kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

成長性よりも安定性

2015-01-22 08:34:53 | 日記
「伊藤忠商事は20日、タイ最大財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと共同
で、中国最大の国有複合企業の中国中信集団(CITIC)の傘下企業に1兆
2040億円を折半資すると正式発表した」
21日付の日経電子版より引用

新聞紙上に関連記事が躍った21日も伊藤忠商事株は24円安と続落しました。
もっともPBRは0.96倍、配当利回りは3.88%と割安感のある水準です。しかし
資源安の影響もあり減配の可能性がゼロではありませんから配当利回りを
鵜呑みにはできませんが少々売られすぎの水準かもしれません。昨年来の
安値が1118円ですからその前後で下げ止まるかどうかです。

市場は業績拡大期待よりも巨額出資による財務負担の大きさを懸念した売り
が多かったようです。減速の続く中国での事業拡大に今一つ市場の期待が高
まらないのも背景にあるようです。もっとも13億人といった大きな市場を抱える
中国市場でのビジネスチャンスは大きいと思われます。この組み合わせが上手
くいけば現在総合商社3位の伊藤忠は上位2社を脅かすことも可能になります。
壮大な賭けに出た岡藤社長の手腕が問われます。

年明け以降の原油急落による先行き不安やスイスフランショックによりマネーは
安全資産である国債市場に退避しています。株式市場でも高値が目立つ業種は
ディフェンブ銘柄ばかりです。リスクを取って果敢に事業拡大を目指す企業への
追い風は現在吹いていません。

通信キャリア業界でも1年前は巨額買収で米国市場に打って出るソフトバンクが
人気でした。国内首位のドコモは成長力を失い時価総額でもソフトバンクに抜き
去られました。ところが1年後は全く違う風景が広がっています。Tモバイル買収
で強い第3勢力を作り米国市場で成長するというシナリオが当局の反対で暗礁
に乗り上げ業界3位のスプリントの先行きは不透明になりソフトバンク株も低迷
を続けています。

反対にドコモは大規模な自社株買いや配当利回りの高さもあり株価は21日も
一時昨年来高値を更新しました。時価総額も再びソフトバンクを逆転して3位に
浮上しました。現在の東京市場が将来の成長期待よりも安定性や株主還元の
有無といった材料に反応しています。武田やエーザイなどの薬品株人気も外部
環境に影響を受けにくい点が背景にあります。市場は将来の成長よりも目先の
安定に傾いているようです。もっとも人気銘柄は循環します。いずれ反対の動き
が出ることも考えておくべきでしょう。


コメント
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