はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ピアノパラリンピック

2008-10-04 23:55:00 | アカショウビンのつぶやき




 「ピアノパラリンピック」をご存じですか。私は、ラジオ番組の取材を通して初めて知りました。

 日本を発祥の地として始まった「ピアノパラリンピック」は、2005年横浜で第1回が開催され、2009年の第2回大会はカナダのバンクーバーで開催されるそうです。

 教会のピアニストSさんが以前、神戸でピアノを教えていた、K君(10歳)が、昨年12月に開催された「ピアノパラリンピック・デモンストレーション in ニューヨーク」の出演者に選ばれ、Sさんも、カーネギーホールの演奏会に行かれたのです。その模様をFMラジオで紹介させて頂きました。

 10歳のK君は左手の指に欠損がありますが、4本の指で生き生きと演奏し、その他の参加者も、さまざまなハンディを克服し見事に演奏する姿に感動したと話してくださいました。そしてニューヨークのコンサートに先立ち、岐阜で開催された「ピアノパラリンピック支援コンサート」のDVDを、見せてくださいました。

 右手だけでショパンの英雄ポロネーズを演奏する青年、僅か数㌢の指を魔法のように動かす高校生、左手は手首で演奏する高校生、聴力を失った大学生、皆さん素晴らしい笑顔で演奏される姿に胸があつくなりました。

 北京パラリンピックに参加された方々の姿と重なり、想像を超える努力を積み重ね「身体障害は演奏上の障害ではない」ことを証明した、お一人お一人に大きな拍手を送るとともに、指導して下さった先生方、ボランティアとして支えて下さった、多くの方々に感謝を捧げたい。

タブノキ

2008-10-04 23:40:00 | はがき随筆

 えっ。こんな所にタブノキが──。車庫の裏にいつの間に生えたのだろう。1㍍ほどの高さになり緑の葉を茂らせ、丸い緑の実をつけている。この木の枝を切ると、白い汁がジュッと出てくる。ウサギの好きな葉だ。
 ずっと前、まだ父が元気だったころ、私は学校のウサギのえさを探していた。その時、父が近くの山から見つけてきてくれたのがタブノキの葉だった。
 小鳥が種を運んできたのだろうか。今年は父の七年忌。いつの間にか生えていたタブノキを見ながら、亡き父を思った。ひょっとしたら、父からの贈り物なのかもしれない。
   出水市 山岡淳子(50) 2008/10/4 毎日新聞鹿児島版掲載

写真は植物園さんより