はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

伝統の踊り 復活喜ぶ

2015-08-30 23:50:15 | 岩国エッセイサロンより


2015年8月30日 (日)

   岩国市   会 員   片山清勝

 岩国市の錦帯橋近くで、江戸時代から伝わるとされる「小糠踊」で城下町情緒が残る路地を練り歩く「こぬかの盆」が、約60年ぶりに復活した。
 太鼓と笛の音に台わせた甚句調の音頭で「そーら、てっとーてん」の掛け声に合わせて踊る。ゆったりとした曲調と上品な振り付けは、やぐらを囲む現代風の盆踊りとは趣が違う。
 この踊りは保存会が守ってきた。盆の練り歩きを復活して地域を活気づけようと応援隊が結成され、本番に向けて練習を積んだ。
 日暮れとともに、通りにあんどんがともされ、100人を超える踊りの列が続いた。そろいの浴衣を着た保存会員の顔は、復活の喜びに満ちていた。応援隊の踊りの列には、児童や若い女性の姿が多く見られ、先々に明るさを感じた。
 この踊りはかつて城下の町家や農家の子女の間で親しまれ、盛んに踊られていたという。復活を喜んで飛び入り参加する人もあり、大いににぎわった。
  「来年もやります」。最後に実行委員が力強く宣言し、拍手が起きた。
        
    (2015.08.30 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載

それぞれの証言

2015-08-30 23:47:38 | はがき随筆
 NHKスペシャル「女たちの太平洋戦争」で、前線に配置された従軍看護婦の証言を聞いた。彼女たちは、野戦病院での傷病兵の手当の状況や不十分な看護の無念さなどを語った。命を助ける役目を負いながら命を見捨てるように敗走した自分もさらけ出していた。今も戦争のトラウマで苦しむ人もいた。戦争を体験した人の悲しみやつらさ、悔恨、怒りの深さを思う。
 内地の軍隊に入っていた亡き父は「あんときゃ、ないも言いがならんかった」と口にしたことがある。気弱で優しい性分の父は、どんなことを伝えたかったのだろう。
  姶良市 中馬和美 2015/8/30 毎日新聞鹿児島版掲載