kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

何事も激変は混乱を生む

2015-01-13 08:33:09 | 日記
行き過ぎた金利低下、急激すぎる円安、原油急落など急激な環境変化は
何事にも株価に結びつけて商売のタネにする短期筋には値ざや稼ぎのチ
ャンスなのでしょうが将来の経済成長や長期的なビジネス環境を考える企
業にとっては歓迎できるものではなく当該企業にメリットがあっても手放しで
喜べるとは限りません。

11日付けの経済紙によると日銀による大規模な金融緩和の影響で長期金利
が低下して期待した運用利回りが得られなくなったとして一部の生保は貯蓄
型商品の販売を停止したり保険料を引き上げたりする動きが出てきたと伝え
ています。住宅ローンを利用する個人や借入金が多い企業には朗報でも余り
にも低い金利は機関投資家の運用難や銀行の利ザヤの縮小など負の部分も
あり行き過ぎた低金利は金利急騰など将来への禍根を残すことになります。
経済全般が上手く回っていくためにはある程度の金利水準が必要です。

また急激に進んだ円安は大企業を中心とした輸出企業の利益増や訪日観光
客増といったメリットは大きく日本経済全体として考えればプラス効果が勝るよ
うです。しかし数年前の超円高時に工場の海外移転を進めた企業に取っては
円安メリットの期待できません。為替相場の変動による収益のブレを少なくする
ために多くの企業が地産地消で生産を海外に移した訳ですから例え工場のU
ターンが起きてもそれは日本からの輸出分ではなく国内販売分の日本回帰程
度の動きでしょうか。

このところ伝わるニュースでも電機各社の動きは中国生産で日本に輸入して
生産分だけを日本に戻す程度の動きです。自動車業界でも部品企業も含めて
かなり大きな投資をしていますから現実問題として国内に一部の生産を戻す
ことはあっても大規模な国内回帰は考えられません。

2007年の水準近くに円相場が戻っても日本にどんどん工場を作って再び輸出
を増やそうとする動きは余り期待できないでしょう。製品の競争力にも依ります
が地産地消の大きなトレンドは続きそうです。製造業は高付加価値の新分野を
育成するしか無いようです。

1年でおよそ半分になった原油価格は確かに消費国である日本にはメリットが
大きいと思います。しかし原油の大幅安は日本企業の得意とする省エネ製品
の販売に悪い影響が出る可能性もあります。事実ガソリン価格の大幅下落で
米国ではHV車の売れ行きが落ちています。

省エネというイノベーションの停滞は長い目で見れば新技術が世に出る時期
の先送りにもなります。原油価格急落による資源開発の停滞は将来需要が急
増した場合の価格急騰の温床にもなります。金利、為替、原油など急激な動き
は時として将来の大きな軋みの原因となることで世界の金融市場や経済に悪
影響が出てくるとこも考えておかなければなりません。
コメント
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