はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

貧乏の財産

2008-10-07 13:26:03 | はがき随筆
 知人は、雑談の後に「私が小学4年で父が亡くなり、母は2年後にあとを追うように逝きました。残された私たち兄弟に『貧乏』の財産を残してくれましたが、お陰様で幸い今日があり、貧乏に感謝しています」。
 淡然とした表情で語り、次に「だから感謝の墓参りをよくします」。
 この言葉に、あまり墓参しない私は恥ずかしい思いが走り、強い感動の余韻が長く残りました。
 「貧乏も財産」の思いは、私の中で貴重な心の財産になりました。この日は暖かい豊かな日になり、今も感謝しています。
   鹿屋市 小幡晋一郎(75) 2008/10/7 毎日新聞鹿児島版掲載