沖縄 8 Scene

沖縄で生まれ沖縄に生きる
      8郎家の日記

消えた『10郎甲子園』

2022年11月06日 | 学童野球

 愛息10郎の所属する学童野球チームにとって、県大会出場を懸けた最後のチャンス「冬季大会市予選」に出場してきました。結果は残念ながら2回戦敗退。入部した3年生のころから県大会を『夢の10郎甲子園』と銘打ち、親子3人で追いかけてきましたが、叶えることはできませんでした。残念の一言です。最後のバッターとなってしまった10郎は試合終了直後から号泣していましたね。2試合でノーヒットと最大の強みである打撃が起動する前に4年間が終わってしまったのですから(四球と盗塁では貢献しました)。下写真は1回戦の会場となった、8郎の母校M小学校グラウンドです。空は秋晴れでした。

 大会の経緯を記していきますが、その前に余談を一つ。

 10郎が生まれたときからこれまでの成長を写し記録し続けている愛機NIKONの一眼レフD300、SONYのホームビデオカメラHDR CX-180の2機も出陣しました。ともに老体にムチを打ち、成長真っ盛りの10郎を激写してくれました。下写真は、プレーボール時にマウンドで気合を入れるポーズです。ご覧ください、自宅マンション8階までの階段を2段上りで鍛えた太ももの張り具合を!(5年生のときに立ち幅跳び学校一になった強靭な下半身です)。1年間でここまで成長するんだなぁ~。

 1回戦の相手は古豪のMH。十郎はエースナンバーを背負って先発しました。コントロール重視で四球は1つだけという安定した内容でしたが、球威が落ちた分、珍しく4本もクリーンヒットを打たれましたね。試合は、10郎の相棒の一人であり、これまでいいところがなかったキャプテンS君が意地の3点タイムリーツーベースを放ち5対3で勝利! 2回戦進出を決めました。スランプが続いていたS君の苦悩を見ていた8郎もうれしかったです。10郎は4回を自責点2の5奪三振でした。エラーと投内連携の乱れから生じたボーク(10郎は責められません)があったので、本来は自責点1かな~。

 試合後、10郎とは「やはり力を抜くと球威が落ち、いいバッターには打たれる。コントロール重視は大事なことだが、相手が強くなるほど自分の最大の武器である速球を全面に出していこう」と確認しました。しかし、この大会で10郎が再びマウンドに上がることはありませんでした。

 

 運命の2日目はダブルヘッダーです。初戦2回戦の相手は会場提供のKR。もちろんうちは完全アウェーですが、ここを突破すれば県大会出場を懸けた準決勝への進出が決まります。保護者含め全員気合が入っていました。準決勝に備え、投球制限がある10郎はキャッチャーです。

 試合前から8郎はちょっと不安でした。KRとはこれまでに一度だけ対戦しており、うちのサウスポーN君が完封勝ちを飾った縁起のいい相手です。しかしその試合には、うちの監督が1年前から警戒していた技巧派エース(当時の5年生大会で好投)が登板していませんでした。KRは打力は低いですが、守備が堅く元気いっぱいの好チームです(うちが2回戦負けした直前の大会ではベスト4に入っていました)。万一その技巧派エースが復活していてチームがノッてきたら、うちは足元救われかねないと懸念していたのです。うちのチーム内にも「前回完封勝ちした相手だからそう手ごわくない。準決勝のことを考えたほうがいい」という安パイモードが多少見えていたので。

 8郎の懸念は早速当たってしまいました。マウンドに立ったのはまぎれもなく1年前に活躍していた技巧派エース君でした。彼の緩急をつけた投球に10郎はじめ誰もタイミングが合いません。三振こそしないものの全部ゴロやポップフライで、スコアボードにはゼロが並びます。一方で、先発に指名されたわれらがT君も期待に応え好投🔥 T君は通常はキャッチャーなので10郎とバッテリー相性がいいのです。佐賀の九州大会の決勝戦セーブで付けた自信を思う存分発揮し、こちらもゼロを並べます。うちのチームの試合にしては珍しく緊迫した投手戦となりました。

 しかし後半。あってはならないミスが起きてしまったのです。ランナー1,3塁のピンチで仕掛けたトリックプレーでそれが発生しました。1,3塁の場合、学童野球では1塁ランナーが盗塁をすると同時に3塁ランナーが一気にホームを狙うケースが多々あります。なので、守備面としては、2塁手は3塁ランナーが走った場合、捕手が2塁に投げた送球を遮るようにキャッチしホームに投げ返し、本塁でのアウトを狙うというトリックプレーがあります。ただし3塁ランナーがスタートしなかった場合は、2塁手はグラブを引っ込め、捕手からの送球は2塁上で待っている遊撃手が捕球し、1塁ランナーの盗塁を防ぐのです。大会前にこの練習を繰り返し行っていました。

 しかし、想定通り訪れたこの大事な場面で、日ごろは好守備を見せる遊撃手のY君が監督のサインを見落としていたのです(泣)。1塁ランナーが盗塁を仕掛けたので捕手10郎が2塁へ送球したのですが、Y君が2塁ベースに移動していないではありませんか! 2塁手のR君は3塁ランナーが走らなかったのを見て当然に送球を取らずにスルーしたのですが、2塁にいるはずのY君がいないので10郎の弾丸送球はそのまま2塁ベースを超えてセンターまで転がっていったのです。相手ベンチの歓声が沸き上がる中、走る気なんてなかった相手3塁ランナーがバンザイしながら余裕で生還。あまりに痛い1点を与えてしまったのです。これが決勝点。なんともやるせない勝敗の分かれ目となりました(泣)。1点を争う展開で、監督も秘策として繰り出したので責められませんが、「策士、策に落ちる」結果となったような気がします。。。大事な場面でサインを見ていなかったY君も大きな減点ですが、チーム采配としてはピンチこそ真っ向勝負してほしかったと思います。ただ、監督も「こうでもしないとこのチームでは県大会に行けない」と実力を分かっていた上での采配だったとも思います。

 1点ビハインドのまま最終回ツーアウトで10郎に打席が回ってきたときはチーム全体が盛り上がりましたよ。10郎の豪快なホームランが出れば同点だ!と。しかし願い空しく10郎は引っかけてしまい、ファーストゴロで試合終了となりました。0-1の完封負け、言い訳のできない完敗です。

 4年間の終わりとしては余りにふがいない結果に、部員の半分が悔しくて涙を流していました。保護者会会長である8郎も、まさかこんなに早く終わりのあいさつをするとは想定していなかったので、言葉に詰まりましたが、監督、コーチ、保護者会への感謝を述べ、部員たちには「負けたのは相手の努力が上だったからだと認めよう。ぜひ野球を続けて、この悔しさをばねに次はもっと大きなステップを踏んでほしい。やればできる」とティモンディのパクリ上等で伝えました。泣いている保護者もいっぱいいました。

 敗戦から約1週間となる今でも、悔しさとチルダイ感は消えませんね。子供たちを晴れ舞台に行かすことができなかった親としての努力不足も痛感しました。

 

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 夢破れた涙のラスト大会ではありましたが、野球の神様は8郎にひとつだけプレゼントを用意していました。前述の通り1回戦の会場が8郎の母校であるM小学校だったということです。M小学校の思い出については、これまでも何度かご紹介してきた2年前の記事をアップしておきます。

 

37年越しの夢叶う - 沖縄 8 Scene

表題の通りです。47歳おっさん8郎の37年越しの夢が叶ったのです!と言っても、ブログチェッカーのみなさんはともかく、初見の方は何のことやらだと思うので、過去の関...

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 野球の神様は、最後の最後でもう一度、息子を母校マウンドに立たせてくれたのです。感謝しかありません。

 そのマウンドで愛機D300が写したベストショットは下写真です。10郎1人しか写っていないので、見方によっては白熱した大会の興奮が伝わらない単なる失敗作と思われるかもしれません。しかし、8郎にはハッキリ見えるのです。後ろの木陰に、39年前の幼き8郎が写っているのが。電気も水道も止められた暗い部屋で、自分で背番号1を貼り付け、朝食はインスタントラーメンをかじり、休憩時間は自分だけ弁当がないためにチームと離れこの木陰で独り寂しく過ごしていた、ネグレクトの哀れなガリガリの少年8郎が写っているのです。そうです、この1枚は8郎が母校のマウンドで39年かけて撮影した愛息との万感のツーショットなんです。

 10郎へ。このグラウンドにエースとして立ってくれて、そして勝利投手になってくれて、ありがとう。昔の父ちゃんとは比較にならないくらい筋骨たくましく育ったね。例え県大会出場を果たせなかったとしても、君と過ごした学童野球4年間に父ちゃんは心から感謝しています。このマウンドで父ちゃんの手を離れていった背番号1を、君はこのマウンドで取り返してくれたんだ。39年間消えなかった悔しさを吹き飛ばしてくれるくらい楽しかったよ! ありがとう。

 そして、お願いがあるんだ。君が投げる1球1球に「ナイスボール!」と声を振り絞ってエールを送っていたうしろの8太郎👻のことを、いつまでもいつまでも忘れないでほしい。

 

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 県大会すなわち「10郎甲子園」という目標を果たせずに、帰宅後も落ち込む10郎。父8郎はこう伝えました。「もっと大きな目標を忘れているんじゃないのか? それは沖縄一の二刀流になることだろ」🔥。昭和の熱血オヤジからの激に10郎はスマホで爆笑系Tiktokを見ながら深くうなずいていました(おい、ちゃんと聞いているか?)。

 年明け早々に6年生最後の公式大会(市レベルなので思い出づくりですね)があります。その後には各市町村からセレクトされた選手のみが集まる選抜リーグ戦もあります。市代表として10郎は間違いなく選ばれることでしょう。君の暴れる場所はそこだ! 落ち込んでいるひまなんかない。時速120㌔超のストレートを投げ、100㍍の特大ホームランを打ってやろうぜ。君ならできる! 

 

 以上、はかなく夢と消えた『10郎甲子園』のてんまつです。しかし、コントロールもよくなってきた10郎の『二刀流』への挑戦記は始まったばかりです。ブログチェッカーの皆さん、これからも応援よろしくお願いいたします。

 美しい朝焼けに8郎家は気持ちを再確認しました。勝っても負けても野球って最高です!


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