青く深い藍色の海。白い砂浜の沖縄は緑がまるで初夏のようだ。海辺の教会は空につながる透明なガラス張りで、長く一人だった息子がすてきなお相手に会うことができて挙式の時を迎えた。親ときょうだいに見守られて晴の門出。牧師さんの導きで燭台のロウソクに2人で点火。「お父さん、ひろしの結婚式が始まりました」。私は空を見上げ、夫とおぼしき雲へ語りかけた。そして2人の子どもの結婚式へ出席していない夫を哀れんだ。「よかった」と雲が応えた。ありがとう、これでよかった。すそを長く引く花嫁にうっとり見とれ、他は全然……。
鹿児島市 東郷久子(73) 2008/3/15 毎日新聞鹿児島版掲載
鹿児島市 東郷久子(73) 2008/3/15 毎日新聞鹿児島版掲載