わたりました。
最後に一旦下がってから2段登るような形になり、そこが少し危険かなぁ。


ハイライト 蟻の塔渡り


とても丁寧な看板


塔渡り全景


塔渡り上部の岩場


蟻の塔渡りを過ぎてしまえばすぐ、八方睨みと呼ばれる稜線上のポイントに到着します。
ここからは西岳方面や、蟻の塔渡り、鏡池、さらには高妻山までよーく見えます。
ここから見る高妻山はとってもカッコいい。次は高妻へ登ってみたい。
休憩しても良かったのですが、山頂はすぐそこなので引き続き山頂へ移動します。


稜線到着


八方睨みからの塔渡り


西岳方面 こちらもいつか縦走してみたい



ところが、山頂は狭くて太陽を遮る場所が全くないため休憩を断念し、さらに先へ
進みます。下山は一不動避難小屋から戸隠キャンプ場へ降ります。
なかなか休憩に適した場所がなく、やっぱり休憩するなら八方睨みだったな。
ということを考えながらさらに進むと、ようやく縦走路から外れた日陰を見つけて、
そこで休憩と遅い昼食を摂りました。


稜線の縦走路



その先は、九頭龍山の山頂を過ぎるまでは細かなアップダウンが続きます。
こじんまりした山塊であることと、迫力ある岩場が稜線近くに見えるところが
妙義山に少し似ているなと感じました。
最後は長く急な下りを降りていくとようやく一不動避難小屋です。


一不動避難小屋への急な下り


妙義山に似た景色


戸隠山山頂からここまでが想像していたより長かった。(というか地図をよく
見ていなかったのでもっと近いと思っていた。その間違った私の想像より
長かった。というだけです。)
携帯用トイレを使用できる建物を併設した避難小屋は、この規模の山にしては
大きくて立派なものでした。詰めれば10人くらいは泊まれるような感じでした。


一不動避難小屋(中はきれい)



10分程休憩してすぐに出発。
ここから牧場までの下山道には、不動滝、滑滝という2つの滝があって、
2つとも鎖が設置されているようです。
避難小屋から少し下ると水の流れる音が聞こえてきてやがて沢の中を歩くように
なります。
少し行くと右側に「氷清水」と看板に書かれた水場があります。
そして、えー、こんな水が流れている中を下っていくのか。と思いましたが
すぐに最初の滝「不動滝」が見えてきます。


氷清水

この滝は相当大きくて、水流沿いはまったく下れないので右岸のスラブを
トラバースで大きく迂回していきます。スラブには鎖が設置してあり、ステップも
切ってあるので心配はありませんが、落ちるとかなり大けがをしそうな場所なので
注意が必要です。


滝(鎖場)下のトラバース

その先ですぐに滑滝が現れます。
この滝はスラブの滝というか滑床のような感じで一応左岸に鎖がつけられていますが
なくても問題なく下ることが出来ます。
まもなく傾斜が緩み、やがて牧場の敷地を横切るようになります。
一面の芝生と、適当な感覚で配置された木々が本当に気持ちよく感じます。
放牧されている牛もこんな環境で過ごしたらさぞかしストレスフリーの牛が育つ
だろうと思いまいした。


滑滝


ストレスフリーの牛がお出迎え


最後まで良い天気でした



最後は牧場の管理等の横を通り抜け、戸隠キャンプ場の敷地を突っ切ってゴール。
戸隠山は、奥社や威厳をたたえた杉並木、急登に鎖場、蟻の塔渡り、尾根上の
アップダウン、下山も沢沿いの道を通り最後は牧場でゴールを迎えられる絶好の
ロケーションだと思います。


戸隠キャンプ場(素晴らしいロケーションだった)

とっても良い山でした。




鏡池から望む戸隠山


戸隠といえば蕎麦

奥又白池~北穂池 3/3

2019年08月12日 | 登山
8月12日(月)晴れ
南岳小屋(5:30)~横尾尾根のコル(6:25/6:40)~本谷橋(9:25/9:30)
~横尾(10:20)~徳沢(11:05/11:10)~明神(11:50)~上高地(12:30)
(バス乗車 12:45)


夜トイレに起きた時は一面ガスが立ち込めていて星も見えない状態でしたが、
3時半に目が覚めた時にはきれいに晴れていました。
一晩寝て、疲れも取れたし気力が回復したので当初の予定通り、
横尾本谷右俣を下ることにしました。

用意をして、出発前に獅子鼻と呼ばれているキレットの展望台から
昨日歩いてきたコースが良く見えたので、飽かずに眺めていました。
ここから見ると、やはり最後のハイマツ帯はなるべく上の方から横断する
のが正解だったということが良く分かります。
ということは、池から正面の尾根を登るときもなるべく上までまっすぐ登り、
上部のハイマツ帯を目指す。ということになります。(反省)




さて、まずは槍ヶ岳方面へ向かいます。南岳を超えると槍ヶ岳が良く見えて
きます。その先の天狗原への分岐で右に曲がり、痩せた尾根をぐんぐん
下っていきます。



やがて縦走路が尾根を外れて左の斜面に下っていくところ、大きな岩に
「←天狗原」と書かれた木の看板が目印となるコルに到着します。
横尾本谷右またはここから下っていきます。




最初は、またしても急なガレ場を下っていきます。
やがて草付き斜面となりますが足元は不安定でもううんざりといった気分です。
上から見下ろした時の印象よりだいぶ悪かった。





小さな雪渓も残るカール状の底に出た後は、大きな岩がごろごろしている
左手の薄い踏み跡を繋いでいきます。


最後急斜面の藪手前で谷を横断して右岸側へ移動します。


その先で藪へ突入しますが、右寄りに行くとすぐに大雨の時は水路になるで
あろうガレ場のような通路を下ると右俣の源流に出ます。






ここは、テントを張ってゆっくりしたいようなとても気持ちの良い場所です。



ここからは水流沿いに、濡れないよう石を伝って下っていきます。基本は左岸を
降りていき、左岸が詰まったら少し戻って右岸へ渡ります。
要領さえ得てしまえば、あとは怪我をしないよう注意深く下っていくだけです。

途中で景色が開け、ものすごく気持ちの良い場所に出ます。
この景色を見るためだけでもここまでくる価値は十分にある。そう思わせて
くれるような景色でした。







おじさんの3人パーティーが上がってきました。今日は、右俣を上り詰めて
ババ平まで行くとのこと。なんてマニアックなおじさんたちなんでしょう。
大きな岩を下るために左岸にロープが張られたところもありますが、ロープは
使わなくても簡単に上り下りすることが出来ます。


やがて正面には涸沢から本谷橋へと下る一般登山道が見えてきます。
さらに下ると崩れた雪渓がいやらしく残っていますが下はくぐらず左岸上から
下降を続けます。



北穂池へと続く左俣は涸れて険悪な印象です。
いつかチャンスがあれば北穂池まで登ってみようかな。

緩やかに下るようになると涸沢との出会。涸沢は本当に涸れていた。


出会いを左に向かいようやく本谷橋が見えてきた。大勢の人がくつろいでいます。
ここから先は何の心配もない道が上高地まで続いています。



本谷橋と横尾で少し休憩した以外は止まることなく、少しゆっくり目に
歩いていきます。
初日に痛めた左膝や靴の中で皮がめくれている足底や指先が痛むため、
いつものように早く歩くことはできませんが、それでも本谷橋から3時間で
上高地へ到着。
心配していた沢渡行きのバスもわずか15分程の待ち時間で乗ることが出来ました。


充実した山行に感謝!

奥又白池~北穂池 2/3

2019年08月11日 | 登山
8月11日(日)晴れのちガス

涸沢(5:30)~トラバースポイント(6:30)~北穂東稜稜線(7:10/7:20)~【迷走】下降点
(9:30)~北穂池(10:20/11:00)~A沢のコル(12:35/12:40)~南岳小屋(14:25)テント泊



昨夜はかつてないほどゆっくり眠ることが出来ました。夜中トイレに起きた時に
空を見上げると天の川ときれいな星空が広がっていました。明日も晴れが期待されます。

少し寝すぎてしまい4時に起床。用意を済ませて5時半に出発。
奥穂高が朝日に照らされてオレンジ色に輝いています。今日もいい天気になりそうです。



先ずは北穂高方面に登り、一般登山道が左に折れる所で右に進み、北穂東稜のコルを
目指します。昨日同様、岩屑の斜面を横断して東稜コル手前のクライミングっぽい
急斜面をこなして東稜のコルに上がります。ここまでは昨年登った北穂東稜と同じです。









今回、北穂池を目指すに当たってネットでいろいろな人のレポを読みましたが、
ここから先の様子を詳しく書いてある記録を見つけることが出来ませんでした。
なので、何となく池の方を目指して下っていけば踏み跡があるのかな、位に
「行けばわかる」と考えていました。
北穂池の位置を確認しようと思って東稜のコルを少し山頂方面に移動すると、
遥か彼方下方の雪渓横にポツンと小さな池が見えます。
(ここで山頂方面に移動したのがいけなかったようです。地形図の見方も思い込みで
眺めてしまいマズかった。後で安藤さんの記録を読み返してみると、「東稜の稜線に
達したら稜線に沿うのではなく、ほぼ直角にまっすぐ進んで下降点を捜す・・・」と
書いてありました。)


コルから100m程も稜線に沿って進んでから、池を目視できる地点からまっすぐ
池を目指してガレ場を下ってしまいました。


やがて、明らかにルートではないと思われるような急なルンゼに出てしまいました。




これは違うだろうと思う反面、池が視界に入っていることからこれを下れば池に出る
のでは、と考えて、万が一に備えてハーネスをつけロープをすぐに出せるよう準備を
してから行けるところまで行ってみることにしました。
しかし、やはりこのルンゼはわずかに下った先で断崖絶壁となってしまい、あえなく
ルンゼを登り返しました。






もう一度、稜線近くまで登り返して池までのルートを見返してみます。今いる場所から
かなり右の方からは少し斜面が緩やかになっているような感じがしますが、池の手前で
深くえぐられたガレ場のようなところを横断しなくてはなりません。
あのガレ場より左へ降りなくてはいけないと思って少し右の方へ移動して下りられそう
なところを探しますが、草付きの急斜面が藪に吸い込まれてしまい、どうやらその先は
やはり断崖となっていて下りられそうにありません。



もう一度登り返して、困ったなー。と、さらに右の方を見ると5人程の人影が見えます。
どうやら下から登ってきた人のようです。おおラッキー!と、そちらの方へ降りていき、
下降路はどのあたりかを確認します。その時に立っていた場所からさらに右の方を指
さしてして、「そのあたりを下ります。」と教えてくれました。
おおっ!ありがとうございます。
丁重にお礼を述べて、彼が指をさした草と岩の入り混じった斜面を下りますが、
わずかに下っただけでここも藪に行き詰ってしまいました。
少し藪をかき分けてみますが、どう考えてもここは違うと判断して再び上り返します。
さっきの人たちはもう東稜の方へ登ってしまい姿が見えませんでした。



う~~ん。困ったぞ。こんなところで撤退か?

もう一度登り返して、下の地形を眺めます。遥か下方に北穂池。その左手には大きな
雪渓。その手前はガレ場が広がっています。池の右手は一段下がって深くえぐれた
ルンゼのように見えます。
どう考えてもあのルンゼの左手に出て、ガレ場を雪渓方面に向かうしかなさそうです
が???


時計を見ると東稜に到着してから2時間が経過していて、少し焦ります。
事前に読んだネットの記録では、登りも下りもさして困難なところはない。という
書き方だったのでどこかにルートがあるはずだと、さらに目を凝らしていると、
深くえぐられたルンゼの右側へ降りて、どこかでルンゼを横断するのでは?と
思い始めました。



もしこれでだめなら、東稜を登って北穂経由で南岳小屋まで行こう。と決めて最後の
チャレンジのつもりで少し右へ移動してからルンゼの右方面を目指して、草付きの
ガレ場を下ってみました。




少し下ると、やはりここも藪に行きあたってしまいましたが、藪の手前に小さな
ケルンが積んであったので思い切って藪をかき分けさらに下ってみました。




するとわずかな距離の軽い藪漕ぎで左の方のガレ場に下っていくことが出来そうです。




そのガレ場は、上から見た時に私が横断できないと判断した深くえぐられた
ルンゼのようなガレ場でした。







慎重にこのガレ場に降り立つと、なんと目の前の岩には赤ペンキがつけられています。


やった!どうやらこのガレ場が正しいルートのようです。
すっかり元気を取り戻して、ガレ場を少し下ると左手にピンクのリボンが見えました。


ガレ場から左手に小さく分かれる踏み跡のようなものを見つけ、これを下れば
どうやら雪渓手前のガレ場に抜けられそうです。





この辺り足元はどこも崩れやすく安定している場所はどこにもありませんが、
どうやら北穂池まで辿り着けるめどが立ちました。
雪渓手前に大きく広がるガレ場を結構な距離、横断するように進み、最後は
雪渓を渡り草付き斜面を乗り上げたところに涸れた池がありました。近くには
白い遭難プレートが設置されていました。






池は全部で4つあるはず。受けから見た時には水をたたえた池もあったはず。
とは思いましたが、やっと池についたというその安心感から、もはや
この辺りを深く探索して4つの池を捜しまわる余裕はあまりありませんでした。
それよりもこの先、A沢のコルまで無事に辿り着けるか否かの方が心配・・・。
という訳で、涸れた池を一つしか確認できませんでしたが、とにかく北穂池
まで辿り着いたということで十分満足でした。



雪渓から水が流れ出ているところにザックを下して、昼食を摂りがてら30分程
休憩しました。
周りの景色は大迫力そのもの。北穂東稜とキレット、南岳の大岩壁に横尾尾根が
ぐるりと囲んでいます。







景色を満喫したところでA沢のコルへの登路を捜します。
ここに来ればA沢のコルが見えるかと思っていたのですがここからは見えません。


目の前の小さな尾根を半ばまで登り、途中の草地斜面をトラバース気味に進み
A沢のコルへ続く斜面に出られそうだと判断して目の前の尾根(またしても
草地+ガレ場)をゆっくり登っていきます。


ところが、目途をつけていた辺りでトラバースしようと思いますがどうやら
トラバースの先はかなりの急斜面(+藪漕ぎ)になっていそうです。
仕方なく、目の前のガレ場を根気よく登ります。あまり登り過ぎると正面の
北穂山頂へ続くと思われる岩壁に吸い寄せられてしまいそうな気がしたので
なるべく下の方でトラバース気味に進むと、目の前をハイマツ帯に遮られて
しまいました。ここまで来てもまだA沢のコルは見えません。



どこかでこのハイマツ帯を突破しなくてはならないのだろう。と考えて
少しでも薄そうなところを目指して突入。


世界有数の豪雪地帯である北アルプスの高山におけるハイマツの生命力は
半端ではありません。
真横に強靭な枝を伸ばし私の行く手を遮ります。かき分けかき分け進みますが
一向にはかどりません。
尾根を回り込むようにハイマツをかき分け進んでいくと、ハイマツが少し
薄くなったところで、遥か遠方にA沢のコルと思われる場所が見えました。
登山者の姿も見えます。
そこまではあと少しハイマツを漕いでからガレ場の急斜面を登ればたどり
着けそうです。




よしっ!あそこを目指せ。

と思いますが、今の場所からまっすぐ進むと懸垂をしなくては降りられない
様な急斜面が待ち受けています。
尾根状のハイマツ帯を相当上の方まで漕ぎ進んでいかないといけません。


もっと上部からハイマツ帯を越えないといけなかったようです。
それでもコルを視界に収めた安心感からハイマツ漕ぎを進めると
どうやら右手の少し緩い斜面からガレ場に下りられそうなところを見つけ、
ガレ場におり立ちました。
A沢のコルはいったん視界から消えましたが、もうこの先、技術的に困難な
場所があるとは思えません。





最後の力を振り絞り、ガレ場を登っていくと再びA沢のコルが視界に
入りました。
少し距離はありますが高さがほぼ同じなので、最後はトラバースをするように
ザレた斜面を進みやっとの思いでA沢のコルに到着。

やった!



あとはキレットの一般縦走路を南岳小屋まで登っていくだけです。


短い休憩の後、長谷川ピーク、最低コルと2つの長い鉄梯子を登り、
最後はバテバテの状態で南岳小屋へと着きました。




幸運だったのは、A沢のコルに着いた途端、飛騨側からガスが湧いてきて
10分もしない間に視界が無くなってしまったことです。
もし、ハイマツ帯のあたりでこのガスにまかれていたと思うとぞっとしました。


テントを設営したあと横になり、ひと眠りした後もゴロゴロと過ごしました。
雲海と夕焼けがきれいに見えましたが、その後は辺り一面をガスが覆いました。
明日は天気が悪いかもしれないなぁ。



ガスが出て、視界が悪いようなら横尾谷右俣を下るのは止めてババ平経由の
一般道で帰ろう。もう十分満足だ。そう考えながら眠りに着きました。

奥又白池~北穂池 1/3

2019年08月10日 | 登山
久し振りの長文山行レポ作成。
それだけ充実していたということです。


奥又白池・北穂池

2019年9月10日(土)~12日(月)
単独
8/10 上高地(6:40)~明神(7:30)~徳沢(8:10/8:20)~新村橋(8:30)
    ~奥又白池・涸沢分岐(9:17)~奥又白池(11:10/11:45)
    ~前穂五六のコル(13:25/13:40)~涸沢(14:20)テント泊

8/11 涸沢(5:30)~トラバースポイント(6:30)~北穂東稜稜線(7:10/7:20)
    ~【迷走】下降点(9:30)~北穂池(10:20/11:00)
    ~A沢のコル(12:35/12:40)~南岳小屋(14:25)テント泊

8/12 南岳小屋(5:30)~横尾尾根のコル(6:25/6:40)~本谷橋(9:25/9:30)
    ~横尾(10:20)~徳沢(11:05/11:10)~明神(11:50)~上高地(12:30)
 (バス乗車 12:45)



今年の夏は、かねてから行きたいと思っていた穂高周辺の池巡りをすることに
しました。最初はひょうたん池をスタートとして奥又白池へ抜けようと思った
のですが、他の人の記録を見ると敷居が高そうだったので、まずは無理をせず
比較的行きやすそうな所から狙うことにしました。


8月10日(土)晴れ
前夜自宅を出発し沢渡の駐車場に車を止めて仮眠。今回は、帰った後で山の
荷物を車においたらすぐそのまま温泉へ行けるよう、第4駐車場の日陰エリアに
車を停めました。
朝、5時過ぎに目を覚ますと丁度上高地行きのバスが停車場に入ってくるところ
でした。慌てて飛び起き、ザックを持ってバスに飛び乗りましたが、乗って
すぐに帽子を忘れたことに気づき、ちょっとがっかり。(仕方ないので上高地の
土産物屋でバンダナを購入して帽子代わりにしました。)


上高地を出発してまずは徳沢を目指します。
今年1月に山スキーで怪我をして以来、ほとんどランニングをしていないので
体力的に相当辛いだろうなということを予想して、歩き始めはゆっくりした
スピードを心掛けました。

徳沢で休憩と水の補給をしてから新村橋を渡りパノラマコースへと向かいます。


今日中に涸沢まで辿り着けなかった時の万が一を考えて水は4.5リットル
持つことにしました。
パノラマコースの入り口には屏風のコルより先で積雪があり、涸沢までいけない
ということが書いてありまた。


樹林の緩い道をひと登りで奥又白池と涸沢への分岐です。
いよいよここで一般登山道に別れを告げます。
正面には松高ルンゼと中畠新道の通る尾根が見えます。想像していたのよりは
こぢんまりとしています。奥又白池は正面左手奥の一段上がった場所だと思われ
ますが、ここからは良く見えません。



緑色の遭難プレートを左手に見て中畠新道の急登へと入っていきます。


兎に角急な登りが続きますが、踏み跡は非常に明瞭で、樹林の中だから日差しを
遮ることが出来るためそれほど大変ではありません。

※写真の向き誤り(顔を左に向けて見てください)

急な登りを暫くこなすと、左手に松高ルンゼの上部斜面を望むことが出来る
場所に着きます。さらにひと登りで、石がごろごろとする幅5メートルくらいの
ルートに沿って右斜めに登っていくようになります。


その先で再び背の低い樹林をくぐるように上り続けると、右手には緑の
じゅうたんを敷き詰めたような気持のよい斜面が、左前方上部には
奥又白池があるであろう台地が目に飛び込んできます。



池まではあと少しですが標高差は結構あるのでがんばって足を
進めていくと、最後のひと登りでひょっこりと池の端に出ることが出来ました。



夏の強い日差しを受け、正面には遥か下方に梓川の流れが見え、反対方向に
目を転じると前穂高の険しい山肌が目に飛び込んできます。池の奥はテントを
何張りも張れる場所があって水さえ確保できれば絶好のテント場となって
くれます。(煮沸しても池の水を飲むのはちょっとためらわれるし、反対側へ
少し下がったところに水場があるらしいですが涸れていることもあるとか。)

前穂の斜面を眺めながら昼食のおにぎりをほおばります。
前穂の山々が池に映り、逆さ前穂?を見ることが出来ました。

※写真の向き誤り(顔を左に向けて見てください)

この先の行程でどれくらい時間がかかるのか、自分にたどり着けるのか?
安藤さんが通行を躊躇した五六コルの手前の崩落地の状況も不明確・・・。
と不安要素が多く、先を急ぐ気持ちが勝りましたがもう少しゆっくりと滞在
したかった。



まずは元来た道を少し戻り、先ほど見た緑の斜面を薄い踏み跡に沿って
進みます。
遥か前方には前穂北尾根の斜面が見えます。その一番右の端に五六コルと
思われる場所をはっきりと確認することが出来ました。


やがて小さなガレ場を渡り、その先の緑地帯で少し踏み跡を見失いますが
左手やや上部方向へ進むと再び踏み跡が現れて、すぐに次の大きなガレ場
へと降りていく足場の崩れやすい急な下りが見えてきます。

最初のガレ場

これを慎重に下ると幅40~50mはあろうかという大きなガレ場に出ます。
対岸のやや右手(下方)には白いペンキマークが見え、あそこへ行くんだな
ということが分かります。



ガラガラと崩れる岩々を対岸まで渡り、ペンキマークのところで辺りを
見回すとあちこちに白と黄色のペンキマークを確認することが出来ました。


どうやら池から五六コルへ向かうのは白ペンキ。
コルから池に向かうのは黄色と色分けされているようです。

白色のペンキマークを忠実に辿り、岩くずの積み重なるルンゼを少し
登ったら、白いペンキマークの⇔に従って右手の尾根に上がっていきます。




あとは明瞭な踏み跡が続く急登をひたすら登り続けます。
最後はザレた急斜面で足を滑らせたら左手のルンゼに一直線で落ちていく
ような、今回一番緊張した区間を登り切るとようやく少し視界が開けて
傾斜が緩やかになります。


(この区間を登り切った所には木にピンクのロープスリングが巻き付けた
支点があります。複数の場合はロープを使った方が安心かも。)



暫く草付きの緩やかな斜面を登っていくと五六コルの手前最後の難関。
ほんの3m程、右手が切れ落ちた箇所があり、ここも足を滑らすと
間違いなく右下の斜面を遥か下まで滑落してしまうでしょう。


安藤さんが初めて来たときに通過を躊躇して1時間半も高巻をした場所
ですが、ゆっくり慎重に足を進めていけば滑ることはなさそうでした。
かがんだ時にザックが岩に当たることを注意する必要がありますが
問題なく通過できました。



五六コルから難所を振り返る
※写真の向き誤り(顔を左に向けて見てください)

前後にはしっかりとしたリグボトルが取り付けてあるうえに、中間点には
赤いスリング用意してあるため不安があればここもロープを出した方が
良いかもしれません。


ほんの少しの登りで念願の前穂高五六のコルに到着。
ここまで来れば今日の目的地涸沢に着いたも同然です。
ザックを下して周りの景色をゆっくりと堪能します。
正面には奥穂高、涸沢岳、北穂高。背後には今歩いてきた斜面や
遠くに奥又白池も望ことが出来ます。

左から奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳


涸沢への下りは最初こそ草付きに踏み跡が続いていましたが、やがて
岩屑ゾーンに突入すると、あとは適当に歩きづらい岩屑の上を時々
ガラガラと言わせながらひたすら下っていきます。
正面に見えている雪渓にあまり近づきすぎないよう注意するのが
良いようです。


涸沢に到着後は、いつもは封印しているビールについ手が伸びてしまい、
テントを張ってからあとはのんびりと時間を過ごしました。

八方尾根(山スキー) 負傷敗退

2019年01月12日 | 登山
今シーズン最初の山スキーは、ハイジさん、タクさんと3人で八方尾根です。


今年は、雪が少なくて八方尾根スキー場の一番上のゲレンデもまだ閉鎖された
ままでした。
詳細はよくわかりませんが、環境省の役人がスキー場や登山コース上部の状況を
確認するからとかでチケットの販売にずいぶんと時間がかかってしまいました。
(八方尾根スキー場の上部は一部国立公園を含むため、コースを開放することが
植生等にダメージを与えないか否かを毎年確認しているようです。
今年はなかなか雪が降らなかったため、作業が遅れていたのかな。)


いずれにしても、リフト券を購入するだけで30分以上もかかってしまい
時間のロスとなりました。

ゴンドラとリフト2本を乗り継いでゲレンデトップへ到着。
すっかり待たされてしまったハイジさんは、リフトを降りてすぐ左手の斜面で
早速1本滑り降ります。
タクさんと私もハイジさんに続いて滑り降ります。
今日の雪はやや重めかな。でも(4日ほど前に降った)そこそこいい感じの
新雪です。


最初に滑った斜面



ボトムからの風景



一旦登り返したらそのまま尾根沿いに小1時間ほど登り、左側の崩沢を目掛けて
最初は左手に派生する尾根沿いを滑り降りていきます。
そして35度~40度くらいの斜面を持つ崩沢の源頭に到着しました。
 

崩沢へ



珍しくハイジさんがカメラマンをやってくれるというので、ハイジさん
タクさん、私の順に滑っていきます。
斜度がきついので慎重に。と自分に言い聞かせながら。




そして、2度目の滑降。
やや重めの雪に足を取られながら、不安定に3回ターンをして4回目のターンを
した直後に雪質と斜度が一気に変わったところで左足付け根後部に違和感を感じ
そのまま転倒。
転倒した直後は、左足付け根に今までに感じたことのない嫌な痛みを感じて

「これはまずいぞ。」

と思いました。
立ち上がろうとしますが、左足は痛みで体重をかけることすらできません。

「・・・ヘリを呼ばないと下山できないかもしれない。」

と、まずは最悪の事態を頭に入れておきました。


転倒地点から滑走してきた方を振りる(上部の陰になっているところが
一部アイスバーン状になっていてバランスを崩した。)


転倒地点から滑ってきた斜面上部を振り返る

心配してハイジさんが駆け寄ってくれましたが、暫くは痛みとスキー板の先端が
雪に埋まってしまっているので動きたくても動けない状態でした。
少ししてから、おそるおそる立ち上がろうとしますが、やはり左足は体重を
かけようとすると足の付け根に激痛が走り到底、普通に歩ける状態ではありません
でした。
それでも、膝をまっすぐ伸ばして体重を前にかけた状態であれば板を引きずるように
して動くことは出来そうです。

遥か彼方に、八方池山荘山荘が見えます。時間は11時30分。日が暮れるまでには
まだたっぷり6時間はある。少しでも動くことが出来る限り這ってでも自力で
帰ろう。と心に決めました。



遥か彼方の八方尾根


私が転倒したのは、崩沢の上部急斜面の下の方だったので、選択肢としては

1.このまま下(白馬47スキー場の駐車場)まで滑り降りる。
2.もう少しだけ滑り下りて、から八方尾根方面に登り返す。
3.滑ってきたルートを忠実の登り返す。

という3つが考えられました。
この中から最も確実な方法として3.を選択し、すぐさま登り返しました。

ジグを切ることが出来ないので、最初の切り返しでは転倒の末、大幅に時間を費やして
方向転換をせざるを得ませんでした。
休んでいる余裕はないので兎に角少しずつでもいいから前に進もうと必死です。

1時間30分程かけて最初の難関である急斜面を登り切りました。
距離的にはまだかなりありますが、ここから八方尾根までは比較的緩やかな斜面が
続くので今までより大幅にスピードアップできるという自信がありました。

ところが現実はそれほど甘くありませんでした。
八方尾根からの支尾根とはいえ、風で雪がほぼ飛ばされており、踏み込みが弱いと
シールの効きが甘くなりバランスを崩して左足に激痛が走ります。
その度に、「オオッ~!」とか「ああーっ!」といった感じの情けない悲鳴を上げて
しまいました。


それでも何とか八方尾根まであと少しというところまで辿り着きました。
ここから尾根まで登り返すよりも、トラバース気味に八方尾根へ合流した方が距離的に
近く、容易な方法だと思えました。
しかしながら、足の怪我がなければなんてことはないこのトラバースが一番の
核心部だったのです。

急な斜面をほんのわずかずつスキー板をずらすようにして前に進みますが、時々
エッジの効きが甘くて板がズリッっと滑り降りてしまうので、その度に左足の
痛みをこらえて踏ん張ります。
多分、40度近くある斜面をトラバースしているので一歩間違うと相当マズイことに
なるような状況でした。

ストックのピックで体がずり落ちないように少しづつ少しづつ、安全第一で進み
なんとか八方尾根に合流しました。

大げさなことを言うようですが、ここまで来てようやく助かったと思いました。

この時点で、時間は14時50分。一番上のリフトは15時で営業終了となるため
タクさんに板を預け、ストックで体を支えるようにして、痛みに耐えながら
わずか100m程の距離を急いで下りていきます。

何とかぎりぎりでリフトに乗せてもらい、無事に下山することが出来ました。





今回の反省。
まずは、今シーズン最初のスキーであったため、スキーに体が慣れていなかったことが
挙げられると思います。転倒そのものの原因は、ややスピードが出過ぎた状態で
左へターンをして、そのターンの途中でアイスバーンのようになっている部分に
乗り上げ、さらにスピードが出たまま新雪に突っ込んでいったので、上体だけが
つんのめって転倒をしてしまったのだと思います。


安全については何となく注意をしていたつもりでしたが、こうして怪我をすると
進退窮まってしまいます。

不幸中の幸いであったことは、ハイジさんとタクさんという山スキーのベテランが
最後まで行動を共にしてくれたので非常に心強く感じたことと、事故の時間が早かった
ので自分でも比較的落ち着いて行動できたことです。


最初は、ほんの一瞬ですが「ヘリ要請」ということが頭をかすめました。
もし、事故が遅い時間だったらその日のうちに下山することは難しかったと思います。
その場合、ツエルトやガス、若干の予備行動食は持っていたのでビバークして
自力下山をすることになったはずです。

そうならなくて良かった。


改めて安全であることの重要さを嫌というほど味わいました。
いつ復帰できるかは全く分かりませんが、今後山に行く際は今まで以上に安全に
注意深く備えていきたいと思います。


ハイジさんとタクさん、本当にありがとうございました。

小谷城

2018年11月03日 | 登山
急に思い立って小谷城へ。
小谷城は、言わずと知れた戦国大名浅井長政の居城です。
浅井長政は、絶世の美女と伝わる織田信長の妹、お市の方を妻に
迎えて織田信長と同盟関係を結びましたが、最終的には越前朝倉氏
との関係性に重きを置いたために、織田信長と決裂。
姉川の戦いでの敗戦を経て、その3年後に小谷城は落城し、浅井家は
途絶えることとなりました。


まずは、登山口にある「小谷城戦国歴史資料館」で、そんな歴史的な
背景を改めて頭に入れてから「登山」開始。
(資料館には一応「登山者」用の駐車場が併設されています。)


追手口をスタートし、少々急な登りをひと登りで尾根に出たら
後は尾根沿いに番所跡、虎御前山展望所、御茶屋跡、御馬屋跡、
桜馬場跡、黒金御門跡を経て本丸跡まであっという間に登れます。
(虎御前山は、小谷城攻めの際に織田信長が本陣を敷いたところ。
あまりの近さにびっくりです。)



道は番所跡までの区間で、一部雨水により登山道が侵食されている
箇所はありますが、山登りとして考えれば全く問題はありません。





石垣もないため、城跡を感じられるものはなにもありませんが、
随所に丁寧な説明看板があり、山城跡としては非常によく整備
されていると思います。


丁寧な説明板や解説が随所に設置されています。



今日は、風もなく穏やかな秋の空が広がり気持ちが良かった。

本丸跡からさらに京極丸を経て大嶽城跡まで行き、清水道や
福寿丸跡から下山すると1日のハイキングとしては丁度よい
距離になると思います。

トイレは上記の歴史資料館にしかありません。
また、尾根末端のシャトルバスステーションからは途中の金吾丸跡
下(番所跡の少し下)までバス(有料)が出ていますし、その
バスに乗ってガイドさんの説明を聞きながら本丸跡まで登ると
歴史的な理解がより深まるかもしれません。

爺が岳東尾根~鹿島槍~赤岩尾根

2018年04月30日 | 登山
今年のゴールデンウィークは山スキー軍団とのスケジュールが合わず、
また、冬の間いろいろな理由で登山をできなかったことから単独で
爺が岳東尾根を登ってきました。そのまま下山しても面白くないので
鹿島槍まで足を延ばして、赤岩尾根を下山。
あまりの雪の少なさに、楽しみは半減してしまいましたが東尾根の
中間部で激しい藪漕ぎを満喫できました。


詳細はいずれレポ作成します。

明神岳主稜~奥穂高岳~西穂高岳 2/2

2016年08月14日 | 登山

【タイム】
ビバーク地点     5時25分
前穂高山頂      5時50分~6時05分
紀美子平       6時25分
奥穂高山頂      7時40分~8時
ジャンダルム     8時55分~9時10分
天狗のコル     10時05分~10時25分
西穂高山頂     12時20分~12時35分
西穂独標      13時15分
西穂山荘      13時50分~14時
田代橋       15時25分




昨夜はよく眠れませんでした。何度も目が覚めてしまい寝不足気味です。
緊張していたのかもしれません。
3時半に起きて、5時半に出発。雲海がものすごくきれいで、今日は天気が良くなりそうな感じです。


朝の雲海(西穂方面)


今日はいい天気になりそうです


明神岳(昨日もこれくらい晴れていたら良かったのに)


前穂に向けてガレた斜面を登ります。なんとなく踏み跡はあるのですが、途中で2度ほど踏み跡を
見失ってしまい、結構しょっぱい登りを強いられました。それでも特に問題はなく山頂へ到着。
時間が早いので誰もいない山頂を独り占め出来ました。


前穂高岳山頂


奥穂高岳(前穂山頂より)


西穂高岳方面(紀美子平より)


奥穂高岳(吊り尾根より)



雲ひとつなく360度の大展望でした。昨日、山頂の手前で泊まっておいてよかった。
ずっととどまっていたかったけれど、今日は先の行程が長いので名残惜しい気持ちを振り払って
出発しました。

そして、ここから見る奥穂への登りは、あれっ!吊り尾根ってこんなに急な登りだったっけ?と
思うくらい、急で長い登りが続いていました。

最初から飛ばしてしまうとばててしまうので慌てずゆっくり登ります。
途中で、昔安藤さんと登った奥穂南鐐がよく見えて懐かしく感じました。あの時は辛かった~。

重太郎新道を下っていく人とのすれ違いが増えてきて、思うようなペースで進めません。

ふぅ~、っと息を吐いて着いた奥穂山頂には大勢の人がいました。写真を撮り、ここでも十分に
展望を楽しみました。何度来ても奥穂山頂からの景色は素晴らしい!楽しみすぎて予定時間を
オーバーしてしまいました。


槍ヶ岳


笠ヶ岳


ジャンダルム



さて、ここからが今日の核心部です。今回の山行で楽しみのひとつであるジャンダルムに登れる
ことがすごく楽しみみです。
最初は馬の背。15年前に来たときは、まさに馬乗りになって通過した記憶がありましたが
今回は下りのため、怖さが増しています。こんな道を一般登山道として良いのか?
今回の山行で一番怖かったのがここの通過でした。


ジャンダルムへの稜線①


ジャンダルムへの稜線②

その後もかなり厳しい数回のアップダウンを経てジャンダルムへ到着。堂々と聳え立つその姿は
圧倒的な存在感を放っています。カッコいい!


ジャンダルム


ジャンダルムには西側から簡単に登ることができます。
上は意外に広く、ここからの展望も素晴らしかった。


ジャンダルムから奥穂


念願のジャンダルム登頂を果たしたので、後は西穂山荘までがつがつと歩きます。
ここから天狗のコルまでの下りは非常に長く足場も悪いので体力を使います。
7年ほど前に安藤さんとコブ尾根を登った後、疲れた体を引きずるようにして下った時の方が
短く感じました。
天狗のコルに着いたときは予想以上に足にきていた。ちょっと飛ばしすぎたかも。


西穂へ続く稜線


ジャンダルム~天狗のコルへ


天狗のコルに建つ立派な道標



天狗のコルには長野県の遭難対策協議会の隊員が2人待機していました。2人とも良く日に
焼けてかっこよかった。
十分に休憩してから、最後の長い登りにかかります。

最初は、ほぼ垂直の長い鎖場。鎖をつかまずに登ったまでは良かったのですが、最後の所で
鎖をくぐろうとしたときにザックが引っかかってしまい警備隊の人に鎖を跨ぐようアドバイスを
受けてしまいました。恥ずかしぃ。

この先で、ザレた下りを下りていくときに踏み跡を見失ってしまい、結構下の方まで下って
しまいました。さすがにこれはおかしいと感じて登り返すと途中にトラバースする踏み跡を
見つけました。ガレ場の下りは要注意だな。

一番最初のピークである天狗岳までは比較的早く着きました。ところがその次の間の岳までが
長かったなぁ。足がかなり疲れてきていたので踏ん張りがききません。なので下りは転ばない
ように注意して非常に疲れる。登りは体力的にはきついけれど精神的な不安はない。

がぁーっと下ってから、へとへとの1歩手前くらいまで頑張って間の岳に到着。
この辺りは浮石が多く、油断しているとすっ転んでしまいそうです。登りでも掴んだホールドが
グラグラしてドキッとすることが何度かありました。

赤岩岳までの下りと登りで相当体力を使いました。
赤岩岳へのコルを少し登ったあたりから振り返った間の岳の眺めはほれぼれする様な迫力ある
眺めでした。


天狗の頭(?)


これも天狗の頭かな?


これが間ノ岳かも?



やっとの思いで赤岩岳に着きました。
ここまで来ると西穂の山頂がはっきり見えてくるため、疲れた体に再び元気がわいてくるような
感じがします。最後の力を振り絞って下り、そして登る。

やったぁ!西穂山頂だぁ。


※以下は山行後4か月を経過した今となっては正確な山名が分からなくなってしまった
 写真たちです。分かる方はご連絡ください。





















そして西穂山頂

ここまで来れば今までよりはだいぶ安心して歩けます。もうそんなに神経や体力を使う所は
ありません。
ここでとっておきのフルーツを食べ、少し長めに体を休めました。

このころからガスがわきはじめてしまい、展望が無くなりました。残念。
しかし、ここまで持ってくれただけでも良かった。


西穂4峰への登り


西穂山荘への最後の下り


西穂山荘に到着



後は粘り強く下り、西穂山荘に到着。
最初は、ここでビールを飲んでテントを張り、明日は焼岳まで歩くつもりでしたが、
明日は朝から雨の予報となっているため、今日中に上高地まで下山することにしました。
ゆっくりすればするほど動くのが嫌になるので休憩はほんの10分ほどにしました。

西穂山荘の標高は2367m。上高地の標高は約1500m。標高差800mを一気に
下ります。コースタイムは2時間30分ですが目標は1時間30分。
時計の表示を標高に合わせ、時々ちらっと眼をやりながら私としてはゆっくり下ります。
足が限界に近いため、駆け降りることができません。途中で3回も立ち止まってしまい
ました。

とてもありがたかったのは、登山道がとてもよく整備されていたためにとても
歩きやすかったことです。これだけ整備するのは相当な努力だと思いました。

田代橋にかかる手前の登山道入口まで1時間25分で到着することができました。


思ったより早く家に帰れそうだ・・・。
そう思いながら上高地へ到着。
しかし、目の前に広がっていたのは沢渡行きのバスを待つ大行列でした。

バス待ちの行列に並ぶこと1時間。
無事に山行は終わりました。


明神岳主稜~奥穂高岳~西穂高岳 1/2

2016年08月13日 | 登山

【日程】
 2016年8月13日~14日

【行程】
 1日目 上高地~岳沢~明神岳Ⅴ峰~主峰~前穂高岳山頂手前(テント泊)
 2日目 前穂高岳山頂手前~前穂高岳~奥穂高岳~ジャンダルム~天狗岳~西穂高岳~西穂高山荘~上高地

【メンバー】
 単独

【タイム】
上高地      6時20分
7番標識     7時10分~ 7時15分
稜線       9時30分
5峰下      9時50分~10時
5峰      10時25分~10時35分
4峰?     11時15分 
3峰下?    11時20分~11時35分
2峰      12時10分
1峰下     12時35分~12時45分
1峰      13時~13時15分
懸垂地点    13時40分~14時
ビバーク地点  14時50分




今回は明神岳主稜を抜けて前穂~奥穂~西穂~上高地を2日間で歩いてきました。
久しぶりの「ちゃんとした」登山だった。
予定では3日かけて焼岳まで歩くつもりでしたが最終日が朝から雨の予報になって
しまったので2日間で降りてしまいました。


寝不足で不安もありましたが、深夜に沢渡の駐車場について1時間ほど眠ったら
とてもすっきりしました。
上高地行きの始発バスは4時40分でしたがそんなに慌てなくても大丈夫だろうと
思い、5時20分のバスに乗りました。

上高地で5リットルの水を補給しました。それ以外に2リットルのペットボトルと
アクエリアスを持ったので合計8リットル。これだけあれば2日間は持つでしょう。
(結局、1日目の朝から2日目の下山するまででこの8リットルをちょうど
使い切りました。)
今回の装備は60mのロープにギアが少々で約15キロ。水を加えて23キロと
いうことになります。
荷がズシリと肩に食い込みます。今回は水もたくさん持っているし、寝不足だし
稜線に出るまでは大変な急登らしいので、とにかくゆっくりとスローペースを
心掛けます。


河童橋を渡り右岸へ。見上げる山稜の上部はガスに覆われて穂高は全然見えません。
明神岳主稜への登り口となる岳沢登山口の7番標識で少し休憩してから登山道を
逸れていよいよ明神岳へ。
ひたすら樹林帯の登りを登り続けます。北鎌のP2への登りみたいな感じです。
危険なところはまったくないので北鎌よりは登りやすいかな。
所々に下山用につけられたと思われる赤いペンキやテープをもありました。
トラロープが張ってある岩場っぽいところを過ぎるとようやく展望が開け、
上高地が見えた時は嬉しかった。


明神岳山頂はガスに覆われています


お馴染みの7番標識


登り始めはこんな感じです。


上部岩場とトラロープ


稜線に出てⅤ峰下部


5峰の手前でもう一度休憩してから5峰に取り付きます。
下から見ていたときはどこを登るのかと思っていましたが正面のガレ場の
左側を登り、上部でいったん右へトラバース気味に行くとそのまま古い
ピッケルの刺さった5峰の頂上へ到着しました。
(頂上から見下ろしてみると、私の登ったルートより下から見てもっと左手
を登ると頂上の少し手前でそのまま4峰へ抜けられるようです。)


ピッケルの刺さるⅤ峰山頂


振り返ってⅤ峰


ガスで先の様子が全く分からないけれど、どうやら近くにうっすらと見えるのが
4峰らしい。
少し下りてから登り返して多分4峰。
このコースの一番の楽しみである展望がまったくなくなってしまったのは
誠に残念です。しかもこの先のコースがわからなくなるのではないかと不安です。


Ⅳ峰

4峰からは少し下りたところが3・4峰の鞍部。3峰を写真に収めたかったので
しばらく粘り、ガスの流れた一瞬のすきを狙って上手に写真を撮れました。
3峰は直登もできるらしいけれど、今日は視界が悪いので安全を期してトラバース
していきます。

ネットで見たレポによるとこのトラバースが分かりづらいらしい。
確かに鞍部の先でリッジを超えて下の方へ伸びる踏跡があるけれど、それを下りて
しまうとガレ場になってしまった。ということはもう少し上かと見当をつけて
浮石の多い岩場とハイ松のミックスしたところを強引に登っていくと正しい
ルートに戻ることができました。
リッジを超えたらそのまま下がらないように同じ高さでトラバースしていくのが
正解のようです。(直登ルートはリッジから少し上がったバンドを辿って
いくようですが未確認です。)


Ⅲ峰のトラバース


3峰を過ぎて2峰の登りにかかります。
ゆっくり慌てずに登っていくと目の前に突然多くのスリングやロープがかけられた
場所に出ました。明神槍と呼ばれている2峰のピークです。
ここから鞍部までは懸垂することになっているようです。

ザックを下してロープを出しますが久しぶりのロープ作業なので直ぐに絡まって
しまいました。ようやくほどいてエイト環をセットし、ロープを投げ下しますが
すぐ下で引っかかってしまいました。
後続の人がいないから良いもののちょっと焦りました。
3度目でようやく投げ下すことができました。

しかしながら、荷が軽ければクライムダウンでも十分下りられそうです。

途中のテラスで一旦ロープを回収し、左手に10mほど進むと2番目の懸垂支点が
ありました。今度は懸垂でなければ降りられないような斜面でした。
2度目とあって今回はスムーズに下降することができました。

下に降りてから見上げてみると、下のピッチは私にはとても登れそうにありません。
暫く眺めていましたがひとりでこんな場所にぶち当たったら撤退しかないだろうなと
思いました。


Ⅱ峰の懸垂下降支点


懸垂下降支点から下を見る


途中の支点(登りの時に使うものと思われます)


下の支点


下の支点から下降ルートを見る


Ⅱ峰懸垂全貌(縦横変換が出来なくなってしまいました。)



Ⅱ峰を振り返って





相変わらずのガスの中をひと登りで1峰(明神岳)に到着しました。(13時)
まさか1日でここまで来られるとは思っていなかったので安心しました。
ガスで視界はゼロ。来年あたり登ろうと思っている明神岳東稜はまったく見えません
でした。
山頂には立派なテント場がありましたが、時間も早く、ここまで来たら奥明神沢の
コル辺りまで行ってしまいたかったので、先へ進みます。


明神岳間近

山頂から稜線伝いを進みますが、一か所悪いところがあり、ここもどうやら岳沢側へ
少し下りてからトラバースするように進むのが正しいようです。


山頂の先の稜線



その後しばらくは明瞭な踏み跡をたどると最後の懸垂ポイントへ到着します。
ここへ懸垂をしなくても下りられそうですが安全を期して3度目の懸垂をします。
回を重ねるごとに要領がよくなり、スムーズに下降します。
しかし、60mのロープいっぱい(つまり30m)で降り立ったところは
少し不安定な斜面でした。
セルフを取ってロープを回収。この場所から奥明神沢のコルまでの20m程が
かなり悪く、触る岩がすべてグラグラ動くような状態なので緊張をしました。


最後の懸垂ポイント(それほど急には見えません)


懸垂後のシビアなトラバース

そしてコルへ到着。。。

げっ!テント張る場所なんてないじゃん。
悩んでいても仕方がないので、前穂の山頂まで行ってテントを張ることにしました。

この場所から先が厳しかった~。
ガスで視界が悪いため、途中で踏み跡を見失ってしまいグラグラする岩の上を
慎重に越えたりしながら少し上の方に上がると、運良く正しい踏み跡に合流しました。
ちょっとドキドキしていたので戻れた時はほっとしました。

暫く安定した道の先になんとかテントを1張張れそうなスペースを見つけて、今日は
ここまでとしました。(2880m地点。前穂山頂までの直線距離は250m)


今宵の宿


途中でガスが少し薄くなった時に前穂山頂の標識らしきものが見えました。
ここから40分位かな~という感じでした。

水分消費量  水   約2L+ポカリ0.5L
       料理他 1.2L
       合計  3.7L

夕方、山テンの天気予報を確認すると明後日は朝から雨が降ってしまうとの予報が
でていました。
水がまだたくさんあるので、明日は奥穂山荘には寄らずに奥穂~西穂の小屋経由で
上高地まで下山することにしました。