家がしていた教育

2013-06-19 16:15:04 | 塾あれこれ
もうブログの量が増えてきましたし
記憶もあやふやなので、既に書いたことを
二度三度また書くなんてことをしてませんか?

ちょいとアナクロな話ですが
古い教育観で恐縮です。

父母が結婚してまだ何年かのころ
姉を強く叱っていた母に向かって祖母が
「井上ではそんなしつけはしません。
 大きな声を出して叱らないように」と
言ったそうです。

母と祖母は「嫁姑問題」の典型のような関係で
たびたびバトルがあったようですが
後年私に上記の話をし「偉いひとだった」

決して良いこととは言えないのですが
孫の私にも「井上は瘦せても枯れても士族」と
侍の家系であることを植え付けていました。

たぶん喰いつめ侍の後裔なのでしょう。

脇差が一本残っています。
元禄の新刀で良いものではありません。

母によると「幸兵衛さんの時代に買ったのでは?」
なんてクールな話をしていました。
本当かもしれません。

しかし意識としての侍は教育方針の柱になっていた
ようです。
「わーわーきゃーきゃーするな」

体罰を受けたこともありません。
戦争に行った父はとてつもなく怖い人でしたが
手はあげませんでした。


後年気付いたことがあります。

小学生のころ祖父母と暮らした時期がありました。

昔はカブト虫やクワガタも多くいましたね。
空けていた窓などから飛び込んでくるほど。

カブト虫は力が強いですがクワガタはさほど。
捕まえて箱に閉じ込めても逃げ出せません。

丈夫な紙の箱に入れ、空気穴をいくつもあけ
綿に水をしめらせて入れゴムバンド(輪ゴム)を
しっかりとかけて学校に出かけました。

楽しみに帰ってくると、あら不思議、
ゴムは掛かっているのにクワガタはいません。

何度かこういうことがあって、「不思議だな、
隙間からどうやって逃げ出すのだろう」と思い
いつのまにかそういうことは忘れました。


大人になって気付きましたね。

きっと祖母が逃がしたのです。
虫が逃げ出せるわけない「装備」でしたから。

孫に「生き物は大切にしろ」とか
「そんなことはしてはいけない」と強く言う
なんてことはしないのです。

西洋式の、理屈を話してきかせる、のではない
いかにも東洋式の接し方ですね。

東西どちらが良い悪い、ではなく
今の日本に欠けているものが当時はまだあった、
これだけは言えると思います。

黙って、いつか伝わるように。
(待つというエネルギーはすごい筈です)

そのほうが却って論理的な人間に育つのでは?
近頃の若い人を見てそう思います。

今は○×思考の延長で、ツイッター思考
すぐれて反射的ではありますが
腰を落ちつけて、なんてことはとても少ない。