kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

再び正念場

2015-01-20 08:20:39 | 日記
110円台後半の円安、米国景気の回復それでもシャープは今期業績下方修正
で赤字転落という事態に追い込まれました。テレビ事業の不振に加えて海外生
産した白物家電が円安で採算悪化に陥ったこと太陽電池事業も競争激化それ
に大黒柱の中小型液晶事業が価格競争激化などが重なり営業利益は従来予
想の半分の水準にとどまりました。

欧州での家電事業での特損も重荷になり連結最終利益は300億円の黒字から
数百億円の赤字へと転落し再建への険しい道のりは今後も続きそうです。シャ
ープの場合他の家電各社に比べて殊のほか置かれている状況が厳しいのは
事業ポートフォリオにありそうです。

かつての稼ぎ頭だった事業が軒並みお荷物になっています。かつて国内薄型
テレビ市場で国内シェア4割超で収益源だったテレビ事業、一時期トップシェア
に立った携帯電話端末事業、やはりシェアトップだった太陽電池事業、中小型
液晶事業は世界シェアもかつてはトップで大きな収益をもたらしました。

白物家電ではブランドイメージの低さもあり同業他社に比べ低収益でした。歴代
の経営者がシャープの将来を液晶を中心とした事業に命運を委ねたのもあなが
ち間違いではなかったでしょう。しかし当初の成功体験がシャープに身の丈以上
の規模拡大へと走らせました。音響の名門で高収益体質だったパイオニアもプラ
ズマテレビへの巨額な投資が命取りになり現在も経営再建中です。

液晶テレビやスマホ、PCなどのデジタル機器で日本企業はマイナープレーヤー
に転落この分野で今後も利益を伸ばせる期待は持てない状態です。デジタル製
品は分業が進み参入障壁が低くなり世界的に価格競争が激化しました。新興勢
力の台頭によりあっという間に業界地図が塗り替わります。日本企業が得意とす
る擦り合わせの技術が通用しにくい分野になってしまいました。

この分野からいち早く撤退や縮小した重電の日立や三菱電機の株価は比較的
堅調に推移しています。新興国など海外市場で利益を伸ばせるインフラ事業を
抱えている重電各社と違って家電専業の各社にとっては新規分野を開拓する
のは容易いことではありません。電機分野では特に参入障壁が低く新興国企業
の躍進が目立つ分野での日本企業の苦戦が目立ちます。

シャープの現状の事業ポートフォリオの中では太陽電池も携帯端末もそして
液晶分野でも新興国企業の追い上げが激しい分野です。シャープの再建は
いばらの道です。シャープに残された時間はそれほど多く無いことだけは間
違い無いようです。

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スイスフラン急落ショック

2015-01-19 06:19:32 | 日記
東京市場は年明け9営業日を消化して二桁の上昇、下落は3日しかありません。
3営業日の内2営業日で三桁での値動きをしている計算になります。100円台の
値動きをした日は僅か1日だけ200円300円の値動きは日常的な景色になりまし
た。この荒い値動きは如何に市場心理が激しく揺れているかを示しています。
そして今後もこの荒い値動きはしばらく続きそうな状況です。

思い起こせば昨年の1月相場も荒れた展開でした。1月相場は結果的に大きな
下落になり結局10月末の黒田バズーカ2が出るまで上値の重い展開を暗示す
るような展開でした。今年は年明け以降の下落率は昨年ほど大きくはありませ
んが同じように下落トレンドがここまでは続いています。市場関係者が期待した
ような新春相場にはなっていません。

円安トレンドが一服して円高に振れている事も昨年のケースと同じです。東京
市場がひとまず反転したとしても円相場が120円を回復してさらに円安が進む
状況にならなければ18000円はしばらく実現しそうもありません。円安と株高が
セットになっている東京市場の構造が変わらなければ円安が進まず株だけが
上昇する可能性は限りなくゼロです。

現状では米国の長期金利が2%を割り込み余り下げ余地のない日本の長期
金利との利回りは縮小しています。日米の金融政策の違いによる円安トレンド
はすっかりリスクオフの流れから安全資産の円買い勢いに飲み込まれていま
す。円安が進まなければ日本企業の業績上方修正期待も膨らまず株価指標
面から上値を追い難い状況は続きそうです。もし円相場がしばらく現在の水準
から大幅に円安に進まなければ昨年のように上値の重い状況がしばらく続く
可能性もありそうです。

公的年金買いも日銀によるETF買いも下値支えにはなっても上値を買ってくる
投資セクターではありません。結局短期の海外筋が出動しなければ相場は下
値も売り込みにくいけれども上値も限定的だった昨年の前半のような相場が
続くかもしれません。世界を見渡しても今月堅調なのは金融緩和期待が持てる
ドイツ市場など欧州市場です。世界の投資資金は日本ではなく欧州市場に今
は向かっているようです。

スイスフランショックにより欧州の金融機関やヘッジファンドの一部には大きな
損失を出したところもあるようです。しばらくその後始末もあり金融市場は不安
定な状況が続くかもしれません。業績の下方修正など悪材料に敏感に反応す
る相場となれば値ごろ感からの底値買いも余程業績を吟味しなければ足元を
すくわれます。需給が悪化した銘柄は少し戻ってもまた大きく売り直されること
には注意が必要です。
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三方一両損

2015-01-17 08:17:43 | 日記
経済に良いことでも株式市場のとっては必ずしも良いとは限らないこともあり
ます。円高への反転は東京市場に取って輸出企業の収益下押し圧力として
意識され株価の下落要因です。指数の寄与度の高い主力輸出企業の株価
下落は日経平均の下げに直結します。アベノミクス相場スタート以来円安株
高のシナリオが定着した東京市場では円高は株安に直結します。

一方昨年10月末から進んだ円安局面では円安が原材料の上昇という形で利
益を圧迫する中小企業に逆風となり大企業との格差拡大が問題視されました。
円安で潤う輸出大企業に対して円安の恩恵とは無縁の内需型中小企業は円
安デメリットで景況感は悪化しました。また円安はエネルギーや原材料の値上
がりから食料品価格中心に価格上昇が顕著になり消費者の可処分所得の減
少を通じて消費税引き上げ後の消費低迷に拍車をかけました。

年明け以降は原油安の進行と円高の進行が重なりガソリンや灯油価格大幅
な下落に繋がり国民生活にはトータルではプラス要素が大きくなっています。
一方原油安と円高は現状では株安要因とみなされています。産油国のロシ
アやベネズエラ経済への打撃は国際金融市場の波乱の要素ともなります。
米国ではシェール企業の苦境が関連産業や金融市場への懸念材料として
影を落としています。今の市場はデメリット部分への不安心理の広がりが
止まらない状態です。

あるセクターだけが大きな恩恵を受ける一方別のセクターは恩恵を受ける
どころかマイナス要因が大きい一人勝ちの状態が果たして良いことなのか。
円高に振れたと言っても1年前に比べればまだ1割ちょっと円安水準です。
105円から110円の間で安定することが日本の産業界にとってももっとも居心
地の良い水準だと1年前には言われていました。110円台半ばなら輸出企業
にとっても十分な追い風ではないでしょうか。

結局独り勝ちよりも多くの人たちが恩恵を受ける環境がベストではないので
しょうか。行き過ぎは歪を生みそれがやがて大きな亀裂になることもあります。
原油安も円安もほどほどの水準で落ち着いてくれるのが経済にとってはもっ
とも望ましいことではないでしょうか。すべてに利害関係者が奉行の大岡越
前守のお裁きのお噺である「三方一両損」を受け入れる謙虚さこそ必要です。

世界の金融市場はスイスフランショックに見舞われました。東京市場も16日
には大荒れで株価は一時500円を超える下げで16592円まで下げる場面が
ありましたが大引けにかけて戻し下げ幅は半分程度まで縮まり16864円で
今週の取引を終えました。下値の目処と言われた16500円台で下げ止まっ
た格好です。16日のNY市場は190ドル高と反発円相場も117円台半ばまで
戻しました。週明けの東京市場はシカゴCMEに鞘寄せされるように17000円
台回復しそうです。

明日の更新はお休みします。
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やはり羊辛抱

2015-01-16 08:03:26 | 日記
15日の東京市場は前日の大幅安の反動もあり大幅反発しました。東京市場は
再び17000円を回復し当面の下値目途の16500円手前で辛うじて踏ん張ってい
る状態です。もっとも15日の大幅高にも拘わらず市場に底入れムードが出てき
たというムードはまだ無いようです。売り方の買戻しによる大幅高ということで
目先筋の短期売買だからです。下げ止まりか一段安か重要な分岐点に差し掛
かっていることだけは確かなようです。

株価と連動性が高い円相場は115円から120円の間で当面ボックス相場を形成
しそうなシナリオが現実味を増してきたように感じます。円安トレンドが一服し膠
着状態になり株価も低迷した1年前と同じトレンドを辿ることも考えておかなけれ
ばなりません。

昨年の東京市場は日銀のサプライズ緩和で円安が急激に進んだから年間では
7%程の上昇になりましたが、もしあのサプライズ緩和が無ければ円安も進まず
17000円は大きな壁になっていた可能性はたかったでしょう。ひょっとしたら大納
会で16000円半ば精いっぱいだったかもしれません。サプライズ緩和による追い
風参考記録を実力と勘違いすべきではないのかもしれません。外部環境の悪化
もあり東京市場は17000円を割り込む場面が増えています。決算発表を通じて
日本企業の収益力が18000円を越えるのにふさわしいか見極める局面です。

年明け以降リスク回避から東京市場では景気敏感株から食品や薬品などのディ
フェンシブ銘柄が人気になっています。機関投資家の立場からは先行きが不透
明だからと言って限りなくキャッシュ率を高める訳にはいきません。景気敏感株
売った資金の一部は少なくともディフェンシブ銘柄に流入することになります。

ただしPERは30倍台から40倍を超える銘柄も多くどこまで今後強気で買い進め
るのか判断は難しいところです。いくらディフェンシブ銘柄といえどもいつ梯子を
外されるか分かりません。PERの水準は成長銘柄の領域です。市場では常に
リスクのオン、オフが繰り返されます。リスクオンになればマネーは再び割安感
の出た景気敏感株にシフトすることも考えなければなりません。

目先の人気銘柄に乗るのもよしあるいは内容に良い株の下げを待って買うのも
また投資作戦です。少なくとも東京市場はしばらく辛抱の相場になりそうです。
羊辛抱という干支のような相場展開になるかもしれません。
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イオンの苦境

2015-01-15 08:30:29 | 日記
決算結果に失望する形で小売り各社の株価が急落するケースが出てきました。
小売業界の勝ち組とみられていた良品計画は7日に一時下げ幅が10%を越え
ました。終値も9%安でした。その後も下落は続いています。業績は好調でした
が市場予想を下回ったことや国内市場の不振が嫌気されたようです。また高値
圏にあった株価も下げ幅を大きくした背景にあるようです。もっとも今後の成長
の推進役とみられる海外での売り上げは伸びている訳ですから良品計画株は
下げ止まればいずれ見直し買いが期待できる可能性は高そうです。

もっとも深刻な小売り株はイオンかもしれません。イオンの屋台骨である総合
スーパー事業の不振は根の深い問題のようです。ライバルであるセブン&アイ
は総合スーパーの不振を好調なコンビニ事業が補っている反面、イオンのコン
ビニ事業は売り上げ規模も小さく利益貢献は余り期待できません。現状では金
融事業が下支えになっていますがこの分野に大きな期待をする訳にはいきませ
ん。またアジア各国で展開している海外事業規模はスーパー事業を展開してい
る日本企業では断トツですが現状では全体の収益を牽引するまでにはなってい
ません。

小売り業界は地方スーパーの頑張り、ドラッグストアの躍進で競争が年々激しく
なっています。イオンやヨーカ堂、ユニーなど全国展開する大手の収益は低迷か
らなかなか抜け出せません。イオンが力を入れているPB商品など低価格を訴求
するビジネスモデルも安さだけでは消費者を引き付けられなくなっています。品
質と価格のバランスをどのように図るのか試行錯誤の状況は続きそうです。

このまま国内の総合スーパー事業が低迷から脱せないとイオンの苦境に拍車が
かかりそうです。イオンは積極的なM&Aや海外進出で有名です。しかし収益を生
まない事業拡大は何やらダイエーとダブル要素が少なくないという印象を受けま
す。少子高齢化と消費の多様性が今後ますます進むと考えられている国内市場
で果たしてイオンはどんな戦略でこの苦境を乗り切ろうとしているのでしょうか。

ファーストリテイリングやニトリそれにABCマートなど有力な専門店が勢力を伸ば
す日本の個人消費市場でイオンに残された時間はそんなに多くないことだけは
確かなようです。このまま国内スーパー事業の収益改善が遅れれば最悪の場合
ダイエーが辿った凋落の二の舞にもなりかねません。ここ1、2年がイオンの正念
場かもしれません。

東京市場のボラの高い状態は今に始まったことではありませんが、昨年12月か
らNYダウのボラも高い状態が続いています。上昇幅も下落幅も今や三桁が当
たり前になっています。モメンタブ株のナスダック市場並みになっています。
まあそれだけ年央に予想される利上げや急激な原油安など市場心理が大きく
揺れ動きていることが背景にあります。NY市場の激しい値動きはもうしばらく
続きそうです。 

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