ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

幸壽司 @愛知県刈谷市

2024年01月04日 | 愛知県(三河・老舗)

愛知県刈谷市に訪れた際に昼食に寄ったのは東陽町の鮨屋「幸寿司」。昭和29年(1954)の創業だそう。駅から歩いたが、金木犀の香りが漂ういい季節になった(訪問10月)。店構えは大きく、見るからに”町の寿司屋”という感じではない高級感が漂っている。大通りに面している入口から暖簾をくぐって中に入るとアプローチがあり、予約をしていなかったので尋ねるとテーブル席に案内された。カウンターで”お好み”をいただこうと思っていたんだけれど昼は通していないのかも。”お決まり”の中から「上寿司」と「燗のお酒(七笑)」をお願いした。格子の向こうに何人もの職人が見えるが、握り手の手元までは見えないので面白さは半減。

まずは九谷焼のような徳利と猪口で「燗のお酒」とたまり醤油が用意され、後から「上寿司」が運ばれた。吸物付き。握りのタネは鮪、鯛、海老、烏賊、帆立、いくら、穴子、それに鉄火巻とかっぱ巻。鮪は赤身だが包丁が入れてあり、帆立は炙って海苔が挟んである。穴子に塗られた煮切りは色が薄いので白醤油とかを使っているかな。どれも端正な姿の握り。海老も冷たくなくいい感じ。こういう握りにたまり醤油っていうのは最近では珍しいけれど、醤油の醸造元が多い三河地方だから昔からこうなんだろうナ。食後は大将手作りという「ほうじ茶を使った蒸し羊羹・さつまいも入り・赤ワイン煮」が出た。言わずともちゃんとお茶も熱いのに差し替えてくれ、美味しくいただいた。次は是非カウンターで。(勘定は¥4,000程)

 

 


 

↓ 店のすぐ前にある「トヨタ紡織株式会社」の敷地内にある煉瓦の建物「トヨタ紡織歴史未来館」(大正12年・1923・建造、移築復元)。前身のの「豊田紡織刈谷試験工場」時代の建物を移築復元して歴史展示を公開しているのだとか。建物から出てきた方が教えてくれたが、残念ながら見学には予約が必要とのこと。

 

 

 


 

 

幸壽司 (幸寿司本店)

愛知県刈谷市東陽町2-22

 

( 刈谷 かりや 幸寿司本店 こうずし こうずしほんてん 幸壽司本店 握り寿司 握り鮨 ランチ とよたぼうしょく 近代建築 )

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まるや八丁味噌 @愛知県岡崎市

2023年08月30日 | 愛知県(三河・老舗)

愛知県岡崎市訪問の締めくくりは八丁町へ。こちら八丁味噌発祥の地で、現在も2つの会社が昔ながらの製法で八丁味噌を作り続けている。ひとつ「カクキュー(合資会社八丁味噌)」は以前にも蔵見学をしたりしたことがあるので、今回はもうひとつ「まるや八丁味噌」へ行ってみることに。「カクキュー」と隣合った敷地に簡素な直売所があり、蔵見学の受け付けもしている。受付を済ませて時間まで待機。

呼ばれて10人ぐらいのグループで味噌の香りただよう蔵の中へ。現存する桶で一番古い物(写真下5枚目)は160年も経っているんだとか。凄い。色々な豆知識を聞き乍ら場内を一巡。細い八丁蔵通りに面する屋外では味噌をつけたおでん(こんにゃく)の試食も。本当に目と鼻の先に「カクキュー」があるので、どちらが先?という見学者からの質問に、係の人がにっこり笑って、

「うちが300年くらい古いです。」

とサラッと言うので、みな「えーっ!」とひっくり返った(創業延元2年・1337)。軽く言うけど300年って…そんなに違っていたのか。蔵見学のお土産にだし入りの八丁味噌の小袋をいただき、売店では「三河産大豆使用・無添加・八丁味噌」を購入して家に持ち帰った。

 

 

 

 

家に帰って八丁味噌だけの味噌汁を作ってみた。家で普段使っている味噌は毎年漬ける自家製の味噌だし、他は郡上味噌(麦・大豆)と市販の合わせ味噌が少しあるくらい。それに大抵出汁を引くので意外と味噌だけってやらない。味噌の風味そのままで味見。具材の味がくっきりとして(この日は小松菜、油揚げ)実際に出汁無しでこんなに旨いのかと再認識。通常の味噌は煮えばなに溶くが、八丁味噌は少々煮込んでも香りは飛ばないし、煮込んだ方がまろやかで旨くなる(気がする)。味噌煮込みうどんで鍋がグツグツいっていてもしっかりと旨いのはそういうことかな。次はお土産で貰っただし入りの八丁味噌でも作ってみよう。ただし、この「八丁味噌」の名称、色々と問題があって…。(勘定は¥600/300g程)

 


 

↓ 細い路地(八丁蔵通り)を挟んで向こうが「カクキュー」(会社名は”合資会社 八丁味噌”)。敷地的に隣り合っているのは知っていたが、旧・商店は実際にこんなに近いんだとビックリ。

↓ 「カクキュー」の売店や食堂があったり蔵見学が出来る東側はこんな感じ。この日も車がひっきりなしに停まっていた。建物は国の登録有形文化財に指定されている。

 

 

 


 

 

まるや八丁味噌

愛知県岡崎市八丁町52

 

( 岡崎 おかざき まるやはっちょうみそ はっちょうみそ 近代化産業遺産 工場見学 地理的表示保護制度 GI制度)

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和泉屋 @愛知県岡崎市 (2)

2023年08月26日 | 愛知県(三河・老舗)

愛知県岡崎市街を散策。車に折り畳み自転車を載せてこなかったので全部歩き。さすがに暑さもあってヘトヘトに。休憩がてら以前来た時にも立ち寄った「和泉屋」へ。創業は昭和7年(1932)。店先にはひっきりなしに菓子やら何やらを買い求める客がやって来て列を作っているが、意外にも奥の店内飲食スペースは先客なし。テーブル席に腰掛けた。おでんもあったが流石にこの暑さではその気にならず「クリームあんみつ」をお願いした。入口から奥の調理場にマイクを通して注文が通る。

しばらくして「クリームあんみつ」が完成。アイスクリーム、あんこ、寒天、パイン、みかん、黄桃、さくらんぼという布陣。歩き疲れた体に甘いものが滲み込んでいく感じ。旨い。自分が出先で率先してこういうものを口にするようになったのだから妻もびっくりするはずだ(←若い頃はあんこがあまり好きでなかった)。こちら「みたらし団子」や「おはぎ」といった昔からの品に加えて創作菓子や新しい菓子、洋菓子っぽいものまで目移りするほど品が豊富。次は何を買って帰ろうかな。(勘定は¥611)

以前の記事はこちら (1

 

 


 

↓ 店と同じ西康生通りにある洋品店「nadja homme」(建築詳細不明)。瓦屋根の隅切り家屋を改造してある。まあまあ古そうな感じがするがどうだろう。

↓ 以前も訪れた「六供(ろっく)浄水場」の「六供浄水場ポンプ室」(昭和8年・1933・建造)と、隣接する「配水塔」(昭和9年・1934・建造)。いずれも現役の施設。周辺は整備され公園も出来ていた。ただ相変わらずフェンスから建物はちょっと遠いのが残念。公開される日とかあるのかな。

 

 

↓ 同じく六供の「岡崎市民会館」近くにある「旧・石原家住宅」(安政6年・1859・建造)。商家であったが農家の造りを採用しているのが珍しいのだとか。一時は昭和風に改造されたり、料理屋やカフェを営んだこともあるらしい。修復もされ、国の登録有形文化財に指定されている。現在はご家族の方が継承され、時々公開されることもあるようだ。

 

 

 


 

御菓子司 和泉屋

愛知県岡崎市康生通西2-6

 

( 岡崎 おかざき いずみや いずみ屋 和菓子 御菓子司 関東煮 あんみつ クリームあんみつ 近代建築 国登録有形文化財 近代化産業遺産 )

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安兵衛 @愛知県岡崎市 (2)

2023年08月22日 | 愛知県(三河・老舗)

愛知県岡崎市内を散策。以前にも訪れてそのクラシックな洋食メニューに胸が湧きたった元能見町の「安兵衛」を再訪。正確な年は分からないが創業して70年程だそうだ。店は中心部から少し離れた街中にあり、かなり年季の入った外観だが、メニューには「エスカロップ」「ハイシビーフ」「ミヤビヤ」「フライタース」「カスタードミンチ」「フーカデン」等の今では見ることの少ない絶滅危惧メニューが揃っているという貴重な店(注・ただし現在は名前だけ載っているものの配膳されていない品も多い)。以前訪れた時には「チキンエスカロップ」と「トルコライス」をいただいた。

店内には先客の老夫婦が2組。メニューを凝視して再確認。というのも実は先日、某地図アプリでこの店の最近のメニュー表の写真を見たのだが、あの「チキンミヤビヤ」に値段が付いているのを発見!(※値段の表示してある品は提供可)。気になっての訪問となったのだった。以前の訪問時には付いておらず注文出来なかったので復活ということだろうか? ワクワクしながら、まずは給仕の年配女性にメニューに載っていないノンアルコールビールがあるか訊いてお願いした(車なので)。今回はのり塩のポテチ付き。そして改めて「チキンミヤビヤ」を注文した。

ご高齢の女将さんの姿が見当たらないなと思っていると厨房の中で調理をしていらっしゃった。以前は女将さんが給仕で、調理は違う方がやっていらっしゃったと思うのだが(未確認)。古びて薄暗い店内でノンアル(キリン零ICHI )を啜りつつ、出来上がりを待つ。ノンアルのビールってビール代わりに仕方なしに飲む人も多いと思うのだが、どうして瓶は量が少ないんだろう?…。

しばらくして「チキンミヤビヤ」が登場。少し深さのある平皿に盛られていて、具材はチキンの他、玉ねぎ、人参、椎茸。タケノコも入っているかな。上にのった目玉焼は黄身が流れ出るくらいの火入れ加減でグリーンピースが散らされている。早速スプーンを入れていく。味の基本はデミグラス・ソースのよう。旨い。不覚にも早く黄身を潰してしまったので混ぜ合わせながらもいただく。オーブン調理してあるかどうかは分からなかったが、コクのある味わいと歴史を味わった。こちら、まだ「テンドロアンステーキ」「イタリアンコロッケ」「イタリアンポーク」「イタリアンスパゲテー〔ママ〕「オムライス」など食べてみたい品が沢山。近くだったら絶対全メニュー制覇するのに。胃袋があと2つくらい欲しい…。

5年程前に名古屋最古の洋食店、円頓寺の「勝利亭」が閉店して、東海地方の歴史ある洋食店にだけ残る不思議なメニュー「ミヤビヤ(ミヤベヤ、メアベア)」を現在提供しているのは、岐阜「あじろ亭」、武豊「享楽亭」、津「中津軒」(未訪)の3軒だけだとメディアでは言われているが、ここや、瑞浪「満月」(※閉店)、津島「三すじ」(未訪)など、メニュー復活を含めて歴史ある店、あるいはその系譜にある店ではひっそりと提供している店がまだあるかもしれない。(勘定は¥1,200)

以前の記事はこちら (1

 

 


 

↓ 店のすぐ向かいにある理容店「澤田理容館」(建築詳細不明)。以前は気付かなかったが、よく見ると瓦屋根に不釣り合いな2階の欄干付きの格子窓や、1階の将棋の駒のような明かり窓、入口の斜め付け扉など、とても個性的。結構古い建物なんじゃ…。

 

 

↓ 周囲を塀で囲ってまるで城のような「浄誓院・松本観音」(建築詳細不明)。こちらから見ると寺なのに中に入るのを躊躇してしまう要塞(笑)(表側には普通に参道があります)。

 

↓ 参道が小さな商店街のようになっていつも活気がある「松應寺」(建築詳細不明)。来るたびに装飾が変わっていたり、若い人が集うカフェや飲食店があったり、小さい子も立ち寄るような商店があったりと面白い寺。誰か仕掛け人でも居るのかな。自分は誰も居ない蚤の市で盃を見付けてきた(皿の上にお金を置いてくるだけ)。

 

 


 

 

 

レストラン 安兵衛

愛知県岡崎市元能見町172

 

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藤見屋 @愛知県岡崎市

2023年08月18日 | 愛知県(三河・老舗)

愛知県岡崎市内を散策。いつものように歴史ある和菓子店を尋ねようと伺ったのは本町通にある「藤見屋」。創業は明治28年(1895)で現在4代目とのこと。こちらは最初、建物の方が目についた。いつ頃の建築かは知らないが、タイル壁で、どう呼ぶのか知らないが瓦屋根の軒下が塞がれている。そこには文字看板も。あまり見ない意匠だ。店の正式名称は「五万石藤見屋」というのかな。”五万石”というのはこちらの銘菓子の名前。店に入るとご高齢の女将がいらっしゃる。先客が買物を済ませるのを待ってその「五万石」と「しんこ」という変わった名前の餅菓子を購入した。

家に帰っていつもの如く妻と分けっこ。小袋に入った「五万石」は”矢作川を川下りした帆かけ舟を模った”という芥子の実せんべい。原材料はそれと米粉と砂糖とシンプル。帆の形でカリカリとした硬めの歯応え。ほんのりと甘い。味は創業時から変えていないんだとか。「しんこ(しんこ餅)」は少し大きめで捻ったような形。色は緑と茶色、桃色の3色。一応緑がよもぎ、茶色は黒糖かな(桃色は不明)。もちっとした食感で甘さ控えめ。花見団子などと同じような感じ。味は想像通りだが、どうしてこの名前になったのか興味が沸く(訊くの忘れた)。(勘定は¥570)

※上新粉が原材料だからと教えていただきました

 

 


 

↓ 少し足を延ばして岡崎城の西の板屋町へ。この辺りはかつて「龍城連」と呼ばれた花街のあったところ。現在は痕跡がわずかに残っているのみだが、そのひとつ、元料理屋の「福柳」(建築詳細不明)。屋号は「みどり」だったらしく、破風が邪魔して写真には写っていないが2階の欄干に屋号が切り抜かれている。

 

↓ こちらも店先に屋号が切り抜かれている建物(建築詳細不明)。屋号は不明で文字も判読し辛いが、逆読みで「以お里〇(いおり〇)」とでも読むのかな?

 

 


 

 

御菓子司 五万石藤見屋

愛知県岡崎市本町通1-4

 

( 岡崎 おかざき ふじみや ごまんごくふじみや 和菓子 五萬石 近代建築 妓楼 妓楼建築 遊郭 たつき たつきれん )

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松栄鮨本店 @愛知県岡崎市

2023年08月14日 | 愛知県(三河・老舗)

以前に何かのきっかけで店の案内を見かけて一度立ち寄ってみたいと思っていた愛知県岡崎市の寿司屋「松栄鮨本店」。店は道幅の広い康生通沿いにある。店頭に人形が置いてあって親しみやすい街の寿司屋といった感じだが、何と戦前の昭和12年(1937)に東京の新橋で創業したのだとか。どういう経緯でこちらに移ったのか知らないが興味深い。暖簾をくぐるとカウンター席とテーブル席が2つ、小上がり席が3つあるが、店が大きいので奥に座敷席もありそう(地下にも?)。”お決まり”を1人前いただこうと思っていたのでテーブル席に腰掛けた。板場には若いのが2人。給仕女性2人。江戸前ということなのでやはり握りをと「並寿司」をお願いした。

程なくして桶に盛られた「並寿司」が運ばれた。寿司種は、鮪(赤身)、ヒラメ、穴子、海老、はまち、サーモンといったところ。並としては上等だ。この価格でイカや玉子や海苔巻きが無いのは珍しいかも。タネは大きめの切り付け、寿司飯はやさしめの味加減。握りはやや軟らかめといったところ。タネと寿司飯が馴染んでいて旨い。もちろん戦前の握りの形とは違うだろうが、最近の握り寿司はシュッとしたのが多くなったので、こういう気取りのない握りもいいものだ。パクパクッと口に放り込んで、熱いお茶を流し込んだ。いちどカウンター席に座って酒と一緒に”お好み”でいただいてみたいナ。(勘定は¥1,500)

 

 


↓ 東康生通にある履物屋「さくらや本店」(建築詳細不明)。街路樹が茂って見づらいが、建物はおたふく窓の渋い看板建築。

 

 


 

 

江戸前 松栄鮨本店

愛知県岡崎市康生通南1-25-25

 

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角三 @愛知県豊川市

2020年12月10日 | 愛知県(三河・老舗)

以前にも訪問しようと思ったが、時間や距離の関係でなかなか機会が見付けられなかった愛知県豊川市の御津(みと)。JRの「愛知御津駅」で降りて平坂街道近辺の近代建築を愛でることが出来た。散策後、昼食に選んだのは駅の近くにある食堂「角三」。創業は明治21年(1888)という130年超えの歴史がある店だ。暖簾が掛かってすぐの時間に店に入ると、中はテーブル席が2つ、小上がりが2つとこじんまり。それでも既に先客があったし、自分の後には7人もの大家族が入って来た。人気あるんだなァ。置いてある酒類の瓶が多く、品書きにも酒肴が多いところをみると、この辺りでは酒場としても機能しているのだろう。”創業以来の”とあった天丼と迷ったが、自分の好物でもあり、”名物‼”と謳ってあった「カツ丼」をお願いした。手洗いを借りたが、裏の生活スペースを奥の奥まで歩いて行くのが面白い。家族でやっていらっしゃるようだが、主人は出前に出ているようだし、出前と思しき電話も何本も掛かっていてなかなか調理が進まない。30分に1本程度と電車の本数が少ないので時間を気にしつつ待った。

じりじりとして待っていると、やっと「カツ丼」が登場。赤出汁と漬物、それにひじきの小鉢が付いている。カツ丼用の手鍋で調理された「カツ丼」は玉子と玉ねぎを使ったオーソドックスなカツ煮タイプ。上にカットしたいんげんがあしらってあって姿がいい。つゆの味付けは濃いめ。カツにはしっかりと厚みがあり、食べ応えがある。旨い。ガツガツと喰らって味噌汁を流し込んでいると額から汗が滲んできた。電車の到着時刻が近いので慌てて勘定してもらい、店を出て駅に急ぐ。どうせここに来るときは又電車だろうから、次はゆっくりと酒とつまみを頼んでから天丼か何かで締めたいナ。(勘定は¥850)

 

 


 

↓ JRの「愛知御津(みと)駅」(建築詳細不明)。明治時代に「御油(ごゆ)駅」として開業。駅舎は空襲で破壊されたらしいが、このホームの柱は結構古そうに見える。

 

↓ 店の向かいに立っていた商店跡(建築詳細不明)。何の商店だったかは分からないが、しっかり瓦屋根の看板建築。

 

↓ 平坂街道沿いに建つ建築会社「(有)カネ貞」(建築詳細不明)。建築会社なのに立替えせず古い建物をリノヴェーションして使っているのが素敵。下調べでは街道沿いにあったはずの郵便局舎は取り壊されて更地になってしまっていた。

 

↓ 同じく街道沿いに建つ「旧・石黒洋服店」(建築詳細不明)。現在は使われていなさそうだったが、壁に直接タイルを埋め込んだ看板や3連ガラス木戸の入口、入口先のショーケースがかっこいい。

 

 

↓ そして今回遠路はるばる御津までやってきたのはこの建物を観るためと言っても過言ではない「旧・今泉醫院診療棟」(昭和2年・1927・建造)。風格ある逆読みの看板、バルコニー付きの車寄せ、縦長の窓、屋根上の鳩(?)の飾り等、どこをとっても素晴らしい。細い路地にあるので写真が撮りづらいのが難点。現在は住居として使われているようだ。国の登録有形文化財に指定されている。

 

 

 

 

  

 


 

 

お食事処 角三

愛知県豊川市御津町西方松本5-5

 

( 豊川 とよかわ みと 御津 愛知御津 かどさん 食堂 麺類食堂 大衆食堂 居酒屋 老舗 うどん 丼物 近代建築 国登録有形文化財 旧今泉医院 )

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千代娘 @愛知県豊橋市

2020年12月01日 | 愛知県(三河・老舗)

豊橋の割烹「千代娘」へ遅い時間に訪問。建て直す前の頃からずっと寄ってみたいと思っていた店。創業は昭和32年(1957)だとか。こちらも日曜休みなのでなかなか機会がなかった。暖簾をくぐって尋ねると席は空いているとのこと。遅い時間で良かったナ。まだ真新しく見える店内は右側にカウンター席、左側に小上がり席がある。カウンターの上には惣菜が盛られた大皿が並ぶ。白い調理服を着たご高齢の主人は調理場を行ったり来たりして忙しそう。給仕をやっているのは娘さんかな(未確認)。カウンター席の端に案内され、マスクケースを頂いたのでマスクを仕舞い、酒は「千代娘・本醸造」(静岡)をぬる燗でお願いした(※確かに”千代娘”と書いてあったと思ったが、ここの蔵は廃業したんじゃ…)。目の前に大画面のテレビがあったのが意外。猪口を選ばせてくれたのでなるべく口当たりの薄い物を探し、徳利から注いでグイッとやる。お通しは「イタヤ貝酢味噌」。これでもうイチコロ(笑)。

経木にびっしりと書かれた品書きを眺める。どれもこれも旨そうだが、もう食べてから来ていたので最初からあまり大そうな品を頼むつもりもない。目の前の皿にあった小さい殻付きの「トコブシを下さい」とお願いすると、「トコブシじゃなくて稚アワビなんです。」とのこと。いや、失礼しました。もちろんいただいた。包丁の入った「稚アワビ」は濃いめに味付けしてある。軟らかく煮られたのを口に入れ、酒で追う。旨いナー。次の酒は「四海王・福」(福井)を熱燗で。「うの花」を追加。上にちょこんと木の芽(山椒の若葉)がのせられているのが割烹らしい。これが意外とたっぷり。戻した椎茸の風味がしっかりと利いていて、味加減も良い。給仕女性と少し話したり、目の前のテレビでやっていた酒呑みの番組(笑・「にっぽん酒処めぐり」)を見ながらゆっくりと杯を重ねた。もう少し色々食べてみたかったが、遠征先ではなかなかそうもいかない。機会があったらゆっくり腰を落ち着けてまた呑んでみたいなァ。品書きに値段は書いてなかったが心配するほどではなかった。(勘定は¥3,000程)

 

割烹 千代娘

愛知県豊橋市松葉町3-83

 

( 豊橋 とよはし ちよむすめ 割烹料理 居酒屋 酒場 ミシュラン ビブグルマン 太田和彦 )

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ボン.千賀 @愛知県豊橋市

2020年11月24日 | 愛知県(三河・老舗)

愛知県豊橋市にて。こちらも以前から寄ってみたかった大正元年(1912)に菓子問屋として創業し、戦後間もないころから菓子パンを販売しているという「ボン.千賀」(←”ボン”の後にコンマが入ってる)。日曜定休なので今まで入る事が出来なかったパン屋だ。自社ビル(たぶん)の1階が店舗になっている。店に入るとガラス・ショーケースには主に箱入りの菓子が並んでいて、入口近くの棚に菓子パンが並んでいる。トレイとトングで取っていく方式。奥にはイートイン出来るスペースもあるようで、ぶら下がったペンダント・ライトなど意匠が昭和”高度成長期”ポップ。自分が入った時には若い女性店員が1人だけだった。トレイを持ってパンを選ぶ。どれもパッケージのデザインが秀逸。そういえば今ってこういうポップなデザインってあまり見ないなァ(今の商品はどれもパッケージで中身や味が分かるようになっているものばかり)。出先で多くは買って帰られないので3種類だけ選んで勘定してもらう。

 

選んだパンは「くろんぼパン」(写真下1枚目)、「パピロ(バターパン)」(写真下2枚目)、「レモンクッキー」(写真下3枚目。フォントやイラストが可愛らしい。最初はいきなり現在では禁止用語になっている名前が付いたパン(笑)。イラストはオッサン世代なら誰でも知っている”ダッコちゃん”だ。どうしてこの名前になったかは知らないが、きっとダッコちゃん全盛期(昭和35年発売)の時流に乗って発売されたんじゃないだろうか。食べてみると、これが意表を突いた白餡のあんパン。なぜだ?(笑)。「パピロ」はコッペパンに練乳のような味の甘いクリームが挟んである。”バターパン”とあったのでバターが使ってあるのかなと原材料を見ると”マーガリン”(笑)。そうそう昔はバターとマーガリンの表記はいい加減だった。にしても素敵なパッケージ・デザイン。「レモンクッキー」は硬めで乾いた感じの生地にクリームが挟んである。確かに”クッキー”といった感じ。口中の水分が持っていかれるのでコーヒーにぴったりだった。妻曰く「どのパンの味も昭和ならでは。」とのこと。よく分かる。次は店の中で食べてみたいナ(何とビールがあるらしい)。(勘定は¥450) 

 

 

ボン.千賀

愛知県豊橋市駅前通1-28

 

( 豊橋 とよはし ボン千賀 ボンせんが パン ベーカリー 惣菜パン 菓子パン 手作りパン 老舗 長崎カステラ 喫茶 )

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東京庵本店 @愛知県豊橋市

2020年11月22日 | 愛知県(三河・老舗)

豊橋遠征。夕方に豊橋の隠れたソウルフード「豚汁」でもいただこうかと目当ての食堂に向かうも、土曜日はやっていないのか、それともコロナ休業なのか、2軒も振られてしまった(→豊橋の古い食堂には豚汁定食がある店が多い)。諦めて向かったのは大手町にある「東京庵」。創業明治17年(1884)という豊橋でも屈指の老舗だ。何でも創業者が東京出身なのでこの店名なのだとか。以前に寄った時には待ちの行列が出来ていて断念したこともある人気店。まだ夕飯には少し早い時間とあって店内はのんびりとした雰囲気。沢山並んだテーブル席のひとつに腰掛けると、給仕女性がお茶と小皿に盛った刻みネギを置いていった。看板には”生そば処”とあるし、品書きもそばの方が先に載っているが、注文したのはこの地域のもうひとつのソウルフード”にかけうどん”。”にかけうどん”は以前に同じ豊橋の「勢川本店」、碧南の「大福」でも食べたことがある。語源は”荷かけ”とも”煮かけ”とも言われるが、刻み揚げ、かまぼこ、青菜がのったシンプルなつゆのうどんだ。通常の「にかけ」の他に「白にかけ」というのがあったのでそちらにしてみた。

しばらくして運ばれた「白にかけ」は碧南で作られる小麦を主原料とした「白醤油」が使われている。その名の通り透明に近いのでつゆも透き通っている。出汁は東海地方の古い店では定番の宗田鰹とムロアジだそう。具材は刻み揚げ、かまぼこ、青菜、それに花鰹がのっている。中細麺で麺線は長めで量は多め。つゆは雑煮のつゆのような味わいで、あっさり、すっきりとしていて何とも旨い。小皿でもらった刻みネギを散らしてもいいし、卓上に置いてある揚げ玉を入れてもいい。でもこのままいただくのが一番いいかなとつゆを汚さずにいただいた。うどんはもこのつゆにはぴったり。するするといただいてつゆも飲み干してしまいそう(まだ夜は長いので自重)。旨かった。次は「手打ち水車ざる」「水車鴨ざる」あたりのそばをいただいてみよう。(勘定は¥650)

 

生そば処 東京庵 本店

愛知県豊橋市大手町135

 

( 豊橋 とよはし 東京庵豊橋本店 とうきょうあん 蕎麦 そば 生そば うどん 饂飩 にかけうどん 定食 老舗  )

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