ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

春風荘 @名古屋市中区・鶴舞 (※閉店)

2016年05月31日 | 名古屋(中区)

東別院から御器所まで近代建築を目指して歩き、素晴らしい建物を堪能してから向かったのは蕎麦の「春風荘」。中休みが無いことを確認して、ゆっくり出来そうな時間を見計らって店へ向かう。表の佇まいはすっきりとしていて期待が高まる。中に入ると人気の店とあってしっかり客は入っていたが、昼時は過ぎているので落ち着いた雰囲気。奥には麺打ち場も見える。テーブル席に案内され、品書きを眺めた。蕎麦前を楽しもうと思っていたが、酒の値付けが少々高め。迷ったが本醸造(新潟の「越の松露」)を冷や(常温)で注文し、酒肴には玉子焼きを頼んだ。

すぐに酒が運ばれたが、一緒に運ばれた「お通し」で目が点に…。なんと皿には9品もの酒肴がひと口分づつ盛られている。「えっ?頼んでませんよ」と言いそうになったが、これが蕎麦前の酒に付くようだ。すごい。しかも内容は、雲丹、鮪、蛍烏賊、海老の頭、穴子の尻尾、貝のサラダ、数の子、鴨、豆腐と超豪華。天タネの余剰なども上手く利用しているのだろうが、どれもひと手間加えてあり、これで酒が呑める幸せといったらたまらない。これ見よがしに品書きに書いてないのも素晴らしい。いやァ、ウマイウマイ。後から運ばれた玉子焼きは円柱形で、大根おろしが付いている。この「染おろし」だとおろしが付き、「煮おろし」だとおろしつゆの中に玉子焼きが入るようだ。熱々の玉子焼きはやや甘め。これも旨い。煮おろしでも食べてみたいな。もちろんこの時点でお酒はもう1本つけてもらっている(→予定では1本だけのはずだったが…・笑)。

蕎麦前を堪能したあとに「せいろ」をお願いする。これも薬味は、ねぎ、本山葵(鮫皮おろし付)、おろし、唐辛子、大根の皮、と盛り沢山。蕎麦切りは短め。好みはもう少し長い切りだが、艶がありなかなか旨い蕎麦だ。つゆは濃いめ。溜り醤油由来の甘さも感じる。山葵を自分でおろしながら、蕎麦にのせたり、そのままつまんだり。サッと手繰った後の蕎麦湯はとろとろのタイプ。蕎麦前が凄すぎてちょっと蕎麦が霞んでしまうくらいだが、最初から最後まで堪能した。

あれがあればナ、と思うような足りないものが何も無く、充実していた。しかも店に変に気取った感じが無いのも気に入った。他にも和らぎ水として頼んだコップのお冷(ひや)の空きにすぐ気が付いたり、什器に凝っていたり、楊枝は黒文字を使っていたり、お茶が最近よくある蕎麦茶(蕎麦をいただく前のあれの良さが全然分からない…)じゃなくて濃いめの緑茶だったりと、細かい所までとても気が利いていて自分の好みと合致。想像だけれど主人はいろんな店の蕎麦前の経験が豊富で、自分が居心地の良い店とはどういうものかというのを実現しようと苦心したんじゃないかなァ(下戸だったら面白いが)。でもコレ蕎麦だけ手繰っただけじゃ魅力が分からなかったかもしれない。帰りに「酒ラッパ」と名付けられた山椒煮をお土産に買って店を出た。大満足。(勘定は¥3,700程)

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↓ 鶴舞南ジャンクションに建つ「伊藤耳鼻咽喉科醫院」(昭和7年・1932・建造)。緑青(ろくしょう)の出た銅板、逆読みの院名とスクラッチタイル壁の組み合わせに風格があり素晴らしい。

 

↓ 現在は使用されていない様子だし、建物が建っているのは幹線道路沿いで高架下の交差点近く(写真下右)。こんな場所なのでこのまま維持されるのかどうかは怪しいか…。

 

 


 

春風荘

愛知県名古屋市中区千代田3-31-20

 

( 鶴舞 つるまい つるま 御器所 ごきそ 鶴舞公園 しゅんぷうそう しゅんぷう荘 そば 蕎麦 蕎麦前 日本酒 近代建築 伊藤耳鼻咽喉科医院 閉店 移転 )

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山中食堂 @岐阜県岐阜市

2016年05月30日 | 岐阜県(岐阜)

岐阜市内から北方町方面に向かう大縄場大橋の近くにある食堂「山中食堂」。創業は昭和41年(1966)とのこと。以前から清々しい白い暖簾や看板の佇まいや、ずらりと並んだ岡持ちが気になってはいたが、営業時間ぎりぎりに滑り込んで暖簾がかかっていたのに店じまいと言われたりしてありつけていなかった。出直したこの日は用事で近辺に居たので満を持して店へ。裏の駐車場に車を停めて中に入ると、狭い店内はカウンター5席(実質3席)、小さめの小上がり2つ。これ男4人で座るのは無理。先客は3組5名も居てカウンターは座れなかったので、小上がり席のひとつへ。老齢のご夫婦で切り盛りしていらっしゃる。注文は好物のオムライス(先客が食べていて旨そうだった)も頭をよぎったが、もちろん暖簾に染めてある「みそかつ」を定食で。

カウンターがひとつ空いたのでそちらへ移動して待つ。運ばれたみそかつはしっかりめに揚げられていて、味噌たれが全体的にかけられている。味は濃いめ。甘ったるくはないがとろみもあって、まさにこの地方の味噌たれといった感じ。添え物はキャベツ、マカロニサラダ、それにオレンジ。これに味噌汁(合わせ味噌で豚汁のような風味)が付く。安心の味で美味しく平らげた。自分の後にもサラリーマンや労働者を中心として次から次へと客が入って来る人気。席を空けるために慌ててごちそうさま。次はカツ丼かオムライスにしよう。(勘定は¥700)

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山中食堂 (※山の字は絵文字)

岐阜県岐阜市西野町9-39-2

 

( 岐阜 岐阜市 ぎふ 西野町 やまなか食堂 やま中食堂 みそかつ 味噌かつ 味噌カツ ミソカツ 大衆食堂 麺類食堂 ) 

 

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The Album (Expanded Edition) / Eater

2016年05月29日 | パンク・ニューウェーヴ

The Album (Expanded Edition) / Eater (1977)

オリジナル・ロンドン・パンクの中でもメンバーが特に若いことで知られていたイーター(Eater)。何しろバンド結成時は14-17歳だったらしい。中坊だ。最初に聴いたのはロンドン・パンクの秀逸なライヴ盤「The Roxy London Wc2」にて。彼らのファースト・アルバムは長いこと絶版で、80年代後半に西新宿をうろついていた頃でもオリジナル盤(中古)は一等高い値段が付いていて、店の高いところに飾ってあった。それを思い切って買ったのはまだ学生の頃だったが、当時で「9,800円」(!)だったと記憶している(同様に購入したX-Ray Spexの「Germfree Adolescents」も同じくらいの値段だった)。音楽もデフレなこの時代には考えられないが、LP(クーッ、これも死語か)1枚にい・ち・ま・ん・え・ん…。もちろん貧乏学生当時の事だから清水の舞台から飛び降りるような心境だったはずだ。住んでいた下北沢にはタウンホールに「Wind」というマニアックなレコード屋が一時入っていて、イーターのレアな12インチ・シングル「Lock It Up」(邦題「パンクでぶっ飛ばせ」(笑)・写真下)が高くない値付けで売っていて、一緒だったパンクな友人が狂喜して購入していたことも思い出す。今ではそんなレアだった音源までCDで再発されるようになり、気軽に聴けるようになるのは嬉しくもあり、何だか複雑な気分でもある。

このCDはそのファーストにシングル曲を集めた盤をプラスした便利な1枚。安いなァと思って条件反射で購入してしまったが、家に帰ってCD棚を見ると、ちゃんと同じものが鎮座していたのだった…(涙)(←買って満足してしまい、アナログで持っているのであまりしっかり聴かなかったパターン)。こういうことばっかりしているから、家族に「この山どうするの?」という冷たい視線と「整理する」という無理難題を突き付けられるのだ。それはさておき、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)やTレックス(T Rex)、ボウイ(David Bowie)のカヴァーを含む彼らなりのパンクは、プロダクションこそチープだが、自分が演るんだという音楽衝動や勢いはしっかり捉えられているし、当時はそれがリアルに感じられたんだと思う。またグラム・ロックがパンクに与えた大きな影響をも窺い知ることが出来る。もっと稚拙な印象があったが、こうして改めて聴いてみると楽曲によっては凝った部分もあり、これを中高生位のガキが作ったというのはやはりナカナカのものだ。

ブックオフにて購入(¥750)

  • CD (2015/9/30)
  • Disc : 2
  • Format: CD, Import, Original recording remastered
  • Label : Cherry Red

 

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艸花庵 養老軒 @岐阜県各務原市

2016年05月28日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

犬山に用事がある時に嫁が時々買ってきてくれていた和菓子の店に娘と訪問。JR鵜沼駅近くで線路沿いあり、最近整備された住宅地の中にある新しい店。通りと離れたちょっと見つけにくい場所にある店だし、店舗も住居兼用なので一見して和菓子屋に見えない。HPを見てみると、こちらは名古屋市内から移転してきたようで、創業は大正11年(1922)と古く、現在は5代目なんだとか。以前は名古屋市内やデパートにも店があったらしいが、5年ほど店を畳んでいて最近この地で新たに店を出したのだそう。嫁が買ってきてくれる和菓子の中でも餅(羽二重餅)が抜群に旨いので、どんな店か興味があった。嫁によると幼子のいる若夫婦がやっているらしいが、この日は御母堂だろうか年輩の方が居るのみで若夫婦はおらず。ショーケースを覗きこむ自分たちにお茶と外郎(ういろう※こちらの店では「ういろ」)を試食させて下さった。そうそう、こちらの外郎やどら焼きも旨いんだ。

この日は娘が欲しがった「紅茶のろいやる大福」、息子用に「苺大福」などを購入。自分と嫁用には草餅を。最近の大福は苺大福を筆頭に洋やら和やら分からなくなるくらいヴァリエーションがあるなァ。ひと口食べさせてもらったが、冷蔵して冷えた大福は、驚くほどしっかりと紅茶の味。口中が紅茶のリーフの香りでいっぱいになる。むしろ強すぎるくらいの個性あふれる大福だった。攻めてるなァ。草餅はよもぎの香り良く、餅の粘り良く、旨い。やはりここの餅はとても旨い。次は「わらび餅」にいってみようかな。

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↑ 各務原市の航空自衛隊岐阜基地の東にある炉畑遺跡。園内にある養蚕農家の建物「旧・桜井家」(明治4年・1871・建造)。老朽化により柵が出来、中は見られなくなっている。

 

艸花庵 養老軒 (そうかあん ようろうけん)

岐阜県各務原市桜木町1-8

 

( 各務原市 各務原 かかみがはら かがみがはら かがみはら 鵜沼 うぬま 和菓子 お菓子司 養老軒 大福 ろいやる大福 ういろ ういろう 外郎 近代建築 )

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ばば天 @名古屋市中区・大須

2016年05月27日 | 名古屋(中区 老舗)

大須観音の南側にある路地に面した天ぷらの店「ばば天」。創業は明治36年(1903)。大火で焼失した五重塔の跡地で店を出したそうだ。変わった店名だが、創業夫婦のお婆さんが揚げ担当だったからこう呼ばれたのだとか。ストレートだなァ(笑)。店に入ると土間になっていて、テーブル席と小上がり席がある。床はフロアマットが敷いてあり、特に古さを感じさせるところは無い。給仕も厨房内も女性ばかりのようだ。テーブル席に座り、品書きの中から「天丼」をお願いした。ビールは大瓶、中瓶、小瓶と揃っていて気が利いているが(オッサンになってくると昼時に大瓶は多過ぎる場合があるし、残すのはもっと嫌なので)まだ用事があるので我慢。厨房の中からきれいな揚げ音が聞こえてくる。覗いてみると、揚げ担当は高齢の女将さんらしき方。ハイ、店名通りです(笑)。

しばらくして蓋付きの小さめの丼ぶりで天丼と香の物が運ばれた。蓋を開けると海老は2匹。それにかき揚げがひとつのっている。海老は開いてあり、衣はしっかりとついていて、つゆに通してあり、ご飯にもつゆがたっぷりとかけてある。もちろん予想通りサクサク、カリカリ「でない」天ぷら。自分は天丼の場合、ここみたいにタネがつゆにくぐらせてあって、衣がご飯とつゆと馴染んでいる方が好み。今は過剰に花を咲かせてある天丼が主流だが、サクサクの天ぷらだったらカウンターでその場で揚げてもらうか、定食にして天ぷらは別でいい。丼ぶりの時は一体感重視。海老は開いてあってもプリッとした食感がちゃんとあり、旨い。かき揚げも中身は小海老だった。量的には抑えめだが(大盛もある)、たぶん昔からずっと変わっていないだろう天丼を楽しんだ。”ばば”様が末永くお達者でいられますように。(勘定は¥1,080)

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↑ (写真上左)大須通沿いに建つ「西大須ビル」(大正10年・1921・建造)。きれいに改修されお洒落なビルディングに生まれ変わっている。(写真上右)大須と言えば赤門通と裏門前町通の交差点のこの珍しい吊られた信号機。4方を向いた自動車用信号機の内側が歩行者用信号になっている。他では見たことないなァ。LEDになっても仕様はそのまま残された。

 

↑ 大須の商店街の古い建物をいくつか。(写真上左)3丁目にある「珈琲ぶりこ」(昭和24年頃・1949・建造)と(写真上右)「フジヤマ55・他」(昭和24年頃・1949・建造)。地元の努力で建物が残った幸せな例。右は貴重な木造3階建て。耐震工事済みだとかで頼もしい。

↑ 2丁目の「八代目澤屋鯛福茶庵」(昭和初期建造)。昔からこの建物じゃないとは思うが、現在は人気のたい焼き屋。こちらの建物もきれいに整えられている。

 

 

名代天ぷら ばば天

名古屋市中区大須2-25-10

 

( 大須 おおす 大須観音 ばばてん 天婦羅 天麩羅 てんぷら 天丼 てんどん 近代建築 認定地域建造物資産 登録地域建造物資産 )

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The Soul Of Ike & Tina Turner / Ike & Tina Turner

2016年05月26日 | ソウル・ファンク・R&B

The Soul Of Ike & Tina Turner / Ike & Tina Turner (2014)

権利関係がどうなっているのかは知らないが、60年代以前の音源を廉価でバンバン再発している英「Not Now Music」レーベルから出たアイク&ティナ・ターナー(Ike & Tina Turner)の3枚組編集盤。アルバム・タイトルはデビュー盤と同じ。著作権が切れた60年代前半だけかと思いきや、60年代後半や一部70年代の録音も入っているようだ。このレーベルは3枚組、4枚組なんてザラで、安くても音質も全く問題ないので、今までにもブルース、ソウル、ジャズのタイトルを沢山購入している(ただしリマスターの表記の真偽は不明)。何しろ中古ショップより安いんだから堪らない。その代わりアルバム収録曲のデータ等はほとんど無く、曲順も年代バラバラで掘り下げ難いのが難点(まあまあのライナーノーツはあり)。でもただ流して聴くには最高だ。

それでなくても60年代のアイク&ティナ・ターナーは色んなレーベルからレコードを出していて、同じ曲の再録音もあったりするもんだからディスコグラフィーが分かりにくいったらない。自分も後追いするのは諦めて、ベスト盤(これでさえ数多あり、どれがいいのか分かり辛い)や一部の有名盤を聴くに留まっていた。シカゴ・ブルースの歴史でも重要なギター演奏者だったアイク・ターナーのギター・プレイは言うまでもなくかっこいいし、このコンビになってからは彼の低音ヴォイスも魅力的だ(この編集盤では残念ながら少ししか出てこないが)。当時夫婦だった2人は、アイクがティナをどつき倒してヒドイめに遭わせていたことが公になって映画にもなってしまったのでネガティヴなイメージが強くなってしまったが、音楽は別。ティナのヴォーカルも伸びやかで、エロチックで、最高。時代と共に次第にファンク、サイケ色が強くなっていく。ゴキゲンなCD。

amazonにて購入(¥1,025)

  • CD (2014/1/17)
  • Disc : 3
  • Format: CD, Import, Original recording remastered
  • Label : Not Now Music
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三輪酒造 @岐阜県大垣市

2016年05月25日 | 岐阜県(西濃・老舗)

岐阜県大垣市の街中で近代建築を探して散策。目当ての建築に寄って行くと、ん?隣がなんだか賑やか…。ここ酒造か(全然知らなかった)。しかもちょうどこの日が蔵開き…うん、行くしかない!という訳で、急きょ蔵開きに参加。最近行った先でこのパターンが多いが、松尾様(酒の神様)が自分を呼んでいるとしか思えない(笑)。伺ったのは船町にある「三輪酒造」(創業天保8年・1837)。主要銘柄は「白川郷」と「道三」。開場の時間前になるとぞくぞくと人が集まって来る。ハッピを着た酒造のスタッフの若いのが目につく。近年はこうやって若い人が酒造りに関わるパターンが多くなってきた。日本酒の未来は明るいゾ、きっと。

時間になって蔵が開き、奥へ奥へ。出店もあって賑やかだ。残念ながら運転があるので試飲は舐めることしか出来ず、「酒蔵バー」のチケットは購入せずに蔵を見て周る。濁り酒などは試飲出来るが、この日限定の生酒は試飲出来ず、チケットを買ってバーで呑むという事のようだ。バイクがあるのでうらめしい。いつもの事だけれど悔しいナー。

 

↓ 大正初期の水圧式圧搾機を備えた酒槽(さかふね)(※もろみを絞るところ)2基。建物は北蔵、南蔵とも国登録有形文化財に指定されているとのこと。

 

蔵の中にセッティングされたバーで楽しそうに呑む輩を横目に蔵を見て廻り、仕方なく買って帰ろうと売り場に戻り「男爵鉄心(Baron Tesshin)」と命名された本醸造酒を購入した。大垣藩の要職にあり藩を救ったと言われる人物「小原鉄心」(のちに男爵位)に由来する酒なんだとか。蔵の人によるとこの酒は燗酒のコンクールで入賞したとのこと。その他にもクイズに答えると猪口が貰えるというクイズ・ラリーをやっていたが、今から戻るのも、と外に出ていた濁り酒の試飲を”舐めた”後、大人しく蔵をあとにした。

家に帰って呑んでみる。本醸造らしいまとまりの良さがある酒。際立った個性があるわけではないが、なるほど燗上がりする。温度を上げてふくよかな味わいと香りを増幅させて呑んだ方が旨い酒だ。逆に言えば温度が低いと埋没してしまうかも。バイクで温度管理が不安だったので限定の生酒を購入出来なかったのが残念だった。(勘定は¥1,000)

 

↓ 件の酒造の隣の町屋「守屋孫八本家」(明治29年・1896・建造)。醤油の醸造所だったようで、既に隣にあったはずの蔵は無くなっていた。ガラスが割れ、中も荒れていたので行く末が心配。

↓ 養老方面へ移動。杭瀬川旧塩田橋の河畔にある「塩田の常夜燈」(明治13年・1880・建造)。大垣名産の石灰などを運ぶ船を見守った常夜灯。とてものどかな風景の中(写真下右)にある。

 

 

株式会社 三輪酒造

岐阜県大垣市船町4-48

( 大垣 おおがき みわ酒造 みわしゅぞう 酒蔵 日本酒 白川郷 道三 鉄心男爵 男爵 バロン バロンテッシン バロン鉄心 近代建築 登録有形文化財 )

 

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桔梗常 @名古屋市中区・矢場町

2016年05月24日 | 名古屋(中区 老舗)

名古屋の名物のひとつ「守口漬」を考案した山田才吉が建てた料理旅館「東陽館」(明治29年建造)から通りの名前がついたという栄(さかえ)の東陽通にある老舗麺類食堂「桔梗常(ききょうつね)」。創業が明治25年頃(1892)という情報もあるので、その威容を誇ったという東陽館よりも古い歴史があるのかも。店は4階建のビルディングになっていて、1階に店がある。引戸を開けて中に入るとしっかり年季が入った佇まい。やや暗めの店内にはお孫さんのものだろう小さい子供の自転車なんかも置いてあって微笑ましい。玉石の洗い出し土間にあるテーブル席に腰かけ、品の良い女将さんに「きしめん」を注文。店内の風格ある古い金文字看板なんかを眺めながら出来上がりを待った。

さほど待つことなくしてきしめんが運ばれる。これぞという顔をしたきしめんは、甘く煮た小さめの揚げ、ほうれん草、花かつおがのっている。しっかり厚みもある麺はちょうど良い茹で加減。つゆは色が濃いめの名古屋標準だが、味は濃い訳ではなく甘みもほどほどで旨い。というか、ある意味歴史的にいったら、ここのきしめんが名古屋標準と言っていいのかも(あとは例えば「一八本店」か)。量もちょうど良く、するするといただくことが出来た。麺類の他にも丼ぶりものやフライもの、カレーライスなどがある。次はそっちのご飯ものを頼んでみよう。(勘定は¥400)

この後の記事はこちら

 


 

↓ 名古屋三越の屋上にある観覧車が貴重な昭和遺産だというのは知らない人も居るかもしれない。現存する最古の屋上観覧車は昭和31年(1956)建造(当時は「オリエンタル中村百貨店」)。国の登録有形文化財に指定されている。直径10m。現在は人をのせて回ることは無いらしいが稼働可の状態だそう。ちなみにこれは2代目の観覧車だそうだ。

 

 


 

和食・めん類 桔梗常 (ききょうつね)

愛知県名古屋市中区栄5-19-27

 

( なごや 栄 さかえ ききょうつね 麺類食堂 大衆食堂 きしめん うどん 三越デパート 三越百貨店 オリエンタル中村 屋上遊園地 有形文化財 近代建築 )

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The Aeroplane Flies High (CD+DVD) / The Smashing Pumpkins

2016年05月23日 | オルタナティヴ・ロック

 

The Aeroplane Flies High / The Smashing Pumpkins (CD+DVD) (2013)

全盛期と言っていい1997年に5枚組EPとして発売されたスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)のボックス・セットがデラックス・エディションとなって、DVD付7枚組で収録曲も大幅に増量され(33曲→104曲)再発されたもの。以前のボックス・セット(写真下)は留め金と取っ手付の正方形箱で、自宅のCD棚で大きな場所を取っていて難儀しているが、そちらを処分せずに買い足すんだから始末に負えない(あの邪魔なボックスどうしようか…)。

この時期のスマッシング・パンプキンズは神がかっていて「Mellon Collie and the Infinite Sadness 」という大作にして名作を発表したばかりなのに、上記旧ボックスの多数の未収録曲とカップリングしてシングルを発売したり、ライヴでも長尺を易々とこなしたりと(見てみたかったナ…)、音楽的にピークに達していた事は間違いない。特にビリー・コーガン(Billy Corgan)の創作意欲、表現意欲は物凄く、カヴァー曲を含めた各曲のクオリティも素晴らしい。グランジ(懐かしい響き…)は普段着のヘヴィー・メタルと言っていいと思うが、映像で見ると初期のビリーなんてどうみても「イケてない」いじめられっ子の風貌。それがこの頃になるとスキンヘッドになったこともあって別人格が乗り移ったかのように風格が出ている。当時は(箱から1枚1枚取り出すのが面倒臭いので)5枚のEPを自分でCD-R2枚に詰め込んで聴きまくった。それが拡大版となるのだから買わずにはいられない(といっても値が下がるまで放置したのだが・笑)。

それにしてもまずすごい量だ。聴いて改めてこの時期のバンドの凄さを再認識。104もの曲(ライヴ及びライヴ映像含む)が収録されているのだが、やはりこの時期のスマパンは素晴らしい。もちろんこれだけの曲があると、歌無しの習作のレベルのものや、デモや、混とんとしたライヴ・テイクも入っていて玉石混交ではあるのだが、短期間にどれだけメンバーに「やる気」が充満していて、想像意欲が湧き出ていたのだろうかと驚く(ただプレッシャーも大きかったとみえて、この後メンバーのドラッグ問題などで分裂に向かう)。あまりの物量に聴くのも大変だ。スタジオ録音曲は先の旧ボックスがあったとして、当時ここに収録されているライヴ音源や映像を、抜粋でいいからしっかりした形で発売出来ていれば、もっとすごい評価を得たんじゃないかと想像する。素晴らしい。最近どうもオリジナル・メンバーでの復活に動いているような気配があるが、止めといた方が…。

オークションにて購入(¥2,700)

  • CD (2013/8/12)
  • Disc : 7
  • Format: Box set, CD, CD+DVD, Deluxe Edition, Import
  • Label : Virgin Records Us
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川勢 @岐阜県岐阜市

2016年05月22日 | 岐阜県(岐阜)

岐阜市のイベント会場「岐阜産業会館」で取引先の展示会があり、終了後に地元で人気の鰻屋「川勢(かわせい)」へ。道を隔てた駐車場に車を停め、中へ。まだ営業開始直後の時間なのに先客があり、自分の後も次から次へと客が入って来る。小上がりの席に座り、ランチの「ひつまぶし」を注文。こちら、これでも値上げしたらしいが値付けが安い。もちろんランチはかなり頑張っているんだと思うが、丼ぶりでもコース料理が食べられるような金額の店ばかりになってきた鰻屋にあって素晴らしい。自分は通常、鰻を食べる時は丼ぶりばかりで、細かく包丁を入れられた鰻にはあまりそそられず、ひつまぶしを食べた経験はほとんど無い。もう廃業してしまったが、我が家に出入りしていた魚屋が炭で焼いて出前をしてくれていた鰻を家で食べる時には、残った鰻を似たようなこと(混ぜたり、葱を沢山入れたり、茶漬けにしたり)をして食べていたので、もちろんどんな味かは想像がつくし、旨いことは分かっているのだが、わざわざ店に行くのなら普通の鰻丼でいい。今日は名物という事で決め打ちだったので迷いなく注文。

しばらくして盆に載せられてひつまぶしが運ばれた。お櫃に入れられたたっぷりのご飯の上に鎮座する鰻はびっくりするほどしっかりした大きさで少しはみ出すくらい。すごい。ご飯との間に刻み海苔が挟まれている。しなかったけれど、ご飯は大盛にすることが出来るのだそう。これに吸い物(肝吸いではない)と香の物、それにゼリー(市販品)が付く。定石通りまずはそのまま。しっかり濃いめ、甘めのたれで、たれの量は多め。刻んであるので歯応えは無いも同然だけれど、身も薄くなく充分に満足出来る。山椒好きな自分は鰻を食べる時には必ず使うが、こちらにはミルタイプの山椒が置いてあった。ただちょっと風味が好みでなかったので使うのは止めにした。次は刻み葱と山葵(練り)を混ぜて。葱が乾いていて少し残念。そして最後はお茶漬け(薄めの出汁)で。量も多いし、鰻の味とたれが濃いのでサラッといけていい。そのままご飯と一緒に食べるのがやっぱり一番好きだけれど、ヴォリュームといい、値付けといい、大変結構だった。(勘定は¥1,600)

炭火 備長炭焼 うなぎ 川勢

岐阜県岐阜市六条北3-18-4

( 岐阜 岐阜市 ぎふ 六条 ろくじょう 鰻 うなぎ ウナギ かわせい 鰻丼 うな丼 うなぎ丼 ひつまぶし 櫃まぶし ひつまむし かば焼き 蒲焼 )

 

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