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食べ物・食べ方は精神の安定に影響するとのこと

2024-05-09 22:07:21 | 読書ノート
メアリー・ベス・オルブライト『こころを健康にする食事の科学』大山晶訳, 原書房, 2023.

  食事と精神の関係についての科学エッセイ。ある栄養素を摂取するとどのような精神状態になるかということを論じているが、まだわかっていないことも多いという釘も刺される。著者は米国のジャーナリストで、原著はEat & Flourish : How Food Supports Emotional Well-Being (Countryman Press, 2022.)である。

  食べ物は心の状態に影響する。ただし、同じ食べ物を食べても腸内の微生物によってもたらされる結果は異なってくる。腸内細菌の種類は少ないよりは多いほうがよく、またそれらを培養するのに適切な食材──食物繊維──というものもある。腸内細菌の多様性が低いと、鬱病などの精神疾患のリスクが高まるという。また、炭水化物中心の食事かタンパク質中心の食事かで、最後通牒ゲームの結果が変わってくるそうだ。タンパク質食の場合、不公平な額の分け前を受け入れる確率が高まるとのこと。このほか、どのような栄養素あるいは食べ方が、精神の安定や幸福感と関係するかについて紹介されている。

  野菜類は当然として、ナッツ、オリーブオイル、魚、発酵食品がおすすめということだ。心重視か体質重視かの点において異なるものの、全体的な印象(特にどのような食事が良いかというところ)はティム・スペクターの『ダイエットの科学』と似てるという印象を持った。「フムス」なる聞いたことのない料理も紹介されるのだが、美味いのだろうか。
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