牧野信也 『アラブ的思考様式』 2015年05月04日 | 地域研究 再読。 「第一章 アラブの言語にみる両極性 5 意味の領域の両極性」で指摘されるアラビア語の単語の意味の二面性(相反する意味が一語に同居する)は、漢字の反訓を思い出させて興味深い。とくに97-98頁の議論。 (講談社 1979年6月)
稲垣良典 『トマス・アクィナス哲学の研究』 2015年05月04日 | 西洋史 トマス・アクィナスの倫理学的著作のうちには、倫理の領域における理性の役割を強調するテキストが随所に見られる。「理性は人間的〔=倫理的〕行為の原理である」「人間の善とは理性に適うということである」「人間であるかぎりにおいての人間の善とは、理性が真理の認識において完全であり、理性の規則にしたがって低次の欲求能力が規制される、ということに見出される」〔略〕右の言葉は、理性的能力を備えていることがそもそも倫理的に行動しうるための必要条件である、ということを意味するものと解されるであろう。 (「第二部第十章 倫理学における理性」、本書253頁) つまりアクィナスは人間にはだれでも理性が先天的に備わっていると自覚的に言っているということ。 (創文社 1970年3月第1刷 1976年11月第2刷)