ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

若竹 (2) @岐阜県関市 (※閉店)

2020年06月30日 | 岐阜県(中濃)

岐阜県関市の中華料理店「若竹」へ。この日は仕事で外に出ていたのだが結構な量の雨降り。どこで昼食にしようか迷った挙句、駐車場からそのまま店に入ることが出来るここへ。店舗の裏手に駐車場があり、その奥に店舗に入れる裏口がある(写真下2枚目)。店に入るとカウンター席に先客1名。自分もカウンター席に腰掛け、メニューを眺める。「天津飯」と「餃子」にすることに決定。ランチとして両方の入った値打ちなセットもあるのだが、しっかり「餃子」も食べたかったのでどちらも単品でお願いした。調理は主人と若い衆、給仕も若い女性で女将の姿は見えず。鍋を振っているのは若い衆だ。

自分の古い記憶ではこちらの「天津飯」は餡の色が薄く、巷に溢れる醤油色の濃い甘酢餡タイプの天津飯と違って珍しかったので(当時)よく食べた。でもいつからか餡の色が濃くなった気がして食べるのを止めてしまっていた。なので「天津飯」を食べるのは随分と久しぶり。しばらくしてまず「餃子」が登場。こちらの餃子はまるで揚げ餃子のような仕上がりが特徴。でも主人の調理を見ていたら普通の餃子焼き器で焼いていたので揚げている訳ではないようだが…。特徴はもうひとつ、餃子のつけだれ。とろみのある唐辛子入りの甘酢だれをつけていただく。餃子の皿のへこみにたっぷりとこのたれが入っているので一部は既に浸かっている状態。これをたっぷりとからめていただく。旨い。次に「天津飯」が”若竹”と銘の入った皿に盛られて登場。餡はやや色付いているけれど濃くはない色。玉子には豚肉、人参、かまぼこ、葱が細かく刻まれて混ざっている。味付けはあっさりとした塩味。味の感じは昔の記憶とあまり変わらないので、ひょっとすると昔に自分が記憶していたほぼ透明の淡い色の餡は自分の思い込みが過ぎたものだったろうか。久しぶりに味わうあっさりとした味の「天津飯」、旨かった。(勘定は¥1,150)

以前の記事はこちら

 

中華飯店 若竹

岐阜県関市出来町7

※令和4年2月末を以って閉店されました

 

( 関 せき わかたけ 若竹中華飯店 中華料理若竹 若竹出来町店 餃子 揚げ餃子 ギョーザ ぎょうざ 天津飯 閉店 廃業 )

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Screaming for Vengeance / Judas Priest

2020年06月29日 | ハードロック・へヴィーメタル

Screaming for Vengeance / Judas Priest (1982)

順調にディスクが増えていっている(笑)ジューダス・プリースト(Judas Priest)。今回購入したのは1982年に発表された8枚目のオリジナル・アルバム「Screaming for Vengeance(邦題:復讐の叫び)」のリマスター盤。2曲のボーナス・トラック(ライヴ)も収録されている。本国イギリスのみならず、アメリカやカナダでも大ヒットしたアルバムだそうだ。バンドをあまり知らなかった自分でも耳慣れているヒット曲「You've Got Another Thing Comin' 」も収録されている。

これぞという荘厳で思わせぶりなイントロの1から、ガッとギアを入れてアクセルを踏み込み、疾走する2への流れがカッコイイ。なるほど快感。こういうのはまさにへヴィ・メタル的。その礎のひとつをこのバンドが積み上げたのだろう。ロブ・ハルフォード(Rob Halford)のヴォーカルにはハイ・キーでも艶があり、K・K・ダウニング(K. K. Downing)とグレン・ティプトン(Glenn Tipton)のギターはザクザクとリフを刻む。アルバム全体のまとまりも良く、バンドの好調さが見て取れる。オッサンになったので今は小さなスピーカーでチマチマ鳴らしているが、これ大きなスピーカーで聴いたら最高に気持ちいいだろうなァ。倉庫にしまってある大口径のスピーカーを出してみたい欲求が…。学生の頃は若気の至りで平気で鳴らしていたが、田舎とはいえご近所の皆さん、その節は大変申し訳ありませんでした…(笑)。

オークションにて購入(¥580)

  • CD (2001/5/30)
  • Disc : 1
  • Format: Expanded, Original Recording Remastered, Import
  • Label : Sony
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旭美屋 @愛知県一宮市

2020年06月28日 | 愛知県(尾張)

以前に愛知県一宮市の玉ノ井地区を散策した時にあった渋い銭湯にどうしても入りたくなり再訪。といっても日曜休みなので、ある土曜に仕事を早く終わらせて車で向かう。まだ夕方だったが、空きっ腹に風呂は辛いので行きがけに寄った食堂がこちら浅井町にある「旭美屋」。多分”あさみや”と読むのだろうと思うが違うかな。近くの駐車場に車を停め店の中へ。中は土間にテーブル席が5つ程。先客は3組で、1組は早くからビールを空けている年配客(羨ましい)。入口に”当店オススメメニュー”とあった「日替りランチ」は”昼・夜”と書いてあるので夜でも注文出来るようだ。店内奥のホワイトボードに内容が書いてあるようだが、入口近くの席に座ったのでめっきり弱った視力ではよく分からない(苦笑)。ま、いいやと女将さんに「日替りランチ」を注文。ちょうど学生と思しき客にそのランチが運ばれたが、ご飯が丼ぶりに山盛りで盛ってあったので、あわてて女将さんに半分にしてもらうようお願いした。それに卓上のメニューに”おすすめ”と書いてあった「五目ご飯」の中サイズを持ち帰りにしてもらう。

しばらくして「日替りランチ」が登場。今日の献立は焼肉だったようだ。ドレッシングのかかった生野菜の付け合わせと、小鉢の大根とひじきの煮物、かにかまとマカロニのサラダ、それに熱々の味噌汁が付いている。焼肉はこういう食堂では定番の、薄切り肉を焼肉のたれで味付けしてある濃い味のもの。正直自分からは頼まないが、たまに食べるにはいい。副菜がバラエティーに富んでいるので嬉しいし、味噌汁も旨かった。次は丼物か洋食を「豚汁」と一緒に食べてみたいナ。よく気の付く女将さんに勘定してもらい、店を後にする。持ち帰った「五目ご飯」は人参、牛蒡、タケノコ、鶏肉が入っている。こちらは甘めの味付け。うちの祖母は色々な材料が入っていても必ず「にんじんごはん」と呼んでいたなァ、と思いだした。(勘定はランチ¥650、五目ご飯¥380)

この後の記事はこちら

 


 

↓ 玉ノ井駅に近い「玉乃井湯」。創業は昭和2年(1927)だそうだ。夜に灯りが灯った外観が何とも言えず風情たっぷり。中では老齢のお母さんが番台に(後で男性と代わった)。脱衣所の壁には豆タイルで島のある海か湖の風景が描かれている。浴場は亀甲タイルなどが使ってあるもペンキ絵やタイル絵は無し。湯気抜き天井があり、洗い場の真ん中に浴槽があるのはこの地方ではよく見るスタイル。湯は”チンチン”だ(笑)(※)。テレビも扇風機もなく、1人だったので静かで女湯の湯音がするのみ。素晴らしい。気持ち良かった。

※この地方ではとても熱いことを”チンチン”と表現します(笑)

 

 

 


 

 

旭美屋

愛知県一宮市浅井町東浅井中島121

 

( 一宮 いちのみや あさみや 食堂 麺類食堂 大衆食堂 ランチ 日替わりランチ 丼物 洋食 五目ごはん 五目御飯 銭湯 近代建築 たまのい )

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甑暉庵 @名古屋市北区・志賀公園 (※閉店)

2020年06月27日 | 名古屋(東区・北区)

北区の志賀公園を北に行った道路沿いにある手打うどんの「甑暉(こしき)庵」へ。道路を挟んだはす向かいには人気の洋食屋「みやちょう」がある。”こしき”とは難しい言葉だが、調べてみると米を蒸すための土器(のちの蒸籠にあたる)のことだとか。店頭の看板には「甑庵」とあり、下の暖簾には「甑暉庵」とある不思議。店の裏手路地には駐車場と、裏の出入り口もある。暖簾をくぐると調理場には白髪の主人、給仕は若い女性が2名。テーブル席に案内され腰を下ろす。注文は何も決まっていなかったので少し待ってもらい、品書きを眺めた。好物の「かつ丼」や、うどん・天ぷら・ご飯というラインナップの「甑庵定食」(これは漢字一文字…)もあって迷ったが、蒸し暑い中を自転車で走ってきたので「手打ちきしめん」を”ころ”でお願いした。”ころ”は品書きに載っていないが、注文を通した給仕女性に答えて「ころきし一丁!」と主人の威勢の良い声がしたことで問題なく注文が通ったことが分かる。

先客は数組だったが後から続々と客が入って来て(すわ、”密”に…)と思っていたところに「手打ちきしめん(ころ)」が登場。多めのつゆが貯えられた水面には、わかめ、山菜、赤縁の(名古屋)かまぼこ、揚げがのっている。刻みネギと練りわさびは別皿で。名古屋の麺類食堂で”ころ”を注文すると、必ずと言っていいくらい刻みネギは別で出される。早速きしめんを手繰る。薄打ちだがしっかりとしたコシとのび。うん、旨い。麺線が長いものは歯で噛み切らないといけないくらいのしっかりとした弾力がある。締められたきしめんが暴れながらつゆと共に喉を通り過ぎる快感。やっぱり暑い時にはいいなァ。揚げは定石通り甘く煮てある。やや酸味のある山菜(よく市販されているようなミックスタイプのもの)は好みではなく、つゆの味を変えてしまうのでちょっと持て余したが、わさびを効かせながら一気に食べ終えた。ここは”自家製ブレンド味噌使用”という「味噌煮込みうどん」も旨そうなんだよなァ。汗だくになって食べてみようか。(勘定は¥530)

※令和3年9月20日を以って閉店されました。

 

 

手打めん処 甑暉庵 (甑庵)

愛知県名古屋市北区金城町4-13

 

( 名古屋 なごや こしきあん こしき庵 うどん 饂飩 そば 蕎麦 手打ち 手打 みそにこみ みそ煮込 みそ煮込み 丼物 閉店 廃業 )

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さむ (3) @岐阜県岐阜市

2020年06月26日 | 岐阜県(岐阜)

久しぶりに外出した嫁と休憩がてら喫茶店を探すも、嫁がまだ入ったことのない目当ての店は2軒ともコロナ禍でテイクアウトのみの営業が続いており、座りたかったのでこちら「さむ」に行き先を変えた。奥へ進んでテーブル席に腰掛ける。先客は2組居たが1組は入れ替わりで席を立ったので、一応間隔を空けて腰掛ける。自分は「コーヒーフロート」を”モカ”で。嫁は「ベルギーワッフルセット」にトッピングで”モカ”を選んだ。”モカ”はこちらの名物ソフトクリーム。通常コーヒーフロートはバニラアイスがのることが多いが、こちらではソフトクリームを浮かべるのだ。

しばらくして「コーヒーフロート」が登場。小さく切ったカステラと煎餅が付いていた。こちらの店では岩村の「松浦軒」のカステラを売っているのでそれだろうか。いつも買おうかどうしようか迷っていたのでそうだと嬉しいが、味で判断出来ないのが情けないところ。薄っすらと色付いたモカは相変わらず口解けがサラッとして旨い。コーヒーとの接触面にはソフトクリームでもちゃんと硬くなるところが出来るので、剥ぎ取りながら食感を楽しんだ。嫁の「ベルギーワッフルセット」はモカと生クリームがのっている。ひと口もらったが、ザラメの食感があるワッフルとモカの相性も悪くなく、ちょっとの休憩を楽しんだ。(嫁が支払ったので勘定は失念)

以前の記事はこちらこちら

 

珈琲屋 さむ

岐阜県岐阜市神田町6-17

 

( 岐阜 ぎふ さむ 喫茶 珈琲 自家焙煎 スペシャリティーコーヒー ソフトクリーム アイスクリーム 松浦軒本店 恵那市岩村町 長崎カステラ カステラ )

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Original Album Series Vol.2 / The J. Geils Band

2020年06月25日 | クラシック・ロック

Original Album Series Vol.2 / The J. Geils Band (2014)

前シリーズに引き続き、J. ガイルズ・バンド(The J. Geils Band)の「Original Album Series」簡易紙ジャケ5枚組を購入。こちらは1974年から79年の間に発売されたオリジナル・アルバム(含むライヴ・アルバム)に加えてベスト盤が1枚加えられている。収録アルバムはこちらの5枚。

・Nightmare And Other Tales from the Vinyl Jungle (1974)
・Hotline (1975)
・Live : Blow Your Face Out (1976)
・Monkey Island (1977)
・Best Of The J. Geils Band (1979)

自分はピーター・ウルフ(Peter Wolf)のソロになってからの作品は大好きで聴いていたけれど、J. ガイルズ・バンドはライヴ盤1枚と、大ヒットした81年の「Freeze-Frame」の輸入カセット・テープ(笑)を持っているのみだった。なので前シリーズを聴いてデビューからの各アルバムのクオリティーとゴキゲンさに驚いたし、過去の日本での不当に低い人気と評価にも驚いた(これは日本に限ってではないか)。

この70年代中~後半の作品も、溌剌とした彼ららしいバンド・サウンドはそのまま。ただこうして並べて一度に聴く弊害でもあるけれど、正直どのオリジナル・アルバムも似通って一本調子に聴こえるところもあるかな。それでもブルージーだった初期と比べてキャッチーでポップな曲が多くなっていて、80年代の大ブレイクを感じさせるところがある。それでも世界的にヒットした有名な81年の「Centerfold(邦題:堕ちた天使)」などでは売れ線に走ったと批判を受けたそうだからファン心理とは難しいもの。75年の2会場でのライヴを収録した「Live : Blow Your Face Out 」は文句なしに楽しめる内容。やっぱりピーターのヴォーカルとマジック・ディック(Magic Dick)のブルース・ハープはいつ聴いても最高にカッコイイ。

同シリーズのVolume.1はこちら

オークションにて購入(¥1,435)

  • CD (2014/1/14)
  • Disc : 5
  • Format: CD, Import
  • Label : Warner Music/Rhino
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大 @愛知県一宮市 (※閉店)

2020年06月24日 | 愛知県(尾張)

愛知県一宮市の人気中華料理屋「大」へ。道路沿いに看板はあるものの、店先は驚くほどそっけない。コロナ禍とあってか入口の戸が開け放してあった(これからの季節、色々と大変だろうなァ)。中に入ってびっくり、カウンター席、小上がり席共にほぼ満席の盛況ぶり。かろうじてカウンターの一番奥のおしぼり温蔵庫の前だけ空いていたのでことわって座らせてもらう。客層は老若男女様々で、昼間っからビール瓶を何本も立てているグループも(羨ましい…)。年配の夫婦と給仕の女性は動きっぱなしで大忙しだ。壁に架かった額には”ランチタイム”としてABCDE、5種類のセットメニューが書いてあったが、メニューからでも選べるとの事なのでメニューを眺めて思案。”当店独自の焼そば”とわざわざ書かれた「大炒麺(ダイチャオメン)」というのがあったのでそれと「ワンタン」をお願いすると、「ワンタン」は切れているとのこと。じゃあと「ギョーザ」に変更すると、お姉さんは「大炒麺はソース味の焼そばなんで、Bの<焼きそば+ギョーザ>のセットでいいですね?」と。なぁんだ…。ソース味の焼そばなら他にしようかとも思ったが、忙しい厨房を混乱させてもと「ハイ。」と返事した。

次から次へと注文される料理と、次から次へと入ってくる客を捌きながら調理が進む。まずは女将さんから「ギョーザ」が渡された。平べったい形の「ギョーザ」は底面がカリッカリに焼かれているものが4つ。中の餡は野菜中心。旨いけどビール無しじゃなァ…。主人の調理を眺めながら食べていると「焼きそば」(”大炒麺”のはず)が完成して登場。エッ!? 注文が重なって2人前作っていると思っていた「焼きそば」は大盛。全部自分のやつだったのか…。肉、キャベツ、人参、ピーマンなどが入った「焼きそば」はまごうかたなきソース味。細ストレート麺でたっぷり。心の準備が無かったので焦ったが、添えられた紅生姜を挟みながらワシワシと食べていって、何とか全部平らげた。お腹いっぱい。次は「什景炒飯(スチンチャオハン)」で(これも大盛なのかな?)(勘定は¥600)

 

 


 

↓ 通りかかって思わず引き返して写真を撮った「鍛治松毛織(株)」(建築詳細不明)。”骨”を思わせる特異な外観が圧巻。かっこいい社屋だなァ。誰が設計したんだろう?

 

 

 


 

 

中国料理 大

愛知県一宮市木曽川町玉ノ井吉原東135

※令和5年4月を以って閉店されました

 

( 一宮 いちのみや 玉ノ井 たまのい 大 だい 中華料理 中国料理 中華 餃子 ぎょうざ 焼そば やきそば ランチ 近代建築 渋ビル 閉店 廃業 )

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一力亭 @三重県桑名市 (※移転)

2020年06月23日 | 三重県(老舗)

正式に7月末に営業を終え閉鎖されることになった三重県桑名駅前の商業ビル「桑栄メイト」。秋には解体され、ホテルビルが建つのだとか。桑栄メイトに残る飲食店等は全て営業を終えることになるが、ご高齢の方がやっていらっしゃる店も多く、廃業の道を選ぶ店も多い。桑名市民に親しまれたビルだけあって名残りを惜しむ客が日に日に増えている。中でも中部圏に唯一残る日本最古のハンバーガー・チェーン店「ドムドムハンバーガー」と餃子の「新味覚」は大行列。ある日曜に覗いてみたら終止行列が続き、「ドムドムバーガー」に至っては結局昼過ぎ早々にシャッターが下りてしまっていた。

自分の目当ては2軒の麺類食堂。片や「桔梗屋」も終止行列があり、並ぶのが好きでない自分はもう1軒の店「一力亭」に入ることに。こちら創業は明治8年(1875)と古い。元々からこの桑名駅前で商売していたのだとか。暖簾をくぐると外の喧騒とは変わってテーブル席には先客が4組程の落ち着いた雰囲気。調理場には男性が2人、給仕は年配女性が1人。親子だと思うがどうだろうか。腰掛けて卓上の品書きを眺める。とはいってもこちらに入る前から決め打ちだった「きしめん定食」を注文した。

東海圏でもある三重県北勢地方の麺類食堂には「みそかつ」や「きしめん」があるのは普通。特に名古屋の人はあまり周辺の食文化に頓着する人は多くない気がするが、大まかに言って東海地方は同系統の食文化圏にある。高低差の分かる地図を見るとよく理解できるが、キーワードはつまり”濃尾平野”だろう(と勝手に思っている)。

それはさておき、しばらくして「きしめん定食」が盆にのって登場。こちらの「きしめん定食」は、先頃惜しくも閉店してしまった大垣市の「鶴丸」や、岐阜市の「武蔵野本店」のようにだるま(あるいは提灯)型の容器に収まっている。こちらに絵柄は無く「鶴丸」と同様の提灯タイプ。容器は3段に分かれていて、蓋を取るとご飯とおかず、その下の段にはきしめんが入っている楽しい仕掛け。まずはきしめんを手繰っていく。水面には菜っ葉、かまぼこ、刻んだ揚げ、そして花鰹という定番の内容。刻みネギは別皿に盛られている。つゆの色は淡く、麺の食感は軟らかめ。こちら”手打ち”と称しているがきしめんもそうなのかな。ご飯の段には玉子焼きが2切れ、山菜、漬物、そして缶詰のみかんが盛られている。玉子焼きは甘めの味付け。これらをパクパクやりながら、ズズッときしめんを啜りつゆを飲む。内容は他店の定食と大して変わらないのに、この容器に入っているだけでなんだか楽しい。店は8km程西に新築移転するそうなので、次は新店で。(勘定は¥890)

※移転されました

 

 


 

↓ 「桑栄メイト(正式名称:桑栄ビル)」(昭和48年・1973・建造)。桑名駅の駅ビルも新築が終わり解体が決定。もうこれが見納めになるかな。(前回の訪問記事はこちら

 

 

 

 


 

めん処 一力亭

三重県桑名市桑栄町2 桑栄メイト2F

 

( 三重 みえ 桑名 くわな いちりきてい 一力亭メイト店 麺類食堂 うどん そば 蕎麦 きしめん 中華そば ラーメン 老舗 そうえいメイト そうえいビル 閉店 廃業 )

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ぎふ水琴亭 @岐阜県岐阜市

2020年06月22日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

岐阜市を代表する料亭のひとつ、元治元年(1864)創業の「水琴亭」。元々は伊奈波神社境内で営業し、昭和4年に明治を代表する芸術家、岐阜市出身の「原三渓(富太郎)」によって現在の場所に移築されたのだとか。横浜にある「三渓園」で有名な原三渓(当時の新進芸術家のパトロンでもあった)が岐阜市出身だとは知らなかった。昨年先代女将が亡くなった後に運営が市内の会社に引き継がれ、「ぎふ水琴亭」として料理店として生まれ変わったとは何かの記事で知ったのだが、慶事が無くとも昼食がいただけると知って嫁を誘って行ってみることに。前日に電話で予約を入れておいた。

当日は生憎の雨模様。表の黒塀の中にも車が停められるみたいだが、玄関先の砂利の上に車を乗り入れるのも無粋なので裏の駐車場に車を停め、傘をさして歩いて表に回った。予定の時間に玄関先で待っていると奥から洋服の仲居が案内してくれた。靴を脱いで上がり、長い廊下を通って庭に面した部屋へ。個室という訳ではなかったがその部屋には自分達だけだったので個室同然。数寄屋造りの建物は選りすぐりの材料と大工の腕を駆使して造られたものだそう。昔のままの歪んだガラスの先に見える庭は、新緑が雨で濡れとても綺麗だった。沙羅双樹 (さらそうじゅ)や無花果(いちじく)、紅葉などが植えてある。秋もいいだろうなァ。

 

席に腰かけ「おまかせミニ懐石コース」が始まる。簡易な昼食なので盆の上に様々な品が全て揃っている。ご飯だけは鯛めしをその場で炊くようで、後ろの卓の上の小さな土釜に火が点けられた。よもぎ豆腐、アスパラ肉巻きサラダ、幽庵焼(サーモン)、夏野菜の冷製茶碗蒸し、真薯(稚鮎)、天麩羅(海老、白魚、南瓜)などが洒落た器に盛られて並ぶ。給仕は案内をしてくれた女性とお運びの若い女性の2人のみ。最初に飲み物を訊いてくれなかったのでこちらから酒を所望。「長良川」(純米)をぬるめに燗してもらう。酒が届くまで料理に箸をつけるのはお預け(何しろ廊下が長くて届くまでに時間が・笑)。酒は1本だけにしておいて、それぞれの料理をゆっくりといただいた。蓋を揺らすなかなか豪快な音が消え、鯛めしが炊き上がったようだ。茶碗によそってそのまま、あるいは出汁をかけて茶漬けにしていただいた。最後は桃のシャーベットで了。

食後に仲居に尋ねると、そこかしこに反映された原三渓による意匠などを説明してくれた。欄間の透かしは彼が題材としてよく取り上げたという”雪・月・花”(写真下1枚目)、襖の引手は”琴柱(ことじ)”(写真下2枚目・※琴の弦を支えているところ)がモチーフなのだとか。残念ながら奥の間2階にあるという原三渓の手によって書かれた襖絵は客が居るという事で見ることは叶わなかったが、これも運が良ければ見せてもらえそうだ。こういう場所に来た時は少しでも建物を愛でられるように用が無くても手洗いを借りる事にしているのだが、手洗いのタイル装飾も凝っていてなかなか素敵だった。

 

静かな場所で(隣の間の話し声はもちろん聞こえてきたが)、庭の緑を眺めながらゆっくりと食事が出来、自分にとっては歴史ある建物を直に感じることが出来るというとても贅沢な昼食時間だった(部屋にはちょっとベタな琴の音楽が流されていたが、あれは要らないナ)。季節が変わったら料理も変わるだろうから、また機をみて訪ねてみよう。(勘定は¥7,000程)

 

 

 

 

 

 

ぎふ水琴亭

岐阜県岐阜市米屋町27−2

 

( 岐阜 ぎふ すいきんてい ぎふすいきんてい 水琴亭 料亭 日本料理 岐阜市最古 ランチ ミニ懐石 近代建築 御鮨街道 はらさんけい )

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はっぴいえんど~アンソロジー 12月の雨の日 / はっぴいえんど

2020年06月21日 | ロック(日本)

はっぴいえんど~アンソロジー 12月の雨の日 / はっぴいえんど (1998)

はっぴいえんどのベスト盤。といってもこちらは一般的に発売されたものでなく”The CD Club”という通販企画で通販のみで頒布発売された商品のよう。この”The CD Club”というのは洋邦他ジャンルの音楽を特集して発売している息の長いシリーズだが(今もあるのかな?)、市販品の丸写しでなく独自選曲で、しかもしっかり的を射た選曲だったりするし、易々とレーベルの壁を越えたり、解説が詳しかったりするのでなかなか侮れない。

自分が初めてはっぴいえんどを聴いたのは中学生ぐらいの頃だったか。YMOのファンだったので細野晴臣経由だったか、それとも日本の伝説のロックバンドという括りで聴いたのか忘れてしまったが、ギターの音には痺れたけれどさしたる感銘を受けた訳ではなく、「~です、~ます」調の歌詞をよくロックにのせるなァなんて思ったぐらいだった。かなりフォーク的に感じて、それが違和感でもあった。なのでオリジナル・アルバムも1枚も持っておらず、その後何年も経ってからレンタルCDで借りた編集盤をカセット・テープに録音したものぐらいしか持っていなかった(※調べてみたら92年発売の「Let The 70's Die」<ジャケ写真下>という渋谷陽一監修の日本語ロックの編集盤だったようだ)。

ちなみにその盤の選曲はこれ。

01. 銀色のグラス (ザ・ゴールデン・カップス)
02. 本牧ブルース (ザ・ゴールデン・カップス)
03. 朝まで待てない (モップス)
04. 御意見無用~いじゃないか (モップス)
05. からっぽの世界 (ジャックス)
06. ラヴ・ジェネレーション (ジャックス)
07. 塀の上で (はちみつぱい)
08. センチメンタル通り (はちみつぱい)
09. はいからはくち (はっぴいえんど)
10. 春よ来い (はっぴいえんど)
11. 塀までひとっとび (サディスティック・ミカ・バンド)
12. タイムマシンにおねがい (サディスティック・ミカ・バンド)
13. おそうじオバチャン (憂歌団)
14. 嫌んなった (憂歌団)
15. 春のからっ風 (泉谷しげる)
16. 翼なき野郎ども (泉谷しげる)
17. 雨あがりの夜空に (RCサクセション)
18. スローバラード (RCサクセション)

なかなか凄い。このCD改めて欲しくなった(笑)。

それはさておき、繰り返し特集されたりする彼らの偉大さにはちっともピンとこなかったのだが、最近バッファロー・スプリングフィールド(Buffalo Springfield)、CSN&Y(Crosby, Stills, Nash & Young)、ニール・ヤング(Neil Young)、ザ・バンド(The Band)やなんかを聴き直しているうちに、やっとそれらの音楽とはっぴいえんどの音楽との繋がりを意識するようになり(遅い)、ちょっと聴いてみたくなったのだ。その辺のことはもう既に語り尽くされていることばかりで書き加えることは無いが、あの時代の日本のロック人達の早熟な事には毎度の事ながら恐れ入る。今と違って情報量が圧倒的に少ない時代。ましてや映像なんてほとんど無いから耳コピでマスターしていったり、直接海外まで行って体得したのだろうが、遜色ないどころかすでに個性も生まれていて、それに日本語歌詞をのせる試みが行われているのだから驚く。

オークションにて購入(¥780)

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