はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

子ども劇場

2008-10-20 21:30:40 | かごんま便り
 さまざまな年齢層の子供たちに生の舞台に接する機会を提供し、併せて地域での自然・生活体験を通してお互いが育ち合う“場”をつくる──。「子ども劇場」はそうした願いから生まれた団体だ。66年に福岡市で発足し、全国にその輪を広げている。
 鹿児島の子ども劇場は今年で35周年。その節目の年に初めて海外から劇団を招き現在、県内で巡回講演の真っ最中であることは16日付の鹿児島面で紹介した。離島も含めて25カ所の公演を支える実行委員会の主体は中高生たち。彼らが一堂に会して先日、鹿児島市の武中学校で催された「劇団サダリ」(韓国)の歓迎会にお邪魔した。
 各公演会場のチラシ、ポスターなどはいずれも実行委メンバーの手づくり。会場確保に始まり、事前のPRやチケット販売、当日の準備と後片づけもほとんど中高生が担う。各実行委はおよそ10人前後の規模で全県では300人近い子供たちが巡回公演にかかわっているというから驚く。
 サダリの来日を仲立ちした福岡市の劇団「風の子九州」理事長の林陽一さんによると、鹿児島の子ども劇場は現在、本家?の福岡もうらやむ活発さ。子供たちを中心に保護者や地域の大人がサポートしつつ劇団の巡演を実現する「子ども芸術祭典」と題した一連の取り組みは「全国に誇れる」と林さんは絶賛した。
 さて今回の演目「時計が止まったある日」は戦争と平和という児童劇にしては重いテーマ。新婚の夫が徴兵され、新妻と引き裂かれてドラマが始まる。目の前の平土間で繰り広げられる無言劇は迫力十分。セリフがない分、俳優の個々の身のこなしが実に雄弁で、場面ごとに変転する音楽の妙も耳に残った。引き込まれるうちに気がつけばフィナーレ。終演後に観客が参加する演出?も心憎い。これ以上は詳しく書きません。ぜひ、親子でご覧になってください。
鹿児島支局長 平山千里
2008/10/21毎日新聞掲載

あったかい桜島

2008-10-20 16:00:07 | はがき随筆
写真は孤高の人さんより

 お彼岸の墓参りに隼人に帰郷。鹿児島中央発「はやとの風」の乗り心地最高。真向かいに桜島が見えた。「よく帰ってきたね」と出迎えてくれたような気持ちになる今朝の桜島だ。10人目の孫が心臓に穴があき、ダウン症で生まれた。生命の危機に遭い、私は100日余り眠れなかった。5月2日、心臓の手術が成功。現在7ヶ月で体重7㌔。すくすく育っている。名前は陽葵(ひまり)。もう安心だ。亡き母に、元気になった報告の墓参り。ほっとして見る桜島。嫁ぐ日まで朝に夕に見た桜島に、母の胸に抱かれたような親近感を覚えた。
   山口県光市 中田テル子(62) 2008/10/20 毎日新聞鹿児島版掲載