沖縄 8 Scene

沖縄で生まれ沖縄に生きる
      8郎家の日記

西表島で跳んだ夏 2日目

2018年07月21日 | 離島物語

 2日目の朝です。父と母が準備で忙しいにもかかわらず、10郎は爆睡。いつもの8郎家の光景です。 

 窓から拝める西表島。雲がかかっていて多少不安になりましたが、早く行きたい気持ちに変わりはありません。

 朝食はこんな感じ。これでも抑えたほうです。結局、納豆も残しましたし。麺類が2つあるのはご愛敬ということで。

  タクシーで離島ターミナルへと移動。八重山観光フェリーさんにお世話になります。 

 施設内を徘徊していた不思議なゆるキャラと撮影。

  フェリー出発20分前にはすでに行列ができていました。早めに来てよかった。 

  石垣島が生んだ戦後沖縄最大のスーパースター、具志堅用高のモニュメントと記念撮影。10郎もうれしそう。ところで、クリスチアーノ・ロナウド空港があるくらいですから、当ターミナルも具志堅用高ターミナルにしてはどうでしょうか。 本島在住の無責任おっさんからの提案です。

 西表島には、1時間ほどの航路で到着。10郎撮影です。

 西表島の玄関口の一つ、上原港は3連休とあって、観光客の人だかり。

  バラス島シュノーケリングは、港から歩いて2分のところにある「ブルーゼスト」さんにお願いしました。オーナーの「酋長さん」と息子さんの「太郎」の二人でやっているそうです。酋長さんは来島40年になるのだとか。野性的な風貌のなかに、人情味がにじみ出る方でした。北海道出身ということで地元では「おしゃまんべさん」と呼ばれているそう。その「酋長さん」いわく台風8号の影響は限定的だったとか。よかったですね。8郎家も11年前の悪夢再来とはなりませんでした。

 ただし、最近は海面の上昇などでバラス島が小さくなっているとのことで、しかも大潮の満潮時間(つまり海面が最も高い)。酋長さんは「ここ数年は本当に『幻の島』になってきている。もしかしたら見られないかもしれない。それを了解の上でツアーになります」と保険をかけてきます。ここまできてキャンセルするわけにもいきません!

 いざ出港。「どちらにしろ今は絶対見られない」ということで別のポイントでしばらく遊ぶことに。酋長さんは撮影用にと10郎にもハンドルを握らせてくれました。もちろんあくまでポーズのみです。でも10郎、いい記念になったね! 

 ポイントに着くと、西表の海に初ザブン! 10郎と妻は今年初泳ぎです。水が冷たっ。でも気持ちいい!

 3人手をつないで海中散歩。生き物は小魚ばかりでしたが、サンゴは元気でした。

  約1時間くらいでしたが、逆流を泳いだこともあって、太ももの乳酸は限界までたまりました(笑)。妻はひざが笑っていたそうです。泳げないのによく頑張りました。しかし、10郎が片方のフィンをなくしたため、8郎は酋長さんと一緒にさらに10分ほど水中を探すことに。残念ながら見つかりませんでした。すいませんね。酋長さんは「僕の装着が緩かったね、すいません」と言ってくれました。

 酋長さんは「バラス島が見える時間帯です」と第一目的のバラス島へ船を向かわせます。3人の期待も高まります。12年ぶりのバラス島、頼む、顔を出していてくれ。 

 酋長さんが「あったよ!」と叫びます。確かに、海の上に白い砂らしきものが、そしてその上に人影が! な、なんだ!この蜃気楼のような光景は!

 さらに近づくと、まるで絵葉書のような光景がありました。バラス島が顔を出していたのです!

 12年前に8郎が上陸したときに比べると20分の1ほどの大きさに。でも小さいだけに逆に「まぼろし感」を増しています! こんな小さな島、ほかにあります!?

 それしにしても海がきれいだ! ここで8郎の耳に流れるBGMは山下達郎『LOVELAND,ILAND♬』を置いてほかにありません。バラス島のためだけに魚眼レンズ(防水プロテクターも)を持ってきてよかったぁ。

 早速、上陸。10郎が跳んだ!

 お次は妻撮影!

 やったね!

 家族3人で記念撮影。10郎の手にはいつの間にかサンゴのかけらが。おい、持って帰るなよ。

 ついに二人を「幻の島」に連れてくることができました。45歳は感無量です。

 50㌢ほどの深さに浸かります。冷たくて最高です! 

 当然ですが、透明度も抜群。

 いつまでもこの海に浮かんでいたい。心からそう思いました。酋長さんが迎えに来たので、やむなく乗船。わずか10分ほどの滞在でしたが、この旅で最高の爽快感をいただきました。さらば、バラス島。顔を出してくれて、ありがとう!

  さて、また場所を移して2本目のシュノーケリングです。青と黄色のエダサンゴが広範囲に群生する一帯。8郎も初体験。とてもきれいでした。台風の影響もそれほど感じませんでしたね。

 ニモの登場に10郎も大喜び。

 さらにウミガメを発見! 10郎と妻は初体験です。一昨年の阿嘉島で見ることができなかっただけに感動しました。西表の海はやっぱりすごい!

 サンゴに頭を突っ込んでえさを食べるシーンまで見ることができました。

  つたない動画ですが、西表の豊かな海の雰囲気だけでも味わっていただければ。雑音御免。

 充実した30分を終え、船に戻ります。船の下まで来ると、8郎の視界に何と人魚?が飛び込んできたのです! もちろん人魚ではなく、ふつうの水着ギャルたっだのですが、水深3㍍くらいのところをすごいスピードで推進していたのです。よく見ると、手に棒付きの動画カメラを持っており、亀を追いかけていることが分かりました。間違いなく水泳経験者でしょう(スーツでなくビキニなところもすごい)。去り際に8郎のカメラに手を振っていきました。あのアグレッシブさは中国系観光客でしょうか。

  船上に上がると酋長さんが「生き物を追いかけてはいかん。この海に来なくなる」と苦言をはいていました。8郎も気を付けようっと(笑)。しかしビキニギャルのおかげで(?)亀をもう一度撮影することができました。さらば、亀さん。

 船に上がると、酋長さんが「おにいちゃん、海に飛び込んでみなよ」とあおります。「海水が入らないように鼻をつまんでね」とのアドバイスを受け、10郎、西表の海に跳びます!

  ザブン! しかし、入水の瞬間に鼻から手を放してしまい(意味ないじゃん)、その上海水を多少飲んだようでせき込みながら、じたばたします。

 ひいひいしながら、酋長さんに拾ってもらいました。

 「もう一回やるかい?」と酋長さんに聞かれても「もういい」と即答。心を折られたようです(笑)。

   とにもかくにも、西表のシュノーケルは大満足でした! 

 島に戻ると酋長さんと記念撮影。まるで孫を迎えてくれるように楽しませていただきました。

 宿泊先のホテル西表アイランドに到着。送っていただいた酋長さんに「とても楽しかったです。ありがとうございました」とお礼を告げました。寂しげな10郎の表情が印象的でしたね。

 さて、このホテルは8郎が過去2回利用したホテルです。当時すでに古かったのですが、さらに円熟味を増していました(笑)。いろいろな記憶が鮮やかに甦ります。

 フロントには美しい花の写真が数枚飾られていました。すべてきれいな写真です。特に右端は、撮影者の方がよく考えて一枚に収めた素晴らしい力作だと感嘆しました。

 おかみさんとオーナーさんご夫婦の似顔絵が貼られていました。まさにこんな感じの仲のよさげなお二人でした。

 

 さて、お腹が空いたのでランチです。 しかし、大変残念な事実を知らされることに! 8郎は12年前に当ホテルを利用したとき、ホテル内の食堂で食べた石垣牛カレーが忘れられず、今回もひそかに期待していたのですが、おかみさんに聞くと「人手不足」を理由にランチ用の食堂は閉鎖したのだそう。腕のいいコックさんが辞めたのでしょうか。時の流れを感じ、さみしい思いになりました。二人に食べさせたかったな~。仕方ないので、案内された近くのラーメン屋「片桐」に入りました。ここは12年前にはなかったなぁ。

 移住組の方が経営されていて、鶏ガラだしのもちもち麺でした。「スタミナをつける」という勝手な理由で8郎はチャーハンも注文。炭水化物を表す黄土色一色です!

  10郎はいっぱい泳いだ分、食欲も旺盛。ギョーザをもしゃもしゃ食べました。おいしゅうございました。まさか西表島でラーメンを食べるなんて・・・。

  しかし、満腹になると同時に、大事なことに気づきました。「やっべぇ。満潮時間だ!」。そうです、大潮の満潮時間にだけ受粉をするウミショウブを観察するには、満潮時間の2時間前にスタンバっておかなければならないのです。わかっていましたが、こってり炭水化物を優先してしまいました。慌てて、おかみさんが教えてくれたホテルから100㍍ほどの海岸に向かいます。

 ウミショウブは夏の大潮の満潮時間帯をねらって受粉します。干満の差を利用するのです。ある研究所の予測ではこの日が開花確率の高い日とされていました。生息範囲は石垣島が北限で、沖縄本島でも見ることはできません。まさに幻の花なのです。以下はウィキペディアからの引用です。

 

 ウミショウブの雄花は、風や波の力によって、水面を走るようにして容易に流されてゆく。ほとんどの雄花はどこへともなく流されて終わるが、ごく一部の雄花はたまたま、水面上に開いている雌花にひっかかり、その内部へとはまり込む。潮が満ちてくると雌花は雄花を閉じ込みながら沈んでゆき、受粉を完了する。雄花、雌花ともに一日花で、こうした受粉イベントが初夏から秋にかけての大潮の日に繰り返される。受粉後の実の中には10個前後の種が入っていて、熟してはじけると、種が散らばり、根づく。このような方法で受粉する植物はウミショウブのみであるとされる。 

 

 海岸に行ってみると、すでに潮は引き、動きはありませんでした(泣)。ギョーザとチャーハンに時間を費やした食いしん坊一家が悪いのです。しかし、雄花はあちらこちらに見られたので、一応、記念撮影。

 遅れてきたとはいえ、貴重な光景に変わりはありません。まず、前回できなかったマクロ撮影! おしべが本当に面白い形をしています。まさに「小さな海の雪だるま」です。

 恋の花とも呼ばれるウミショウブだけに、ハートの形をした集団も。

  ウミショウブの受粉の光景は、動画がわかりやすいのでUPします。

 まずは、雪だるまことおしべたちが、めしべを求め、海面をスケーターのように滑走する美しい光景です。

  お次は不運にも袋小路に入ってしまったおしべたちの悲恋のダンスです(撮影者が途中でシャコに気を奪われてしまうのはご愛敬)。 

 10郎もちゃんと受粉のSCENEを撮影していました。

  どちらにしろ、年に数回の貴重なSCENEに妻と10郎を立ち会わせることができて、ラッキーでした。一日でバラス島とウミショウブという二つの奇跡を見せることができたので、西表の神様に感謝です。

 帰りの砂浜にはチョウの死骸が。そして、サガリバナと同じ一日花で今にも落ちそうなユーナも見ました。生命のはかなさも感じました。10郎、人の命も一度きり。この世に生まれたからには、どんなことがあってもたくましく生きていくんだぞ。

  夕飯は宿でいただきました。12年前よりは多少グレードが落ちたような気がしました。人手不足の影響でしょうか、これも時の流れでしょうか。もちろん、十分においしゅうございましたが。 

  部屋に戻ると、半端ねぇ疲労感が。老夫婦は互いにマッサージをして少しでも疲労回復につなげようと躍起です(悲)。一人元気な10郎は、今日一日の感想をかーかーにインタビューします。将来はリポーターか!? かーかーも一生懸命付き合っていました。おつかれさん!

 翌3日目はヤスーンとの思い出であるピナイサーラの滝と、人生初のキャニオニングに挑戦します。ツアーとしてはあきらめたサガリバナも見られればいいなと期待しながら・・・。

 川の字になった3人はあっという間に深い眠りにつきました。 


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