下請け、それとも協働者?

2015-11-10 10:32:04 | 近時雑感
少し下火になってきましたが、例の「杭打ちデータねつ造事件」。杭打ち施工会社あるいは現場担当者個人に責任を「集約」しておしまいにしようという「魂胆」が見え見えです。
この杭打ち担当者を「下請け」と呼ぶのが大方のメディアです。
では、「下請け」という語の語義は何か。
「親会社などが引き受けた仕事を他の者がさらに請け負ってやること」との解説は「新明解国語辞典」。
「請け負った人から、その仕事の全部または一部をさらに請け負うこと」という解説は「広辞苑」。

「ものづくり」の場面で、何から何まで、すべて一人でこなす(つまり、必要な材料や作業に必要な道具や諸品・・・などをすべて自前で用意し仕事する・・)、ということはあり得ません。
そのあたりについて触れたコラムを見つけました。数日前の信濃毎日新聞のコラム「斜面」です。web 版から転載します。

つまり、一つの仕事は、多くの人びとの「協力」の下で為されるのです。そのとき、その「協力」した人びとは、辞書の言う「下請け」でしょうか?
否です。あくまでもそれは「協働者」「協力者」なのです。かつての大工棟梁は、そのことがよく分かっていたのです。
現在の施工会社に、その「意識」があったならば、杭打ちミスの責任を一部の者に転嫁して済ます、などということはありえないのです。

   なお、記事の中に、かつての工法(いわゆる「伝統的工法」でつくられた家屋には倒壊事例がなかった、とのことが書かれています。
   確かに、当時報道された映像でも、そのような印象をもったことを覚えています。詳細な「報告」を知りたいと思ってます。

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2 コメント

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Unknown (kaori)
2015-11-10 18:08:44
下山先生 こんにちは。

長野県神城断層地震からもうすぐ1年になります。
実は十数年前に、白馬村堀之内地区の茅葺古民家の再生案件の相談を受けた事がありまして、残念ながら仕事にはなりませんでしたけども、某テレビ局の番組で匠として出演された建築家がその家を再生しました。

再生の内容は、ネットから知る範囲で、基礎は石場建てではなく、コンクリート基礎でした。

石場建てではない民家再生が、伝統的工法と言ってよいのか私自身も悩むところではあるのですが、
堀之内地区で直に被災したその古民家再生の家は、無事だったようです。家主のインタビューを発見しましてご無事でよかったと胸をなでおろしました。

本当は建物の様子を、こっそり見に行きたかったのですが、なかなか時間もとれず、そのままではありますが、いろんな情報を探しまして、恐らく建物は無事でそのまま生活が出来ている感じです。

率直なところ、あれだけの地震をもろに受けて、
石場建てではない、今時のコンクリート基礎で民家再生しても地震に耐えられた、という事に、少し安心したというのが正直なところでした。


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情報、有難うございます (筆者)
2015-11-11 14:03:17
石場建ての特徴は、単に基礎が石である、ということではなく、上部架構が地盤・地面と一体になって動かない、ということだ、と理解しています。
したがって、基礎がRCであっても、上部架構が地盤・地面と一緒に動かないようにすれば効能は石場建てと同じになるはずです。
具体的には、例えば土台にネコをかませ、アンカーボルトを設ける場合でも緊結せずルーズにしておけばよいのではないか、と考えています。
これまで、実際にそのようにしてきました。
参考までに・・・。
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