衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙が行われて3選挙区とも立憲民主党が勝利しました。とは言え、東京と長崎は自民党が候補を立てず「不戦勝」だったのですが、それでも保守王国の島根で自民党との一騎打ちに大差をつけて圧勝しましたし、東京や長崎でも立憲を執拗に攻撃し続ける維新を圧倒して、野党第一党の面目を保ちました。これは共産党との選挙協力が有効だったことの証明でもあり、政権交代を本気で狙うなら野党統一候補を立てられれば、かなりの確率で政権交代はできるのではないかと思わせる結果でした。
今回の選挙では立憲がどうこうよりも、負けて大きく評価を落とした人たちの方が目立ちます。まず筆頭は岸田首相でしょう。「選挙の顔」として役に立たないどころか足を引っ張る存在であることが証明されてしまいました。求心力の低下に伴い9月の自民党総裁選を睨んで今後は一気に政局が荒れることが予想されます。 同じく小池都知事も危ないです。自分が引っ張り出した乙武洋匡は何と5位と惨敗してしまいました。本人の学歴詐称問題も再燃していて、とても国政復帰どころではありません。都知事選もどうなることやらです。
立憲と共産党を激しく叩き続けた維新の馬場代表も酷いものです。今回「第2自民党」として保守票の受け皿になれませんでした。ああいう強い物言いが大阪では受けたのかも知れませんが、大阪以外では単に「下品」なだけです。馬場が代表である限り野党統一候補は難しいでしょうが、このままでは維新は大阪以外では退潮を続けるのではないかと思いますし、万博の不手際で大阪でもそろそろ流れが変わっても良いような気がします。そして連合の芳野会長。彼女も維新と同じで共産党が大嫌いで、労組の代表でありながら自民党にすり寄り続けていますが、今回の選挙結果をどう受け止めたのでしょう。芳野を会長から降ろせという声は連合内でないのか気になります。
今回の補選で一番驚いたのは東京の2位に須藤元気が入ったことです。組織票もなく自転車で選挙区を回り続けて、マスコミからはほぼ泡沫候補的な扱いまでされていたのに2位。もちろん落選であるという結果だけ見れば須藤以下の維新や日本保守党や都民ファーストと同じなのですが、彼らを票数で上回ったということで、より右寄りの傾向を示す保守を標榜する最近の政党への警戒感が窺えます。日頃はおとなしい中道リベラルを支持する穏健保守の人たちが今回動いたのではないかと見ています。
この補選の結果が自民党の裏金問題に対する一時的な突風なのか、それとも次の総選挙に向けてますます風が強まるばかりなのかはわかりませんが、少なくとも自民党の内部で「このままではダメだ」と思う人が増えるだけでも効果はあったと思います。政権交代を望む望まないはともかく、今の自民党にもう少しちゃんとして欲しいという気持ちは多くの国民の共通する声だと実感できる選挙結果でした。