若い人は知らないかもと思いながら書きますが「ギョエテとは俺のことかとゲーテいい」という川柳があります。それほど外国語の特に固有名詞の日本語表記というのは難しく、テニス界でもしばしば選手名の表記が揺れ動きます。有名なところでは「エドベリ」と「エドバーグ」があり、最近でもポーランドの男子選手「ホルカシュ」は「フルカシュ」とか「フルカチュ」「フルカッチ」など表記が定まっていません。
国名では近年「グルジア」が「ジョージア」に変わりましたが、現地語読みか英語読みかという揺れと、そもそも発音が微妙で日本語では表記しにくいという揺れがあります。で、いま欧米メディアではウクライナの首都「キエフ」を「キーウ」と表記するところが増えているそうです。「キエフ(Kiev)」はロシア語由来で、ウクライナ語では「キーウ(Kyiv)」 だそうなんですが、ロシアのウクライナ侵攻がこういうところにも影響を及ぼすのかと思いました。
国際的にこういう表記や発音は「現地語読み」を標準にすべきだろうとは思います。植民地時代の名残の英語読みやフランス語読みは改めていくのが筋でしょう。ただ長年慣れ親しんだ地名や人名の場合はガラッと変えることになるので混乱が生じるのも無理はなく、そこは慣習に従った方が良いという判断も決して悪いとは言い切れないのが難しいところです。
僕は未だに「スリランカ」よりも「セイロン」の方が馴染みがあるのですが、1972年にスリランカに改称していたそうで、50年経ったのに未だに「セイロン」と言いそうになるほど最初に覚えた名前と言うのは強烈に印象に残っているものです。まあ「セイロンティー」をあまり「スリランカティー」とは言わないのも一因かも知れませんが。インドの「ボンベイ」と「ムンバイ」、「カルカッタ」と「コルカタ」、「マドラス」と「チェンナイ」あたりも同様です。と言うか、このあたりの地名はゲーム「大航海時代」のせいで旧名の方が馴染みがあるという個人的な理由もありますけど。
ともあれ「キエフ」もかなり馴染みのある名前ですが「キーウ」になるのは仕方ないでしょう。もっともウクライナの人がそれが良いと思っているならですが。