毎年、丹沢の沢を単独で登ることにしており、今回も表丹沢の初級コースで
ある水無川本谷を遡行してきました。なかなか日程の調整がつかなかった
けれど例年にない暑さに音を上げて無理やり決行しました。
入渓は昨年の源次郎沢と同じ戸沢出合からです。いつものことながら
アプローチの荒れた林道にひやひやしながらバイクで奥まで入ります。
戸沢出合で沢支度を済ませ、書策新道を5分ほど登り堰堤のある本谷に出たら
そのまま水流沿いに進みます。最初、間違って天神尾根を登ってしまいいきなり
15分のロス。戻って進路を確認してから進みます。慌ててはいけません。
本流を進み、その先の堰堤は右岸の登山道から巻くこともできますが左側に
手作りのアブミがあり、これを腕力で越えます。
最初に現れるF1(10m)は左側に鎖がぶら下がっていますが鎖には
頼らなくても登れます。
滝には「F○(番号)」と書かれたプレートがついているので間違うことは
ありません。
F1
滝を登るとすぐ右手にセドノ沢を分けしばらくして現れるのがF2(5m)です。
ここも左側に立派な鎖がついており簡単に登れそうですが、最新のトポ
(東京起点沢登りルート120:山と渓谷社→2010年7月発行)には
「滑っているので右から登った方がよい」と書かれていたので右から小さく
巻くように登りますが上のほうで少しもたついてしまいました。
F2
暫くは大きな滝もなくゴロゴロと岩の転がる歩きづらい状態が続きます。
そして恐らく今日最大のポイントになるであろうF3(8m)が現れました。
ちょうど先行パーティーのトップが高巻きから落口に現れたところでした。
右岸からの高巻きも結構苦労しているようでしたが私は高巻くつもりが
全くなかったので念入りにルートの確認をします。
F3
右から上がってから落口の方へまっすぐトラバースをするようですが
トラバースの部分がちょっときわどい感じです。但し、途中にいくつか
ハーケンが見えるのでスリングでセルフビレイを取りながら行けるところまで
行ってみて、ダメなら無理せずに下りてこようと思いました。
最初は簡単に上がれ、下から見たとおりトラバースの部分がかなりいやらしく、
ほんの1m程ですが手がかりが乏しいのでかなりの思い切りが必要です。
残地ハーケンにスリングを掛けながら何とか無事に超えることが出来ました。
ここをフリーで越えるのは今の私にはちょっと無理だと思いました。
F4
F3の上はすぐに書策新道です。この書策新道は本当にちゃんと歩けるのか?
といつも疑問に思います。
それくらい荒れているように感じました。
先行パーティーが休憩していたので一声掛けて先に行かせてもらいます。
2つほど小さな滝を越えると左から1:1くらいの沢が合流します。
合流点の左手には → と表示された小さな看板がぶら下がっており、
私はてっきりこれが沖の源次郎沢だと思いそのまままっすぐ登っていきました。
ところが実際は私が登っていったのは木ノ又大日沢で左へ曲がっていったのが
目指す本谷でした。
このときは気付かずに、人の気配が消え、おかしいなと感じながらもそのまま
15分ほども登り続け「F○」の看板がない5m程の滝が現れるに到って
「完璧に間違えたぁ」と観念しました。やむなく先ほどの矢印のついた出合まで
戻り、まさかと思いながらも矢印の方へ進んでみるとすぐに「水無川本谷F6」
と書かれた滝が現れました。沢登りでのルート選択を正確に行うことの難しさを
痛感しました。
F6はチョックストーン滝で岩の右側に下がる残置スリングにつかまって腕力で
強引に体を引き上げました。ここも残置なしではムリだと感じました。
F6
10分程荒れた渓相を歩くと、金冷シ沢を1:1で分けます。この分岐には
立派な看板がついているので間違う心配はありません。分岐を右に入り、
小滝を越え、まもなくすると水無川本谷で最大のF8(3段30m)に着きます。
F8
F8は見た目にも全く登れそうにありません。写真だけ撮ってさっさと左岸の
巻き道を登ります。草付と岩場の交じる巻き道は意外と悪く、今日一番の難所だと
感じました。落ち口と同じ高さまで登り滝の右側のルンゼを10m程登ると
ロープが張ってあり、そこから左側へ踏み跡をたどると本谷へ戻ることが出来ます。
この巻き道は特にトラバースの辺りで足場が悪く緊張しました。
さらにいくつかの小滝を越え、左右から何度か支沢が合流してきますが
いずれも水量の多い方を選んで登ります。その先に最後のF9(7m)が
見えてきます。
F9
トボには「F9は脆いので巻いたほうが良い」と書いてあります。
高さがそれ程ある訳でもなくホールド・スタンスも十分ありそうな感じですが、
実際に取り付いてみると逆層でヌルヌル、おまけに岩が脆く手にするホールドは
すべてボロボロと剥がれてしまいます。こりゃダメだとあっさり諦め左岸を
巻きました。
この先ですぐに水が枯れ、まもなく壊れた堰堤を越えます。
目の前にガレ沢が大きく広がったら適当なところで左側の尾根に入ります。
詰めのガレ
中途半端に斜面を行くよりもしっかりと尾根に乗るかやや越え気味に
歩いた方が良いようです。
尾根の詰めが意外と長く、30分ほど大汗をかきながら登ると顕著な踏み跡が
現れ、すぐにひょっこりと登山道へ出ます。
登山道を3分ほど歩けば塔ノ岳へ到着。
山頂で昼食を兼ね、20分ほど休憩しました。
下山は昨年遡行した源次郎沢を下ることにしましていたので大倉尾根を
花立山荘まで下り、登山道左手にあるトイレの裏から斜面を下ります。
なかなか水が現れずF9を懸垂で下り、さらにぐんぐん進みます。
F6も懸垂、F5は高巻き道を通り抜けました。昨年の遡行時より水量が
大幅に少ない気がするのは酷暑で雨が少ないからでしょうか。
下降は予想外に時間がかかりましたが安全に下山。
疲れたけれど水無川本谷はとても楽しく、私のような初心者には非常に
お奨めの沢でした。
ルートファインディングは今後の課題だなぁ。