ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

三朝 @名古屋市千種区・千種

2016年09月30日 | 名古屋(千種区・守山区 老舗)

千種の住宅街の中にある、創業昭和6年(1931)の「三朝」。カレーうどんが旨いと聞いてやって来たが、少し調べてみると、カレーうどんの発祥(諸説あり)とされる早稲田の「三朝庵」(未訪・※かつ丼発祥の店としても知られる)で初代が修行したのだとか。すると、現在隆盛のいわゆる名古屋のカレーうどんとは出自が違うことになるのかも、と興味津々。ただし、現在のこちらの3代目は名古屋式カレーうどん元祖の店(あそこかな?)での修行経験があるとか。

という訳で、もちろん最初からカレーうどんに決め打ちをして店に入ったのだが、壁一面に様々な創作麺の品書きが貼ってあって、ちょっとたじろぐ。品書きが豊富過ぎ(笑)。老舗らしからぬ「イタリアン煮込み」、「地獄餡かけ」をはじめ、「台湾~」はもちろん「幅広きしめん」「どてきし」までと、ものすごい振り幅。これを進取の気風があるというのか、節操が無いというのか(笑)。そんな数々の品が気になりつつも、とりあえず初志貫徹して「カレーうどん」を注文した。

しばらくして運ばれた「カレーうどん」の餡は、鮮やかな黄色で、意外にも名古屋らしい色。このあたりはやはり東京の始祖よりも名古屋の影響が強いのかな。とろみが強く、手打ちだという太いうどんと一緒に啜ってみると、しっかりと麺肌に絡んで、旨い。うどん自体も決して硬過ぎない、いい感じのコシがある。具は少な目だが、程よい辛さがあり、出汁の旨味もしっかり。とてもいい塩梅で、うどんを食べ終わっても丼ぶりに残ったカレー餡を残すことが出来なかった。ごちそうさま。次は復活したという「昭和きしめん」とやらを値打ちなご飯もの丼ぶりとのセットで食べてみようか。(勘定は¥700)

 


 

↓ 東区葵にある「葵倶楽部」(明治34年・1901・建造、昭和27年移築)。築115年の町屋をギャラリーとカフェに改造してある。

 


 

手打ちめん処 三朝

愛知県名古屋市千種区千種1-4-25

 

( 千種 ちくさ さんちょう お食事処 三朝庵 さんちょうあん 早稲田 わせだ カレーうどん発祥 カツ丼発祥 冷やしたぬき発祥 近代建築 登録地域建造物資産 )

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てら田 @岐阜県岐阜市

2016年09月29日 | 岐阜県(岐阜)

岐阜駅周辺で少し呑み足りないナと付近をウロウロ。玉宮町の辺りは新しい店も増えて活気があるが、最初からポスターが作られていたり、品書きがバッチリと印刷されてしまっているような会社作りの店にはあまり興味が湧かず、なかなか飛び込める店が見当たらなかった。JR岐阜駅の正面の大通りに出た時に、評判が良くて前から入ってみたかった店「手酌割烹・てら田」が目に入った。へぇ、ここだったのか。外からカウンターに空きがある様子が見えたので飛び込んでみる。店はカウンター席と奥に部屋があるよう。カウンター席に腰を下ろし、まず冷たいお酒「房島屋」をもらう。つまみには「ほやのこのわた和え」と「飛騨牛のすじ煮」を。

割烹らしく調理服にネクタイを締めた主人が調理し、若い子が補佐をしている。あとは女性給仕が数人。広くない店なので、店員や他の客の所作が目に入るが、この日は客層のせいもあってか、予想に反して何だかガチャガチャとして騒がしい雰囲気。注文も立て込んでいたのか、主人はやや神経質そうな感じで調理を進めている。酒肴はどれも旨い。追加で「とうもろこしの天ぷら」を。こういう店では自分が普段作らないものを頼むことが多い(自分は天ぷらの調理が下手なので…)。天ぷらはかなりのヴォリュームで、言うまでもなく揚げたては抜群に旨い。自然な甘みも充分。この頃には生酛の代名詞「大七」をぬる燗で追加。塩とつゆで食べ進むが、1人ではお腹がいっぱいになってしまった。

酒も料理も旨いし、もう少し落ち着いて呑みたいが、若い衆が自分の目の前で大きな音を立てて皿を洗い始めたり、ラーメン屋のように調理タイマーの音が鳴ったり(使ってもいいけれど、今は音がせずライトが点滅するいいものがありますよ…)と、いかんせん調理場も含めて、終始バタバタとしていて落ち着かないので、ここまでと切り上げた。ただ、自分に付いてくれていた給仕の女性はその空気を感じていたとみえ、帰り際に「すいません」と一言。こういう”察する”ことの出来る人は店の「宝」だなァ。次は予約してコースを試してみようかな。(勘定は¥4,000程)

手酌割烹 てら田

岐阜県岐阜市吉野町5-14

 

( 岐阜 ぎふ てらだ 寺田 割烹 かっぽう 居酒屋 JR岐阜駅 名鉄岐阜駅 岐阜駅前 岐州 餃子専門岐州 ランチ )

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Totally Stripped / The Rolling Stones (4DVD+CD)

2016年09月28日 | DVD

 

Totally Stripped / The Rolling Stones (4DVD+CD) (2016)

今年の3月頃にアナウンスされたローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の1995年のアルバム「Stripped」(写真下)の拡大版。なんと新たに編集されたライヴCDと、ドキュメンタリーDVD、元の素材であったアムステルダム、パリ、ロンドンでのライヴ映像DVD3枚(それぞれ完全版!)という涎の出そうな恐ろしい内容。こういうのが欲しかったー。様々な販売形態があって迷ったが、この3回分のライヴ映像を見るためには、日本盤では数曲のボーナスCDとTシャツを抱き合わせて高値での販売という手法だったので、何とかそれを避けようと探していたらamazon UKに、LPサイズの写真集と1CD+4DVDというもってこいのセットがあったので注文した。確かにドキュメンタリーでの字幕や、毎回渾身の寺田正典氏のライナーノーツには後ろ髪を引かれる思いだったが、背に腹は代えられぬ、というか極力無駄は省きたい。Tシャツとか要らないしネ(ちなみに自分はこういう限定品のTシャツはすぐ着てしまう派)。

オリジナル・アルバム(写真下左)は当時さほど評価が高くなかったと記憶するが、自分は大好きなアルバムだった。スタジオ録音とライヴ音源のミックスで、アコースティックな演奏と一発録りを多用し、昔の曲を多く取り上げていたので、遅ればせながらストーンズ版の変則的”アンプラグド”企画と言っていい。ちなみに元々MTVアンプラグドの企画の発端は”ストーンズにアコースティック演奏をさせてみたい”というものだったという話を、カズ宇都宮氏(Virgin Americaや、Epic Americaの元COO)のインタヴューで読んだことがある。大願成就。

それはさておき、1994年のVoodoo Lounge Tour(ちなみに自分のストーンズ・ライヴ初体験は日本公演後のオーストラリア・シドニー公演)の頃のストーンズは創作意欲、活動意欲がとても旺盛で、来日時も東芝EMIの赤坂溜池スタジオで一発録り録音を試みたり、その後もポルトガルで同様の試みを行って、先述のオランダ、フランス、イギリスでのライヴ収録、それがアルバム「Stripped」として結実した。その他にも自分が覚えているだけで、ツアー初日の映像をすぐに作品化してツアー物販で販売したり(写真下1)、初めてコンサート全曲を収録した作品「Voodoo Lounge In Japan」(写真下2・このLDどうしたもんか…DVDで再発希望)を作ったり、今となっては微笑ましくも懐かしいCD-ROMで「Voodoo Lounge CDROM」(写真下3)というインタラクティヴ作品を作ったり、「pay-per-view」を実施して、ゲストが豪華なそのライヴ映像「Voodoo Lounge Live」(写真下4)を発表したり、と新企画ラッシュ。この他にも現在では珍しくもないが、シングル・カットされた作品には様々なリミックス・ヴァージョンやインタラクティヴ映像を付け足したりと、当時は(特に彼らのようなベテラン・バンドでは珍しく)考えられるメディア戦略を総動員して、次々と新しいことにチャレンジ。やる気がみなぎっていた(きっとこの辺りのこと、ライナーで詳しく触れられているんだろうナ)。

   

そして満を持して、その「Stripped」の元素材ともいえるこの作品。まず目玉のDVD3公演。やる気満々の彼らの、パラディソ(1,500人収容)、オリンピア(2,000人収容)、ブリクストン(5,000人収容)という有名な小劇場でのライヴが3つも完全収録されて映像で見られるなんて、もう最高に決まっている。現地で見たら卒倒していただろうが、こうやってDVDで見ても感激の連続。照明の暗さが小さいハコでの臨場感を煽る。ストーンズはこの頃から積極的にレア曲を織り交ぜて演るようになったが、この3公演はそのハシリとも言え、「えーっ?」とビックリするような初演奏曲(当時)を織り交ぜての気合いの入った演奏を見せている(注・昔からストーンズは撮影カメラが入ると演奏の出来が数段違うと言われております・笑)。ミック(Mick Jagger)は正直かっこ悪かった初来日時(1990)と比較して髪も伸びて、服装センスもグッと良くなり、過去一番カッコイイ(当時:自分比)。逆にキース(Keith Richards)はこの頃から服装のセンスが迷走(笑)。何にしろ、見どころはいっぱいだ。終始リラックスした中にも気合いが入った演奏で、ライヴ・バンドとしての矜持を見せている。

次はCD。新たに編集して、「Stripped」とは違ってライヴ音源だけで編集してあるので、新たなライヴ・アルバムとしても成立。かつては徹底的に編集で手直しをする事で有名だったミック(Mick Jagger)だが、近年アーカイヴの整理が始まってからここ最近は、その病的な執着心はどこかへ行ってしまったようで、演奏の怪しい部分も含めてラフなまま収録。生々しさがあって面白い。逆にこれは手直ししてくれよっていうのも収録されていて、あるまじき”おっと失敗、もう一回やり直し”まで収録…(苦笑)。ドキュメンタリーDVDは、そのむかし衛星放送で「Stripped TV Show」として放映されたものの再編集版。あの頃VHSテープで録画したものを繰り返し何度も見た記憶が甦るが、尺も長くなり、カメラ割りもかなり違っているそう。写真集は大判なのがいい。写真としては目新しいものは無く、無難な作り。ディスクはこの写真集の見開きに収納されている。以上のように内容充実。このデラックス・セット、過去のどのアーカイヴ作品より楽しめた。

いつもこれで終わりかもという話題が上るストーンズ。まさかこの頃から更に20年以上ライヴをやり続けるとは想像出来なかったが、もうすでにメンバーは超人と化しているので、醜態を晒してでも、行ける所まで行って欲しい。

UK amazonにて購入(¥6,824)

  • Format:DVD-Video, NTSC
  • Language: English
  • Subtitles: German, English, French, Spanish, Portuguese, Portuguese Brazilian
  • Region: Region 2 
  • Aspect Ratio: 4:3 - 1.33:1
  • Number of discs: 5
  • Classification: Exempt
  • Studio: Eagle Rock

 

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梅花堂 @名古屋市千種区・覚王山

2016年09月27日 | 名古屋(千種区・守山区 老舗)

覚王山の広小路通沿いにある創業大正14年(1925)という「梅花堂」。こちらで有名な物と言えば「鬼まんじゅう」。「鬼まんじゅう」とは東海地方に伝わる素朴な蒸し饅頭で、さつま芋の角切りが饅頭の生地の中に混ざっている。実は東海地方在住でありながら、小さい頃から鬼饅頭には全然そそられたことが無く、ほとんど食べたことがない。だいたい味の想像はつくこともあるが、大した頻度では出てこないので、自分から買わなければあまり食べる機会もなかった。この日も実は「わらび餅」か何かを買おうと店に入ったのだが、すでにわらび餅は売り切れており、ショーケースにあった他の菓子の種類も少なかったので、せっかくだから口にしてみようと嫁の分も合わせて買った次第。

多くの鬼饅頭は白い生地に黄色いさつま芋が浮いているが、こちらの「鬼まんじゅう」は生地も含めて全体が黄色い色。もちっとした生地の中にさつま芋の角切りがゴロゴロと入っている。生地はそれ自体を味わうというより、さつま芋の角切りを繋いでいるような役目。口にすると自然なさつま芋の甘さでなかなか旨い。ただ素材それ自体の味が主なので、特段甘く感じる訳ではなく、あくまでも芋の味。生地に対する芋の量が多いので、まるで芋をふかしてそのまま食べているような感じだ。これ、飲み物は何が一番合うだろう?、やっぱり緑茶かな。(勘定は¥134/個)

 


  

↓ 覚王山から「徳川園」へ。園内にある「蘇山荘」(昭和12年・1937・建造)。昭和12年に開催された「汎太平洋博覧会」の迎賓館を移築した建造物。カフェとして営業しているはずなのだが、いつ行っても「貸し切り」で入れたことがない。

 

 


 

梅花堂

愛知県名古屋市千種区末盛通1-6-2

 

( 覚王山 かくおうざん 千種 ちくさ ばいかどう 和菓子 鬼まんじゅう 鬼饅頭 鬼まん おにまんじゅう おにまん 日泰寺 近代建築 認定地域建造物資産 )

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東萬駅前支店 @岐阜県岐阜市 (※閉店)

2016年09月26日 | 岐阜県(岐阜)

岐阜駅前で昼時に予定していた店のいくつかに振られ、かといってチェーン店で昼食を採るほど不興なこともないので、どこかないかと歩いていて目に留まった中華料理の「東萬」。以前から店の前を通ったことはあったが、次々と新しい店が出来るこの界隈で、思いっ切り昭和で時間が止まっているような佇まいが印象的。こちらは駅前支店だそうだが、他に店があるのかどうかは知らない。店舗は2階にあり、うちの嫁なら途中で引き返しそうな(笑)、間口の狭い古ぼけた階段を昇っていく。入口の木製ガラス扉を開けると店の中にガラスショーケースがあり、食品サンプルがいくつか置いてある(でもこれ、店に入ってから見るかな?・笑)。テーブル席と小さめの小上がり席があり、小上がり席に腰を下ろす。店内は予想通りに雑然として年季が入っている。客はしっかりと入っていて、さすがに年輩の方が多い。メニューの他に、壁に貼られたいくつもの品があるが、選んだのは「特炒飯」。

しばらくして奥の厨房から特炒飯が運ばれる。初訪なので普通の炒飯と比べて何が「特」なのかはよく分からず適当に頼んだのだが、ハムの入った炒飯の上に緩く焼かれた玉子焼きがのっている。間違いなくこれが「特」だろう(笑)。餡はかかっていないので天津炒飯とは違う。炒飯はやや油多めの街場中華仕様で、店の雰囲気から濃い味付けを想像していたが、控えめな味付けでなかなか旨い。玉子焼きを絡めたり、スープを口に入れながら食べ進んだ。昼にはサービスランチが、夜には晩酌セットが用意されているようだ。こういう街場中華で最初からお酒を決めてみたいが、1人だと2品くらいでギブアップしそう…(勘定は¥580)

この後の記事はこちら

 

中華料理 東萬(駅前支店)

岐阜県岐阜市住田町2-22

※閉店されました

 

( 岐阜 ぎふ 岐阜駅前 JR岐阜駅 名鉄岐阜駅 東萬 とうまん 東萬駅前支店 中国料理 中華料理 炒飯 チャーハン ランチ 閉店 廃業 )

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可ん寅 @名古屋市中区・錦

2016年09月25日 | 名古屋(中区 老舗)

錦(にしき)の老舗ふく料理店「可ん寅(かんとら)」で昼食。昭和9年(1934)創業とのこと。賑わしい錦三(きんさん=錦3丁目の意)の中にあって、こちらの佇まいだけは相変わらず凛としている。高級店なので少々入りづらい雰囲気もあるが、ちゃんと昼の品書きは表に出ているので安心。中に入ると階段スペースがあり、その奥の扉の中がカウンター席になっている。外の喧騒を忘れてしまうくらいの静かで落ち着いた空間。先客は年輩の女性客2人のみ。若い料理人が黙々と調理を続けている。ほうじ茶とおしぼりが置かれ、品書きの中から「鱧雑炊膳」を注文した。こちらはふぐ料理の店なので通常はふぐ雑炊だが、夏場のみ鱧(はも)に変わるそう(訪問8月)。料理人が鱧を捌いて、骨切りをする「ギリッ、ギリッ」という音が静かな店内に響く。

まず小鉢が置かれた。ジャコとひじきの和え物。そして次は八寸。甘露煮や海老、玉子焼などが入っていて、どれも上品な味付け。普通ならこれで酒を呑まないことは考えられないが(笑)、用事があるのでグッと我慢。そしてやや大きめの茶椀にたっぷりと盛られた雑炊が登場。玉子でとじられた雑炊には海苔がかけられ、鱧の身、皮の部分、刻み葱が見える。れんげですくってひと口。鱧の風味を殺さない程度の淡い味付けで、しみじみと旨い。添えられた香の物もさすがの質。雑炊の量も充分にあり、ゆっくりと滋味を楽しんだ。デザートはいくつかの中から選ぶことができ、中から抹茶アイス最中を選んだ。ここでさっと緑茶に替えてくれるのも気が利いている。詰めたてとあってサクサクの薄い最中種(皮)は、膨らんだふぐの形をしていて可愛らしい。中には抹茶アイスとあんこが入っており、冷たいアイスが、雑炊で熱くなっていた口とお腹をクールダウン。これはイイなァ。満足して店を出た。もうふぐ雑炊になっているはずだからまた行こう。誰か夜にここで接待してくれないかナ(笑)。(勘定は¥1,728)

 

ふく料理 季節料理 可ん寅

愛知県名古屋市中区錦3-22-12

 

( 錦 にしき 錦三 きんさん かんとら 河豚料理 ふぐ料理 ふく料理 河豚 フグ ふぐ 日本料理 和食 ふぐ雑炊 河豚雑炊 はも雑炊 ハモ雑炊 ランチ )

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平成二十八年度 松竹大歌舞伎 「當年祝春駒」「仮名手本忠臣蔵・祇園一力茶屋の場」 @岐阜市民会館

2016年09月24日 | 歌舞伎・文楽

歌舞伎「松竹大歌舞伎」(9月21日 岐阜市民会館 大ホール)

台風が心配されたが、直撃はなく、無事開催された(そもそも中止ってあるのか?)恒例の松竹大歌舞伎巡業岐阜市公演。あいにく台風一過とはならず、小雨のそぼ降る中、会場へ。この日は午後休みをもらって昼の部の観劇。岐阜市は昔から芸事に縁が深いはずだが、1日2回公演を差し引いたとしても、前回に引き続き客入りが良くなく、この日も6~7割の入り(夜も多くなかったそうだ)でちょっと寂しい。今、話題の成駒屋(橋之助)でも出ていれば…(笑)。

今回は上手11列目と悪くない席。まずは「當年祝春駒」。いわゆる曽我物で、若い廣太郎と廣松が兄弟で舞う。まだまだ若い二人なので、流れるような所作という訳にはいかないが、貫禄ある父と、顔立ちの美しい高麗蔵(こまぞう)の間で初々しい踊り。物語を基にしているので、もう少し長い舞踊だと思っていたが、意外にあっさりと終演。

今回は中村芝雀が五代目中村雀右衛門を襲名する披露公演。松本幸四郎をはじめ、主な共演者と共に舞台に勢揃いして口上。一人ひとりがひと言づつ挨拶。歌舞伎役者の系図は全然頭に入らないが、こういう段になると誰の従兄弟だの、甥だのっていうのが明らかになって(すぐ忘れてしまうが)血の濃さがあらわになって特殊な世界だという事を再認識する。ま、橋之助の件だって全く驚かないし(そもそも歌舞伎役者ってそういう浮いた話が無い人が居ないので)、現在のモラルに照らし合わせても意味がない。自分はああいう特殊な世界が存在したっていいじゃないかって思うんだけれど…(そうはいかないか)。

幕間を挟んで、メインの「仮名手本忠臣蔵」七段目。そもそも忠臣蔵で自分達が知る武士の名前は歌舞伎の舞台では時代設定を変えたり、ぼかしてあるので、いきなりこの段から見ると人間関係が分かりづらいが、その辺りはしっかり予習しておいたので問題なし。一度たっぷりと通しで見てみたいなァ。大星由良之助(=大石内蔵助)を演じる幸四郎は何度か見ているが、役柄なのか、当人の意思なのか、最近の口跡(言葉遣い、話しぶり)はある種の抑揚が特徴。ちょっと過ぎるような気もするのだが…(→ド素人が偉そうな事を…)。襲名披露した雀右衛門はしゅっとした美人の顔立ちではないが、所作は色気たっぷり。おかるの兄役の梅玉は、時々聞き取りづらくなる口跡が気になった。舞台はこれも短く1時間程。口上があったこともあるが、全体的に少し物足りない内容。ま、長さではないし、襲名巡業だから仕方がないかもしれないが、もう少したっぷりと観たいなァ(と他の客も言っていました)。

この日、ある意味メインのおかる(雀右衛門)が台詞無しで悲しい心情を表す重要な場面で、無情にも携帯電話が「ピロピロピロ…」。くどいほど何度も注意があっても、相変わらず守れない馬鹿者が居るのは情けない(しかも年輩者だから始末に負えない)。

 

  一、當年祝春駒(あたるとしいわうはるこま)

工藤祐経  大谷友右衛門
曽我五郎  大谷廣太郎
曽我十郎  大谷廣松
大磯の虎  市川高麗蔵

二、五代目中村雀右衛門襲名披露 口上(こうじょう)

芝雀改め雀右衛門

三、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)

七段目 祇園一力茶屋の場

大星由良之助  松本幸四郎
遊女おかる     芝雀改め中村雀右衛門
鷺坂伴内        松本高麗五郎
斧九太夫        松本錦吾
寺岡平右衛門  中村梅玉

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丸市 @岐阜県岐阜市 (5) (※閉店)

2016年09月23日 | 岐阜県(岐阜・老舗)

8月末を以って閉店した岐阜市花沢町にある戦後すぐからの麺類食堂「丸市」。建物も戦前のものだという店の貴重な佇まいと風情は、これでもう味わうことが出来なくなってしまった。この店の存在に気付くのが遅すぎたが、僅かながらの期間でも、通って店の味と風情を楽しむことが出来たのは幸せだったと言えるかもしれない。永い間お疲れ様でした。

通って味わった料理を記録の為にいくつか紹介。ある夜に訪れて注文したのは「カツ丼(上)」。暖簾と回転灯(東海地方では店舗の営業中を知らせる回転灯が一般的です)が回っているのを確認して店の中へ。いつものようにカウンターに座り注文する。普段と変わらず粛々と調理は進む。揚げ音まで控えめ。テレビを眺めながら待ち、ザクッ、ザクッとカツを切る音がするのを片耳で確認すると、しばらくして丼ぶりが運ばれた。こちらはいわゆるオーソドックスなカツ煮玉子とじタイプのカツ丼。カツは硬めに揚げられている。歯で噛み切れるのは肉質が「上」だからだろうか。こちらでは珍しく、やや濃いめの味付けで、つゆは多め。大きめに刻まれた玉ねぎの食感も楽しみながら美味しくいただいた。(勘定は¥580)

別のある日には、欲張って「肉丼」と「カレーソバ」の2品を注文。まずは「肉丼」。細ネギとしっかり濃いめに色がついた薄切り牛肉が薄めのつゆで煮込まれて丼ぶりのご飯の上にのっている。脂身のある肉だが、少し硬く、味付けも正直あまり得意でない。この値段で肉質をどうこう言うもんではないが…。そして「カレーソバ」。てっきり日本そばが出てくるものと思いきや、ソバの麺は中華ソバでつかっているものと同じようだ。少しとろみのついたカレー餡はちょっとばかし塩っ辛い。総じて薄めの味付けのこの店でもこういう時があるんだね。正直言うと自分は熱くとろみがついた和風餡で食べる麺は苦手。残念ながらこれもやはり口には合わなかった。こういう日もあります。(勘定は¥970)

 

また別のある日、仕事で付近に来た時に、昼にはまだ早い午前10時頃に店の前を通ったら開いていたので、つい寄ってしまった。主人はちょうど食事中(申し訳なし)。メニューの中から「カツライス」を注文。洋食屋の「カツライス」は店によって、とんかつ定食のように出すところ、あくまでも洋食としてライスは平皿で出すところ、といろいろ。ソースもデミを使ったり、中濃ソースだったり。こちらは括りとしては洋食になっているが…、目の前に置かれたのは何と、味噌カツ。しっかりめに揚がったカツにとろみの強い味噌だれがかかっている。控え目なたれの量がこの店らしい。ご飯は丼ぶりに入っていて、つけ合わせは、マヨネーズのかかったサラダ。千切りキャベツ、レタス、きゅうり、ハムなどが入っている。それにたくあん。味噌はこの地方ではクラシックな、とろみも甘みも強いもの。味噌汁こそついていないものの、やっぱりこれは味噌カツ定食の範疇だな。(勘定は¥580)

もういただくことは出来なくなった他の品々は、また別の機会に。

※8月末を以って閉店されました

以前の記事はこちら (1)(2)(3)(4

この後の記事はこちら (6

 

丸市(丸市食堂)

岐阜県岐阜市花沢町3-25

 

( 岐阜市 ぎふ まるいち まるいち食堂 洋食 麺類食堂 大衆食堂 戦前 戦後 洋食 カツ丼 かつ丼 カレーそば カレー蕎麦 天ぷら中華 閉店 廃業 )

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とんかつのエビス @岐阜県大垣市

2016年09月22日 | 岐阜県(西濃)

大垣駅を出て東へ進むと商店街がある。何を意味するのかは知らないが「アピオロードⅡ」という名前が付いているそうだ。レンガを模したようなブロックで舗装された道を歩いていくと、何とも懐かしい感じの食堂が見えてくる。「とんかつのエビス」。ショーウインドーに飾られた食品サンプルから、看板から、入り口ドアから、ぷんぷんと昭和の香りが漂ってくる。洋食屋らしい風情(注・このブログでは便宜上、とんかつを和食のカテゴリーに入れています)の店内に入りテーブル席に腰かける。店は老齢のご夫婦で賄っていらっしゃる様子。テーブルに置かれたメニューには、洋食の他に、天ぷらやみそ煮込みうどんも。「かしわバター焼き」っていうのにもグッときたが、初訪なのでまずは基本の「とんかつ定食」を注文。この後どこかで呑む気満々だったので、ご飯は少なめでお願いした。

しばらくして平皿にのったとんかつと、ご飯、漬物、赤だしが運ばれた。古く歴史ある食堂では何度も経験しているが、盛りを少なめに頼んでも、結構な量が出てきたりする。こちらも大きめの茶碗に十分な量。もちろん、お店の方の優しさなので有り難くいただきます(絶対に残しません)。かつは薄めで最初から小さくカットしてある。ソースも最初からかかっているが、あっさりめのデミグラスソースのような感じで、とんかつソースのような酸味は無く、旨い。同じ皿に盛られた付け合わせは、スパゲッティーサラダ、キャベツの千切り、トマト、きゅうり。赤だしには豆腐とえのきだけが入っている。彩りの良いそれらを挟みながら、ワシワシと食べ進み、ごちそうさま。次は「かしわバター焼き」か、「オムライス」か、それとも「みそ煮込みうどん」?…。もうここで呑んじゃえば良かったか…。(勘定は¥820)

この後の記事はこちら (2)(3

 

 


 

↑ 店を南に歩いていくとある老舗の煎餅屋「田中屋せんべい總本家」(創業安政6年・1859)の趣ある店舗。残念ながら臨時休業で閉まっていたので、次こそは…。

 


 

↓ お店のマッチ

 

和洋食堂 とんかつのエビス (エビス食堂)

岐阜県大垣市高屋町2-1

 

( 大垣 おおがき 大垣駅 商店街 エビス 恵比寿 エビス食堂 とんかつエビス 洋食 和食 和洋食 みそかつ 味噌カツ 田中屋煎餅 近代建築 )

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千種豊月 @名古屋市千種区・今池

2016年09月21日 | 名古屋(千種区・守山区)

最近は名古屋でも評判の蕎麦屋が出てきたので今はどうなのかは知らないが、昔は旨い蕎麦というと必ず名前の挙がる店だった「千種豊月」。すぐ近くの近代建築を訪れた時に行ってみようと思って予定を立てていたのだが、残念ながら件の建築が取り壊されてしまい(あぁ、もう少しだけ早く見に行っていたら…)蕎麦屋への単独訪問となった。店近くの細い路地を北に入ると駐車場があり、そこに車を停め、店まで歩く。開店したばかりの時間だが、次々と客が吸い込まれていた。相変わらず根強い人気があるようだ。こちら創業は昭和46年(1971)とのこと。店に入ってテーブル席に座る。奥には麺打ち場があり、給仕の女性も大勢で活気がある。かき揚げが名物らしいのだが、この日は夜に天ぷらを食べる予定だったので、シンプルに「生粉打せいろ」を注文した。

しばらくして2段のせいろに分かれて蕎麦が登場。薬味はおろしと葱と山葵。こちらの蕎麦はこの辺りでは珍しく、更科粉で打たれていて色白。蕎麦をつまんで手繰ってみる。喉越し良く瑞々しい。つゆはこの地方らしい濃いめのやや甘め。徳利にも入っていて、量はたっぷりあって嬉しい。更科蕎麦だともう少しカエシ弱めの出汁感の強いものが好みだが、名古屋らしさがあって、これはこれでいいかも。あっという間に手繰り終えたので、蕎麦湯はこちらから声を掛けなければならなかった。最初はやや濁っていたが、沈殿してすぐにサラッとした感じになった蕎麦湯を、蕎麦では使わなかったおろしと葱を入れながら、たっぷりのつゆで楽しんだ。次は是非とも天ぷらも。(勘定は¥820)

 


 

 

↑ 掘割町にある「よし川別館」(昭和元年・1926・建造)と、「爲三郎記念館(旧・爲春亭)」(昭和9年・1934・建造)に寄ってみた(外から覗いただけ)。

 


 

千種豊月

愛知県名古屋市千種区豊年町15-19

 

( 千種 ちくさ 豊月 ちくさほうげつ 蕎麦 そば 蕎麦切り そばきり 更科 さらしな 天婦羅 天麩羅 てんぷら 蒸篭 セイロ 近代建築 登録地域建造物資産  )

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