ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

Apples / Ian Dury

2013年04月30日 | パンク・ニューウェーヴ

Ian

Apples / Ian Dury (1989)

このアルバムはちょっと変則で、イアン・デューリー(Ian Dury)のソロ作品ではあるんだけれど、ロンドンで上演された演劇のサントラみたいな位置づけらしい。実際に使われた曲なのかどうか。一部の曲はキルバーン&ザ・ハイ・ロウズ(Kilburn & The High-Roads )時代のもので、作曲とレコーディングにはブロックヘッズ(The Blockheads)のキーボーディスト、ミッキー・ギャラガー(Mickey Gallagher)が参加。イアンと共同でプロデュースも担当。早期に打ち切りとなってしまった演劇(デューリー自身の脚本)と同様、発表当時の評判は芳しくなく、セールス的にもいまいちだったそうだ。

当時、デューリーの過去のアルバムは聴いていたが、このアルバムには手を出していなかった。ミッキー・ギャラガーとのコラボなのに何故触手が伸びなかったのだろう。内容は女性ヴォーカルとのデュエットがあったりといつものデューリーの作品とは少々趣が違い、企画ものではあるのだが少々散漫な出来。もとの演劇の内容をよく知らないので余計に引っ掛からない。全体的に溌剌さが感じられず、特有のアイロニーや情景描写があまり伝わってこないのだ。評判をとらなかったのも頷ける気がする。調べていて分かったが、彼自身もアル中で状態があまり良くなかったのだとか。ただ、相当ひどい内容かっていうとそうでもなく、普通には聴ける。もちろん彼のヴォーカルの魅力あってのものだけれど。

ちなみにジャケットのアートワークはビートルズ(The Beatles)の「Sergent Peppers~」をデザインした事で有名なPeter Blakeとの事。

中古店にて購入(¥500)

  • CD (2011/11/8)
  • Disc: 1
  • Format: Import
  • Label: Edsel Records UK
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    Feel So Bad / RCサクセション

    2013年04月27日 | ロック(日本)

    Feelsobad

    Feel So Bad / RCサクセション (1984)

    RCサクセションが世間の注目を浴び、一般にも名を知られるようになり、その後一段落した(と自分では感じていた)頃に発売されたアルバム。アルバム・タイトルや「BAD SIDE」と銘打たれたA面の曲目でもうかがい知ることが出来るが、前作あたりから事務所移籍騒動などがあり、清志郎はそのいら立ちを直接的に曲にぶつけている。後年も同様のプロダクション関係のトラブルを抱え、彼特有の言葉を操って状況を歌にしているが、このアルバムでの清志郎は怒りのあまり当たり散らしているとでもいった風情で直情的。それでも日本語のロックとして成立しているところがすごい。もともと辛辣な歌詞を作っていたし、ライヴでは更にセンセーショナルだったらしい(70年代の彼らを生で見てみたかった…)彼らだけれど、久々に過激な歌詞。今は「いい子ちゃん」のロック・アーティストばかりだからこういう裏の話はここまであからさまには表に出てこないが、こういう状況でも曲にしてしまう気概は見習ってもらいたいもの(老婆心ですが…)。

    でも実は自分はこの頃のRCはあまりしっかり聴いていない。興味が大きく洋楽にシフトしていた事もあり、このアルバムも借りて聴いたぐらいだったはず。それともレンタル・レコードだったか(そんなものがあったんです、あの時代)。アルバム「BEAT POPS」位からの独特なヴォーカル録音もあまり好きではなかった。後年になって再び興味が湧いてきて後悔する事しきりです。

    一方「GOOD SIDE」と名付けられたB面は一転してポップな曲調でA面とは別人のよう。どちらかというとこちらのサイドがRCらしい良質なポップス。でもいつも聴いてしまうのはハードな「BAD SIDE」の6曲。

    オークションにて購入(¥518)

  • CD (1992/4/22)
  • Disc: 1
  • Label: EMIミュージック・ジャパン
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    厨房1921 @岐阜県関市

    2013年04月26日 | 岐阜県(中濃)

    岐阜県関市にある住宅街の中の洋食屋。新興の住宅地なのだが店の場所は大変分かり辛い。大きな病院の近くではあるのだが、道路からも目印になるようなものが見当たらないし、路地が入り組んでいるので何度行っても周辺をウロウロしてしまう。

    もとは関市の本町商店街(現在は少し寂れている)にあった老舗で、その頃何を食べたとかまでは覚えていないが、「洋食トキワ」と名乗っていて店内にバイクが飾ってあったような。そのもっと前は名古屋の大須常盤町(現・大須1丁目辺りか)に店を構えていたんだとか。現在の店名の1921が創業年なんだろう。

    以前はもっとメニューやトッピングがあったように思うが、現在はオムライスとハンバーグがメイン。オムライスにも色々種類があるが、個人的にオーソドックスでシンプルなオムライスが好みなので他の味はほとんど試してみた事がない。最近主流になっているオムレツが載っていて開くタイプも好きではないのでまず注文しない。

    ここでは「トキワ」というのがそのオーソドックスなタイプ。サイズ(選択可)が変わってもしっかり綺麗に包んであって、玉子と中のケチャップライスが融和していて旨い。時々ライスを包みきれていない下手なオムライスや、玉子とライスが完全に分離しているオムライスに出会ってがっかりするが、ここのはバッチリ。かかっているソースもただのトマトソースやケチャップではなく少しデミっぽい色をした自家製のもの(たぶん)。いつもW(200円増し)というサイズにしてもあっという間に完食。これで850円は立派。

    この後の記事はこちらこちら

    厨房1921

    岐阜県関市鋳物師屋5-9

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    Funkadelic Live: Meadowbrook, Rochester, Michigan 12th September 1971 / Funkadelic

    2013年04月25日 | ソウル・ファンク・R&B

    Funka

    Funkadelic Live: Meadowbrook, Rochester, Michigan 12th September 1971 / Funkadelic (1996)

    ジョージ・クリントン(George Clinton)率いるファンカデリック(Funkadelic)のライヴ盤。発売当初はまだPファンクをかじりかけで、ライヴまでは行き着いていなかった。何しろ全体像が掴みにくく、活動も継続していたのでどこから聴いたらいいか全然掴めなかった。アルバムもかっこいいものとピンと来なかったものがあり、分かり易いジェームス・ブラウン(James Brown)と違って今でも区別は怪しい。そのJBのバンドからメンバーを引き抜いているから更にややこしいね。

    ほぼ同メンバーでのパーラメント(Parliament)と平行しての活動だけにどの辺りに活動の区切りを付けていたのか分からないが、一聴してわかる違いはヘヴィーなギター。エディー・ヘイゼル(Eddie Hazel)の弾くギターはジミヘン(Jimi Hendrix)ばりにファズの効いたサウンドで、ファンクというよりはハードロック。当然ジミの影響は顕著で、彼の与えたインパクトはロック界だけではない事を再認識。ジミのメジャー活動期間って66年から亡くなる70年までのたった4年程度…。凄い。

    時々マイクが歪むこのライヴ盤の音場はなかなかリアルで、少ない資料であるステージ写真とともに想像をかきたたせるに充分。ミシガンでのライヴだから彼らのお膝元だ。でも残念ながら会場の歓声とかはほとんど聴こえず、ライヴ会場の臨場感という意味では希薄。あって無いような構成で、じわじわと盛り上がっていく演奏。後年の派手でワーッとにぎやかなステージとは違い地味ではある。ただ本当言うと個人的には「Maggot Brain」のような叙情的な曲は苦手。

    腕っこき達を束ねていくジョージ・クリントンはイメージからいくとJBよりは緩い統率だったとは思うが実際はどうなんだろう。JBはかなり厳しかったと聞く。いや、でもそんな緩い統率では百戦錬磨の強者を束ねるのは無理だろうなぁ。

    ブックオフにて購入(¥500)

  • CD (2005/5/10)
  • Disc: 1
  • Format: Import
  • Label: Westbound Records Us
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    K / Kula Shaker

    2013年04月24日 | オルタナティヴ・ロック

    K

    K / Kula Shaker (1996)

    デビューしてすぐに大ヒットしたクーラ・シェイカー(Kula Shaker)。当時日本では音楽雑誌にも大フィーチャーされ、自分が愛読していた「クロスビート」や「ストレンジ・デイズ」にもよく載っていた。クロスビートはまだしも何故ストレンジ・デイズで表紙にまでなったのかは分からないが、とにかくデビュー即ヒットというイメージがある。東洋的な旋律をミックスした独特な音楽がどういう影響で形を成したのか不明だが、聴いてみた感じビートルズ(The Beatles)なんかのインド趣味から影響を受けているような気がするんだけれどどうだろう。少なくともインド伝統の音楽とか、東洋音楽からの直接的な影響ではないように思う。

    シングルになったような有名曲以外でも、もう少しメリハリのある楽曲を期待していたので、このデビュー盤を聴く限りではピンと来なかった。とてもよく出来たアルバムではあるが、ミックスの加減かそれぞれの楽器のたち方が弱くインパクトに欠ける感じ。売りのギターの音ももう少しザクザクとした音だったら好みだった。でもダンゴになった音っていうのはひょっとして60年代モノラルレコーディングでの迫力とかを追求した結果なのかな。ま、今頃17年も前のアルバムをああだこうだ言っても仕方がないんだが。

    2枚目以降のアルバムは今作より売り上げは落ちたらしいが、ここ日本ではかなりのヒットだったとか。バンドはその後解散したが、現在は復活して活動しているそう。

    中古店にて購入(¥294)

    CD (1996/9/11)

  • Disc: 1
  • Label: エピックレコードジャパン
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    大甚本店 @名古屋市中区・伏見

    2013年04月22日 | 名古屋(中区 老舗)

    テレビや雑誌に何度となく取り上げられ、居酒屋を語る書籍では必ず掲載され、評論家いわく「日本一の居酒屋」と称される大甚本店へ初めて行ってみた。開店は午後4時。その時間になると店の前に腕時計を眺めてソワソワする男性が幾人か(笑)。自分もその一人となって開店と同時に中へ。主人に促されるまま席に着いて飲み物を注文。もちろん迷うことなく日本酒。特に聞かれなかったが燗をつけた賀茂鶴の樽酒。大徳利なので2合だろうか。そして皆おもむろに立ち上がって台の上に並べられた酒肴を吟味して勝手に取っていく。とりあえず酢締めの鯖を取る。その間にも客は続々と入ってきてしばらくするとほぼ満席に。もちろん相席だ。これでも主人曰く今日は客入りがゆっくりなのだとか。時計を確認したがまだ4時台です(笑)。 

    酒はいい塩梅に燗されていて、一口含むと口の中に樽香が広がり抜群に旨い。時代を重ねてきた店内を見回しながら店の人や客の動きを見ていると特段変わったことがある訳でもないのに飽きない。一人で飲みに来ている客も多く、それぞれのペースで飲むことが出来る。自分は早食いだし、特に一人だとあまりゆっくりするのは苦手なのだがここではいい時間が流れていた。大声を出すような無粋な客はいないので落ちついた喧騒がいいBGM。主人のよく通る声が響く。

    次の酒肴はぬた、白和え、おからなど渋めのものばかり取ってきたが、少々甘めの味付けとはいえ酒を邪魔せずよく合う。焼物や刺身を頼んでいる人もいて旨そう。今日はひとりだから自重しておいた。店内に女性店員が居ても基本的には自分で何でもやる店なので、特に客あしらいがいい悪いもないし、主人以外の店員の愛想がいい訳ではないので、マニュアル化されたファミレス対応に慣れてしまっている人にはなぜ皆がここに来たがるのかは分からないだろうな。酒呑みにとって心地良い空間としか言いようがない。でかい算盤で勘定をしてもらい、外に出るともちろんまだ明るい。とてもいい気分になってライヴに出かけた。(勘定はお酒大2本とつまみで¥2,800程度)

    この後の記事はこちら (2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9

     

     大甚本店

     愛知県名古屋市中区栄1-5-6

     

     ( 名古屋 なごや 伏見 ふしみ だいじん だいじんほんてん 大甚 居酒屋 酒場 老舗 )

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    The Real... / Johnny Cash

    2013年04月21日 | カントリー

    Cash

    The Real... / Johnny Cash (2011)

    Sonyが出している廉価版CD3枚組シリーズ。今までにディラン(Bob Dylan)とプレスリー(Elvis Presley)を購入したが、どちらも廉価ながら素晴らしい内容で大満足。満を持してジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)版を購入。

    相変わらずの信じられない価格ながら音質もソニー・オフィシャルなので全く問題ない。ただ前出のCDとは違い、このジョニー・キャッシュ版ではベスト盤ではなく初期の6枚のアルバム(1958~1962)にボーナス・トラックとして有名な7曲を追加した変則盤。

    キャッシュの初期のアルバムはカントリーはもちろん、ゴスペル(宗教)色も強く、アルバムによって随分印象が違う。相変わらず詳しいライナー等は付いていないので(クレジットはちゃんとあり)背景なんかは分からないが、精力的に次々とレコーディングを重ねていってアルバムを発表していたことがうかがい知れる。ま、70年代ぐらいまでは収録時間は短いとはいえ毎年アルバムを発表するのがトップ・アーティストの使命だった訳だけど(それに比べて今のアーティストは1枚出して3年遊びやがる)。風刺の効いた曲とのんびりした曲、宗教色の強い曲、古いブルースが混在し、音楽的な幅の広さも楽しめる。

    キャッシュがその真骨頂である体制へ反骨精神や裏街道の人間に対するシンパシーを発揮して緊張感あふれる活動をするのはもう少し後(60年代後期)になるが、これら6枚のアルバムの中にも1-7、1-10、2-2、2-13など重要曲もあり、ボーナス・トラックで有名曲も聴けるので内容は濃い。焦点は絞りにくいのでキャッシュが初めての人には勧めにくいが、好きならお得な好盤。

    amazonにて購入(¥459)

  • CD (2011/6/28)
  • Disc: 3
  • Format: CD, Import
  • Label: Sony UK
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    ワッツタックス / スタックス・コンサート (DVD)

    2013年04月20日 | DVD

    Wattstax

    ワッツタックス / スタックス・コンサート (DVD) (1973)

    1965年に暴動があったLAのワッツ地区で72年に開催された野外イベントの記録映画。何と10万人以上の人がスタジアムに集まったということでその映像も壮観。フィールド部分に設営されたステージを取り囲む群衆はほぼ全員黒人。この地区は当時住民の99%が黒人だったそう。しかも低所得者ばかりのいわゆる「スラム街」。当時はもちろん、随分後になっても(今も?)他人種は地区に入ったり、車を停めたり、住民と目を合わせたりしないようにしなくてはならない危険な地域だったそうだ。「Wattstax」とは地区の名前「Watts」と出演アーティスト所属レーベル「Stax」の造語。

    純粋にライヴ映像だけではなく同地区の市井の人々へのインタヴューや、コメディアンのリチャード・プライヤーの語りなんかも挟まれているドキュメンタリーとなっている。あくまでも当時の同地区の文化や風俗の記録となっていて政治的に強い主張があるというような内容ではない(おのずと浮彫りにはされるが…)。

    スタックス全盛とあって登場するアーティストの演奏の充実度はすごい。オープンなスタジアムの真ん中のあまりオーガナイズされていないステージなので相当演りにくかったと思うが、どのアーティストも質の高い演奏で本当にかっこいい。衣裳なんかも見もので、とにかく「濃い」(笑)。大トリはアイザック・ヘイズ(Isaac Hayes)。元はスタックスの裏方。収録曲数が少ないのが意外だが、当時は映画「Shaft」のテーマ曲「Theme from Shaft」の大ヒット直後だけに別格の扱い。

    映像からにじみ出してくる70年代の、それも特殊な地区での空気感が圧倒的。今となってはそれもある意味「かっこいい」と見る事が出来るが、もちろんファッション的にというだけで、この後もLA暴動が起こったりするところをみると、なかなか本質的な状況は変わらなかったのだろう。今では黒人が大統領になったり、黒人の事を「Black」なんて呼ばず「African American」と呼ぶなど、色んな変化は出ているのだろうが、社会的な状況もちゃんと変化しているのだろうか。そういえばこの映画でステージでのMCを務めるのは何度も大統領候補になりながら実現しなかったジェシー・ジャクソン(Jesse Jackson)牧師(当時)だ。

    自分が少しアメリカにいた80年代はまだ「African American」なんて言い方は全然していなかった。いま日本でも「キチガイ」と表現出来なくなってきたりとやたら言葉狩りがあるが、こうして言葉が隠れてしまった時っていうのは、得てしてそれに付随する問題が表面から隠れただけの時が多い気がする。現在のアメリカは本当に良くなっているのだろうか。

    アメリカ滞在時、中堅都市のダウンタウンをうっかり1人で歩いてしまった時に、黒人の野郎に絡まれてカツアゲされそうになった事を思い出した(笑)。←ビビったが無事逃げた

    オークションにて購入(¥716)

  • Format: Color, Dolby, Widescreen
  • Language:English
  • Subtitles: English, Japanese
  • Region: Region 2
  • Size: 1.78:1
  • Disc: 1
  • Label: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • (2005/04/08)
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    The Kinks At the BBC: Deluxe Box Set / The Kinks

    2013年04月19日 | クラシック・ロック

    Bbc Kinky

    The Kinks At the BBC: Deluxe Box Set / The Kinks (2012)

    底値かなと思ってとうとう買ってしまったキンクス(The Kinks)のBBCボックス・セット。CD5枚+DVD1枚という物凄いヴォリューム。もちろん発売当初からどうしようか迷っていたのだが、どうせ買ってもすぐには手を付けられないだろうと思って期を見ていた。何しろ全部聴き通すと362分? 無理です…。ジャケからしてかなり地味なのは彼ららしいところ(笑)。もう少しいい写真なかったんかな?日本盤は定価15,000円とのこと。20年前だったらまだしも価格差あり過ぎてあり得ません。

    キンクスのBBC音源に関しては以前にも2枚組が発売されていて、今回はそれを大幅にヴァージョン・アップ。どうしても「詰め込み」という印象は拭えないが、入れられる物は入れてしまおうという編集スタイルは潔い。ちなみにこの他に聴けるクオリティのBBC音源が存在するのかどうかは知りません。

    大まかにいうと、シンプルな中にもオリジナリティ溢れるリフとメロディで大ヒットした初期(60年代中頃)、アメリカ進出に失敗し不遇な時期だったが、却ってイギリスならではの音楽性を深めた中期(60年代後半~70年代前半)、呪縛から解き放たれてアメリカで大ヒットした中後期(70年代後半)、そして超ベテランとなって安定した後期(80、90年代)と変遷しているキンクスの歴史。同時期のストーンズ(The Rolling Stones)やフー(The Who)と比較するとメンバーの交代が激しかったからか、レジェンドとしての扱いはやや落ちる感もあるが、フォロワーやその音楽的影響からいったら前出2バンドよりも大きいかも。噛めば噛む程に味が出てくるこのバンドにハマったのは自分もかなり遅いです。最初はライノから出ていたベスト盤だったかな。

    ブックレット片手にでないといつの音源だかさっぱり分からなくなる位のヴォリュームなので、気軽に聴くことがなかなか出来ないのが残念だけれども、どこを切っても染み出してくる素晴しいメロディには感服。ラジオ・テレビ出演時だけにどうしても演奏する曲が重なるが、音源がありすぎて聴き疲れるなんて贅沢な話です。

    DVDはかなり綺麗な映像ばかりでこれも満足。テレビ番組出演時はリップシンク(口パク)が多いですが、動いている映像だけでも貴重。レインボウでのライヴなんかは放映されたままなのでインタヴューとかが挟まってしまうのが残念だけど、当時の観客の様子なんかも映し出されていて興味深い。みんな大人しいし、難しい顔している大人とかもいて(笑)、微笑ましい。

    すでにキンクス・ファンならもちろんおすすめ。まだこれからという人にはちょっとおすすめ出来ません。やっぱりオリジナル・アルバム、あるいは安くて秀逸なこの2枚組ベスト位が先でしょう。

    amazonにて購入(¥4,898)

  • CD (2012/8/21)
  • Disc: 6
  • Format: Box set, CD, CD+DVD, Import
  • Label: Sanctuary UK
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    Never Stop : The Best of 20 Years / The Brand New Heavies

    2013年04月18日 | オルタナティヴ・ロック

    Bnh

    Never Stop : The Best of 20 Years / The Brand New Heavies (2011)

    一時期クラブ由来の「レア・グル―ヴ」という広範囲で実態の掴みにくいジャンル(と言っていいのかな?)の音楽に興味を持った事があった。自分の中でそれはファンキーなオルガンのサウンドで、Richard HolmesやJimmy Smithだったんだけれど、若いアーティストでそういった音にリスペクトを寄せるJames Taylor Curtetなどのいわゆるアシッド・ジャズのバンドが注目される中にこのBrand New Heavies(ブラン・ニュー・ヘヴィーズ)もいた。もちろん中心バンドだったので名前は聞いた事あったけれど、当時はほとんど聴いた事がなくて、JTQ止まりだった。だから他にどんなバンドが活躍していたのか全然知らないし、バンドの詳しいプロフィールもメンバーさえも知らない。値打ちなのをいいことにベスト盤(2枚組)を購入してみた。

    一聴してみて…、うーん、やっちまったかな。音楽としてのクオリティというより、自分には「おしゃれ過ぎ」で数曲程度なら問題ないが2枚聴き通すとなるとちょっと無理。メンバーの変遷なのかヴォーカルを複数が担当していて、どれも「おっしゃれー」なんだが、ガツンとしたインパクトに欠け上滑りな感じ。おしゃれなショップで流れていそう。やっぱりもっと泥臭いのがいいな、個人的には。ただ90年代の香りはプンプンする。こんな浮ついた空気だったよ90年代。

    これを聴いていたら家族に「ん?ご乱心?」という顔をされた(笑)。

    中古店にて購入(¥294)

  • CD (2011/11/15)
  • Disc: 1
  • Format: Import
  • Label: Music Club Deluxe
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