作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv71343/
以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。
=====ここから。
離婚した元夫と旅行中の6歳の息子イバンから、パパが戻ってこないという電話がエレナ(マルタ・ニエト)にかかってくる。フランスの海辺からの電話が息子の声を聞いた最後となり、息子は行方知れずになってしまった。
それから10年後、海辺のレストランで働くエレナだったが、その場所で失踪事件のことを知らない者はいなかった。
ある日エレナはフランス人の少年ジャン(ジュール・ポリエ)と出会う。ジャンにはイバンの面影があり、ジャンはエレナを慕って彼女の元を頻繁に訪れるようになっていった。しかしそんな二人の関係は周囲に戸惑いと混乱の波紋を広げていき……。
=====ここまで。
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またまたコロナの感染者数が急増していますねぇ。この三連休はポーランド映画祭に通う予定だったけれど、やめました。実際、劇場が混んでいたかどうか分からないけど、これだけ増えているということは、無症状の潜在感染者数はその数倍はいるだろうと思われ、医療現場が大変なことになっていると医師会のオジサンの嘆き節を聞いていたら、とてもじゃないけど、行く気が失せました。
しかし、ニュース映像で見た連休初日の空港や駅や観光地の人混み、、、。正直なところ、来月から年末年始にかけてが怖ろしい。この惨状に、ようやく政府はGOTOキャンペーンの見直しに舵を切るようだが、経済を停滞させたくないのなら、きちんと検査体制&医療体制を整えるのが必須だろうに、コロナが蔓延してからもうすぐ1年だってのに、いまだに体制づくりは無策のままで、今さら「国民の命を守るため」とか、どの面下げて、、、って感じなんだが、ハナからスガなんぞには期待もしていないから想定内といえば想定内。これで支持率60%近くあるって、一体どなたが支持していらっしゃるのかしら。
……とまあ、グチはこれくらいにして。
この映画、予告編を何度も見せられていたので、何となく見ておこうかな、、、という感じで見に行った次第。サービスデーだってのに、200人は入る劇場に、私を含めて恐らく20人も入っていなかったんじゃないかしらん。密を避けるにはいいけど、劇場運営が心配、、、。
◆10年前の謎は謎のまま。
本作の冒頭15分くらいの導入部が短編として2017年に発表され、その後に続く物語は、短編が公開されて2年後に制作・公開されたというもの。短編がいろんな賞を受けるほど評価が高かったらしく、監督がその後の物語を作りたくなったんだとか。
で、見る人は、冒頭の15分で起きた話が、10年後にどう展開するかが気になるのだけれども、ストーリー的には息子イバンがどうなったのかは分からないまま。実際、エレナ自身も分からないみたいなんだが。イバンの件について、真相が明らかには、最後までならない。
この、“どうなったか分からない”という状況って、人間にとってはものすごく嫌な状況よね。ましてや、自分の息子がいなくなって、行方が杳として知れない、、、なんてのは、想像を絶する。いっそ、亡くなったとハッキリ分かった方が、遺された者にとって、精神衛生上まだマシだろう。
10年後のエレナには、恋人ヨセバもいて、一見、どうにかマトモに暮らしている様に見えるが、当然ながら、全然エレナはマトモな精神状態ではない。そりゃそうでしょう。何がどうなったのか分からないまま、、、多分もうイバンは生きていないだろう、と思いながら、イバンがいなくなった海岸を毎日見ながら過ごしているのだ。10年なんて、彼女にとっては、心の整理をするには短すぎる時間でしょう。
このヨセバが、なかなか出来た人で、イイ男(中身が)なんである。でも、いくらイイ男が側にいようが、エレナの精神状態を良い方に向かわせる助けには全然ならないのだよね。
ネットで感想を拾い読みしたんだけど、“ヨセバと一緒に暮らせば幸せになれるのに。子どもにも恵まれるかも知れないし”……みたいなことを書いている人がいて、なんだかなぁ、、、と思ってしまった。確かに、私も、ヨセバとだったらエレナも幸せになれるかもね、、、と見ていて思ったが、エレナがそう思えないんだからしょーがない。それに、子どもに恵まれるとか、そういうことじゃないだろう、エレナの本質的な苦しみは。イバンがいなくなったこと、が全てなんだから。他に子どもが出来るとか出来ないとか、関係ないんじゃない?
問題は、エレナが、イバンの“おもかげ”を持つ少年ジャンと、色々と交流を持つこと。エレナのジャンへの接し方が、私にはちょっと理解できなかった。最初は、イバンに似ている、、、というところから、ジャンの後を付けてしまうんだが、マセガキのジャンは、事情を知らずに年上女性に興味を抱いてエレナに積極的に近付いてくる。私がエレナなら、「いなくなった息子に似ているから後付けちゃった、ゴメン」と言って、それ以上の関わりを持とうとは思わない。でも、エレナはジャンを自宅に招いたり、一緒に食事したり、夜の海岸で泳いだり、、、と、ジャンとの関わりを続ける。でも、ジャンをイバンの代わりに……という風でもないんだよね、これが。かと言って、恋愛対象として見ている風でもない。その辺、エレナ自身も曖昧なのかも知れない。
……と思って終盤まで見ていたもんだから、ラスト近くで、車の中でジャンとエレナがキスして抱擁するに至って、はぁ?となり、ラストシーンは、元夫ラモンに電話をして「話せる?」と言うところで終わって、ますます、はぁぁ???となって、帰路は悶々と考えてしまうことになってしまった、、、。
◆ふと、、、ある瞬間に。
エレナは中盤で、10年前にイバンを置き去りにした元夫ラモンと再会し、ラモンが現在再婚して8か月の子どもがいると知ると、「あんたは私の宝物を奪った役立たずのくせに! 二度と近付くな、近付いたら本気で破滅させてやる!」(セリフ正確じゃありません)とか激昂するんだけれど、確かに、そこまで言わんでも、、、とは思うが、言いたくなる気持ちもよく分かるのよね。だって、お前が目を離さなければ、イバンが行方不明になることはなかったんだから、、、って思わないわけないもんね。そんなヤツが、また、誰かと結婚して人の親になろうだなんて、図々しい恥知らずの人でナシ!、、、って、私なら絶対思うし、言わずにいられないに決まっている。
で、そんなラモンに、ラストシーンで電話をかけて対話をしようと試みる、、、つまり、エレナはラモンを許す気になったってこと? 何故? ということなんだが。
ジャンとキスして(もしかするとその先まであったのかも知れん)一線を越えたことで、ジャンに対する“曖昧な感覚が吹っ切れて、“ちゃんと現実(イバンの行方不明事件)に向き合おう”と思えるようになった、、、ってことなのかしらん。……と思うに至った。
きっと、エレナは、どこかでイバンはまだ生きていると漠然と信じたい思いがあったんだが、ジャンに出会って、ジャンと一線を越えたことで、そういう自分のモヤモヤした気持ちがクリアになった、ジャンは(当たり前だが)イバンじゃない、イバンはもういない(=死んでいる)と腑に落ちたのかな、と。
そういう感覚が、急にふっと降りてくる、、、というのは、すごくよく分かる。私も、何年も引きずる辛いことがあったけれど、ある日、ふと「……あ、私、もう大丈夫かも」と思った瞬間があって、その情景は今でも鮮明に覚えている。五月晴れの真っ青な空だった。だから、エレナは「もう大丈夫」とまでは思っていなかったかも知れないが、少し心が軽くなったのだと思う。そうなるきっかけって、ホントにささやかでセンシティブなもので、他人から見て理解できるものとは限らない。
……というか、そう解釈しないと、あの終盤からラストはまったく意味が分からない。
でも、エレナがジャンにあんな風に接したのは何故なのか、、、。ムリヤリ解釈すれば、息子のような感覚と、恋人のような感覚と、両方を抱いていたから、ってことですかね。私には、あんなガキに異性を感じること自体が理解を超えているんだけど。いくらマセガキでも、ガキはガキだからなぁ。上でも下でも、年の差恋愛、私にはムリ。
◆その他もろもろ
エレナを演じたマルタ・ニエトというスペイン人の女優さんが、すごくキレイだった。スタイルも抜群で、手足がすんごい長い。ジーンズ脱ぐのも大変そう、、、。
ジャンの少年は、まあ、可愛いっちゃ可愛いけど、もう少し美青年が良かったなぁ。現在公開中の『PLAY 25年分のラストシーン』にも出演しているらしい(見る予定ないけど)。
ジャンの母親レアをアンヌ・コンシニが演じていたんだけど、なんかすごく老けて見えてビックリ。エレナが息子に執着しているのを知って、エレナの店に牽制に来るシーンがあるんだが、そこで、「なんで、スペイン人なのに10年も住んでるの?」とか「お子さんはいるの?」とか「(子どもは)生まない主義?」とかエレナに聞く。これって、イバンの事件を知った上で聞いているのかが、私には分からなかったんだが、、、。どうなんだろう? 知っていて聞いているのだとすれば、あまりにも意地が悪すぎるよなぁ、、、と。いくら息子に近付くなという警告でも、「生まない主義?」はナイだろう、、、と。だったら、ストレートにそう言えば良いのだし、、、。
でも、前述のネットの感想を書いていた方は、これは知っていて聞いていると断定していた。しかも、(同じ母親として)言いたくなる気持ちが分かると。……そういうもんかねぇ?
まあ、こんなことを言っちゃうと身も蓋もないんだが、どうもこの作品は、ものすごく“観念的な”映画だと感じた。つまり、監督や脚本家が“頭で考えた”ストーリーね、ってこと。実感が伴っていない、、、というか。肌感覚がない、、、というか。だから、こういうヘンなオチになっているんじゃないかという気がする。
……と長々書いてきたくせに、ものすごいちゃぶ台返しをしてしまい、失礼しました。
マルタ・ニエトの他の出演作、見たい。
あやふやですね〜、イロイロ。
私は、むしろジョンの方がわかる気がしました。あのくらいの歳の男の子が年上女性に何となく惹かれるって、小説やら映画では割とあるので…。
エレナの言動も終盤までは、理解出来ないなりに、まぁそんなもんなのかな…と思って見ていたので、あのラストはホントに唖然となりました。
「息子を持つ母親は、可能ならば息子の初体験を自分が手助けしてやりたい」って、ウゲゲ…だけど、そっかー! フキンさんの解釈、面白い!
明日以降、コロナがどうなるのか、心配です。早くどっか行け〜!
やっと、この映画のレビューを上げられましたね。(^.^)
私もやっぱり、ジャンとエレナのお互いに対しての想いがいったいどういうものなのかがよくわからなかったです。
エレナの気持ちがわからないというのは、まあそういうもんだろうと思うけど、問題はジャンです。
キスしてましたけど・・・あのあと、やったんですかね??
あやふやにしてましたけど、この映画あやふやが多すぎます!!
結局、短編ありきのその続きを作ったんでしょうけど、すねこすりさんのおっしゃる肌感覚!!!
それを表現するのは至難の業ですよね・・・。
でも、あまりにリアルすぎてもこの映画のイメージが変わる気もするし…
やっぱ、あやふやを選ぶしかなかったということでしょうかね??
エレナの吹っ切れた感は・・・
息子を持つ母親は、可能ならば息子の初体験を自分が手助けしてやりたい!!とか思うとよく耳にします。(*'▽')
(私は娘なんで、その思いはよく理解できませんが…)
そういう意味でも、一応一人前の男としてに女(自分)を愛する息子の面影(ジャンの事)を見たことで、納得した???と、すねこすりさんのレビュー読ませていただき、今はそう感じた私です。(*^^*)