ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

華光軒 @岡山県岡山市

2017年08月31日 | 岡山県

広島での取引先との研修旅行が終わり、翌日は休みを取って1人で岡山で途中下車(むしろここからが本番だという感じ・笑)。岡山駅を出て、予約したホテルにチェックインする前に向かったのは、創業が戦後すぐだという中華料理の「華光軒」。住所を頼りに店に向かうと、駅からすぐのアーケードのある商店街に行き当り、店と店の間のごくごく細い路地の先に赤い小さなテント屋根が見える(写真下左)。この荒れた看板の”通り抜けできます”(読めないが…)の先に店があるのだ。なんだかワクワク。

 

この路地がかなり細く店先の写真が上手く撮れないほど。赤い暖簾をくぐって中に入るとテーブルが2つ、カウンター席が6つ程の予想通り小さな店。優しそうなご高齢の主人と奥さんでやっていらっしゃる。外れた時間ではあったが先客は2組ほど。カウンターに座り、沢山のメニューから迷うことなく注文したのは「じゃじゃめん」。こちらの名物メニューだそうで、辛いもの好きにも人気がある岡山市民のソウルフードのひとつだとか。事前情報によると辛さを決める時に味見もあったりするそうだが、だいたい見当を付けて「2辛」でお願いしたらすんなりと注文が通った。大きな中華鍋に「じゃじゃめん」の餡がふつふつと煮立っている。しばらくして「じゃじゃめん」が登場。

とろみのついた餡が全面を覆い尽くしていて赤い。用心しながら餡を口に運ぶが、心配するほどのことはないじんわりとくる辛さ。箸で下から麺を返して混ぜる。汁気はなく軟らかめの麺の上に餡だけがかかっているのでボテっとしていて、麺は絡まる餡と共に持ち上がってくる感じ。しっかり熱いのでフーフー言いながら口に運ぶ。もやしと刻んだきゅうりがいい食感になっていて旨い。だんだん辛さがやってきてじわじわと汗が。この餡の辛さと旨味がクセになる気持ち、分かるなァ。頼めばもっと辛くもしてくれるようだ。主人の物腰も柔らかいし、奥さんはすぐにコップの水を足してくれ、とてもいい雰囲気。こんな店に「ヤァ」って入れるくらい通いたいなァ。他のメニューも旨そうだったが、ここで終わってしまう訳にはいかないので、綺麗に平らげて店を後にした。(勘定は¥800)

 


 

↓ 路面電車(岡山電気軌道)で「城下駅」まで行き、ずっと見てみたかった「岡山禁酒會館」(大正12年・1923・建造 ※登録有形文化財)へ。木造3階のこんな建物が空襲を逃れることが出来たなんて…。

 

 

↓ 大正の不況時に酒に溺れる人を救うために起こった”禁酒運動”の拠点となった特異な建物。1階はキリスト教系の店とカフェになっていた。中に入ってみればよかったナとちょっと後悔。

 

 


 

華光軒

岡山県岡山市北区駅前町1-1-11

 

( 岡山 おかやま かこうけん 炸醤麺 ジャージャー麺 じゃじゃ麺 ジャージアンミエン 中華料理 中国料理 老舗 岡電 岡山市電 近代建築 国登録有形文化財 禁酒会館 )

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一億 (3) @岐阜県加茂郡坂祝町

2017年08月30日 | 岐阜県(中濃)

しょっちゅう訪問しているのであまり記事にはしていない坂祝(さかほぎ)町の焼肉屋「一億」。自分の記事に焼肉屋が少ないのは、ここばかり行っているからかも。ある祝日に訪問すると早い時間から駐車場がほとんど埋まる盛況ぶり。店に入ってみると奥の座敷席までいっぱいだった。一応出発前に電話を入れておいたのですぐに案内される(ヨカッタ)。この日は息子のリクエストだったので好きな物を頼ませようとしたが、奴はいくつになってもいつも同じ「カルビ」と「ウインナー」と「ご飯(大)」と「ごま油塩きゅうり」というワンパターンを繰り返すのみ。仕方がないので嫁と一緒に適当に注文を入れ、「どて煮」と、冷蔵庫から自分で「大根のキムチ」を取り出して瓶ビールのつまみにする。

この日いただいたのは、「かも塩」「とんちゃん」「きも」「こぶくろ」「ねぎ」「エリンギ」など。こちらのホルモン系の素材の鮮度は折り紙付き。あいかわらず唸るほど旨い。この日初めて食べた「かも塩」も良かった。こちらで使うタレはサラッとしたタイプ。肉の鮮度がいいのでこれぐらいのタレで充分。以前はラーメン丼ぶり大のご飯(大)に四苦八苦していた息子も、大きくなるにつれ普通に完食するようになった。本当はもっとゆっくり酒を呑みたいが、家族の食事が終わってしまうとそうもいかなくなる。ま、小上がり席だと姿勢が腹部を圧迫するせいか(特にビールは)意外と呑めないのでこれくらいがちょうどいいのだろう。もうそろそろ他所の焼肉屋を開拓したいのだが…。(¥8,000程)

以前の記事はこちら (1)(2

この後の記事はこちら (4

 


 

↓ 「坂祝駅」(大正10年・1921・建造)。外壁の状態からすると一部改修してあるようす。現在は無人駅だが、のんびりとした旧国鉄の駅舎らしい建物だ。

 

 


 

焼肉 一億

岐阜県加茂郡坂祝町取組46-90

 

( 岐阜 ぎふ 坂祝 さかほぎ いちおく 焼き肉 やきにく ホルモン とんちゃん 近代建築 坂祝駅 国鉄坂祝駅 )

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Ska Madness! / Various Artists

2017年08月29日 | レゲエ・スカ

Ska Madness! / Various Artists (2010)

1970年代の後半にイギリスで一世を風靡したスペシャルズ(The Specials)やマッドネス(Madness)、ビート(The Beat)らに代表される2トーン・スカ。そうした面々がカヴァーしたレゲエやスカの元曲を集めたコンピレーションCD。副題も「20 Reggae Classics Which Inspired The Two Tone Revolution」と謳われている。カヴァーの元曲を探して聴くのが昔から大好きなので、こういう便利な編集盤はありがたい。とは言ってもここに収められている曲は有名曲ばかりなので何らかの形で既に聴いたことがあるものばかり。でも流して聴くにはもってこいのゴキゲンなCDだ。収録曲とアーティストは以下の通り(カッコ内はカヴァーしたアーティスト)。

01 Rudy, A Message To You - Dandy Livingstone (The Specials)     
02 Long Shot Kick De Bucket - The Pioneers (The Specials) 
03 (People Get Ready) Let's Do Rocksteady - Dandy (The Bodysnatchers)  
04 Jackpot - The Pioneers (The Beat)   
05 Carry Go Bring Come - Justin Hinds & The Dominoes (The Selecter)  
06 Skinhead Moonstomp - Symarip (The Specials)   
07 My Boy Lollipop (Rhythm From My Collie) - Millie (Bad Manners)
08 Rough Rider - Lloydie & The Lowbites  (The Beat)  
09 Monkey Man - The Maytals (The Specials)    
10 Liquidator - Harry J. All Stars (The Specials)    
11 Too Experimental - Jackie Edwards (The Bodysnatchers)   
12 Starvation - The Pioneers (Starvation)   
13 007 (Shanty Town) - Desmond Dekker & The Aces (The Bodysnatchers)  
14 Sea Cruise - Jackie Edwards (Rico)    
15 Time Hard (aka Every Day) - The Pioneers (The Selecter)   
16 Train To Skaville - The Ethiopians (The Selecter)   
17 Fattie Fattie - Clancy Eccles (Bad Manners)    
18 Can't Get Used To Losing You - Danny Ray (The Beat)   
19 Elizabethan Reggae - Boris Gardiner & The Love People (Bad Manners)   
20 Enjoy Yourself - Guy Lombardo (The Specials)

こうして聴くと、2トーン・スカのバンドはスピードこそアップしているものの、ほとんどがそのまんまコピーだったことが分かる。それでもあのクールなファッションに包まれた若い連中が、白人黒人混成バンドでムーヴメントを作ったのは痛快だった。嬉しかったのが12の「Starvation」が収録されていること。この曲はあのバンド・エイド時代に2トーンやUB40の連中が中心となって作られたチャリティー・シングル(写真下)で、はっきり言うと二番煎じであまり一般的な話題までにはならなかったと記憶するが、自分はしっかり12インチ・シングルを買って愛聴したので思い出深い曲だ。

amazonにて購入(¥375)

  • CD (2010/2/4)
  • Disc : 1
  • Format: CD, Import
  • Label : Ume Imports
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トップフルーツ八百文 @名古屋市瑞穂区・桜山

2017年08月29日 | 名古屋(昭和区・瑞穂区)

娘の用事に足として使われ、朝も早よから名古屋市の東部で途方に暮れる。朝食は済ませていなかったのでどこかで、と思っても普段モーニング・サービスはほとんど利用しないのでどこに行ったらいいか全然分からない。おまけに休日なので休みの店も多いだろう。かといって自分にはコンビニやファミレスという選択肢は全然無い。車を空いた道路の脇に寄せ、スマホを使って検索していたら”果物屋のモーニング”というのが引っ掛かった。そこがここ桜山の「トップフルーツ八百文」。近くの駐車場に車を停めて店の前まで歩いていくと…なんと大行列。時間はまだ朝の8時…。名前を書いて待つようになっていたのでとりあえず書き入れて待つ。普通ならなるべく行列は避けるのだが、この時間では他に行くあてもない。

店の方からフルーツの素晴らしい香りが漂う中、きっちり30分程待ってようやく店の中へ。店はごく普通の果物屋の隅にカウンターとテーブル席が2つある狭いスペースだが、かなり雑然としたカウンター周りが余計に狭く感じさせる(もう少し片付けようか・苦笑)。その中に店員は主人と(派手な帽子の)女将さんを含めて5人程。ここで好きなフルーツ・ジュースを注文するとモーニング・サービスが受けられるという仕組み(かき氷やパフェは昼近くになってからしか頼めない)。いろんなフルーツ・ジュースがあって迷ったが、旬の「白桃」を選んだ。しばらくして白桃のジュースとプレートが運ばれる。プレートにはカットされた苺、オレンジ、グレープフルーツ、バナナ、メロン、スイカ、トマト、それにゆで玉子、ジャムののったトースト、と盛り沢山。量は多くないが色々なフルーツが味わえて楽しい。肝心の白桃ジュースは意外と甘味が弱く今ひとつの満足度だったが、なかなか面白い朝食になった。次はかき氷かパフェを食べたいな(でもこのカウンターではちょっと…)。(勘定は¥580)

 トップフルーツ八百文

愛知県名古屋市瑞穂区汐路町1-5

 

( 名古屋 なごや 桜山 さくらやま 瑞穂区役所 やおぶん 八百文 フルーツショップ フルーツの匠 フルーツアドバイザー かき氷 フルーツパフェ モーニングサービス )

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呉ハイカラ食堂 @広島県呉市

2017年08月28日 | 広島県

広島県呉市の「呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)」と「海上自衛隊呉資料館(てつのくじら館)」を見学する。その際に昼食で寄ったのが「呉ハイカラ食堂」。レストランはお土産屋を併設しているようなビルの2階にあり、自分達のような観光バスが乗りつけるような所なので、ある程度は予想していたが、やはり団体客席と一般席が分かれていて、団体の自分達が案内されるとテーブルにはすでに食事が一式配膳されていた。後からメニューを調べてみると「海軍定食」なるものだったようだ。「海軍さんの肉じゃが」「呉冷麺」「釜揚げシラス飯」「艦船グルメ・くじらカツ」「茶碗蒸し」といった内容。盛り沢山にはしてあるが、どれも冷めていて正直、お粗末。これならいっそのこと「海事カレー」だけの方が良かったかな(※一般客は普通のレストランと同様、都度調理されているみたい、というかそう願いたい…)。

 


 

↓ 「てつのくじら館」で屋外展示されている「潜水艦あきしお」(1985年就航、2004年退役)。ちょうど一般道路がカーブするところにあるので迫力満点。艦内を見学することが出来る。

 

↓ 近くの「海上自衛隊・呉教育隊」の敷地の端にあった煉瓦造りの「呉教育隊倉庫(海軍海兵団武器庫)」(建築詳細不明)

 


 

呉ハイカラ食堂

広島県呉市宝町4-21 折本マリンビル3号館

 

( 広島 ひろしま 呉 くれ 呉港 海上自衛隊 海自 海自カレー 戦艦大和 日本海軍 大和ミュージアム 鉄のくじら 近代建築 )

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ティダティダ @岐阜県岐阜市

2017年08月27日 | 岐阜県(岐阜)

岐阜市の柳ヶ瀬商店街にあるロイヤル劇場という懐かしの名作映画を上映する映画館が入ったビルの1階にある、沖縄のおやつ「さーたーあんだぎー」などを売る「ティダティダ」。夏にはかき氷も出しているので、ある暑い日の昼下がりに寄ってみた。こちらは店の隣に「ティダティダオトナリ休憩所」と名付けられた小さなスペースがあり、そちらに椅子もテーブルもあるので買ったものをその場でいただくことが出来る。覗いてみると、さすがに暑い日だったので涼を求めてカップルや家族連れが腰を下ろしていた。店頭の黒板に色々な味のシロップが出ていて迷う。「河内晩柑」なんていう聞き慣れない柑橘類のシロップもあって興味が沸いたが、結局選んだのは「すもも」。あの味がどうやってシロップになるのか気になった。注文して休憩所に座っていれば、店の人が持って来てくれる。

しばらくして「お待ちどうさまでした」と、夜店で使うような発砲スチロール容器に盛られたすもものかき氷が届けられた。量は多くないが、鮮やかな赤い蜜がかかって涼しげ。早速スプーンを入れて味わってみる。すももが凝縮されたような蜜が口いっぱいに広がる。爽やかな酸味と甘み。なるほど最近食べてない「すもも」の味を思い出した。甘いのは甘いが控えめで全体としてはかなり酸っぱい。食べ進めていくうちに酸味がかなり舌に残るので、自然な味で旨いが個人的にはもう少し甘いのがいいかな。休憩所には冷房がかかっているので氷はなかなか溶けない。つい休憩所に居座ったが、やっぱり外の暑い(熱い)空気の中で食べないとダメだろうな、こういうものは。出ようとした時に他の客に運ばれたのは期間限定(※)の「ばけごおり」とやら。「うっ…、うわぁ…スゴイ…」(内容は控えますが、こういうのを”インスタ映え”するって言うのかな)。次はこちらの「かまぼこおにぎり」を食べてみようっと。(勘定は¥450)

※ 提供は終了しています

この後の記事はこちら (2)(3

 

かまぼこおにぎりとさーたーあんだーぎーの店 ティダティダ

岐阜県岐阜市日ノ出町1-20

 

( 岐阜 ぎふ 柳ヶ瀬 やながせ 柳ヶ瀬商店街 ロイヤル劇場 映画館 名作劇場 かきごおり 沖縄 きび糖 フルーツシロップ )

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亀広良 @名古屋市西区・浄心

2017年08月26日 | 名古屋(中村区・西区)

茶道が盛んな名古屋には付きものの和菓子屋。数ある名店のうち、5年程前に閉店してしまった錦の老舗「亀末廣」(※明治時代に京都亀末廣からの暖簾分け)から暖簾分けされた唯一の店「亀広良」へ初訪問。創業は昭和30年(1955)とのこと。どの辺りに店があるのか全然知らなかったのでスマホに誘導してもらい店へ。店は城北の住宅街の中にあり、建物もまだ新しい。店の前に車が2台ほど停められる。店の向かいには銭湯やコメダ珈琲があり何だかのんびりとした感じ。店に入ると落ち着いた中にキリッとした雰囲気がある。自分は亀末廣には入ったことがなかったので、伝承されている菓子を何かひとつ頂きたいナと思っていた。ショーケースに並ぶ菓子の数々を眺める。有名な菓子「うすらひ」は季節限定で外れているので夏季限定の「夏の霜」、それに涼やかでとても可愛らしい「華氷」、それに「最中」を、丁寧な物腰だが気さくに話しかけてくれる主人に”おうち使い”でお願いした。

家に帰って嫁と抹茶を点てていただく(といっても自分がジャジャッと適当にやりましたが…)。「夏の霜」は箱に入っており、開けてみるとなるほどど菓子の名前に合点がいく。箱一面の和三盆に氷餅が散らされていて、慎重に切り出してみると間にこし餡が挟まれている。ものすごく手が込んでいるけれど、とてもシンプルな姿。これだけ色々いただいていても和菓子の名前や材料には全く疎いので何と表現したらいいか分からないが、落雁の部分はカチカチでなく、ほろっとした口当たりで、かなり甘いが濃厚なこし餡との食感の対比が面白い。「華氷」は箱を開けるとキラキラとした色とりどりの四角い半透明な寒天が薄紙でキャンディーのように包んであり、口に入れると表面は薄い氷砂糖で、まさに冷たくない氷のよう。面白い菓子があるんだなァ。「最中」は最中種が菊の形。艶の良いつぶ餡でこれも旨い。なかなかついでの無い場所だが次は「うすらひ」と「茶三昧」目当てにまた行こうっと。(勘定は¥2,000程)

 

 


 

↓ 名古屋城の西北の堀端にある「筋違橋(すじかいはし)」(昭和8年・1933・建造・写真下左)。戦前の鋼方丈ラーメン構造は極めて珍しいのだとか。端から南東を眺めると名古屋城の「西北隅櫓(清洲櫓)」(写真下右)。

 

 


 

京菓子司 亀広良 (亀廣良)

愛知県名古屋市西区上名古屋1丁目9-26

 

( 名古屋 なごや 浄心 じょうしん 城北 かめひろよし 亀末広 かめすえひろ 和菓子 和三盆 落雁 徳川斉荘 抹茶 茶の湯 認定地域建造物資産 近代建築 )

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The Howlin' Wolf Album / Howlin' Wolf

2017年08月25日 | ブルーズ

The Howlin' Wolf Album / Howlin' Wolf (1969)

ブルースの巨人、ハウリン・ウルフ(Howlin' Wolf)の1969年発表の問題作。一応「The Howlin' Wolf Album」と呼ばれているが、何が問題って、まずジャケット表にデカデカと『これはハウリン・ウルフのニュー・アルバムです。彼は気に入っていません。もっとも最初はエレキ・ギターさえも気に入りませんでした。』と大書きしてある。何という呆れたマーケティング(笑)。同門のマディ・ウォータース(Muddy Waters)の「Electric Mud」(’68)や、以前に紹介したボ・ディドリー(Bo Diddley)の「The Black Gladiator」(’70)と同様に、当時隆盛のワウワウ・ギターを多用したファンク、サイケデリックよりのロックバンドとの共演を企画(強制?)されたアルバム。経済的にもレコード会社的にも妥協を強いられたのだとうは思うが、レコードジャケットのこれはウケ狙いだったのか、実際に投げやりだったのか…。

バンドはマディ版と全く同じメンバー+相棒のヒューバート・サムリン(Hubert Sumlin)とのこと。ちなみにマーシャル・チェス(※当時Chess Recordsの社長)がプロデュースしているが、彼は翌年に父と叔父が創業したチェス・レコードを離れ、あのローリング・ストーンズ・レコーズ(Rolling Stones Records)の創業社長に就任している。

それはさておき肝心の内容は、マディのアルバム程の違和感というか不整合感は無く、ボのようなハマりっぷりも無いが、さすがアクの強いダミ声のウルフは、ピート・コージー(Pete Cosey)らの鋭利なギターやワウワウの効果に引き摺られることなく、力ずくでまとめている。過去の代表曲はアレンジこそ当時風だが、ウルフ自身がそこまで嫌う程の違和感は感じられない。5なんてアレンジもなかなかカッコイイと思うんだけどなァ(逆に6はちょっと…)。こうしてみると同じプロダクションではあっても マディ < ウルフ < ボ、と年毎にアルバムとしてはまとまっているような気がするが、それが面白いかどうかはまた別の話。セールスも結局最初のマディ版が一番良かったと聞く。ま、ウルフはこのアルバムの事を「犬のクソ」と言っていたらしいし(笑)、チェスもあのジャケはやっぱりセールスの足を引っ張ったと反省したらしいから、いつだってアーティストとレコード会社の間にははいろいろあるっていう話だ。

 amazonにて購入(¥879)

  • CD (2013/12/11)
  • Disc : 1
  • Format: Limited Edition, Original recording remastered
  • Label : ユニバーサル ミュージック
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ツバイG線 @広島県広島市

2017年08月25日 | 広島県

広島市内での宿泊はホテル。もちろん朝食が付いているが、自分はバイキング形式の朝食やレストランが大嫌いなので、朝食チケットは無視してホテルの外に出る。外は昨晩の喧騒が消えて落ち着いた雰囲気。散歩がてらいくつか訪ねてみたかった場所を周ってから朝食代わりに選んだのは喫茶店のモーニング。地元の東海地方でもほとんどモーニングは利用しないが、昼過ぎまで何もお腹に入れないのもアレなのでこちら「ツバイG線」へ。創業は昭和42年(1967)だという。店名はどういう由来があるのか分からなかったが、どうも先に「G線」というヴァイオリンの弦から取られた名前の喫茶店が近くにあり、こちらは分店として後から出来たので、ドイツ語で”2”を表わす「zwei」を”ツバイ”と呼んだということらしい(こんなこと旅行者の自分が調べることではないが・笑)。

店は7時から開店との事だがそれよりも前に開いていて、看板や店の照明も灯っていた。チラッと覗くと中に先客も。もういいんだろうなと中に入ると、ちょいと仏頂面の主人が「ちょっと待ってねー」とのこと。まだ提供は出来ないが座って待ってていいよ、という事らしい。煉瓦が多用してある落ち着いた内装の店内ではBGMにオペラが流れ、赤いビロードが貼られた椅子や個性的な照明がクラシカル。カウンターにはずらりとサイフォンが並ぶ。しばらくすると外から店員が出勤してきて、すぐに注文を取り出した。もうその時には自分を含めて4組も待機していて、開店後10分で10組が店に。すごい人気だなァ。みんなここでなくちゃいけないんだね。自分は「サンドモーニング」を注文した。カウンターのなかで黙々と調理を続ける主人の所作を見ながら提供を待つ。

するとまず先に温められたカップとソーサーが置かれ、後からしっかり1杯づつサイフォンで淹れられたコーヒーがテーブルで注がれた。本格的。いい香りが店中に拡がっている。コーヒーにしっかり注力しているのが素晴らしい。しばらくして「サンドイッチ」が登場。ハムとキュウリが挟まれたサンドイッチが3切れと、ベーコンに目玉焼き、それに和風ドレッシングがかかった千切りキャベツのサラダ。香り高く旨いコーヒーに、しっかり手のかかった品々。満足出来る朝食だった。ここ食事メニューも旨そうだったなァ。(勘定は¥550)

 


 

↓ ホテルを出て世界遺産、宮島の「嚴島神社」(本殿:元亀2年・1571、客神社:仁治2年・1241建造)を参拝。ここに社殿を建てるという発想がぶっ飛んでいる。

 

↓ 別に見たい場所もあったが、そこは団体行動の辛さ。日差し強く、重要文化財の五重塔がある「豊国神社(千畳閣)」(天正17年・1589・建造、写真下右 まで登ると汗が噴き出す。

 

 


 

 

珈琲の店 ツバイG線 (ツヴァイG線)

広島県広島市中区大手町1-4-30

 

( 広島 ひろしま ツヴァイG線 ジー線 ジーセン 純喫茶 喫茶店 モーニングサービス 宮島 みやじま 厳島神社 いつくしま 国重要文化財 )

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松花堂 (2) @岐阜県岐阜市

2017年08月24日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

夏の暑いうちに冷たいものの記事を書き終えておかないと…。

お盆のある日に向かったのは岐阜市の伊奈波神社参道沿いにある和菓子の「松花堂」。店は通り沿いにあっても目立たないが、その渋い佇まいの店内に一歩立ち入ると別世界を味わえる創業大正8年(1919)の名店。この日はやや風があっていつもの暑さがほんの少し和らぎ、ちょっと拍子抜けだったが、ちゃんと店頭にかき氷の白い旗がゆらめいていた。道を挟んだところにある駐車場にバイクを停め、店のガラス木戸を開けると静謐な空気が流れる空間が現れる。茶室を控えた土間には低いテーブルと縁台が1組あるのみ。ガラスケースの中には上生菓子が8つ置いてあるだけ。奥から女将さんが出ていらっしゃった。この日はかき氷をいただこうと決めてきた。かき氷は3種あり、それぞれ「抹茶・お萩付」「黒糖・蕨餅付」「和三盆・金時付」。どれにしようか迷ったが「抹茶」をお願いする。女将さんが奥に消え、また静かな店内で、奥から聞こえてくる微かな音に耳を澄ます。この静けさは貴重だ。見上げると壁には「天皇皇后両陛下・御用御菓子」の古い木札。ガラス木戸を挟んで外と中では別の世界。

しばらくして木の盆にのせられた陶器にこんもりと盛られたかき氷と、小皿にのった水羊羹が運ばれた(お、水羊羹も付いているんだ)。かき氷の脇には小さい饅頭がのせられている。まんべんなく蜜がかけられた氷を、添えられた木の匙を使ってひと口。最近流行りのフワフワの氷と違って昔ながらのシャリシャリとした口当たり。蜜と氷がなかなか混ざらない最近のと違って、こちらの方が清涼感を感じるのは気のせいかな。濃い抹茶の香りする甘い蜜が口中を冷やしてくれ、なんとも旨い。食べ進んで冷え切った口を、添えられた水羊羹や饅頭で戻し、また冷たいのを頬張った時の幸せなことといったら…。静かな店内でガラス木戸の向こうから入る外の風景を眺めながら1人ゆっくりといただいた。日曜休みの店なので、この夏中にまた来られるかは分からないが、機会があればきっと。(勘定は¥800)

以前の記事はこちら (1

この後の記事はこちら (3)(4

 

 


 

↓ 同じ伊奈波神社参道沿いににある古い建物を改造した「Gallery Kanda(旧・樋本邸)」(昭和初期頃建造、改築)。1階が全面ガラス張りになっていて思い切った古民家利用だ。

 

 


 

 

松花堂

岐阜県岐阜市松屋町1-5

 

( 岐阜 ぎふ しょうかどう 御菓子司 和菓子 上生菓子 生菓子 かき氷 かきごおり 道明寺 蕨餅 わらびもち 近代建築 伊奈波神社 お十七夜 )

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