01逢いたや2014・・・秋!2日目完

2014-12-18 | 海外蒸機
第2日

朝、目覚めると下界はまた朝靄に覆われている。

昨日と違うのは雨が降り続いていることだ。
このままドレスデンへ向かい帰国する名取さんにノイエンマルクト蒸気機関車博物館へ送ってもらう。

雨の中を松岡君と昨日と同じ機関区へ行った。 昨晩の夜間撮影の位置から01が給炭台へ向かっている。 給水、給炭が終わるとバックで転車台へ向かい方向転換する。

昨日より空は暗い。 しかし立ち入り禁止もかまわず皆が線路を跨ぎアップで写真を撮っている。
誰も怒らないし注意もしない。 昭和時代の地方の機関区のようだ。














01 118をそばで見る。


長いデフレクター、太いボイラー、2mの動輪、どこからみても均整がとれている。


オランダから来た01 1075は末期の011-075-9に番号が替わっている。

イベント毎にナンバープレートを替えるのもよく見るが、昨夜遅くまでは元のナンバーだったので今朝付け替えたらしい。




01 1533


一回転できないターンテーブルに乗る 01 150

2日めは峠の上の方へ挑戦したかったが、この雨では車がないと到達、撮影は不可能だ。 しかたなくまた駅のそばの陸橋へ向かった。


陸橋の上に立つと今日は暗い、時々小降りになるが視界もよくない。

昨日と同様に01達は次々と機関区から出庫して列車組成をする。

雨は降り続く、何条もの煙が上がりその煙が無風なので漂っている。
今日も昨日のように30分毎の発車で、計20分程度で戻ってくるダイヤだ。 機関車を毎回並べ替えるので陸橋みていると随分と忙しい。 雨は続いて気温が上がらないから煙と蒸気が機関車に巻き付いて行く。 舞い上がる蒸気、煙、霧で視界が落ちる。


一番列車は今日も 015 重連で、発車位置に就く。


時間になると汽笛が鳴り、列車が傲然と発車して行く。

跨線橋にいると凄い煙を浴びる。

視界が戻ると次の列車を牽くために 01 118 がポイントを渡っていく。

















ふとこの風景を見たことがあるのに気がついた。

デジャブかな

違う!   この、霧、雨、01のブラスト、、、これはザールフェルトの陸橋だ。

34年前もこのようなドイツの霧の中、次々と列車が出て行くのを濡れながらみていたのだ。

山下さんが隣にいたらうれし泣きするか、顔をつねって夢かと疑うのではないか。
線路配置も違う、機関区のターンテーブルも逆だ。 しかし石炭の匂い、この煙、雨、蒸気、これはまさしくザールフェルトだ、、、とうとう逢いたかった時間と場所に戻ってきたのだ!

その証拠に015 09にはBw Saalfeldの刻印がある。
01 118 は山下さん達がSaalfeldでたくさん撮った機関車だ。

私は陶然としながら眼下を過ぎる01を見送っていた。



午後になっても雨は続いた。

お腹がすいて松岡君とビールで一杯、その後はしばらくホームでスナップを撮った。







































しかし若い彼はどうにも走行写真が撮りたいらしい。

私も久々に撮り鉄をやる気になってきた。

雨の中を30分程歩き、昨日行ったカーブに向かうことにした。
私の鞄を持って松岡君はずんずん歩いて行く、ドイツのファン達はずぶ濡れで列車を待っていた。 混ぜてもらって昨日と反対側で 01 118 を迎えた。









なぜかこの01原形タイプは黒煙をほとんど上げない。 罐の調子がいいのか、サービスが悪いのか微妙なところだ。 最終列車の前の列車を牽いて、最後も白煙のみを上げて、素晴らしいブラスト音で 01 509 を従え通過していった。


最終列車は西ドイツ型の三重連だった。









更に雨が強く、視界は暗くなったまま 01 150、 01 202、 011 075 の順に駆け抜けて行く。

こうして「私の01逢いたや21世紀版」は30年前の東ドイツのように雨の中で終わった。

終章:01は21世紀に生きる。

ドイツでは蒸気機関車が集まり列車を牽くイベントがある。

年に1度あるかないか、
“プランダンプ”“ダンプスペクタケル”そして今回の“01フェスティバル”等の名前で蒸機が走り回る。

同じことが日本でもおきないかと想像する。

C62 2 と C62 3 が C62 1 と一同に会して、夜の梅小路蒸気機関車館で照明に浮かび上がる。 そして翌朝はファンが見守る中、山科の築堤を3重連でいくのだ。 その30分後には C57 1 と C57 180 が旧型客車を牽いて追いかける、、、

とても現状では想像もできない。

状況が変わって日本でも『蒸機大集合』のようなイベントが始まるのを願うばかりである。

ドイツを訪問した時、蒸気機関車の動態保存はあと20年もしたら全て無くなると言った人がいた。 我々蒸機世代がこの世を去る頃にはメインテンスもできなくなり、静態保存になり、それも何十年後には忘れられてしまうだろうと。

しかしそんなことにはなりそうもない。
松岡君のような若い世代にも蒸機ファンは居るし、ドイツの子供達も熱心に蒸機を見つめていた。 あの職人気質の国では蒸気機関車という機械はこれからもずっと愛されていくのだ。 世代を超えて、時代を超えて01は21世紀に生きるのだ。 そして30年後もドイツにはまだ01が動態保存で元気に走り、新しいファン達がドイツに訪れるだろう。

01逢いたやは続いていくのだ。