はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

平和の重み

2015-08-29 09:03:05 | はがき随筆
 広島・長崎の原爆の日、そして終戦記念の日と、毎年8月は戦争の悪夢が回想され悲傷耐えざるものがある。
 思えば、第二次世界大戦に参戦した兵士は、父母妻子をおき、愛別離苦の悲しみに耐え、祖国に繁栄と平和を願いつつ勇んで死地に赴いていった。しかし、戦い利あらずして破れ、多くの若い命を失った。
 あれから年移りて70年。貧困のどん底からはい上がり、未曾有の発展を遂げ、平和な日々を当然の如く謳歌している。我々は戦争犠牲者や遺族の悲劇を忘れていいのか。再び戦争への道を進んではならない。
  志布志市 一木法明 2015/8/29 毎日新聞鹿児島版掲載

いわゆる天文館

2015-08-29 09:02:27 | はがき随筆
 あるけだるい夏の夕方、私は50年前のドドンパはなやかなりし頃の自分を思い出して、天文館のスナックを訪ねて見た。というのも、そのスナックは同級生が営業していたからだ。屋号は「トワ」。探したが見つからない。それらしい所の二階の窓が開いていて、一人の老人が座っていた。同級生の久永だった。
 もうスナックは畳んでいた。2人の話は昔の事ばかりだ。
 例えば2次会で盛り上がる喧噪の中、客の若い医師がボックスの片隅でただ一人、「トウィンクル、トウィンクル、リトルスター」とつぶやくように歌っていたとかいないとか。
  鹿児島市 高野幸祐 2015/8/28

新聞チェック

2015-08-29 08:43:14 | はがき随筆
 毎朝5紙に目を通し、がん関連の記事を中心にチェックすることから1日が始まる。気になる記事をコピーし、上司の判断で各課へ配布するのが今年移動になった部署での業務の一つ。
 月曜は3日分、3連休だと休み明けに4日分を見ることになる。普段でも15分から20分かかるので、結構大変な作業。7時半ころから始め、始業までには終わらせるのだが、最近は日曜のうちに土日分のチェックを済ませ、毎日新聞は家で全ページ目を通してから出勤する。
 楽しみもある。知人の短歌や俳句を目にしたり、演劇関係の記事を多く収集したりとかだ。
  鹿児島市 本山るみ子 2015/8/27





迷い

2015-08-29 08:42:29 | はがき随筆
 ヨーロッパ旅行をして驚くのは雑草がほとんどないこと。気候のせいとはいえ羨ましい。
 日本は高温多湿、降り続く雨に猛然と茂る夏草。屋敷内、農道、畑と夏草との戦いの日々。もちろんシルバーさんも頼む。
 夫亡き後、小さな畑ながら人に褒められるくらい、きれいにしてきた。ところが最近、なんだか疲れやすい。頑張り屋の私よどうした? 年齢のせい?
 いっそ畑を手放そうかと考え出した。無農薬の野菜を育てる喜び、収穫の楽しみを手放せるか。「夏野菜なら屋敷内に植えられるよ、もういいよ」と夫の声。お好きにと子供達。
  霧島市 秋峯いくよ 2015/8/26 毎日新聞鹿児島版掲載