メシ喰うな! / INU (1981)
当時19歳の町田町蔵(現・町田 康)率いるINUの唯一のオリジナル・アルバム。まずジャケットのインパクトが素晴らしい。この面構え。日本のパンクを語る場合に必ず挙がる1枚だが、自分は今までアルバムを保有しておらず、今回初めてこのCDでアルバムを通して聴いた。ジャケットの印象や今までの情報から、もっとパンク然とした音なのかなと思いきや、どちらかというとその少し後のニューウェーヴ、ポストパンク的な音触り。リアルタイムから少し遅れて「東京ロッカーズ」(フリクション、LIZARD、S-Ken等)を聴きまくった自分としては、確かに”あの頃の音”が鳴っており、「東京ロッカーズ」のバンドらも同じようにライヴでの音とスタジオ録音では随分と違って聴こえたことを思い出した。その頃(80年代中後半)にこのINUを購入しなかったのは、彼らが関西出身だったこともあると思うが、当時は中古レコード屋でいい値段が付いていたこともあったかもしれない。
ちょっとあからさまにニューウェーヴな1から始まり、関西弁がらしさいっぱいの3、ベースの反復と町田のシャウトがPIL(パブリック・イメージ・リミテッド)を彷彿とさせる表題曲の6、サックスは無いけどジェームス・チャンス(James Chance)のような不協和音の10、エッジの効いたギターがまるでギャング・オブ・フォー(Gang Of Four)を思わせる11など、少なからず当時のポスト・パンクの連中の影響を強く受けていると思われる。ベース初心者だったという西川成子のベースがシンプルな中にも狂気を発していてイイ。町田の歌詞は自分にはあまり素直に耳に入ってこないが、こうして聴いてみると音像が「東京ロッカーズ」と似ているのは、このアルバムのプロデュースが現音楽評論家の鳥井ガク(賀句)だということもあるのかも(※)。
※鳥井ガクは東京ロッカーズのバンドのひとつ「PAIN」のメンバー
ブックオフにて購入(¥750)
- CD (1998/8/26)
- Disc : 1
- Label : 徳間ジャパンコミュニケーションズ