語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】身近な食品で今日から健康に(3) ~アボカド~

2016年12月25日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)2014年1月、米心臓協会の医学誌“ Journal of the American Heart Association ”電子版に、1日1個のアボカドを食べれば動脈硬化の原因とされるLDLコレステロールや中性脂肪の数値が改善されるという論文が発表された。

 (2)狭心症、心筋梗塞などの心疾患は、癌についで日本人の死亡原因2位。厚労省の「平成27年人口動態統計の概況」によれば、心疾患により年間約19万6千人が死亡している。この心疾患を引き起こすのが動脈硬化だ。
 (1)の研究結果を発表したのは、米ペンシルバニア州立大学、リー・ワン博士らのチーム。研究に参加したのは21歳から70歳までの男女45人。全員が健康ながらも、体重過多で肥満と判断された人たちだ。最初の2週間は、平均的な米国式の食事を摂取した。これは全体のカロリーの内訳が、脂質34%、糖質(炭水化物)51%、タンパク質が残りというもの。これが終わると三つのグループに分けた。
   ①アボカドは含まず、脂質を24%に抑えた「低脂肪食」を食べるグループ。
   ②アボカドは含まないが、脂質が34%の「中脂肪食」のグループ。
   ③1日1個のアボカドを含んだ、脂質が34%の「中脂肪食」のグループ。
 なお、②③は脂肪の半分を「不飽和酸」から摂取している。
 それぞれ5週間、この食事を続けた後に血液中のLDLコレステロール、中性脂肪などの数値を計測した。すると、どのグループでも改善が見られたが、一番効果があったのは③のアボカド食グループだった。
 LDLコレステロールは、
   ①7.4mg/dL
   ②8.3mg/dL
   ③13.5mg/dL
 中性脂肪についても、③が一番良好な結果が出ている。

 (3)アボカドは森のバターと言われるほど高脂肪だが、その多くが酸化しにくいオレイン酸だ。逆にリノール酸は少ないので、LDLコレステロールが低くなると考えられている。今回の論文では、アボカドに含まれる食物繊維やビタミン類、ポリフェノールといった栄養素そのものにも効果があるのではないかと推定される。その点でもアボカドは動脈硬化予防に有効だ。

 (4)ただ、近年はコレステロールや中性脂肪が高くても死亡率は高くならないといった研究データも発表されている。
 では、アボカドを手軽に普段の食生活に取り入れるにはどうすればいいのか。
 アボカドは醤油、わさび、ポン酢、マヨネーズなどの調味料と相性が抜群。サラダに加えたり、サンドウィッチに入れるのが定番だが、納豆に賽の目に切ったアボカドを加え、添付のたれを混ぜれば、マグロ納豆のような味になる。炒め物などに加えるのもおすすめ。ゴーヤチャンブルなら、豆腐代わりにアボカドを加えると味にこくが出て、さらにゴーヤの苦みを和らげてくれる。

 (5)今回の研究では、どのグループも体重減少は認められていない。アボカドはカロリーが高いため、その分、糖質や田の脂肪分を調整し、バランスのよい食事を心がけることも必要だ。

□守屋浩司・編『人生を変える! 食の新常識/カラダにいい食事 決定版』(文春ムック、2016)の「身近な食品で今日から健康に!」(初出「週刊文春」2015年5月28日号)
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 【参考】
【保健】身近な食品で今日から健康に(2) ~落花生~
【保健】身近な食品で今日から健康に(1) ~チョコレート~
【保健】意外や意外、卵で糖尿病は予防できる

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