往時、小寒から大寒のころだったか、祖母が軒先にむしろを広げ、大根の皮をむき、細く長く、太く細く、小さく刻むなどに精出した。白く固くなるまで干しあげ、出来上がりは見事だった。煮しめなど調理の好食材として年中重宝がられた。そのころ子供は、いろりで芋やクリを焼き、シイの実のはじけるのを楽しく待った。現在もつり干し大根は広く愛用されている。団地内でも、軒下に大根のつり干しが2、3ヵ所目につき、楽しくうれしい。わが家も、妻が健康だった10年前までは、ほとんどの食材は手作りが得意で、愉快な食事だった。
薩摩川内市 下市良幸(78) 2008/3/2 毎日新聞鹿児島版掲載
薩摩川内市 下市良幸(78) 2008/3/2 毎日新聞鹿児島版掲載