スパークス (6月10日 大阪・Zepp Namba)
予想通り名古屋は飛ばされたメイル兄弟率いるスパークス(Sparks)の来日公演。ならばと近鉄特急「ひのとり」に乗って一路大阪へ。会場は「Zepp Numba」(写真下)。
生憎の雨模様の下、会場に到着したのは開演1時間前くらいだったが、ん、会場前の人だかりが少なくないか? 中に入ってもその印象は変わらず。会場には誰の趣味だろう日本語のマイナーなグループサウンズが鳴り響いている。ひょっとしてラッセル(Russell Mael)とかの趣味かな? 今回の席はなかなか前の方だったのでワクワク。でも開演10分前でも客は埋まらない…。1階はかろうじて入ったが2階席は入れていない様子。日本第2の都市大阪の方々ちょっと冷たくないか(笑)。あのスパークスで、大阪大好きなラッセルだぞ。椅子席だったから体裁は保っているが、スタンディングだったら大惨事だったかも。スパークスで800席弱しか埋まらないとは…。
和柄に見えるスーツ姿で元気一杯のラッセルと、終始能面のようなロン(Ron Mael)(笑)のメイル兄弟、それにバンド・メンバーがステージに登場。オープニングはお馴染みの曲「So May We Start」から始まる。会場のサウンドは最高にいい。それよりなにより、76歳だというのにラッセルのヴォーカルが素晴らしい!彼独特のファルセットも多用した高音の、まるで声の低い女性にも聞こえるヴォーカルが最高。絶好調だ。もう歳だし、過去に観た動画の中では調子のいい時ばかりではなかったので心配したが杞憂だった。鍵盤を見ずに真っすぐ前を見ながら演奏する無表情のロンにも笑えてくる。演奏の合間はしっかり手が膝の上(笑)。
大きくジャンル分けすればエレクトリック・ポップだが、こうしてバンド・サウンドになると年代やスタイルの違うどの曲も俄然まとまってスパークスらしさに溢れている。手拍子でステージを駆け回るラッセルの愛情あふれる歌とMC。バックの若いメンバーの演奏力やコーラスもなかなか。最近のアルバムはどれも充実して絶好調という感じだし、決して過去のバンドのアンソロジー公演にはなっておらず、新しいアルバム「MAD!」(傑作)からの曲も、ちょっとマイナーな曲も演って素晴らしいクオリティ。演奏に合わせて兄ロンが1人で立ってマイクを取って歌う(喋る?)趣向もいいし、「The Number One Song~」間奏での恒例のニッコリ・ダンスも良かった(お疲れかちょっと短かったが)。でもスローな曲の時に一部の観客がスマホのライトを使って手を降るの止めてくれないかな(ダサいし眩しい)。
音楽的にもセンス的にも、どう考えてもアメリカ人と思えないメイル兄弟。現在、移民抑圧に対する暴動に軍が投入されているロス出身の2人。MCでラッセルも言っていたが、そんな状況で歌われる「Please Don’t Fuck Up My World」が沁みる。
アンコールは近年の好調さを物語る「The Girl Is Crying~」、そして大団円「All That」で終了。いやー、素晴らしいライヴだった。最後ステージに残った兄弟。その辺で買ったと思われるチープな”OSAKA”Tシャツを着たロン(御歳80歳)も無表情のままマイクを持って挨拶(笑)。ええもん観た。
(Setlist)
So May We Start
Do Things My Own Way
Reinforcements
Academy Award Performance
Goofing Off
Beat the Clock
Please Don’t Fuck Up My World
Running Up a Tab at the Hotel for the Fab
Suburban Homeboy
All You Ever Think About Is Sex
Drowned in a Sea of Tears
JanSport Backpack
Music That You Can Dance To
When Do I Get to Sing "My Way"
The Number One Song in Heaven
This Town Ain't Big Enough for Both of Us
Whippings and Apologies
Lord Have Mercy
(Encore)
The Girl Is Crying in Her Latte
All That